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○母子福祉法の施行について

(昭和三九年八月五日)

(児発第六八三号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭局長通達)

標記のことについては、別途「母子福祉法の施行について(昭和三九年八月五日厚生省発児第一六八号、各都道府県知事・各指定都市の長あて厚生事務次官通知)」の通知がなされたところであるが、母子福祉法の実施については同通知によるほか、なお、次の事項に留意のうえ、遺憾のないよういたされたい。

第一 定義

一 配偶者のない女子

(一) 「配偶者」のうちには「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」(以下「内縁関係にある者」という。)を含み、内縁関係にある者とは、民法に定める婚姻成立の実質的要件に違反することなく、婚姻する意志のもとに、事実上夫婦の関係にある者で、ただ形式的要件である婚姻の届出をしていない者をいうこと。

(二) 過去において法第五条第一項の規定による配偶者のない女子となつた者であつて現在再婚しているもの又は再び内縁関係にあるもの等が、この「配偶者のない女子」に含まれないことはいうまでもないこと。

(三) 法第五条第一項各号に掲げる女子は、同条同項本文にいう「配偶者と死別した女子」に準ずる者であること。したがつて、例えば配偶者の行方が現在明らかでなくとも、その事実の発生以来短時日が経過しているにすぎず、未だ配偶者と死別したときと同視すべきでないようなものについては、本法にいう「配偶者の生死が明らかでない女子」に含まれないものであること。

(四) 法第五条第一項第一号の「離婚」には「内縁関係にあつた者と別れたこと」を含むものであること。

二 扶養

(一) 配偶者のない女子と児童との関係は、民法第八七七条の規定により現に扶養している場合に限られるものであること。「民法第八七七条の規定による扶養」には、当然に扶養義務を負つている直系血族及び兄弟姉妹間における扶養と、家庭裁判所の審判に基づいて扶養の義務を負う三親等内の親族間における扶養との二つの場合を含むが、三親等内の扶養が家庭裁判所の審判によらないで行なわれている場合は、本条に該当しないこと。

(二) 「現に扶養している」とは、児童の生活費の全部を負担する場合に限らず、その一部を負担する場合を含み、児童を現に監護しているかどうかはその要件ではないが、実際の運用にあたつては、母子一体の原則にてらして貸付けを行なうことが望ましいこと。

(三) 配偶者のない女子が民法上扶養義務を負いながら、現実には全く扶養の義務を果さず、たとえ現に児童を監護していても、その児童の扶養がその女子以外の者、例えば離婚前の配偶者により行なわれている場合又は扶養義務はないが、事実上その児童の養育につき責任を負担すべき者により行なわれている場合は、その女子は本法の対象とはなり得ないものであること。

(四) 配偶者のない女子が児童を一人でも扶養していれば、当然本法の対象となるものであること。したがつて、この児童のほかに更に二○歳をこえた者を扶養しているかどうかは、本法の対象者としては問わないものであるが、法の運用にあたつては、例えば三○歳の長子が働いている母子家庭が、本法による貸付金の貸付けを受ける必要があるかどうか等については、個々の家庭の状況に応じ、実情に即した適切な運用がなされるべきこと。

第二 資金の貸付け

一 貸付業務の実施の機関

本法による貸付業務の主体は都道府県であるが、(法第一○条第一項)必要に応じて市町村長の協力を求められたいこと。

二 貸付けの対象

(一) 配偶者のない女子で現に児童を扶養するものに対する貸付けについては、特に経済的条件は定められていないが、この資金の貸付けを行なうに当たつては、貸付けを受けようとする者の必要性を特に考慮し、現に生活保護法による保護を受けている母子家庭であつて、この資金の貸付けにより、自立更生する見込みのあるもの、及び生活保護をうけていないが、この資金の活用によりこの経済的自立の助成と生活意欲の助長とを期し得るものに対して貸付けを行なうことが望ましいこと。

