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○療育手帳制度の実施について

(昭和48年9月27日)

(児発第725号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭局長通知)

標記については、昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知「療育手帳制度について」により「療育手帳制度要綱」(以下「要綱」という。)が示され、本年度から適用することとされたところであるが、その実施にあたっては、左記の事項にも十分配慮され、この制度の実効ある運用を期されたい。

第1 療育手帳の活用

1 療育手帳のねらいの一つは、知的障害児及び知的障害者(以下「知的障害者」という。)に対して、一貫した指導・相談等が行われるようにすることにあるので、指導・相談等を行う機関に対し、療育手帳の趣旨を十分徹底するとともに、指導・相談等を行った場合は、療育に参考となる事項を手帳に記録するよう指導されたい。

あわせて、保護者等に対しても、指導・相談等を受ける場合は、必ず療育手帳を提示するよう指導されたい。

2 知的障害者に対する援助措置として次に例示するようなものがあるが、これらの援助措置を受け易くすることも療育手帳のもう一つのねらいである。これらの援助措置を受ける場合には必ず療育手帳を提示するよう保護者等を指導するとともに、関係機関と十分協議のうえ療育手帳の提示があった時は、療育手帳により資格の確認等を行いすみやかにこれらの援助措置がとられるよう措置されたい。

(1) 特別児童扶養手当

(2) 心身障害者扶養共済

(3) 国税、地方税の諸控除及減免税

(4) 公営住宅の優先入居

(5) NHK受信料の免除

(6) 旅客鉄道株式会社等の旅客運賃の割引

特別児童扶養手当に関する事務処理にあたっては、療育手帳(重度障害の記載があるものに限る。)の提示があったときは、受給資格の認定又は障害に係る再判定のための、必要とされる診断書の提出は省略してさしつかえないものとし、その他の援助措置に関する具体的取扱いについては追って通知することとする。

また、療育手帳に重度障害の記載がない場合においても、診断書を作成する医師は、診断書に記載すべき項目の一部が、療育手帳取得の際に児童相談所若しくは知的障害者更生相談所の長が判定に用いた資料(以下「療育手帳取得の際の資料」という。)により明らかである場合は、当該療育手帳取得の際の資料を当該診断書に添付することをもって当該診断書の該当項目の記載を省略することができる。

なお、これら場合には、特別児童扶養手当認定請求書の備考欄にその旨記入すること。

このほか、都道府県又は指定都市(以下「都道府県」という。)において実施する知的障害者に対する福祉施策の実施にあたっては、療育手帳の活用を図るよう十分配慮されたい。

第2 名称及び記載事項

1 名称

手帳の名称は「療育手帳」とするが、別名を併記することはさしつかえない。

2 記載事項

記載事項については、要綱及び要綱別添の様式に示された事項に附加して福祉事務所、相談所等の所在地、福祉措置の内容概略等都道府県において必要な事項を記載されたい。

第3 障害の程度の判定

1 障害の程度は、次の基準により重度とその他に区分するものとし、療育手帳の障害の程度の記載欄には、重度の場合は「A」と、その他の場合は「B」と表示するものとする。

(1) 重度

18歳未満の者

平成24年8月20日障発0820第3号(「重度障害児支援加算費について」)の2対象となる措置児童等についての(1)又は(2)に該当する程度の障害であって、日常生活において常時介護を要する程度のもの

18歳以上の者

昭和43年7月3日児発第422号児童家庭局長通知(「重度知的障害者収容棟の設備及び運営について」)の1の(1)に該当する程度の障害であって、日常生活において常時介護を要する程度のもの

(注) 前記通知の解釈にあたっては、知能指数が50以下とされている肢体不自由、盲、ろうあ等の障害を有する者の身体障害の程度は、身体障害者福祉法に基づく障害等級が1級、2級又は3級に該当するものとする。

(2) その他

(1)に該当するもの以外の程度のもの

2 障害の程度の区分については、1に定める区分のほか中度等の他の区分を定めることもさしつかえないものとする。

3 障害の程度については、交付後も確認する必要があるので、その必要な次の判定年月を指定するものとする。なお、次の障害の程度の確認の時期は、原則として2年後とするが、障害の状況からみて、2年を超える期間ののち確認を行ってさしつかえないと認められる場合は、その時期を指定してもさしつかえないものとする。

第4 療育手帳の交付手続

1 療育手帳は施設に入所している場合、在宅の場合の別を問わず全ての知的障害者を対象として交付するものであり、他の都道府県内の施設に入所している者については、当該措置をとった都道府県知事(指定都市にあっては市長とする。以下同じ。)が交付するよう取り扱われたい。この場合において、市(指定都市を除く。)町村長が当該措置をとったものであるときは、当該市町村を管轄する都道府県知事とする。

2 療育手帳の交付の申請は、要綱第5の1に示すように福祉事務所の長を経由して行うものであるが、福祉事務所を設置していない町村に居住地を有する知的障害者については、当該町村長を経由した後、管轄の福祉事務所の長を経由して申請するものとする。

