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○母子健康手帳の改定について

(平成一〇年一二月二五日)

(児母第八八号)

(各都道府県・各政令市・各特別区母子保健主管部(局)長あて厚生省児童家庭局母子保健課長通知)

母子保健行政の推進についてはかねてより格段のご配慮を煩わしているところであるが、厚生省心身障害研究の結果等を踏まえ、母子健康手帳の記載内容に関し、中央児童福祉審議会母子保健部会で検討を進めてきたところであり、平成一〇年一二月四日に開催された同部会において、改定内容についての意見がとりまとめられたので母子健康手帳の作成に当たり参考とするよう管下市町村に対し周知されたい。

母子健康手帳の改定について(意見)

(平成一〇年一二月四日)

(中央児童福祉審議会母子保健部会)

◇母子健康手帳の改定について

1 乳幼児突然死症候群(SIDS)対策について

(1) 改定の趣旨

平成九年度心身障害研究「乳幼児死亡の防止に関する研究」の結果報告を踏まえ、『乳幼児突然死症候群(SIDS)対策に関する検討会(座長:平山宗宏日本こども家庭総合研究所所長)』及び『乳幼児突然死症候群(SIDS)対策に関する連絡会議』を開催し、今後のSIDS対策の普及・啓発方法等について検討及び情報交換を行ったものである。

これらの結果を踏まえ、SIDS発症の危険性を低くするための留意点等をとりまとめたので、健康診査等母子保健事業の機会を利用して知識の普及・啓発を行うとともに、母子健康手帳の情報提供欄への記載について周知を図ることとする。

(2) 改定内容

任意記載内容の追加…『新生児(生後四週間までの赤ちゃん)』の欄の『◎先天性代謝異常等の検査を受けましょう』のあとに設ける。

◎乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防のために

1 赤ちゃんを寝かせるときは、あお向け寝にしましょう。

ただし、医学上の理由から医師がうつぶせ寝を勧める場合もあるので、このようなときは医師の指導を守りましょう。

2 妊娠中や赤ちゃんの周囲で、たばこを吸わないようにしましょう。これは、身近な人の理解も大切ですので日頃から協力を求めましょう。

3 母乳が赤ちゃんにとってよいことはよく知られています。母乳の出方には個人差がありますが、母乳が出る場合にはできるだけ母乳で育てるようにしましょう。

SIDSとは、それまで元気であった乳幼児(主に一歳未満の乳児)が睡眠中に何の前ぶれもなく亡くなってしまう病気で、窒息などの事故によるものとは違います。

その数は、生まれてきた赤ちゃん約二〇〇〇人に対して一人となっています。

原因はあまりわかっていませんが、これら1から3の点を日頃から心がけることで、この病気の発生を減らせることがわかっていますので、赤ちゃんの健康を守るために積極的に実行しましょう。

さらに詳しく知りたい場合は、都道府県の母子保健担当、保健所やかかりつけの医師などに相談しましょう。

2 母乳栄養について

(1) 改定の趣旨

近年、母乳中のダイオキシン類の乳児への影響、SIDS発症と非母乳哺育の関連などが言われている中、現行の母子保健手帳に記載されている母乳栄養に関する内容について検討する。

(2) 改定内容

「乳児期の栄養」を以下のように改定する。(『◎離乳』は現行どおり)

赤ちゃんの栄養は母乳が基本です。なるべく母乳で育てるように心がけましょう。母乳が足りないときや、お母さんの仕事の都合によっては、人工乳(粉ミルク)を足したり、人工乳だけになります。粉ミルクのつくり方は、製品によってきめられた通りの濃さに溶かすことが大切です。飲む量は赤ちゃんによって個人差がありますから、むりに飲ませることはしないでください。よろこんで飲み、体重が順調に増えているなら心配ありません。

3 子育て支援に関する相談機関の情報提供

(1) 改定の趣旨

近年の地域における児童養育機能の低下などにより、育児不安等で悩んでいる親が増加しており、子育てに関しての相談機関についての情報提供を行う。

(2) 改定内容

「子育てに関する相談機関」の欄を設ける。(「主な母子医療の公費負担制度」のページの最後に追加する)