(二) 母子福祉団体に対する貸付けは、令第五条に定める事業に対して事業開始資金又は事業継続資金を貸し付けるものであり、その貸付けは、貸付けの要件を備えた事業の事業場ごとに行なわれたいこと。

(三) 母子福祉団体が行なう令第五条に掲げる事業であつて、主として母子家庭の母を使用するもののうち大蔵省令で定めるものについては法人税法(昭和二二年法律第二八号)第五条第一項の収益事業から除外されることとなつているので、これらの事業から生ずる母子福祉団体の所得は、法人税の課税対象とならないものであること。

(四) 母子福祉団体に対する貸付けの目的は、母子家庭の母に就職の場を与えることにあるので、その目的が効果的に達成されるようにするため、貸付金額の決定に当たつては、貸付けの対象となる事業に使用される母子家庭の母の数を勘案するものとし、また当該事業については、やむを得ない事由のない限り母子家庭の母のみを使用するよう指導されたいこと。

三 保証人及び連帯債務を負担する借主

(一) 資金の貸付けを受けようとする者は保証人を立てなければならないが(令第八条)、都道府県が資金の貸付けを行なうに際しては、この保証人にかえて物的担保をとること、又は保証人のほかにさらに物的担保をとることは適当でないこと。

(二) 資金の貸付けを受けた者又は貸付けを受けようとする者が、本法の資金の貸付けを受けようとする他の者の保証人となること(いわゆる相互保証)も差し支えないこと。

(三) 本法による資金の貸付けは、母子家庭の経済的自立を図ることを目的とするもので、特に個人的縁故に頼ることのできない母子家庭の保護に留意しなければならないものであるから、資金貸付けに当たつて保証人が得られないために資金の貸付けが受けられないようなことがないよう、相互保証の活用、あるいは母子福祉団体の役員等に協力を求める等により、格別に配意されたいこと。

(四) 配偶者のない女子が現にその扶養している児童を就学させ、又は知識技能を習得させ、若しくは就職させるために修学資金又は修業資金若しくは支度資金の貸付けを受けようとするときは、その女子と児童が連帯して借主となるものであること。(令第八条第三項)

(五) 令第八条第四項の規定により連帯債務を負担する借主となつた母子福祉団体の理事は、当該母子福祉団体の理事でなくなつた場合でも、その債務を免れることはできないこと。

四 資金の種類

資金の種類は、次の九種類であること。

(一) 事業開始資金(法第一○条第一項第一号、令第六条第一項第一号)

この資金は、配偶者のない女子又は母子福祉団体が事業を開始するに際して必要とする設備費、什器、材料等の購入費等を予定しているのであつて、現に営んでいる事業を拡張するに要する費用は、この貸付金に含まれないものであること。

(二) 事業継続資金(法第一○条第一項第一号、令第六条第一項第二号)

この資金は、配偶者のない女子又は母子福祉団体が現に営んでいる事業を継続するために、商品、材料等をあらたに購入する等の必要がある場合、当該事業の活動を継続するために必要ないわゆる運転資金であること。

事業を拡張するための資金は、原則としてこの事業継続資金として貸し付けて差し支えないものであること。

事業継続資金は、一回の貸付けをもつて事業継続という目的を達成することを予定するものであるが、貸付け後相当の期間を経過した後貸付けを受けた母子家庭又は母子福祉団体の事業に再びこの貸付けを受けなければならない必要が生じた場合、あるいはこの貸付けを受けることが、母子家庭の経済的自立を有効に促進させることができると認められる場合には、その貸付け申請を認めることは妨げないこと。ただし事業等から生じた借金の返済に充てるためにこの資金を貸し付けてはならないものであること。

(三) 修学資金(法第一○条第一項第二号、令第六条第一項第三号)

