添付一覧
○先天性代謝異常検査等の実施について
(昭和五二年七月一二日)
(児発第四四一号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭局長通知)
フェニールケトン尿症等の先天性代謝異常及び先天性甲状腺機能低下症は、早期に発見し、早期に治療を行うことにより知的障害等の心身障害を予防することが可能である。
このため、昭和五二年度から別紙要綱により新生児に対し血液によるマス・スクリーニング検査を実施することとし、従来から行われている小児慢性特定疾患治療研究事業による治療研究に係る医療給付と相まって、早期発見早期治療の徹底を期すこととしたので、これが実施にあたっては遺漏なきを期されたい。
別紙
先天性代謝異常検査等実施要綱
一 目的
フェニールケトン尿症等の先天性代謝異常及び先天性甲状腺機能低下症は、放置すると知的障害などの症状を来すので、新生児について血液によるマス・スクリーニング検査を行い、異常を早期に発見することにより、後の治療と相まって生涯を予防すること目的とする。
二 実施主体
事業の実施主体が、都道府県及び指定都市とする。
三 検査対象疾病
検査の対象となる疾病は、フェニールケトン尿症、楓糖尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症、先天性副腎過形成症及び先天性甲状腺機能低下症とする。
四 検査対象者
検査対象者は、新生児とする。
五 検査機関
検査は、原則として各都道府県又は指定都市の地方衛生研究所等の機関において行うものとする。ただし、必要に応じ検査を適切な機関に委託することができるものとする。
六 検査の実施等
(一) 検査機関は、医療機関等から送付された検体(新生児から採取した血液を代謝異常検査用濾紙にしみこませたもの)について速やかに検査を行うものとする。
(二) 検査は、別表に定める検査方法により行うものとする。
(三) 検査終了後検査機関は、その結果を速やかに当該医療機関等へ通知すること。
なお、異常あるいは異常の疑いのあるケースについては、早期治療の重要性に鑑み、医療機関への通知とともに、当該新生児の保護者に対しても、迅速かつ的確に伝達できるよう通知方法に配慮すること。
(四) 実施主体は、検査により対象疾病の患者であると確認された新生児及び保護者の氏名等の情報を把握するため、患者台帳を作成することとし、別に定める様式により本職あて報告するものとする。
七 精度管理の実施
都道府県知事又は指定都市の市長は、本事業の検査精度の維持向上を図るため、検査に関する精度試験等を適当と認める精度管理機関に委託して行い、その結果に基づき、関係者に対し、必要な指導を行うものとする。
八 医療機関等への協力依頼
本事業を円滑に行うため、あらかじめ関係医師会等と十分協議し、医療機関等への協力を依頼すること。
九 周知徹底
先天性代謝異常検査等の意義等が妊産婦に十分に理解されるよう、あらゆる機会を活用し、その周知徹底を図ること。
一〇 実施上の留意事項
本事業の実施にあたっては、責任ある体制を確保し、対象者のプライバシーには十分留意すること。
一一 経費の補助
本事業に要する経費については、都道府県及び指定都市の支弁とし、国は予算の範囲内において、別に定めるところにより補助するものとする。
別表
検査対象疾病 |
検査方法 |
フェニールケトン尿症 |
ガスリー法、フェニルアラニン脱水素酵素・マイクロプレート法又は高速液体クロマトグラフィ法(HPLC法) |
楓糖尿症 |
ガスリー法、ロイシン脱水素酵素・マイクロプレート法又は高速液体クロマトグラフィ法(HPLC法) |
ホモシスチン尿症 |
ガスリー法、マイクロプレート法又は高速液体クロマトグラフィ法(HPLC法) |
ガラクトース血症 |
ボイトラー法、ペイゲン法又はガラクトース脱水素酵素・マイクロプレート法 |
先天性副腎過形成症 |
エンゼイムイムノアッセイ法 |
先天性甲状腺機能低下症 |
甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定方法として、ラジオイムノアッセイ法又はエンゼイムイムノアッセイ法 |