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○知的障害者援護施設等入所者の地域生活への移行の促進について

(平成五年四月一日)

(児発第三〇九号)

(各都道府県知事・各指定都市市長宛厚生省児童家庭局長通知)

知的障害者援護施設及び知的障害児施設入所者の地域生活等への移行の促進を図るため、今般、次により現行の運用を見直し、総合的な対策を講ずることとした。

運用の趣旨及び内容は左記のとおりであるので、御了知の上、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、運用に遺漏のないようにされたい。

なお、本通知は平成五年四月一日から施行する。

第一 趣旨

知的障害者援護施設及び知的障害児施設は、その機能・役割の一つとして、指導・訓練を行い、社会復帰を図ることがあるが、現状においては、これらの施設における指導・訓練を経て地域生活及び一般就労等(以下「地域生活等」という。)に移行するケースが少なく、入所期間が長期化している。

その原因としては様々なものが考えられるが、そのうち当面、施策面での対応により事態の改善に資すると考えられる事項につき、運用を見直すこととしたものであり、これにより、入所者の地域生活等への移行の希望の実現を図ることとしたものであること。

第二 知的障害者自活訓練事業の運用の見直しについて

知的障害者自活訓練事業は、入所者に地域での自立生活に必要な基本的生活の知識・技能を一定期間集中して個別的指導を行うことにより、知的障害者の社会参加の円滑化を図るものであるが、本事業のより積極的な利用に資するため、次の趣旨でその運用の一部を改めることとしたこと。

なお、具体的な取扱いについては、「障害児施設等における施設機能強化推進費について」(平成九年一〇月一七日障障第一五六号大臣官房障害保健福祉部長通知)によられたいこと。

(1) 訓練期間・対象人員について

訓練の期間を、前期(四月~九月)、後期(一〇月~三月)の二期間とし、それぞれの対象人員を二人としていたところであるが、対象人員について前期、後期を通じて年間四人までに改め、その弾力的運用を図るものであること。

(2) 事業費の支弁について

事業の弾力的運用を図るとともに、対象者を退所させ、かつ就労させた場合に限り支弁の対象としていたところを改め、この事業を年度を通じて二人以上利用していれば一施設当たり年額を限度とし、事務費の加算分として一括支弁することとしたこと。

第三 地域生活の場の確保について

知的障害者の入所施設から地域生活への移行を図るためには、家族のもとに戻る場合は別にして、必要な援助を得ながら生活を営むことのできる場を確保することが重要である。

このため、平成元年度に知的障害者地域生活援助事業(グループホーム)を創設し、以来、逐年その実施か所数の大幅な増加に努めてきたところであるが、各都道府県、指定都市及び中核市におかれても、グループホーム、生活寮、生活ホーム等を含めて地域生活の場の確保につき格段のご尽力をお願いしたいこと。

第四 短期入所事業等の在宅支援サービスの積極的活用について

地域生活に移行した知的障害者については、地域生活の継続及び主体的な活動を支援するため、一時的に生ずる困難さについては、短期入所事業等を積極的に活用して対応するほか、在宅の知的障害者やその家族に対して、市町村のホームヘルプサービスや、知的障害者生活支援事業、「障害者の明るいくらし」促進事業等の施策を総合的に活用してその支援に当たられたいこと。

第五 知的障害者援護施設における再入所が必要となった場合の定員外措置について

1 趣旨

知的障害者援護施設の入所者が、退所への客観的条件が整っている場合においても、地域生活等の継続が困難となった場合の再入所についての不安から、本人や家族等に躊躇が見られ、これが地域生活等への移行を困難にしている場合が見受けられる。

このため、施設を退所した後一定期間内において入所措置が必要となった場合、受け入れ体制のある知的障害者援護施設において、認定定員を超えての入所措置を暫定的に認めることにより、地域生活等への移行の促進を図ろうとするものであること。

2 定員を超える入所措置について

暫定的に、おおむね認定定員に五%を乗じて得た員数の範囲内であれば、定員を超えての措置を認めることとしたこと。

この措置は、あくまでも退所に当たって万が一の場合に備えて安心を保障するために行う措置であり、定員を超えている状況そのものは望ましい事態とはいえないので、恒常的にわたることのないよう、認定定員の範囲内に戻るまでは本通知の対象者以外の者の新たな入所措置は行わないこと。

3 対象者

施設を退所し地域生活等に移行したが、退所から三年以内にその継続が困難となり、再入所の措置が必要となった知的障害者であること。

なお、措置を解除し地域生活等に移行した後、何らかの理由により、地域生活等の継続が困難となった知的障害者については、知的障害者福祉司又は社会福祉主事による指導や短期入所の活用等により、困難な状態の解消を図ることが第一であり、再入所措置は真に必要な場合に行われるべきものであること。

4 対象施設

施設の設備及び職員数が定員を超えて入所措置された知的障害者を含めた入所者数に照らし、厚生省令[知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準」に定める基準を満たし得る知的障害者更生施設、知的障害者授産施設であること。

5 指導監督

都道府県知事並びに指定都市及び中核市の市長は、該当施設について指導監査等を通じ厚生省令「知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準」等の遵守状況の把握に留意すること。

6 経費

本制度の対象知的障害者にかかる費用の支弁及び徴収については、「障害児施設措置費国庫負担金及び知的障害者施設措置費国庫負担金について」(平成九年一〇月一七日厚生省障第二六三号厚生事務次官通知)の3の(6)に定める定員により行うこと。

第六 知的障害児施設における入所児童の取扱いについて

1 趣旨

知的障害児施設に入所している措置児童について、地域生活へ移行する場合、知的障害者援護施設等に直ちに入所することの困難さへの不安により退所をためらわせる面があることから、次の措置を講ずることによって地域生活への移行を促進する。

2 施設への優先的受入れについて

知的障害児施設を退所し地域生活に移行する知的障害者が、退所後三年以内にその継続が困難となり施設入所の措置が必要となった場合の取扱いについて、次により行うこと。

(1) 一八歳未満の知的障害者については、元の知的障害児施設への再入所措置を優先的に行うこと。

(2) 一八歳以上の知的障害者については、地域の知的障害者援護施設への入所措置を、第五に準じて講じることができるものとすること。

ただし、当該知的障害者が、地域生活へ移行するに際し、その者の状況等からして地域生活の継続が困難となった場合に、元の知的障害児施設に戻ることが望ましいと想定されるケースについては、「児童相談所運営指針について」(平成二年三月五日児発第一三三号児童家庭局長通知)による児童相談所運営指針第四章第三節の3(3)にいう、特別の理由がある場合として、おおむね六か月程度の期間内で措置停止の手続きを行うことができるものであること。