この資金は、配偶者のない女子が現に扶養している児童を高等学校(盲学校、聾学校又は養護学校の高等部を含む。)又は大学に就学させ、若しくはこれに引き続く実地修練を受けさせるのに直接必要な授業料、書籍代等にあてることを予定しているものであること。

この資金の貸付けに当たつては、例えばこの貸付けにより高等学校に就学することを希望するについてはあらかじめ審査をし、高等学校に入学したときは必ずこの貸付けを受けられるという見通しをつけさせることによつて、児童の進学を容易ならしめることが望ましく、高等学校に入学後、当該学校における成績等を参考にして貸付決定の可否を決定することはこの貸付金の運用としては適当ではないこと。

高等学校又は大学の就学中の児童が二○歳に達したために、本法の適用からはずれて就学中途にして貸付金の貸付を停止されることは、就学の目的が達成できないおそれがあるので、この資金については法第一○条第二項の規定による資金として、その貸付の期間中に当該資金の貸付けにより修学している児童が二○歳に達した後でも継続してその貸付けを行なうことができることとしていること。(令第三条第一項第一号)

(四) 技能習得資金(法第三条第一項第三号、令第六条第一項第四号)

この資金は配偶者のない女子が、自ら事業を開始し、又は就職するために必要な知識技能を習得するのに必要な授業料、材料費等にあてることを予定しているものであること。

現に何らかの職業に就いて収入を得ている者であつても、生計を安定させるため、専門的知識、技能の習得を希望するときは、この資金を貸し付けて差し支えないものであること。

「知識技能の習得」には、例えば和洋裁、タイプ編物等の技術の習得、栄養士、保母等になるための資格の取得等各般の場合を含み、又当該習得の場所も学校教育法に規定する各種学校または、各種の養成施設等のほか、個人家庭における教授等も含むものであること。

(五) 修業資金(法第一○条第一項第三号、令第六条第一項第五号)

この資金は、配偶者のない女子が扶養している児童が事業を開始し、又は就職するために必要な知識技能を当該児童に習得させるのに必要な資金であること。

修業資金の貸付期間中に、当該資金の貸付けにより知識、技能を習得している児童が二○歳に達したときは、修業資金の貸付期間の限度とされている二年をこえない範囲内において、当該児童が二○歳に達した後でも継続して貸し付けることができるものであること。(法第一○条第二項、令第三条第一項第二号)

修業資金の貸付けをうけて知識、技能を習得している中途において、当該児童を扶養している配偶者のない女子が死亡したときは、その死亡の日をもつて貸付けを打切ることなく、児童が知識、技能の習得を終了するまでの間二年をこえない範囲内において、当該児童が二○歳に達した後でも継続して貸付けることができるものであること。(法第一○条第三項)

修業資金の貸付けは、二○歳以上の者に対し、あらたに貸し付けることはできないものであること。

(六) 支度資金(法第一○条第一項第四号、令第二条第一号)

この資金は、配偶者のない女子または、配偶者のない女子が扶養している児童が就職するに際して直接に必要とする被服、履物等の購入費等にあてることを予定しているものであること。

(七) 生活資金(法第一○条第一項第四号、令第二条第二号)

この資金は、技能習得資金の貸付けをうけて知識技能を習得している者をして、当該習得に専念させることを目的として、その期間中の生活を維持するため、当該母子家庭の生活費の補給として貸付けられるものであること。

(八) 住宅資金(法第一○条第一項第四号、令第二条第三号)

この資金は、母子家庭が現に居住し、かつ、原則として所有する住宅を補修し、改築し、または増築をするのに必要な資金であること。

この資金は、他の資金と異なり、償還の財源となるべき新たな収入を期待し得るものでないので、貸付け決定にあたつては、貸付額及び償還計画等の適否につき十分検討されたいこと。

住宅資金の貸付限度額一○万円は三畳ないし四畳半程度の増築を積算の基礎としたものであり、住宅の補修のためのみに資金を必要とする場合には、おおむね五万円程度を貸付額とされたいこと。

