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○知的障害者通勤寮及び知的障害者福祉ホームの運営について

(平成二年一二月二八日)

(児発第九九二号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭局長通知)

知的障害者に対する福祉の向上については、かねてから特段のご配慮を煩わしているところであるが、老人福祉法等の一部を改正する法律(平成二年法律第五八号)による改正後の知的障害者福祉法により、標記施設については、知的障害者援護施設に位置付けられることとなった。このため、当該施設における設備及び運営については、知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準(平成二年厚生省令第五七号)によるほか、別紙のとおり「知的障害者通勤寮及び福祉ホーム設置運営要綱」を定め、平成三年一月一日から実施することとしたので、その適正かつ円滑な運営を図られたく通知する。

また、貴管下市長及び福祉事務所を管理する町村長に対し、貴職からこの旨を通知されたい。

別紙

知的障害者通勤寮及び福祉ホーム設置運営要綱

第一 設置及び経営主体

1 知的障害者通勤寮(以下「通勤寮」という。)の設置主体及び経営主体は、地方公共団体又は知的障害児施設、知的障害児通園施設、知的障害者更生施設若しくは知的障害者授産施設を設置若しくは経営している社会福祉法人を原則とする。

2 知的障害者福祉ホーム(以下「福祉ホーム」という。)の設置主体及び経営主体は、地方公共団体又は社会福祉法人とする。

第二 利用対象者

1 通勤寮の利用対象者は、知的障害児施設、知的障害児通園施設、知的障害者更生施設又は知的障害者授産施設を退所する等既に日常生活において身の回りの処理について自立が行われ、就労(福祉的就労を含む。以下同じ。)している一五歳以上の知的障害者で、一定期間通勤寮において指導を行うことにより、独立自活することが期待できるものであって、次の各号に該当するものとする。

(一) 現に就労しているか、又は就労することが確実な者であって、継続して就労できる見込みがあること。

(二) 伝染性疾患を有しないこと。

(三) その他施設管理上特に問題となる行動がないこと。

2 福祉ホームの利用対象者は、家庭環境、住宅事情等の理由等により家族との同居が困難であるため、現に住居を求めている知的障害者。

第三 職員の業務

1 通勤寮においては、利用者の独立自活に必要な助言及び指導を行うほか、利用者に対する給食等の日常生活を営むうえに必要な業務及び通勤寮の運営管理に必要な業務を行うものとする。

なお、業務を行うに当たっては、利用者の意向を尊重するよう努めるものとする。

2 通勤寮の長は、福祉事務所、利用者の雇用先事業所、公共職業安定所、知的障害児施設、知的障害児通園施設、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設、学校、児童相談所、知的障害者更生相談所及び利用者の家庭等関係各方面との連絡を密にし、利用者に対する指導が円滑かつ効果的に実施されるよう努めるものとする。

3 福祉ホームの管理人は次に掲げる業務を行うものとする。

(一) 施設の管理

(二) 利用者の日常の生活に関する相談、助言

(三) 福祉事務所等関係方面への連絡

4 福祉ホーム利用者の生活の世話等は次のとおりとする。

(一) 疾病等により利用者が生活に困難を生じた場合には、医療機関、福祉事務所、家族等に速やかに連絡をとるなど利用者の生活に支障をきたさないよう適切な配慮を行うものとする。

(二) 利用者が福祉ホームにおいて守るべき日常生活上の規律を定め、その便宜に供するものとする。

第四 利用の決定等

1 通勤寮の利用の手続については、次のとおりとする。

(一) 利用の申請

通勤寮の利用を希望する者又はその保護者は、利用申請書(別紙様式1)に次の書類を添付して援護の実施機関(援護に関する事務が福祉事務所長に委任されている場合は、居住地の福祉事務所長とする。以下同じ。)に提出する。

ア 知的障害児施設、知的障害児通園施設、知的障害者更生施設又は知的障害者授産施設(入所)に入所したことのある者については、当該施設の退所証明書

イ 学校教育法(昭和二二年法律第二六号)に基づく学校を卒業した者については、最終卒業学校の卒業証明書

ウ 就職先の在職証明書及び給与支払証明書(申請時に就職していない者については、採用見込証明書及び給与支払見込額を記載したもの)

