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○精神薄弱者社会活動総合推進事業の実施について

(平成四年六月二九日)

(児発第六一六号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭局長通知)

精神薄弱者の福祉の向上については、かねてから特段の御配慮を煩わしているところであるが、今般、別紙のとおり、「精神薄弱者社会活動総合推進事業実施要綱」を定め、平成四年四月一日から実施することとしたので、本事業の円滑な実施につき特段の配慮を願いたい。

別紙

精神薄弱者社会活動総合推進事業実施要綱

第一 目的

この事業は、在宅の精神薄弱者の社会的生活能力の向上を図るとともに、その自主的な社会的活動を育成し支援することにより、地域における精神薄弱者の自立と社会参加の一層の促進を図ることを目的とする。

第二 実施主体

本事業の実施主体は、都道府県、指定都市及び中核市とする。

ただし、事業の一部を各都道府県精神薄弱者関係福祉団体(精神薄弱者及びその家族等を主な構成員として組織された団体で実施主体の長が適当と認めたものをいう。以下、精神薄弱者関係福祉団体という。)等に委託することができる。

第三 精神薄弱者社会活動総合推進事業の種類及び内容

1 精神薄弱者地域生活プログラム事業

(1) 事業内容

在宅の精神薄弱者に対し、地域生活に必要な技術習得の場を設け、実技を中心とした各種プログラムを行う。

(2) 対象者

在宅の精神薄弱者であって、本事業の実施によって社会活動への参加に効果があると認められるものとする。

(3) 実施方法

ア 地域生活に必要な技術習得の場として、自立生活技術トレーニング教室を開催する。

イ 自立生活技術トレーニング教室においては、地域生活に必要な実技を中心とした各種プログラムを行う。

(4) 各種プログラムの内容例

ア 自己主張訓練

イ 料理、買い物等

ウ 健康管理

エ 交通機関及び公的機関の利用

オ 地域資源の利用(公民館、映画館、スポーツ施設等)

カ その他、地域生活に寄与すると認められるもの。

(5) 留意事項

実施主体は、各プログラムの実施に当たっては、地域の精神薄弱者の状況をよく把握し、効果的な実施に努めること。

2 精神薄弱者レクリエーション教室開催事業

(1) 事業内容

精神薄弱者のための各種レクリエーションを実施するレクリエーション教室及び伝統民芸保存教室等を開催する。

(2) 実施内容

ア レクリエーション教室の内容

次に掲げるもののうちから地域のニーズに基づき、精神薄弱者の余暇活動に寄与すると認められるものを行う。

(ア) 遠足、ハイキング、ダンス等

(イ) 映画、音楽、華・茶道等

(ウ) その他、余暇活動に寄与すると認められるもの。

イ 伝統民芸等保存教室の内容

地域における伝統的な太鼓、踊り、工芸品等の保存に対する精神薄弱者の積極的な取り組みを支援する教室を開催する。

ウ 留意事項

なるべく多くの精神薄弱者、多くの地域住民が参加できるよう配慮すること。

3 ボランティア活動参加促進事業

(1) 事業内容

精神薄弱者本人によるボランティア活動を支援する。

(2) 実施内容

ア 実習及び現場での実技を行うボランティア教室を開催する。

イ 実技については、例えば老人ホームにおける活動、公園の美化等のボランティア活動を地域の実情に応じて行う。

(3) 留意事項

ア ボランティア団体等と十分な連携を図ること。

イ 地域のボランティアのニーズをよく把握して教室を開催すること。

4 精神薄弱者スポーツ大会開催事業

(1) 事業内容

精神薄弱者スポーツの振興と精神薄弱者のスポーツへの積極的な参加を図るため、スポーツ教室、スポーツ大会等を開催する。

(2) 実施方法

おおむね次のようなスポーツ振興と積極的な参加に関する事業を行う。

ア 精神薄弱者スポーツ教室の開催

イ 精神薄弱者スポーツ大会の開催

ウ その他精神薄弱者スポーツの振興と積極的な参加のための事業

(3) 留意事項

ア 精神薄弱者の健康管理に留意するとともに、事故の防止にも十分留意すること。

イ 障害の程度に関わらず、多くの精神薄弱者の参加を促進するため、運動種目の選定等については十分に配慮すること。

5 精神薄弱者ピアカウンセリング支援事業

(1) 事業内容

精神薄弱者同士が同じ立場で相談を行い、助言を行うためのピアカウンセラーの養成及び研修等を行う。

(2) 養成対象者

ピアカウンセラーの奉仕を申し出た精神薄弱者及び関係者から推薦された精神薄弱者とする。

(3) 実施方法

おおむね次の事業を行う。

ア 精神薄弱者の自主的な参加による仲間づくりの推進

イ ピアカウンセラーの養成・研修

ウ ピアカウンセラーによる相談事業

(4) 留意事項

実施主体は、相談相手の精神薄弱者の身上に関する秘密は守るようピアカウンセラーを指導すること。

6 精神薄弱者専門相談(法的助言・相談)事業

(1) 事業内容

精神薄弱者からの法的手続き、人権等の専門相談に応じ、法的助言を行う。

(2) 精神薄弱者専門相談室等の設置

ア 実施主体は、本事業を実施するため、専門相談室または専門相談コーナーを設け、弁護士等による専門相談員を置く。

イ 専門相談室は、精神薄弱関係機関の協力を得て、おおむね次のような相談を行う。

(ア) 法律に関する相談

(イ) 人権擁護に関する相談

(ウ) その他必要な相談

(3) 留意事項

相談に携わる者は、精神薄弱者の人格を尊重して応対するとともに、当該精神薄弱者の身上及び家庭に関して知り得た秘密は正当な理由なくもらしてはならないこと。

第四 実施上の留意事項

1 本事業の実施に当たっては、児童相談所、精神薄弱者更生相談所、福祉事務所等の関係機関、精神薄弱者相談員、民生委員等の関係者あるいは精神薄弱者関係福祉団体の必要な協力を得るほか、精神薄弱者の積極的な参加を得るよう努め、総合的かつきめ細やかな運用が図られるよう配慮すること。

2 本事業の実施に当たっては、地域の実情に応じ事業を選択して実施することとし、第三に掲げる事業のうち半数以上の事業を毎年度実施すること。

3 実施主体の長は、事業の一部を精神薄弱者関係福祉団体等に委託して行う場合にあっては、受託者に対し当該事業が適切かつ効果的に行われるように指導、監督するものとする。

第五 経費の補助

国は都道府県、指定都市及び中核市がこの事業のために支出した費用について、別に定めるところにより補助するものとする。

第六 協議

実施主体の長は、本事業を実施し、国の補助を受けようとする時は、あらかじめ別紙様式1により当省に協議し承認を受けるものとする。

第七 報告

実施主体の長は、別紙様式2により、厚生大臣に対し本事業の実施状況等について報告するものとする。

別紙様式1

別紙様式2