添付一覧
○母子及び寡婦福祉法施行令の一部を改正する政令の施行について
(昭和五七年五月一八日)
(児発第四三八号)
(各都道府県知事・各指定都市の市長あて厚生省児童家庭局長通知)
母子及び寡婦福祉法施行令の一部を改正する政令が昭和五七年五月一八日政令第一四一号をもつて公布され、母子福祉資金貸付制度及び寡婦福祉資金貸付制度の内容の充実が図られたところであるが、改正の内容及び運用上留意すべき事項は、左記のとおりであるので、その趣旨の周知徹底を図るとともに、運用に遺憾なきを期されたい。
記
第一 改正の内容
一 母子福祉資金の種類の追加
母子福祉資金の種類に結婚資金が追加され、貸付金額の限度等が次のとおり定められたこと。
(一) 貸付金額の限度 一五万円(昭和五七年四月一日から公布日の前日までにした児童の婚姻に係る結婚資金の貸付けについては、一四万円)
(二) 据置期間 貸付けの日から六箇月間
(三) 償還期限 据置期間経過後五年以内
二 母子福祉資金及び寡婦福祉資金の貸付金額の限度の引上げ
次の資金の種別(母子福祉資金、寡婦福祉資金それぞれにおける種別をいう。)ごとに、それぞれ次のように引き上げられたこと。
(一) 事業開始資金の貸付限度額が一六○万円から一六六万円に引き上げられたこと。
(二) 事業継続資金の貸付限度額が八○万円から八三万円に引き上げられたこと。
(三) 専修学校の一般課程に係る修学資金の貸付限度額が一万二○○○円から一万四○○○円に引き上げられたこと。
(四) 技能習得資金の貸付限度額が一万二○○○円から一万四○○○円に引き上げられたこと。
(五) 修業資金の貸付限度額が一万二○○○円から一万四○○○円に引き上げられたこと。
(六) 就職支度資金の貸付限度額が六万五○○○円から七万円に引き上げられたこと。
(七) 生活資金の貸付限度額が六万七○○○円から七万二○○○円に引き上げられたこと。
(八) 転宅資金の貸付限度額が六万円から六万四○○○円に引き上げられたこと。
(九) 就学支度資金の貸付限度額が六万五○○○円から七万円に引き上げられたこと。
(一○) 寡婦福祉資金の結婚資金の貸付限度額が一四万円から一五万円に引き上げられたこと。
第二 母子福祉資金の貸付けについて運用上留意すべき事項
一 自動車運転免許の習得に係る技能習得資金の貸付けについて
母子家庭の母の就労に関し、自動車運転免許の習得の必要性が高まつていることから、今般、新たに、母子及び寡婦福祉法施行令(昭和三九年政令第二二四号。以下「令」という。)第九条に規定する数月分をあわせて交付する特別な事情がある場合として、技能習得資金の貸付けを受けて自動車運転免許の習得を行う場合を認めることとしたので、次の事項に留意して取り扱われたいこと。
(一) 道路交通法(昭和三五年法律第一○五号)第二条第九号の自動車の運転に係る同法第八四条に規定する公安委員会の運転免許(仮免許を除く。)(以下「自動車運転免許」という。)を取得するために、同法第九八条に規定する指定自動車教習所において知識技能を習得するのに必要な資金であること。
(二) 貸付けを受けようとする者は、貸付申請に当たつて取得しようとする自動車運転免許の種類を届け出ること。
(三) 貸付金額の限度を一二万円とすること。
(四) その他については、次のように技能習得資金の規定が適用されるものであること。
ア 据置期間は、令第七条の規定により、自動車運転免許を習得する期間が終了して後六箇月を経過するまでとすること。
イ 貸付けを受けている者が再婚した場合、自動車運転免許を取得できないこととなつた場合等においては、令第一一条から第一三条までの規定により、据置期間は、その時から六箇月を経過するまでとすること。
二 生活資金の貸付限度額について
生活資金の貸付金額については、今回の改正により七万二○○○円を限度とすることとされたが、配偶者のない女子が当該母子世帯の生計中心者でない場合は、四万六○○○円を限度とされたいこと。
三 就学支度資金の貸付限度額等について
就学支度資金の貸付金額については、今回の改正により七万円を限度とすることとされたが、貸付けに当たつては次の点に特に留意されたいこと。
(一) 貸付金額の限度は、次の基準によられたいこと。
