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○転居に伴う療育手帳の取扱いの留意事項について

(平成五年六月二二日)

(児障第四二号)

(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省児童家庭局障害福祉課長通知)

標記については、昭和四八年九月二七日厚生省発児第一五六号厚生事務次官通知「療育手帳制度について」により通知され、その具体的取扱いについては昭和四八年九月二七日児発第七二五号厚生省児童家庭局長通知「療育手帳制度の実施について」により通知されているところであるが、別添の総務庁行政監察局長のあっせん内容も踏まえ、今般、知的障害児(者)及びその保護者の負担の軽減と療育手帳の一層の利活用を図るため、左記により取り扱うこととしたので御了知の上、必要な事務手続きの見直しを行うとともに、関係機関に周知徹底を図り、円滑な実施を期されたい。

1 転居の場合における療育手帳の継続使用の徹底について

昭和四八年九月二七日児発第七二五号厚生省児童家庭局長通知「療育手帳制度の実施について」において、他の都道府県又は指定都市(以下「都道府県等」という。)の区域に住所を移した場合、同一都道府県等内における住所変更の取扱いと同様に、新住所地の都道府県等において、手帳の記載事項の訂正により使用することを原則としている。

これは、知的障害児(者)又は保護者の精神的、物理的負担を避けること、及びできるだけ従来使用してきたものを使用することで、事業主体である都道府県等が変わった場合であっても、一貫性のある指導・相談等を行うことを可能にするとの趣旨からであるが、実際にはこの取扱いが徹底されておらず、一律に新規発行を行う例が多く見られる。

ついては、継続使用の趣旨を踏まえ、従前の手帳を支障なく使用できる場合は、その継続使用を行うものである旨を徹底されたいこと。

2 転居の場合における療育手帳の新規発行について

新住所地の都道府県等における独自の援助措置の基準として、中度等の区分を設けており、旧住所地の療育手帳をそのまま使用することが困難で、やむを得ず新規に発行する場合には、障害をもつ本人等の負担の軽減、一貫した指導・相談等の観点から、次の措置を行うことで、運用の改善を図られたいこと。

(1) 知的障害児(者)又はその保護者が、旧住所地の児童相談所又は知的障害者更生相談所における判定資料の活用を申し出た場合には、可能な限り、新住所地の都道府県等は、旧住所地の都道府県等の判定資料を活用し、原則として新たに面接を行うことなく療養手帳を交付すること。

判定資料の照会が行われた場合は、趣旨を踏まえ、プライバシーに十分留意して、判定資料の提供を行うこと。

なお、判定資料の活用にあたっての手続については、別紙様式を参考とし、書面により行うこと。

(2) 新たに療育手帳を交付する場合にあっては、その交付までの間、交通機関の運賃割引等の利用に不便のないよう、経過的に旧住所地の療育手帳の使用を認め、新たな療育手帳の交付と引き替えに回収する等の配慮を行うこと。

(3) 旧住所地の療育手帳の記録欄に記された事項のうち必要なものは、コピー等を利用して新規の療育手帳に転記することにより、利用者の一貫した指導・相談等に支障を生じないよう配慮すること。

別紙様式

(別添)

転居に伴う療育手帳の交付(あっせん)

(平成五年三月二九日 総監第六五号)

(厚生省児童家庭局長あて総務庁行政監察局長通知)

当庁では、総務庁設置法(昭和五八年法律第七九号)第四条第一四号の規定に基づき、各行政機関及び特殊法人の業務並びに国が委任又は補助している業務に関する苦情の申出につき必要なあっせんを行っています。

この度、「精神薄弱者が交付を受けている療育手帳については、本人が他の都道府県に転出した場合、これまで使用していた手帳は新住所地の都道府県では使用できなくなり、新たに新住所地の都道府県において、児童相談所又は精神薄弱者更生相談所の判定を受けて手帳の交付を受けなければならないため、本人及び保護者にとっては、物理的、精神的な負担となっている。他の都道府県に転出した場合であっても、住所変更届を行うだけで旧住所地で使用していた療育手帳を使用できるように制度を改善してほしい。」との申出がありました。

この申出のあっせんに当たり、総務庁長官が開催する行政苦情救済推進会議において意見を聴取するなどにより検討した結果、別記のとおり、貴省において、精神薄弱者及びその保護者の物理的、精神的な負担の軽減を図るとともに、療育手帳の利活用を推進するため、他の都道府県から転入した場合における手帳制度の運用を改善する必要があると考えますので御検討ください。

なお、これに対して貴省の採られた措置についてお知らせください。

療育手帳は、精神薄弱者福祉法(昭和三五年法律第三七号)の目的(精神薄弱者に対し、その更生を援助するとともに必要な保護を行い、もって精神薄弱者の福祉を図ること)に沿って厚生事務次官通知「療育手帳制度について」(昭和四八年九月二七日付け発児第一五六号)において定められた「療育手帳制度要綱」に基づき、精神薄弱者に対して一貫した指導・相談を行うとともに、これらの者に対する各種の援助措置を受けやすくするため、都道府県知事及び指定都市の市長(以下「知事等」という。)により児童相談所又は精神薄弱者更生相談所において精神薄弱と判断された者に交付されている。

療育手帳の交付を受けた精神薄弱者又はその保護者は、他の都道府県に転出した場合、新住所地の都道府県に住所変更の届出を行えば旧住所地で交付を受けた手帳を使用でき、その手帳は旧住所地の知事等に返納しないのが原則となっている。

しかし、他の都道府県から転入した者に対する療育手帳の交付状況等を茨城県、神奈川県、愛媛県についてみると、いずれの県においても、障害の程度の区分が異なる等の理由から新規交付に準じて再度判定を行い手帳を交付しており、また、他の都道府県に転出する者に対しては、手帳を返納させることとしている。

このため、①本人及び保護者においては、児童相談所又は精神薄弱者更生相談所に出向き再度障害の程度の判定を受けなければならず物理的・精神的な負担となっている。②交付申請から交付までに相当の日数を要し、その間は手帳がないために交通機関の割引制度を利用できない、③指導・相談等の記録が継続されないため、一貫した指導・相談が十分に行えない等の実態がみられる。

したがって、厚生省は、精神薄弱者及びその保護者の物理的、精神的な負担の軽減及び療育手帳の利活用の推進を図るため、他の都道府県から転入した場合における手帳制度の運用の改善について都道府県等を指導する必要がある。