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○知的障害者福祉工場の設置及び運営について

(昭和六〇年五月二一日)

(厚生省発児第一〇四号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生事務次官通知)

知的障害者に対する福祉の向上については、かねてより特段の御配慮を煩わしているところであるが、知的障害者の社会参加を促進するため、作業能力はあるものの、対人関係、健康管理等の事由により、一般企業に就労できないでいる知的障害者の就労の場として知的障害者福祉工場を昭和六〇年度から新たに発足させることとし、今般、同福祉工場の設置、運営の基準として、別紙のとおり「知的障害者福祉工場設置運営要綱」を定めたので、その設置及び運営に遺憾のないよう期せられたい。

なお、同福祉工場は、従来の知的障害者援護施設と異なり、企業的色彩が強い施設であるので、その対象となる知的障害者の処遇、事業の経営内容等の指導監督については、特に留意されたい。

別紙

知的障害者福祉工場設置運営要綱

第一 目的

知的障害者福祉工場(以下「福祉工場」という。)は、知的障害者であって、作業能力はあるものの、対人関係、健康管理等の事由により、一般企業に就労できないでいる者を雇用し、生活指導、健康管理等に配慮した環境の下で社会的自立を促進することを目的とする。

第二 設置及び経営主体

1 設置主体

都道府県、指定都市、中核市又は社会福祉法人とする。

2 経営主体

社会福祉法人を原則とする。

第三 設置場所

1 福祉工場は、地域における知的障害者の就労の実態、知的障害者援護施設入所の状況等を十分考慮の上適当な地に設けるものとする。

2 福祉工場の敷地は、保健衛生、安全の保持、交通の便等を十分考慮の上選定するものとする。

第四 従業員の要件

知的障害者援護施設等において指導訓練を受け、一般企業に就労できる程度の作業能力を有しているが、対人関係、健康管理等の事由により、一般企業に就労できないでいる一五歳以上の知的障害者とする。

なお、伝染性の疾病にかかっていない者とする。

第五 福祉工場の定員、構造及び設備

1 福祉工場の定員は、二〇名以上とする。

2 福祉工場の配置、構造及び設備については、日照、採光、換気等従業員の保健衛生及び安全の確保に十分配慮するものとする。

3 福祉工場には、次に掲げる設備のほか、福祉工場の運営に必要な設備を設けるものとする。

(1) 作業場

(2) 更衣室

(3) シャワー室

(4) 休憩室

(5) 食堂

(6) 相談室

(7) 静養室

(8) 医務室

第六 職員の定数及び資格

1 職員の定数

福祉工場の職員の定数は、別表のとおりとする。

2 職員の資格

(1) 施設長は、知的障害者福祉に理解と熱意があり、かつ、企業経営の能力又は実績を有する者等福祉工場を運営するのに適切であると認められる者とすること。

(2) 指導員は、福祉工場の作業に必要な知識技能を有し、かつ、従業員の指導に熱意を有する者とすることとし、そのうち一名は、知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準(平成二年厚生省令第五七号)第一二条第二項に規定する資格を有する者とすること。

第七 福祉工場の運営

1 運営の基本原則

福祉工場は、適正かつ円滑な事業の運営に留意するとともに、従業員の処遇の向上に努めるものとする。

2 労働条件等

(1) 経営主体が従業員を雇用するに当たっては、関係機関の意見を十分尊重して行うこと。

(2) 労働時間、休日、賃金、退所等については、就業規則に定め、労働関係法規に従って行うこと。

3 従業員の健康管理

(1) 医師、看護婦を中心として健康管理に十分配慮すること。

(2) 健康診断は、雇用時のほか、年二回以上実施すること。

(3) 健康状態に応じ、休養等について必要な措置を講ずること。

(4) その他環境を常に清潔に保ち、衛生管理に留意すること。

4 給食

(1) 昼食は、原則として福祉工場において給食すること。

(2) 福祉工場における給食は、利用者のし好、必要な栄養等に十分配慮して行うこと。

(3) 給食費については、実費を徴収すること。

5 非常災害対策

(1) 福祉工場は、非常災害に備えるため避難、救出の具体的計画を立てるとともに、定期的に避難、救出に関する必要な訓練を行うこと。

(2) 福祉工場は、非常災害を未然に防止するため、特に火災発生の危険の多い場所を定期的に検査すること。

6 会計の原則

福祉工場の会計は、福祉工場の財政状況及び経営成績を明らかにするため、正規の簿記の原則に従って、整然かつ明瞭に記録整理されるものとする。

7 帳簿の整備

福祉工場は、従業員、職員、設備、事業及び会計の状況に関する帳簿を整備するものとする。

第八 関係機関との連携

福祉工場は、社会福祉施設であるとともに一方では、労働関係法規の適用を受ける事業所であることにかんがみ、福祉事務所、知的障害者更生相談所、公共職業安定所、労働基準監督署、知的障害者援護施設、学校、従業員の家庭等との連絡を密にし、福祉工場の運営が円滑かつ効果的に行われるように努めるものとする。

第九 経費の補助

国は、都道府県、指定都市、中核市又は社会福祉法人が設置する福祉工場の整備又は運営に要する経費について、厚生大臣が別に定めるところにより補助するものとする。

別表

 

定員

50人以上

49人~40人

39人~30人

29人~20人

 

勤務形態

常勤

非常勤

常勤

非常勤

常勤

非常勤

常勤

非常勤

職種別区分

 

施設長

1

 

1

 

1

 

1

 

事務員

1

 

1

 

1

 

 

(1)

指導員

3

 

3

 

3

 

2

 

指導員助手

2

(1)

2

 

 

(1)

 

(1)

看護婦

1

 

1

 

 

(1)

 

(1)

栄養士(調理業務含む)

1

 

1

 

1

 

1

 

医師(嘱託)

 

(1)

 

(1)

 

(1)

 

(1)

9

(2)

9

(1)

6

(3)

4

(4)

11(2)

10(1)

9(3)

8(4)