◇子育てに関する相談機関

左記の機関では、保健・医療・福祉に関するいろいろな悩み事についての相談に応じています。相談については電話、手紙、面談などにより行っていますので気軽にご相談下さい。

◎からだや発育に関する相談

保健所、市町村保健センター、かかりつけの医療機関

◎養育上の悩みやしつけなどに関する相談

児童相談所、福祉事務所、地域子育て支援センター、児童館、民生・児童委員

◎その他

地域によって、この他さまざまな行政サービスを受けることができる場合もありますので、住所地の市区町村の保健・福祉の担当課にお問い合わせ下さい。

4 働く女性の出産・育児を支援する制度に関しての情報提供

(1) 改定の趣旨

現行の母子健康手帳においては「出産、育児に関する働く女性のための法律」のページを設けて、労働基準法、育児・介護休業法及び男女雇用機会均等法についての情報提供を行っている。

今回、その内容をよりわかりやすいものとするとともに、健康保険法等により行われる各種手当、給付及び免除に関しても対象者のサービスの観点から情報提供を行う。

(2) 改定内容

「働く女性のための出産・育児に関する制度」を以下のように改定する。

◎産前・産後の健康管理

・ 妊産婦(妊娠中及び出産後一年を経過しないもの)は、事業主に申し出ることにより、次の保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができます。

○妊娠二三週までは四週に一回

○妊娠二四週から妊娠三五週までは二週に一回

○妊娠三六週以後出産までは一週に一回

ただし、医師や助産婦の指示でこれを上回ることもあります。

・ 妊産婦が医師などの指導を受けた場合には、その指導事項を守ることができるよう、事業主は、勤務時間の変更、勤務の軽減など必要な措置を講じなければなりません。

これらの措置には、妊娠中の通勤緩和、休憩に関する措置、つわりや切迫流・早産の症状などに対応する措置が含まれます。

※医師などの指導事項(妊産婦の健康管理のため事業主がとるべき措置)を的確に伝達するために「母性健康管理指導事項連絡カード」をご利用下さい。

◎産前・産後・育児期の労働

・ 妊産婦は、事業主に請求することにより、時間外労働、休日労働、深夜労働が免除されます。

・ 事業主は、妊産婦を重量物を取り扱う業務などの有害な業務に就かせてはならないことになっています。

・ 妊娠中は、事業主に請求することにより、他の軽易な業務に変わることができます。

・ 出産後、子が一歳未満の間は、事業主に請求することにより、一日二回少なくとも各三〇分の育児時間をとることができます。

・ 事業主は、一歳未満の子をもつ男女労働者が働きながら子育てをし易くするために、勤務時間の短縮などの措置を講じなければなりません。

・ 小学校入学までの子をもつ男女労働者は、一定の条件を満たす場合、深夜労働の免除を事業主に請求できます。

◎産前・産後の休業

・ 産前六週間(多胎妊娠の場合は一四週間)は、事業主に請求することにより、休業することができます。

・ 産後八週間は、事業主は、その者を就業させることができません。ただし、産後六週経過後に医師が認めた業務については、本人の請求により、就業させることができます。

◎育児のための休業

・ 子が一歳に達するまでの間、事業主に申し出ることにより、父親、母親のいずれでも育児休業をとることができます。

以上の問い合わせ先/各都道府県女性少年室

◎出産育児一時金・出産手当金など

・ 出産後には、出産育児一時金や出産手当金などが支給される制度があります。また、育児休業期間中には、社会保険料が免除される制度もあります。

問い合わせ先/勤務先、社会保険事務所、健康保険組合など

◎育児休業給付

・ 育児休業を取得したときは、一定の要件を満たした場合に、雇用保険から賃金の二五%相当額の育児休業給付が支給される制度があります。

問い合わせ先/公共職業安定所(ハローワーク)