添付一覧
○障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律等による「重度知的障害者」の取扱いに関する公共職業安定所との連携等について
(平成四年一二月二二日)
(児企第四八号・児障第三九号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省児童家庭局企画・障害福祉課長連名通知)
先般、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」(平成四年六月三日法律第六八号)及び「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成四年六月二九日労働省令第二〇号。)が公布された。これらにより、知的障害者判定機関により知的障害の程度が重いと判定された者(重度知的障害者)については、実雇用身体障害者数の算定の特例対象とするとともに、短時間雇用についても身体障害者雇用納付金制度に基づく助成金の支給対象とする等、その雇用の促進と安定が図られることとされたところである。
今回の改正においては、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健センター、精神保健指定医又は地域障害者職業センターを「知的障害者判定機関」とし、公共職業安定所において、知的障害者職業紹介業務の遂行に際し、重度知的障害者であることの確認を行うに当たっては、これらの知的障害者判定機関における重度知的障害者であることの判定結果を用いることとしている。
ただし、制度の実際の運用に当たっては、判定を受ける者の便宜等を考慮し、次のような方法をとることにした。すなわち、療育手帳を所持する者については、「療育手帳制度の実施について」(昭和四八年児発第七二五号)の基準により、「A」判定を受けている場合には重度知的障害者となるが、「B」判定を受けている場合には児童相談所又は知的障害者更生相談所に対して別紙様式により知能指数等の照会が行われ、知能指数が六〇未満であれば地域障害者職業センターで知的障害の程度についての判定が行われる。また、療育手帳等を所持しないが知的障害者判定機関により判定を受けている者については、判定書により知能指数を確認し、知能指数が六〇未満であれば地域障害者職業センターで判定が行われる。さらに、これらに該当しない者については、地域障害者職業センターで判定を行うこととなっている。
このため、貴管下の児童相談所及び知的障害者更生相談所に対し、左記の点に留意し公共職業安定所長からの依頼に協力するよう指導されたい。また、地域障害者職業センターから、別紙様式に準ずる様式により照会が行われる場合もあるので、同様に取り扱われたい。
なお、参考として今回の法令改正の概要及び労働省通知を添付する。
記
1 情報提供を依頼された場合には、知能指数等が本制度による重度知的障害者の確認に用いられることを踏まえて、適切に対応すること。
2 本人又はその保護者等の同意を得て文書で依頼が行われるので、本人のプライバシーに十分留意して、情報の提供を行うこと。
3 知的障害者本人又はその保護者から本制度による重度知的障害者の判定の申請又は知能指数等に係る照会が行われた時は、制度の趣旨及び運用を十分説明し、公共職業安定所に連絡する等適切に対応すること。
(別紙様式)
(参考)
「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」及び「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」の概要(知的障害者関連)
1) 平成四年七月一日施行分
身体障害者雇用納付金制度に基づく助成金支給の対象として、新たに重度身体障害者である短時間労働者を加えるとともに、重度知的障害者である短時間労働者についても準用することとした。
このため、重度知的障害者の定義を設け、知的障害者のうち、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健センター、精神保健指定医又は障害者職業センターにより知的障害の程度が重いと判定された者とした。
また、身体障害者雇用納付金制度に基づく助成金制度については、前記のほかにも、雇入れ時における一時的助成から雇用の継続のための継続的助成へと助成金制度の使途を拡大する等、その拡充を図った。
2) 平成五年四月一日施行分
重度知的障害者である労働者を雇用している場合における雇用義務等に係る規定の適用について、当該重度知的障害者である労働者を、重度身体障害者である労働者と同様の扱いとすることとした。
このため、事業主が重度知的障害者一人を雇用している場合において、実雇用身体障害者数の算定に当たっては、重度身体障害者と同様にその一人をもって二人分に算入する特例(ダブルカウント)が適用されることとなる。
また、重度身体障害者である短時間労働者を雇用している場合において、その雇用する身体障害者以外の労働者に替えて当該短時間労働者一人をもって労働省令で定める数に相当する数の身体障害者である労働者を雇用しているものとみなすこととするとともに、重度知的障害者である短時間労働者について準用することとした。
(参考)
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律による「重度精神薄弱者」の取扱いに係る留意事項について
(平成四年七月一日 障対発第五〇号)
(各都道府県労働主管部(局)長あて労)
(働省職業安定局高齢・障害者対策部)
(障害者雇用対策課長通知 )
障害者雇用対策の推進については、日頃よりご高配を賜り御礼申し上げる。
