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○地域母子保健事業の実施について

(平成七年四月三日)

(児母第一九号)

(各都道府県各政令市各特別区母子保健主管部(局)長あて厚生省児童家庭局母子保健課長通知)

母子保健行政の推進については、かねてより格段のご配慮を煩わしているところであるが、今般、市町村における母子保健事業の一部について、「児童環境づくり基盤整備事業の実施について」により実施することとされ、平成九年六月五日児発第三九六号厚生省児童家庭局長通知「児童環境づくり基盤整備事業の実施について」により、その実施要綱が示されたが、この実施に当たり特に留意すべき事項は次のとおりであるので、管下市町村に対し円滑な実施が図られるよう特段の指導、援助を願いたい。

なお、本通知の実施に伴い、本職通知平成二年七月三一日児母衛第二一号「地域母子保健特別モデル事業の実施について」、平成三年五月二〇日児母衛第二〇号「市町村母子保健事業の実施について」、平成三年五月二二日児母衛第二二号「乳幼児健全発達支援相談指導事業の実施について」、平成四年五月一一日児母衛第二〇号「出産前小児保健指導事業の実施について」は廃止する。

1 地域活動事業について

(1) 母子保健推進員活動事業について

① 市町村長は、地域の助産婦、保健婦、看護婦又は母子保健に相当の経験があり、かつ熱意を有する者の中から、適当な者を母子保健推進員(以下「推進員」という。)に選んで母子保健推進員活動(以下「推進活動」という。)を依頼することとする。

② 推進活動の依頼をするときは、推進員であることを証明する証票を交付し、推進活動を行う際には、当該証票を携行させること。

なお、推進活動の依頼及び証票の様式については、別紙様式1及び2を参考にされたい。

③ 推進員は、母子保健に関する施策について知識を深めるよう努めるほか、推進活動において、妊産婦等から母子保健に関する援護の希望その他の情報等で緊急を要するものに接したときは、速やかに市町村長に連絡するよう努めること。

④ 推進員は、推進活動を行ったときは、推進活動の状況を明らかにした記録簿を備えて、別紙様式3(参考様式)により市町村長に報告するものとする。

(2) 母子保健地域組織育成事業について

① 地域組織の選定は、次の事項を考慮して行うものとする。

ア 愛育班活動のような組織活動の素地と機運が見受けられ、指導援助を必要とする状態にあること。

イ 母子保健に相当の経験と熱意を有し、地域組織の中核としての実践的指導者となる者がいること。

ウ 保健所、母子健康センター、助産婦会等の関係機関及び自治会、町内会の協力が得られること。

(3) 指導者等に対する研修について

推進員及び選定された地域組織の育成並びに運営が円滑に行われるために、指導者等に対して研修会を実施すること。

2 母子栄養管理事業について

(1) グループワーク事業について

実習を中心としたグループワークの内容については、次のとおりとする。

① 妊産婦体操等、分娩準備のための実習

② 乳房管理や授乳の方法等、母乳哺育普及のための実習

③ 離乳食の作り方や肥満、小児期からの成人病予防のための料理実習

④ 子どもの遊ばせ方や育児の実習

⑤ 肥満、小児期からの成人病予防のための遊びを通じた母と子の運動実習

⑥ その他、母子保健栄養管理のために必要な実習

(2) 栄養強化事業について

① 支給対象者について

栄養食品の支給を受けることができる者(以下「支給対象者」という。)は、生活保護法による被保護世帯(単給世帯を含む。)、市町村民税非課税世帯及び所得税非課税世帯に属する妊産婦及び同世帯に属する乳児のうち健康診査等の結果、医師により栄養強化を行うことが必要と認められた乳児とする。

なお、健康診査は必ずしも公費による健康診査に限るものではないこと。

② 支給の品目等について

支給する栄養食品は、牛乳等であって医師の意見により、市町村長が認めた品目及び量とし、受給券(別紙様式4)の交付によって支給するものとする。

③ 支給期間について

妊婦については、栄養食品支給申請書(以下「支給申請書」という。)を受理した日の属する月の翌月初日から支給を開始し、出産した日の属する月の末日までとし、産婦については、出産した日の属する月の翌月初日から三か月間とする。

また、乳児については、出生後満四か月目の日が属する月の初日から支給を開始し、向こう九か月間支給するものとする。

なお、受給者が転出等の事由により、当該市町村における受給の資格を失った場合においては、その事由が発生した日から支給を停止すること。

④ 支給の申請及び決定について

栄養食品の支給を希望する妊産婦又は乳児の保護者は支給申請書(別紙様式5)に母子健康手帳を添えて、市町村長に提出するものとし、市町村長は本申請書が提出された場合には、速やかに栄養食品の支給を決定すること。

⑤ 支給台帳の記載について

栄養食品支給台帳(別紙様式6)を整備することとし、栄養食品の支給の決定、受給券の発行、費用の精算及び支給の停止等を行った場合には、速やかに所要事項を支給台帳に記載し、常にその状況を明らかにしておくものとする。