この資金は、間貸しをするために増改築をするような場合等の費用にあてることは予定していないものであること。

(九) 転宅資金(法第一○条第一項第四号、令第二条第四号)

この資金は、住宅の賃貸借契約により、入居の際条件として納入を要求される敷金、前家賃などの一時金にあてるための資金であつて、引越しに要する車馬賃は貸付けの対象とならないものであること。

五 貸付けの決定

都道府県が貸付けの決定をするにあたつては、次に掲げる事項に留意されたいこと。

(一) 貸付けの決定は、都道府県の執行機関としての都道府県知事の責任であつて、この決定に関する業務を福祉事務所長、市町村長その他の機関又は団体等に委任又は委託してはならないこと。

(二) 貸付けに関する決定事項は次の二項に限ることとし、さらにあらたな貸付条件を附することは不適当であること。(法第一○条及び第一一条、令第二条から第七条まで)

ア 当該申請者に貸付けを行なうことの可否

イ 貸し付けることを決定した場合の貸付金の種類及び金額、償還の期限及び方法並びに修学資金、技能習得資金、修業資金及び生活資金についてはその貸付期間(当該学校を卒業するまで、または当該知識技能を習得するまで等)

六 資金の貸付後の指導について

都道府県知事は市町村、各種関係団体の協力を求め、あるいは母子相談員、社会福祉主事、民生・児童委員の活発な活動によつて、貸付けを受けた者に対し、貸付けの目的達成のため必要な指導に努められたいこと。

都道府県知事は、常に貸付金の貸付けをうけた者の家庭状況の把握に努め、特に次に掲げる諸事項に留意し、令第一○条から第一九条までの規定の運用に遺憾なきを期せられたいこと。

(一) 令第一○条に規定する修学資金の交付の停止及び減額は、あくまでも休学期間中の臨時的措置であつて、この措置がとられた場合にも修学資金の貸付けそのものを将来に向つて打ち切り、または減額したことにならないのであるから、当該児童が復学すると同時に、貸付金の交付が再開され、または休学する直前と同額が再び交付されることとなることを原則とすること。

(二) 令第一一条の規定は、一定期間継続して貸し付けることが必要な資金、すなわち修学資金、技能習得資金、修業資金又は生活資金の貸付けを受けている配偶者のない女子が再婚し、又は死亡し、もしくはその扶養するすべての児童が二○歳に達した場合等の事由により、この法による母子家庭としての要件を欠くに至つたとき、あるいは当該資金により知識技能を習得し、あるいは修学することをやめたとき等、貸付金の貸付けを受けている者が借主としての資格を失なつたときにおいて、当該貸付金の継続が将来に向つて当然に打ち切られるものであることを規定したものであること。ただし、修学資金又は修業資金の貸付けについては、配偶者のない女子が死亡した場合であつても、その貸付けにより就学し、又は知識技能を習得している者に対しては法第一○条第三項の規定により、引き続き当該資金を貸付けることができることとされているので令第一一条第一項又は第三項の規定に該当しないが、配偶者のない女子が死亡した際の状況(令第四条第二項各号)を確認する必要があるので、当該女子の死亡について届出させる必要があること。

(三) 令第一一条第二項の規定により、技能習得資金の貸付けが停止されたときは、当然同時に生活資金の貸付けも停止されるものであること。

(四) 令第一二条の規定により、一定の場合には貸付金の貸付けを受けた者に対し、貸付金の貸付けをやめることができることになつているが、この規定の適用に当たつては、次に掲げる事項に留意されたいこと。

ア この貸付けの停止は、一定期間継続して貸しつける必要がある資金すなわち修学資金、技能習得資金、修業資金及び生活資金について現に貸付金の貸付けを受けている者に対してのみ適用があるものであつて、既にその資金の交付をうけ終つた者に対しては本条の適用がないことはいうまでもないこと。