エ 健康診断書

オ 費用負担能力の認定に必要な資料

(二) 利用の審査

利用の申請を受けた福祉事務所長は、利用を希望する知的障害者が在所していた施設の長又は在学していた学校の長の意見を聴き、また必要に応じて児童相談所長又は知的障害者更生相談所長の意見を参考として、利用の適否を審査するものとする。

(三) 利用の決定

福祉事務所長は、利用申請書を受理し、審査の結果通勤寮の利用が適当であると認められる知的障害者の通勤寮の利用又は利用の委託を行うことを決定したときは、次の手続をとるものとする。

当該地方公共団体の設置する通勤寮の利用に際しては、利用決定通知書(別紙様式2ア)を、他の通勤寮に利用の委託を行うときは、事前に委託先通勤寮の長の承認を得て委託決定通知書(別記様式2イ)を、当該通勤寮の長に送付するとともに、申請者に利用決定通知書(別紙様式3)を交付する。

2 通勤寮の利用期間

通勤寮の利用期間は、二年以内を原則とする。

ただし、二年を経過しても引き続き利用を希望する者については、指導を継続することが適当であることを確認したうえで、福祉事務所長は通勤寮の長の意見に基づき、利用期間を延長することができるものとする。

3 福祉ホームの利用は、利用者と経営主体との契約によるものとする。

第五 費用の支弁及び徴収等

1 通勤寮利用者に係る費用の支弁

(一) 都道府県又は市町村は、都道府県知事又は市町村長が第四により知的障害者の通勤寮の利用又は利用の委託を行った場合において、飲食物費、交通費等利用者個人にかかる費用を除いた当該利用者の利用中に要する事務費及び事業費を支弁するものとする。

(二) 知的障害者の通勤寮利用中に要する費用として都道府県又は市町村が支弁すべき費用は次のとおりとし、その額は別に定める。

ア 事務費(職員の人件費、施設の管理費等)

イ 事業費(施設の光熱水料等の日常諸費等)

2 通勤寮における費用の徴収

通勤寮利用者に要する費用を支弁すべき都道府県知事又は市町村長は、徴収金として、当該利用者の収入額に応じて別に定める基準により算定した額を当該利用者又はその扶養義務者から徴収するものとする。

3 福祉ホームにおける共益費の徴収

(一) 利用者から共益費を徴収するものとする。

(二) 徴収する共益費は、福祉ホームにおける共用部門の維持管理に必要な経費として経営主体が定めた額とする。

第六 国の財政措置

1 国は、都道府県又は市町村等の設置する通勤寮の整備に要する費用を別に定めるところにより補助するものとする。

2 国は、都道府県又は市町村が第五の1により支弁した通勤寮利用者に係る費用について、別に定めるところにより補助するものとする。

3 国は、地方公共団体又は社会福祉法人が設置する福祉ホームの整備又は運営に要する経費について、別に定めるところにより国庫補助交付基準により補助するものとする。

4 施設の設置について

通勤寮及び福祉ホームの設置又は経営について、施設整備費の国庫補助を伴わないものについては、当分の間、別紙様式4により次に掲げる事項を記載した書類を添付の上、厚生大臣に協議し、その承認を受けるものとする。

(一) 設置者の氏名又は名称、住所、経歴及び資産状況

(二) 定款その他の基本約款

(三) 施設の管理者及び実務を担当する幹部職員の氏名及び経歴

(四) 要援護者等に対する処遇の方法

(五) 建物の配置図、各階平面図及び立面図

(六) 各室ごとの室名及び面積表

(七) 施設整備費及び財源内訳

第七 その他

1 利用者の就労に便利な場所に通勤寮を設置するなど、施設の目的が十分達成されるように配意するものとする。

2 通勤寮においては、利用者が通常昼間は通勤及び通所している関係上、職員の勤務形態は、時差勤務、断続勤務になることとなるので、職員の勤務時間については通勤寮の円滑な運営が図られるよう、関係法令等の規定の範囲内で配慮するものとする。

別紙様式略