添付一覧
○在宅知的障害者デイサービス事業の実施について
(平成三年九月三〇日)
(児発第八三二号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭局長通知)
知的障害者の福祉の向上については、かねてから特段のご配慮を煩わしているところであるが、知的障害者が家庭や地域で生活するための条件整備を一層進める必要があるため、今般、別紙のとおり「在宅知的障害者デイサービス事業実施要綱」を定めたので、管下市町村等に対し周知願うとともに、本事業の円滑かつ適正な実施につき十分配慮されたい。
(別紙)
在宅知的障害者デイサービス事業実施要綱
1 目的
この事業は、地域において就労が困難な在宅の知的障害者が通所して文化的活動、機能訓練等を行うことにより、その自立を図るとともに生きがいを高めること等を目的とする。
2 実施主体
この事業の実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)とし、その責任の下にサービスを提供するものとする。この場合において、市町村は、対象者、サービスの内容及び利用料の決定を除きこの事業の一部を適切な事業運営が確保できると認められる地方公共団体、社会福祉法人及び医療法人等並びに平成九年一二月一七日障障第一八三号・老振第一三九号大臣官房障害保健福祉部長・老人保健福祉局長連名通知による「日帰り介護(デイサービス)事業指針」の内容を満たす民間事業者等に委託することができるものとする。
3 対象者
この事業の対象者は、原則として就労が困難な在宅の知的障害者又はその介護を行う者とする。
4 事業内容
事業内容は、おおむね次のとおりとする。
(1) 基本事業
ア 文化的活動
スポーツ、手芸、陶芸、木工、地域活動等の技術援助及び作業
イ 機能訓練
日常生活動作、家事訓練等
ウ 社会適応訓練
会話、ワープロ、生活マナー等
エ 家族等に対する介護、生活援助方法の指導
オ その他
在宅の知的障害者の福祉の向上を図るために必要な事業
(2) 任意選択事業
ア 入浴サービス
イ 給食サービス
(3) 送迎サービス
5 事業の実施
この事業は、知的障害者デイサービスセンターにおいて実施することを原則とする。ただし、この事業が適切に実施されると認められる場合には、その他適当と認められる施設であっても差し支えないものとする。
事業の内容により次の三類型とする。
(1) 基本型
基本事業及び地域の実情に応じ任意選択事業を実施する。
(2) 重介護型
重度知的障害者(常時介護が必要な知的障害者)を主眼とし、基本事業及び地域の実情に応じ任意選択事業を実施することに加えて送迎サービスを実施する。
(3) 小規模型
基本事業及び地域の実情に応じ任意選択事業を実施する。
6 利用人員
(1) 基本事業の一日当たりの標準利用人員は、おおむね一五人以上(小規模型は、五人以上)とする。
(2) 任意選択事業の一日当たりの標準利用人員は、入浴サービスについては、おおむね五人以上、給食サービスについては、おおむね一五人以上(小規模型は、五人以上)とする。
(3) 重介護型は、基本事業の一日当たりの標準利用人員のうち、重度知的障害者がおおむね一〇人以上とする。
7 事業の運営
(1) この事業は、地域の実情及び知的障害者の実態等に応じ、事業内容のうち文化的活動を中心として、原則として週五日以上実施するものとする。
(2) 実施施設は、入浴サービス又は給食サービスを実施する場合においては利用者の健康等について、また、給食サービスを実施する場合においては食品衛生管理について十分配慮するものとする。
(3) 送迎サービスは、バス等を配置して送迎を行うものとする。
8 職員等の配置
この事業を行うに当たっては、次の職員を配置するものとする。なお、文化的活動等の実施に当たっては、必要な講師等の確保に努めるものとする。
(1) 基本事業の実施に当たる指導員(うち一名以上は、知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準(平成二年厚生省令第五七号)第一二条第二項に規定する生活指導員の資格を有する者とする。)
(2) 入浴サービス、給食サービスを実施する場合は、その実施に必要な職員
(3) 送迎サービスを実施する場合は、その実施に必要な職員
9 利用料
この事業の利用料は、入浴サービス、給食サービス等については原材料等の実費を定め、利用者が負担するものとする。
10 実施上の留意事項
事業の実施に当たっては、福祉事務所、知的障害者更生相談所、知的障害者相談員、知的障害者関係団体等と連絡を密にするとともに、ボランティアをはじめ地域社会の理解と協力を得られるよう配慮するものとする。
11 構造及び設備
(1) 建物の配置、構造及び設備については、日照、採光、換気等利用者の保健衛生及び防災について十分考慮するものとする。
(2) 事業を実施する施設には、次の設備を標準として、それぞれが実施するサービスに必要な設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等と設備の一部を共用すること等により併設する施設の入所者の処遇及び当該施設の運営上支障が生じない場合にはこの限りでない。
ア 事務室又は指導員室
イ 相談室兼静養室
ウ 日常生活訓練室兼社会適応訓練室
エ 作業室
オ 更衣室
カ 便所
(3) 任意選択事業の入浴サービスを実施する場合には浴室を、給食サービスを実施する場合には食堂及び厨房を別に設けなければならない。
12 事業に対する補助
国及び都道府県の補助については別に定めるところによる。