イ 本条において「貸付けの停止」とは、「継続して貸付ける資金につき貸付けを将来に向つて一切打ち切る」という意味であつて、「一時貸付金の貸付けを中止する」という意味ではないこと。

ウ 本条各号に該当する場合には必ず貸付けが停止されねばならないのではなく、この場合にも本条の適用は、貸付けを停止することが適当である場合にのみ認められるものであること。

エ 本条第一号又は第二号により、貸付けの停止を命ぜられた者に対し、令第一五条に規定する一時償還は必ずしもこれを請求しなければならないものではなく、その実情により、令第一三条による据置期間経過後償還させても差し支えないものであること。

(五) 母子福祉団体に対する監督

令第一四条第一項第三号の規定による収益の処分の承認を求められた場合には、当該収益の処分により、貸付金の貸付けを受けている事業の経営を危うくするおそれがないこと及び当該収益が同条同項第二号に規定する事業の経営にあてられ、又は母子家庭の福祉の増進に直接役立つ用途に使用されることを十分確認した後、これを承認すること。

(六) 一時償還

令第一五条の規定により、都道府県は、一定の場合には、貸付金の貸付けを受けた者に対し、貸付金の一時償還を請求することができることになつているが、本規定の適用にあたつては、次の事項に留意されたいこと。

ア 現に貸付金の交付を受けている者に対し、一時償還を請求するときは、その後において交付されるべきであつた貸付金の分は、令第一二条の規定により、必ず貸付けが停止されなければならないこと。

イ 一時償還は、令第一五条各号のいずれかに該当する場合であつて、一時償還を請求することが適当と認められる場合に限つて命ずることができるという趣旨であること。

(七) 償還金の支払猶予

償還金の支払猶予期間は一年以内とし、さらにその事由が継続し、特に必要がある場合はあらためてその手続きをとること。

償還金の支払猶予は、支払期日までになされなければならないが、この手続きをとらず支払期日を経過したときは、令第一六条ただし書の規定に該当する場合のほかは違約金を徴収するものであること。

令第一八条第二項の規定は、償還金の支払が猶予されることにより、貸付金の利子の計算に何ら影響を及ぼすことのないようにしようとするものであること。したがつて、猶予前の支払期日に償還すべきであつた額と同額の償還金を猶予された後の支払期日に支払えば足りるものであること。

支払猶予は、保証人が支払期日に当該償還金を支払うことができるか否かには関係がないものであること。

令第一八条第一項第二号の場合は、連帯して債務を負担する借主に支払能力がある場合であつても認めることができるものであること。

(八) 償還金の免除

貸付金の償還の免除は、保証人又は連帯借主が償還することができると認められる額については償還を免除することなく、その額については、その者に償還させること。(令第一九条)

償還の免除は、当該貸付金の貸付けを受けた者の連帯借主、保証人又は相続人においても、これを申請することができるものであること。

法第一二条に規定する精神又は身体の著しい障害とは、その障害の程度が労働能力の喪失又は労働能力に著しい制限を及ぼすと認められるものでなければならないこと。

(九) 災害による据置期間の特例

災害による被害を受けた者(以下「被災者」という。)に対する令第七条第五項の規定により据置期間を延長することができる期間として厚生大臣が定める期間は、従来どおり次の表の第一欄に掲げる資金の貸付けをうけようとする被災者の同表の第二欄及び第三欄に掲げる被害の種類及び程度に応じてそれぞれ同表の第四欄に定める期間をこえない期間であること。

貸付金の種類

被害の種類

被害の程度

据置期間の延長期間

事業開始資金

住宅又は家財の被害

一五、〇〇〇円以上

三〇、〇〇〇円未満

六箇月間

三〇、〇〇〇円以上

一年間

事業継続資金及び住宅資金

住宅又は家財の被害

一五、〇〇〇円以上

三〇、〇〇〇円未満

六箇月間

三〇、〇〇〇円以上

四五、〇〇〇円未満

一年間

四五、〇〇〇円以上

一年六箇月間

その他

法附則第三条に規定する父母のない児童に対する貸付けは、当該貸付申請者が父母のない児童であるからこれが貸付申請については、法定代理人の同意を必要とするので、これを確認のうえ、貸付申請書を受理すること。