ア 小学校又は中学校に入学する場合
小学校 三万円
中学校 三万五○○○円
イ 高等学校、高等専門学校又は専修学校に入学する場合
自宅から通学する者 五万円
自宅外から通学する者 六万円
ウ 大学(短期大学を含む。)に入学する場合
自宅から通学する者 六万円
自宅外から通学する者 七万円
エ 修業施設に入所する場合
修業施設に入所する者に係る就学支度資金の貸付金額の限度については、中学校卒業者が修業施設に入所する場合はイに、高等学校卒業者が修業施設に入所する場合はウに、それぞれ準じて取り扱うものであること。
(二) その児童の小学校又は中学校への入学に際し就学支度資金の貸付けを受けることができる者として令第二条第五号に規定する「特に経済的に困難な事情にある配偶者のない女子」とは、小学校又は中学校へ入学する児童を扶養している配偶者のない女子であつて、次のいずれかに該当するものであること。
ア 所得税が課されていない者又はこれに準ずる者。
イ その児童の入学時における所得の状況がアに掲げる者と同程度と認められる者。
ウ 災害、盗難、疾病、負傷その他の理由により生活の状態が著しく窮迫していると認められる者。
四 結婚資金の追加について
結婚資金は、子供の独立のための資金であり、母子家庭の自立のために必要であることから、今回の改正により、母子福祉資金の種類に結婚資金が加えられたものであるので、特に次の事項に留意して取り扱われたいこと。
(一) 結婚資金は、配偶者のない女子が扶養している児童の婚姻(母子及び寡婦福祉法(昭和三九年法律第一二九号)第五条第一項に規定する婚姻をいう。以下同じ。)に際し必要な挙式披露等のための経費、家具什器等の購入費等について配偶者のない女子が負担する経費にあてることを予定しているものであること。
(二) 結婚資金の追加に関する規定は、昭和五七年四月一日から適用することとされたことから、同日以降においてした児童の婚姻について、結婚資金の貸付けを行うことができること。ただし、公布日の前日までにした児童の婚姻に係る結婚資金の貸付けについては、貸付金額の限度は一四万円であること。
(三) (二)の場合において、貸付申請前においてした児童の婚姻について結婚資金の貸付けを行うに当たつては、戸籍等により婚姻の日を確認したうえ、貸付申請の事情を勘案して貸付決定をすること。
第三 寡婦福祉資金の貸付けについて運用上留意すべき事項
一 自動車運転免許の習得に係る技能習得資金の貸付けについて
寡婦について、母子家庭の母と同様の理由から、今般、新たに、令第二九条において準用する第九条に規定する数月分をあわせて交付する特別な事情がある場合として、技能習得資金の貸付けを受けて自動車運転免許の習得を行う場合を認めることとしたので、第二の一に掲げる事項を参考として取り扱われたいこと。
二 生活資金の貸付限度額について
生活資金の貸付金額については、今回の改正により七万二○○○円を限度とすることとされたが、現に扶養する子のない寡婦及び現に扶養する子の生計を維持していない寡婦に係るものについては、四万六○○○円を限度とされたいこと。
三 就学支度資金の貸付限度額について
就学支度資金の貸付金額については、今回の改正により七万円を限度とすることとされたが、学校別等の貸付金額の限度は、次の基準によられたいこと。
(一) 高等学校、高等専門学校又は専修学校に入学する場合
自宅から通学する者 五万円
自宅外から通学する者 六万円
(二) 大学(短期大学を含む。)に入学する場合
自宅から通学する者 六万円
自宅外から通学する者 七万円
(三) 修業施設に入所する場合
修業施設に入所する者に係る就学支度資金の貸付金額の限度については、中学校卒業者が修業施設に入所する場合は(一)に、高等学校卒業者が修業施設に入所する場合は(二)に、それぞれ準じて取り扱うものであること。
第四 実施の時期
この政令は、公布の日(昭和五七年五月一八日)から施行され、改正後の専修学校の一般課程に係る修学資金、技能習得資金及び修業資金の貸付金額の限度に関する規定並びに母子福祉資金の種類に結婚資金を追加することに関する規定は、昭和五七年四月一日から適用されるものであること。