また、母子健康手帳の予備欄に、当該妊産婦又は乳児が受給者である旨の証明をするとともに、栄養食品の品目、量、開始月日、終了月日その他必要と認められる事項を記載するものとする。

なお、支給台帳は支給期間終了後五年間保存するものとする。

⑥ 支給業務の委託について

栄養食品の支給を業者に委託して行う場合は、その適正な執行を期すために本事業の実施に必要な事項を記載した契約書を取りかわすこと。

3 乳幼児の育成指導事業について

(1) 対象者について

この事業の対象者は、一歳六か月児健康診査、三歳児健康診査等において「要経過観察」とされた児童及びその保護者並びに育児不安を持っている母親等のうち、希望するものであって、本事業による指導の効果が期待される者とする。

なお、保育所等に入所措置されている児童であっても、本事業による指導の効果が期待される場合は、対象としても差しつかえないこととする。

(2) 事業の内容及び実施方法

① 運営会議の設置

ア 事業の実施に当たり、母子保健主管課長、児童福祉主管課長、医師、保健婦、児童指導員、保母、児童福祉司、心理判定員、実施施設の代表者、その他関係機関代表者等から構成する運営会議を設置するものとする。

イ 運営会議においては、実施方法等について協議を行うものとする。

ウ 運営会議は、定期的に開催することとし、常に対象者の利用の状況、指導の効果等について把握するとともに、必要に応じて実施施設に対し指導助言を行うものとする。

② 事業実施施設等について

ア 事業を行う施設(以下「実施施設」という。)は、母子健康センター、市町村保健センター及び保健所並びに乳児院、保育所、養護施設、虚弱児施設等の児童福祉施設のうち、本事業を円滑に実施できる施設であること。

イ 実施施設の選定に当たっては、あらかじめ、本事業の趣旨等を実施施設の長に説明し、受け入れ態勢、事業実施担当職員の確保等について十分な打合せを行っておくこと。

ウ 児童の指導については、個々のケースに応じて個別の指導方法を決定し、母子健康センター等における集団指導及び個別指導、児童福祉施設の機能を活用した入所措置児童との集団指導等によって実施するものとし、保護者等については、類似の不安を持つ者同士のグループ別又は個々の不安に対する個別の指導を行うものとする。

なお、児童福祉施設において集団指導を行う際には、入所措置児童の処遇に支障がないよう十分留意すること。

③ 利用の申請及び決定について

利用の申請及び決定は、市町村長が定める方法によって行うこととするが、本事業の対象者が気軽に事業を利用できるよう配慮すること。

④ 処遇経過等の記録の整備について

児童の処遇経過等に係る書類について相談指導の経過等が確認できるよう、所定の様式を定めて記録を整備すること。

なお、個人のプライバシーに関する事項については、その取扱及び保護に十分留意すること。

⑤ その他

飲食物費、教材費等について、保護者に負担させることができるものとする。

4 出産前小児保健指導事業について

(1) 対象者について

本事業の対象者は、特に育児不安が高く医師による保健指導を必要とする妊婦、配偶者等の家族とする。

(2) 医療機関への委託について

医療機関に委託を行う場合、それぞれの地域の関係団体と十分協議し、適切な医療機関を選定すること。

(3) 受診票の交付について

① 妊娠届出のあった初産の妊婦及び母子保健相談指導等において保健指導を必要と認めた妊婦等に対して、出産前小児保健指導受診票(以下「受診票」という。)を交付するものとする。

② 受診票の交付は、一人一回限りとし、母子健康手帳の交付時に交付するほか、必要に応じ、随時交付することとする。

なお、交付する場合には本事業の趣旨及び方法等を十分に説明すること。

③ 受診票、請求書、紹介状及び指導票は、別紙様式7~9を参考として定めることとするが、関係者と協議の上、適宜変更しても支障ないものとする。

(4) 小児科医等の紹介

産婦人科医は、医療機関に委託して行う妊婦健康診査(妊娠後期が望ましい)等において、小児科医等による保健指導を必要と認めた場合には、既往症及び家族歴、妊娠の経過等を記入した出産前小児保健指導紹介状(以下「紹介状」という。)を妊婦等に交付するものとする。

なお、小児科医等の紹介に当たっては、妊婦等の地理的便宜等を考慮し決定すること。

(5) 小児科医等における保健指導

① 小児科医等は紹介状を持参した妊婦等に対して、育児不安の解消に努めるとともに、育児の心がまえ、栄養、保温、皮膚の清潔・沐浴、よくみられる症状・状態、一般生活(寝かせ方、おむつのあて方)等について、保健指導を行うものとする。

② 小児科医等の委託医療機関は、保健指導を行った場合には速やかに指導結果を市町村長に報告するものとし、必要に応じ、紹介元の産婦人科医へも指導結果を連絡することができるものとする。