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の施行に関しては、平成四年六月三日付け労働省発職第一三一号「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の施行について」及び平成四年六月二九日付け職発第四五七号「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の施行等について」により通達され、障害者職業紹介業務取扱要領(職業安定行政手引四―四)についても所要の改正が行われたところであるが、左記にも御留意の上、その業務の円滑な実施に御配意をお願いする。
記
1 重度精神薄弱者の判定基準
身体障害者雇用率制度等及び各種助成金制度における重度精神薄弱者の判定基準は、従来から定められてきた、重度障害者職場適応助成金の対象となる精神薄弱の程度の重い者の判定基準と同様のものを用いることとし、具体的には次のいずれかに該当するものを重度精神薄弱としたこと。
(1) 知能検査によって測定された知能指数(IQ)が五〇未満の精神薄弱者であって、労働省編一般職業適性検査(事業所用(GATB―Ⅱ))の手腕作業検査盤を使用し、その器具検査1、器具検査2の評価のいずれかが中以下であるもの
(2) 知能指数(IQ)が五〇以上六〇未満の精神薄弱者(五〇未満で前記器具検査1、器具検査2の評価がいずれも上であるものを含む。)であって、精神薄弱者社会生活能力調査票によって調査された「意思の表示と交換能力」「移動能力」及び「日常生活能力」のうちいずれか二つの能力の評価が中以下であるもの
2 確認手続
重度精神薄弱者であることの確認手続については、以下の点に留意すること。
(1) 具体的確認方法
具体的な確認は、基本的に、本人又は保護者等(以下「本人等」という。)から、精神薄弱者判定機関(児童相談所、精神薄弱更生相談所、精神保健センター、精神保健指定医又は地域障害者職業センター)による判定の有無及び判定機関名を確認し、次により行うこと。
イ 児童相談所、精神薄弱者更生相談所、精神保健センター又は精神保健指定医により判定を受けている者については、原則として療育手帳(都道府県により別の名称を使用しているところがある。例えば、東京都においては、愛の手帳。以下「療育手帳等」という。)により、また、療育手帳等を所持していない者については、判定を受けた精神薄弱者判定機関の判定書により、確認することとする。
その際、療育手帳等又は判定書により重度精神薄弱者とされない者については、公共職業安定所(以下「安定所」という。)は、療育手帳等所持者の場合には、本人等の同意を得た上で当該手帳の発給に当たって精神薄弱者であることの判定を行った精神薄弱者判定機関に対して原則として文書(様式は任意とするが、別添参考様式1を参考とすること。)により照会することにより、また、判定書所持者の場合には当該判定書の記載内容から必要な情報を得、その結果知能指数が六〇未満であるときには、当該収集した資料を添付の上地域障害者職業センター(以下「地域センター」という。)に精神薄弱の程度についての判定を依頼し、地域センターの判定書により、精神薄弱の程度の確認を行うこととする。
なお、療育手帳等に記載された再判定の時期を相当程度経過している等、重度精神薄弱者の確認を行うため療育手帳等又は判定書のみでは十分でないと思料される場合は、あらためて地域センターで判定することが望ましい。
ロ 児童相談所、精神薄弱更生相談所、精神保健センター又は精神保健指定医により判定を受けていない者については、地域センターにおいて精神薄弱があるか否かの判定を行う(既に地域センターで判定している者については本判定は必要ない。)とともに、併せて、重度か否かの判定を行うこととし、その確認は、地域センターにおける判定書により行うこととする。
なお、精神薄弱者であること及び重度精神薄弱者であることの確認の流れは別紙のとおりである。
(2) 地域センターにおける判定について
地域センターにおける精神薄弱者判定業務については、今後、障害の程度の判定も含めることとしており、その判定依頼等の手続は従前どおりとする予定であるので、安定所においては、精神薄弱者本人等のプライバシーの問題が惹起されることのないよう十分配慮し、適切に対応すること。
(3) 精神薄弱者判定機関からの知能指数等の情報提供について
安定所又は地域センターからの問い合わせに対する精神薄弱者判定機関からの知能指数等の情報提供については、従来、電話等により照会しても差し支えないものとしていたが、精神薄弱者の人権の問題を惹起する可能性があるとのことで当該精神薄弱者判定機関から回答が得られないこともあったところである。
しかしこのような場合、本人が何度も精神薄弱に係る判定を受けることとなり、本人の負担が大きくなることから、そのような事態を避けるとともに、人権上の問題が惹起されないよう、本人等の同意を得るという手続を行った上で原則として文書により照会すれば、精神薄弱者判定機関からの情報が得られるように措置し、これに伴い業務取扱要領も改正したところである。
これについては、厚生省児童家庭局企画課及び障害福祉課並びに保健医療局精神保健課と協議済であり、当該関係課より関係機関に対して文書により協力を指示される予定となっていること。
3 本人等に対する説明
重度精神薄弱者に係る地域センターの判定を受けようとする本人等に対しては、当該判定が身体障害者雇用率制度等の雇用対策並びに国税及び地方税上の障害者雇用に係る優遇措置についてのみ有効なものであり、年金制度における障害者基礎年金等、税制における特別障害者控除等を受ける資料とはならない旨、十分周知・指導すること。