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○母子家庭の母等の就業対策について
(昭和五二年六月二九日)
(児福第一九号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省児童家庭局母子福祉課長通知)
母子福祉対策の推進については、かねてより格段の御配意を煩わしているところであるが、最近の社会情勢のもとにおいて、母子家庭の母等の就業の促進を図ることは、喫緊の課題とされているところである。このため、関係各省において種々の施策が講じられているが、なかでも労働省においては、別紙のような各種制度により母子家庭の母等の就業対策の推進を図つているところである。
ついては、貴職におかれて別紙の各種制度を十分了知のうえ管下市町村、福祉事務所、及び母子相談員等の関係機関に対してその周知徹底を図るとともに、今後なお一層母子相談員等が公共職業安定所等と緊密な連携を保ち、もつて母子家庭の母等の就業対策の円滑な推進が図られるよう格段のご努力を願いたい。
なお、別紙の制度のうち「寡婦等の職業訓練手当」の支給対象者であつて乳幼児を養育しかつ、公共職業安定所の指示により公共職業訓練を受講しているものについては、当該乳幼児の保育所への入所措置について適切な措置がとられるよう管下市町村長を指導されたい。
別紙
1 寡婦等雇用奨励金
この制度は、寡婦等(寡婦等とは母子福祉法第五条第一項に規定する配偶者のない女子である求職者であつて、二○歳未満の子若しくは一定の廃疾の状態にある子、又は同項第五号の精神若しくは身体の障害により長期にわたつて労働能力を失つている配偶者を扶養するものをいう。)を雇い入れる事業主に対して、雇用奨励金を支給し、もつて寡婦等の雇用の促進を図ろうとするものである。
(1) 支給対象事業主
奨励金は、公共職業安定所の紹介により、寡婦等を常用労働者として雇い入れ、かつ、当該寡婦等を奨励金の支給終了後も引き続き相当期間雇用することが確実であると認められる事業主に対して支給するものである。
なお、国、地方公共団体及び特別の法律によつて設立された法人であつて、役員の任命が内閣若しくは主務大臣により行われ、又は予算について国会の承認若しくは主務大臣の認可を受けなければならないものに対しては支給しないものである。
また、次のいずれかに該当する場合には、奨励金は支給しないものとしている。
1 駐留軍関係離職者として認定を受けている者、炭鉱離職者求職手帳の発給を受けている者、沖縄失業者求職手帳の発給を受けている者を常用労働者として雇い入れる場合
2 同一の理由により、継続雇用奨励金、高年齢者雇用奨励金、地域雇用奨励金、特定産業離職者雇用奨励金、心身障害者雇用奨励金又は同和対策対象地域住民雇用奨励金を受け、若しくは受けることとなつた者を常用労働者として雇い入れる場合
3 職場適応訓練を受け、又は受けたことのある者を当該職場適応訓練を実施した事業主が常用労働者として雇い入れる場合
4 過去において、奨励金の支給を受けたことのある事業主が当該支給の対象となつた者を再び雇い入れる場合
(2) 支給額
奨励金の支給額は、その者を雇用することが奨励金の支給要件とされている寡婦等一人につき月額一万一、○○○円(昭和五一年度は一万円)となつている。
(3) 支給期間
奨励金の支給期間は、支給対象者が雇用された日の属する月の翌月から起算して一二月となつている。ただし、支給期間の途中において事業主が雇用しなくなつた場合における支給期間は、雇用しなくなつた日の属する月の前月(雇用しなくなつた日の属する月において一六日以上雇用したときは、その月)までの期間としている。
2 寡婦等の職業訓練手当
この制度は、公共職業安定所の指示により公共職業訓練を受講する寡婦等の求職者に対して雇用対策法(昭和四一年法律第一三二号)に基づき訓練手当を支給し、寡婦等の知識及び技能の習得を容易にし、もつて寡婦等の雇用の促進を図ろうとするものである(五二年度新設)。
(1) 支給対象者
訓練手当は、次の(1)~(3)のいずれにも該当する寡婦等の求職者であつて、公共職業安定所の指示により公共職業訓練校の行う職業訓練を受けているものに対して支給するものである。
(1) 母子福祉法第五条第一項に規定する配偶者のない女子であつて、二○歳未満の子若しくは一定の廃疾の状態にある子又は同項第五号の精神若しくは身体の障害により長期にわたつて労働の能力を失つている配偶者を扶養しているもの(以下「寡婦等」という。)であること。
(寡婦等雇用奨励金の支給に係る「寡婦等」と同一範囲)
(2) 前記(1)の寡婦等に該当することとなつた日の翌日から起算して三年以内に公共職業安定所に出頭して求職申込みをした者であること。
ただし、制度の施行日において、前記(1)の寡婦等に該当する者については、制度の施行日から三年以内に公共職業安定所に出頭して求職申込みをした者に限ること。
(3) 雇用対策法施行規則第一項第二号二に該当する者であること。
(2) 支給額及び支給期間
訓練手当の額は、月額平均六万七、五三八円で、訓練受講期間(一年以内)中支給される。
3 内職相談施設等の運営
(1) 内職相談センターの運営
家庭の外で働くことの困難な主婦等にとつては、内職は生計費を補う重要な手段となつているので、これらの者に対して、内職に関する援助を図るため、都道府県に内職相談センターが設置されている。
〔主要事業〕
(1) 内職就業に関する相談、内職のあつせん、内職に関する苦情処理
(2) 内職に関する技術指導
(3) 内職に関する調査の実施、内職情報の提供等
また、内職相談センターの行う業務の円滑化と広域化を図るため、センターの利用が困難で内職希望世帯の密集している地域に内職相談員を配置している。
(2) 婦人就業援助センター(仮称)の設置
寡婦や家庭婦人等一時職業生活を中断した後又は新たに就業を希望する者については、就業に当たり能力再開発を図る等特別の配慮が必要である。このため、その対策の一環として就業に関する広範な相談・指導を行うとともに、就業に必要な技術講習等を実施して、就業援助を図るため、昭和五二年度から、従来の内職相談施設(四八か所)のうち三か所を「婦人就業援助センター(仮称)」に改組し、その機能の充実を図る。
〔主要事業〕
(1) 相談業務の実施
就業に伴う職業、生活に関する広範な相談及び指導の実施
(2) 技術講習の実施
和裁、縫製、編物、和文タイプ、経理事務等の科目について、一日五時間、二~三週間の講習を実施
(3) 職業に関する情報等の提供及び内職に関する相談、指導、あつせん等