なお、保健指導の報告書については、個人のプライバシーに関する事項も含まれるので、その取扱いに十分留意すること。

5 産後ケア事業について

(1) 対象者について

本事業の対象者は、出産後(退院後)の産婦及び新生児であって、次の要件のいずれかに該当するものとする。

① 産褥期の身体的機能の回復について不安をもち、保健指導を必要とする者。

② 初産婦等であって、育児不安が高く、保健指導を必要とする者。

③ その他、産後の経過に応じた休養や栄養の管理等日常の生活面について、保健指導を必要とする者。

(2) 事業の実施施設等

① 本事業の実施施設は、助産所とする。

② 助産所に委託する際には、利用可能な人員等について、あらかじめ十分に協議しておくこと。

(3) 事業の利用期間について

本事業を利用できる期間は、原則として七日までとするが、母子の状況により引き続き本事業の利用が必要と認められる場合には、七日を超えて利用させることができるものとする。

(4) 保健指導の内容について

助産所で行う保健指導等の内容は次のとおりとする。

① 産婦の母体管理及び生活面の指導

② 乳房管理

③ 沐浴や授乳等育児指導

④ その他必要とする保健指導

(5) 利用の申請及び決定について

① 利用の申請は、別紙様式10を参考として定める申請書の提出によって行うこととし、申請書が提出された場合には速やかに決定を行うこと。

また、申請手続等については、本事業の対象者が気軽に事業を利用できるよう配慮すること。

② 利用の申請は、事前に本人及びその家族が行うことを原則とするが、止むを得ない場合にあっては、利用申請手続が、事後であっても差し支えないものとする。

(6) 利用料について

市町村長は、本事業を実施するために必要な経費の一部を利用者に負担させることができるものとする。

(7) 費用について

(6)により、国の補助については、事業を実施するために必要な標準的経費の二分の一相当額を補助対象経費として取り扱うこととするので、留意すること。

6 思春期における保健・福祉体験学習事業について

(1) 事業の実施について

乳幼児の安全な抱き方や遊ばせ方、見学時の諸注意・事故防止、保健所あるいは児童福祉施設等の機能についてオリエンテーションを行うとともに、衛生管理及び事故防止等のため細心の注意を払うこと。

(2) ふれあい体験学習について

保健婦や保母の見守るなかで、乳幼児を抱いたり遊ばせたりするふれあい体験学習を行うこと。

なお、保護者等に対しては、事前に事業の趣旨を説明し、充分な理解を得ておくこと。

(3) 児童福祉に関する講義等の実施について

ふれあい体験学習の機会を利用して、性教育、母子保健、児童福祉などについて専門家による講義や施設等の見学を行うこと。

7 健全母性育成事業について

(1) 個別相談事業の実施について

① 対象者及び事業の担当者について

事業の対象者は、思春期の男女及びその保護者等とし、相談事業の担当者は専門教育を受けた医師、保健婦、助産婦等とする。

② 相談事業の実施方法等について

相談は、電話又は面接等、地域の実情に応じた方法によって行うものとし、相談を行った場合には、記録を整備保管するものとする。

なお、必要に応じ適切な専門機関に事業を委託することができるものとする。

(2) 集団指導事業の実施について

① 受講対象者及び指導者について

受講対象者は、思春期の男女とし、必要に応じて、保護者等も併せて、指導を行うこととし、ピアカウンセラー(同世代の相談相手)等、指導にあたるものを対象としてもよいものとする。

また、指導者については、相談事業を担当する者のほか保健衛生、精神衛生、社会教育等の専門的知識を有する者を選定するものとする。

② 指導方法等について

指導事業においては、思春期における自我の確立、身体発育や性機能の発達、人工妊娠中絶の身体に及ぼす影響や避妊方法等に関わる正しい知識の普及及び健康的で豊かな人間性と社会性をもった性意識、性行動を身につけるような指導を地域の実情に応じ、講習会等の方法により行うこと。

8 市町村母子保健充実強化特別事業

(1) 対象事業について

本事業の対象となる事業は、市町村母子保健事業の推進に資する事業であって、当省が認めたものとする。

(2) 事業の事前協議について

本事業の対象として、事業の実施を希望する場合は事前に別紙様式11により、あらかじめ当省あて協議を行うこと。

なお、この協議の時期については別途、通知するものとする。

(3) 事業の内容について

本事業の内容は、地域における母子保健サービスの充実強化と活性化に資するものとし、実施予定の事業が次に掲げる要件を満たしているものとする。

① 事実の実施によって、市町村における母子保健の水準の向上が見込まれること。

② 他の市町村における母子保健事業の向上に供することができる模範的事業であること。

別紙様式1

別紙様式2

別紙様式3

別紙様式4

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別紙様式5

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別紙様式6

別紙様式7

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別紙様式8

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別紙様式9

別紙様式10

別紙様式11