第三 資金の貸付限度額の改訂等

一 事業継続資金

貸付限度額が五万円から一○万円に引き上げられたのであるが、この取扱いは、法施行日以後に新たに貸し付けるものについて適用することとされたいこと。

二 生活資金

従来その扶養する児童の数によつて限度額が定められていたが、今回その区分をやめ、一世帯当たり一律に三○○○円とされたのであるが、法施行日以後、本改訂により増額となる部分については、従来の増額申請の例により増額して差し支えないこと。

なお法施行日以前の貸付決定により現に新限度額以上の生活資金の貸付けを受けているもの(本人及びその扶養する児童五人以上)に対しては、法施行日以後においても、なお引き続き当該金額の貸付けを継続して差し支えないこと。

三 本年度内において新設が予定されている資金

本年度内において政令の改正により、新たに入学に際し必要な資金の新設が予定されているが、その貸付限度額、貸付方法等については未定であること。

第四 売店等の設置及び専売品の許可に関する事項

一 新法第一六条の規定により、公共的施設の管理者は、売店等の設置を許すように義務づけられ、又新法第一七条の規定により日本専売公社は、製造たばこの小売人に指定するよう義務づけられているのであるが、この趣旨は、母子家庭に対し職場開拓を積極的に図ろうとするものであるから、これらの関係機関との連絡及び母子家庭の指導には特に意を用いられたいこと。なお製造たばこの小売人の指定については、専売公社の定める指定基準があるので、この基準の範囲内において優先的に認められるものであること。

二 新法第一六条及び第一七条の規定はすべての母子家庭を対象とするものであつて、法による貸付金の貸付けを受けている者のみを対象とするものではないことはもちろんであること。

三 法第一六条第一項に規定する「事務所その他の公共的施設」とは各省各庁の庁舎、その地方出先機関、都道府県、市町村の庁舎、国有鉄道の駅等はもちろんのこと、その他あらゆる国又は地方公共団体建築物、公園、動物園、遊園地等を含むものであること。

四 法第一六条第三項の規定による公共的施設の管理者との協議は、その施設の設置及び運営の促進を期する趣旨であるから、貴都道府県(指定都市)の管内にこれらの公共的施設の管理者による協議会等を設け、本制度の趣旨を十分徹底せしめるとともに、売店等の新設の余地のあるときはもちろんのこと、あらたにいわゆる名儀書換等の場合においても、それぞれ優先的に母子家庭に許すよう努力を得るよう努められたいこと。

五 法第一六条第三項後段に規定する母子家庭等に知らせる措置については、既に売店等の設置を希望している母子福祉団体又は母子家庭に対してのみでなく、必要に応じて都道府県の広報機関を活用されたいこと。

売店等の設置又は専売品販売の許可を受けた者に対しては、その開設又は開設後に要する資金につき、必要に応じて、本法の規定に基づく事業開始資金又は事業継続資金の貸付けを行なうよう努められたいこと。

六 法第一六条第一項の規定により、公共的施設内において母子福祉団体に売店等を設置させる場合には、当該売店等では、原則として母子家庭の母のみを使用することを条件にして、その設置を許すようにされたいこと。

七 母子福祉団体の行なう令第五条に掲げる事業であつて、主として母子家庭の母を使用するもののうち、公共的施設において施設の設置が許されているものは、法人税法(昭和二二年法律第二八号)第五条第一項の収益事業から除外されることとなつているのでこれらの事業から生ずる母子福祉団体の所得は、法人税の課税対象にならないものであること。