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○厚生年金保険積立金の還元融資について
(昭和三五年四月二二日)
(児福第三二号)
(各都道府県民生部長・各指定都市民生局長あて厚生省児童局母子福祉課長通知)
標記については、従来、厚生年金保険の被保険者等の住宅建設事業、病院建設事業及び保健厚生施設建設事業に対する融資を行なつていたのであるが、昭和三五年度より、保健厚生施設のうちに、厚生年金保険の遺族年金受給権者等を含む母子家庭の利用に供するための母子施設があらたに加えられ、その融資の対象になつたから、母子福祉センターの附帯事業(学生寮を除く。)等を行なう場合は、左記御了知のうえ、その取扱いについては、貴県保険課と協議のうえ遺憾のないようされたい。
なお、標記の取扱いについて保険局長より貴都道府県知事あて四月四日厚生省発保第六五号及び四月四日保発第二七号をもつて通知されたから申添える。
記
一 この融資は、母子福祉センターの附帯事業(学生寮を除く。)を予想されているが、母子福祉センターの設置のいかんにかかわらず融資の対象となるものであること。
二 還元融資の概要について
1 保健厚生施設とは、休養施設、会館、体育施設、養老施設及び母子施設をいう。
母子施設は、母子家庭であつて、主として被保険者であつた者の遺族の経済的自立と福祉の向上をはかるため、これらの者が集会又は宿泊等に利用する施設である。
2 昭和三五年度の融資総額は、一○五億円で、保険厚生施設建設事業に対する融資額は、二○億円とする。
3 融資の方法は事業主体が都道府県、市又はこれらの地方公共団体の加入する一部事務組合である場合は、起債の方法により直接当該地方公共団体に融資するものとする。
4 融資の一般的要件については、厚生年金保険積立金の還元融資である点にかんがみ、この融資によつて建設される福祉施設は、被保険者等に十分利用されるものでなければならない。又、この融資を受けることができる事業主体は、次に掲げる要件を具備するものでなければならない。
(イ) 元利金の償還について十分その能力があり、かつ、その責任を果しうると認められるものであること。
(ロ) すでにこの融資を受けた事業主体にあつては、その元利金の償還について延滞がないものであること。
(ハ) 当該事業主体の所在する都道府県の区域内における福祉施設の整備状況から見て、その事業が緊要なものであること。
(ニ) この融資が地方債許可の方針に適合するものであること。
(ホ) 融資決定後において、計画の放棄又は重大な変更を生ずるおそれのないものであること。
(ヘ) この融資による事業は、地方債による事業又は国庫補助事業と重複してはならないこと。
5 事業主体及び融資事業の要件について
母子施設の事業主体は、都道府県であつて、次に掲げる要件に適合した事業を行なうものでなければならない。
(イ) 新築するものであること。
(ロ) 原則として、単年度事業であること。
(ハ) 建設地は、起債地方公共団体の区域内にあること。ただし、特に必要と認められるときは、当該地方公共団体の隣接地域等に建設することができる。
6 融資額は、次の表の上欄に掲げる種目につき、それぞれ同表中欄に掲げる坪数を基準として、同表下欄の算定基準により算定した額の範囲内とする。ただし、融資額に百万円未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
種目 |
基準坪数 |
算定基準 |
建築費 |
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設計書により適正規模を査定する。 |
土地取得費 (整地費を含む) |
融資対象建物延面積の二倍 |
基準坪数に別に定める標準土地取得単価(申請土地取得単価が標準土地取得単価を下廻る場合は、申請土地取得単価)を乗じて得た額 |
7 融資の条件
(イ) 利率は、年六分五厘とする。
(ロ) 償還期限は、二○年以内(三年以内の据置期間を含む。)とする。
(ハ) この融資によつて建設した母子施設は、事業主体が直接経営しなければならない。
(ニ) この融資を受けた事業主体は、その建設された母子施設が、厚生年金保険積立金の還元融資によつたものであることを一般に周知させるための必要な措置を講じなければならない。
8 融資の手続その他細部については、県保険課と連絡されたいこと。
なお、本年度の申請書類提出期限は、五月一四日(厚生省提出)となつている。