3 療育手帳の交付の申請は、写真を添付して別添様式の申請書により行うものとする。

4 福祉事務所の長は、申請書を受け付けたときは、これを管轄の児童相談所又は知的障害者更生相談所の長を経由して、都道府県知事に進達するものとする。

5 児童相談所又は知的障害者更生相談所の長は、交付対象者について判定を行い、判定結果を申請書に記入のうえ、都道府県知事に進達するものとする。

6 判定にあたっては、当該交付対象者について児童相談所又は知的障害者更生相談所において、既に判定が行われているときは、当該既判定の結果に基づき申請書に必要事項を記入してさしつかえないものとする。この場合、次の判定年月については既判定のときのものとは別の時期を設定してさしつかえないものとする。

7 児童相談所又は知的障害者更生相談所以外の機関において、特別児童扶養手当又は障害福祉年金の受給資格の認定を受けている者について、既に判定が行われているときも、前記6の取り扱いと同様とする。

8 都道府県知事は、手帳の交付の可否を決定し、その結果を経由機関に通知するとともに交付を決定したものについては必要事項を記入し予備欄に航空割引の印を押印した療育手帳を管轄の福祉事務所の長(当該療育手帳の交付の申請が町村長を経由して行われたものであるときは、管轄の福祉事務所の長及び当該町村長とする。以下第5の1の(3)において同じ。)を経由して申請者に交付するものとする。

第5 療育手帳交付後の手続

1 障害の程度の確認

(1) 障害の程度の確認は、前回の判定の際に次の判定年月として示された時期に行うので、手帳の交付を受けた知的障害者又はその保護者にその旨、指導をされたい。

(2) 児童相談所又は知的障害者更生相談所の長は、障害の程度の確認のための判定を行ったときは、療育手帳の判定の記録欄に必要事項を記入し、これを療育手帳の交付を受けた知的障害者又はその保護者に返付するとともに判定結果を都道府県知事に通知するものとする。

(3) 都道府県知事は、判定結果を確認し、確認内容を管轄の福祉事務所の長を経由して、療育手帳の交付を受けた知的障害者又はその保護者に通知するものとする。

2 記載事項の変更の届出等

(1) 療育手帳の交付を受けた知的障害者又はその保護者は、次の事項に変更があったときは、療育手帳を添えて交付申請の例によりその旨都道府県知事に届け出るものとする。

ア 療育手帳の交付を受けた知的障害者の氏名又は住所

イ 保護者又は保護者の氏名若しくは住所

(2) 福祉事務所の長又は町村長は、(1)の届出に基づき療育手帳の記載事項を訂正し、これを返付するとともに、当該届出書を交付申請があった場合の例により、都道府県知事に進達するものとする。

(3) (1)の届出が他の都道府県の区域に住所を移した場合であるときは、新住所地の都道府県知事は当該届出があった旨旧住所地の都道府県知事に通知するものとする。

なお、この場合、新住所地の都道府県における療育手帳の利用上必要がある場合は、既に交付されている手帳の訂正、返付にかえて、新たな手帳を交付することもさしつかえないものとする。

3 療育手帳の再交付

療育手帳をなくしたとき、記載欄に余白がなくなったとき等は療育手帳の再交付を行うものとし、この場合の申請手続きは、交付の申請の例によるものとする。

4 療育手帳の返還

療育手帳の交付を受けた者又はその保護者は、交付を受けた者が交付対象者に該当しなくなったとき又は死亡したとき、その他療育手帳を必要としなくなったときは、これを都道府県知事に返還することとする。

第6 交付台帳の作成等

1 都道府県知事は、次の事項を記載した療育手帳交付台帳を作成するものとする。

(1) 交付番号及び交付年月日

(2) 知的障害者の氏名、住所、生年月日及び性別

(3) 障害者の程度及びその確認に関する事項

(4) 旅客運賃割引の種別

(5) 保護者の氏名、住所及び続柄

(6) 再交付の年月日及び理由

2 都道府県知事は、療育手帳の交付を受けていた者が他の都道府県の区域に住所を移したとき、又は療育手帳の返還があったときは、当該療育手帳に関する部分を交付台帳よりまっ消するものとする。

3 児童相談所及び知的障害者更生相談所の長は、療育手帳に関する必要な事項を児童記録票又は指導台帳に記録するものとする。

4 福祉事務所の長及び福祉事務所を設置しない町村の長は、療育手帳の交付の申請及び交付に関する必要な記録簿を作成するものとする。

第7 その他の事項

1 すでに都道府県において、知的障害者を対象とした手帳が交付されているときは、できるだけすみやかにこの制度による手帳に切り換えるようにされたい。切り換えが困難な場合であって、都道府県知事からの協議に基づき本職が承認したものについては、さし当り既存の手帳をこの制度による手帳として取り扱うものとする。

2 前記第1~第6に示した事項のほか、各種の届出、通知の様式、関係機関相互の通知等事務処理上必要な事項については、各都道府県知事が定めるものとする。

3 要綱又はこの通知により都道府県知事が行うものとされている事務については、各都道府県の実情に応じ、福祉事務所、児童相談所又は知的障害者更生相談所の長に委任できるものとする。

4 各都道府県知事は、療育手帳制度について実施要綱を定めるものとし、定めた場合は、すみやかにその写しを本職あて送付されたい。

(別添様式)

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