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○ベビーホテル問題への積極的な取組について

(平成一三年三月二九日)

(雇児発第一七八号)

(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

今般、ベビーホテル等認可外保育施設に対する効果的な指導監督を図ることを目的として、新たに指導監督指針を策定したところである。しかしながら、ベビーホテルの問題は指導監督の問題だけではなく、認可保育所の整備状況や延長保育、夜間保育等の多様な保育サービスの提供と大きく関わるものであり、地域の保育需要に応じた保育施策の推進とともに、乳児院等の児童福祉施設への入所や子育て支援短期利用事業等の関連施策の活用が必要である。このため、本通知に基づき、ベビーホテル問題について積極的な取組をお願いする。

第1 地域の保育需要の把握等

ベビーホテルの多い地域においては、保育所入所待機児童数をはじめとして、人口数、就学前児童数、就業構造等から、地域の保育需要について適切な把握に努めるとともに、その需要に応じ、保育所の整備はもとより夜間保育所の設置や長時間保育の実施等の保育施策及び子育て支援短期利用事業の推進に努めること。

第2 ベビーホテルに長期間入所している児童への対応について

1 ベビーホテルに長期間入所している児童の把握

児童福祉主管部(局)においては、ベビーホテルの設置者又は管理者に命じ、当該施設に長期間家庭に引き取られていない児童又は週末のみ引き取られている児童(以下「長期滞在児」という。)があるときは、速やかに、その児童及び保護者の氏名、住所、家庭の状況等について報告をさせること。また、併せて児童福祉法第59条に基づく立入調査や市町村等関係機関の協力を通じて、これらの児童の有無の把握に努めること。これらの児童がいることが明らかとなった場合には速やかに児童相談所等と適切な連携を図ること。

2 家庭状況の調査

児童相談所は、市町村、福祉事務所、児童委員、母子相談員等の協力を得て、1により把握された児童の保護者から長期間ベビーホテルに預けている事情等家庭の状況を調査すること。

3 長期滞在児に対する措置、保護者に対する指導

(1) 2の調査の結果から福祉の措置を講ずることが適当であるとの報告を児童相談所から受けた場合には、保護者に通知するとともに、関係機関と十分な連携を図り、以下に掲げる関連施策等必要な福祉の措置を講ずること。この場合、他施設への入所措置等について保護者の理解が得られない場合であっても、継続的に必要な助言又は指導を行っていくこと。

① 児童福祉法第27条に基づく里親委託、乳児院、児童養護施設等への入所措置

② 児童福祉法第23条に基づく母子生活支援施設での母子保護の実施

③ 児童福祉法第24条に基づく保育所(夜間保育所、長時間延長保育実施保育所等)での保育の実施

④ 本通知第3に基づく乳児院における短期入所措置

⑤ 平成7年4月3日児発第374号厚生省児童家庭局長通知)に基づく子育て支援短期利用事業の活用

(2) 特に福祉の措置を講ずる必要がない場合においても、実情に応じ、児童の福祉の観点から保護者に対し、必要な助言、指導を行うこと。

第3 乳児院における短期入所措置について

1 趣旨

乳児院において、保護者の出産、傷病、病気看護、出張、住み込みでの就労等のため、ベビーホテルに1か月未満であるが、家庭に引き取られることなく連続して数日間預けられている場合などの短期間の入所需要に対応することにより、児童の健全な育成に資するものである。

2 定義

「短期入所」とは、本通知に基づく入所であって、入所期間が1か月に満たないものをいう。

3 入所対象

保護者が出産、傷病、病気看護等緊急の事情又は出張等の勤務上の都合など特別の事情により保護者のもとで養育できないことが止むを得ないものを広く対象とする。

しかし、買物や私的旅行等保護者の恣意的な理由によるものは原則対象とならないが、第2の2の調査により児童相談所が当該児童を保護することが適当であると判断した場合にはこの限りではない。

4 入所手続

入所措置の手続きについては、「児童相談所運営指針について」(平成2年3月15日児発第133号厚生省児童家庭局長通知、平成12年11月20日改定)により定められているが、短期入所は特に迅速に対応する必要があるので、次のとおり取り扱う。

(1) 保護者から入所申請があった場合には、児童相談所においては速やかに調査を行い、必要に応じて定例の会議を待つことなく随時会議を開催し、迅速かつ的確に措置決定する。

(2) 保護者からの提出書類は、住民票、所得証明書とするが、これらの書類が全てそろうまで入所措置を延ばすのではなく、実態に応じ入所措置し、その後これらの書類を提出させることとして差し支えない。

(3) 措置通知書及び措置決定通知書の備考欄に保護者の緊急連絡先及び措置予定期間を記入する。

5 経費

(1) 事務費の支弁

「児童福祉法による児童入所施設措置費等国庫負担金について」(平成11年4月30日厚生省発児第86号厚生事務次官通知。以下「交付要綱」という。)に定めるところによる。

定員(暫定定員を含む。)の範囲内で短期入所の児童を受け入れるものとし、事務費の支弁については特段の措置は講じない。

(2) 事業費の支弁

交付要綱に定めるところによる。

一般生活費については、短期間の入所を行いやすいよう日額単価の保護単価が設定されている。

(3) 費用徴収

短期入所に係る保護者の費用徴収については、交付要綱の徴収金基準額表の定めにかかわらず、同表のC1階層からD3階層(但し、所得税の額が12万円以下の場合)までは日額1,000円、D3階層(但し、所得税の額が12万1円以上の場合)からD13階層までは日額2,000円とし、これに入所措置日数を乗じて得た額を当該措置児に係る費用徴収額とする。

なお、A、B階層については無料、D14階層については全額徴収とする。

第4 実施期日等

この通知は平成13年3月29日から施行し、児発第330号通知及び「乳児院における短期入所措置について」(昭和56年4月30日児企発第18号厚生省児童家庭局企画課長通知)はこの施行に伴って廃止する。

なお、この通知は、第3の5を除き、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言に当たるものである。