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○児童扶養手当の遺棄の認定基準について

(昭和五五年六月二〇日)

(児企第二五号)

(各都道府県児童福祉主管部(局)長あて厚生省児童家庭局企画課長通知)

今般、児童扶養手当の支給事由の一つである遺棄の認定基準について別紙のとおり定めたので御了知のうえ今後の認定に当たつて参考とされたい。

別紙

「遺棄」の認定基準について

第一 基準

父が児童を遺棄している場合とは、父が児童と同居しないで監護義務をまつたく放棄している場合をいうものである。

第二 解説

1 父が児童を遺棄しているか否か判断するに当たつて父が児童と同居しているか否かが一つのポイントとなる。同居している場合は、遺棄に該当しない。

しかし、別居していれば直ちに遺棄に該当するものではない。すなわち、出かせぎ、入院等特定又は不特定の期間、就労、事業、療養等のため別居しているが、目的達成後帰来することが予定されている場合には遺棄に該当しない。

2 監護とは、金銭面、精神面等から児童の生活について種々配慮していることをいい、同居しているか別居しているかは問わない。

同居の場合には、監護していると考えられるが、別居の場合でも、仕送り、定期的な訪問、手紙、電話等による連絡等があれば監護しているものと考えられる。

3 父の居住が判明しているか否かは遺棄の判断に当たつて一つのポイントとなる。

父の居住が、警察、親類等を通じて捜索したにもかかわらず発見できず不明である場合は、他の要件を満たす限り通常遺棄に該当すると考えられる。しかし、父の居所が判明している場合であつても遺棄に該当する場合が考えられる。すなわち、妻が子を連れて家出した場合であつて、父の酒乱、暴力行為、女性関係、犯罪行為、サラ金借金、ギヤンブル狂等のため、父の監護意思及び監護事実が客観的に認められず、かつ母に離婚の意思(将来意思を含む。)がある場合には、他の要件を満たす限り遺棄に該当すると考えられる。

これに対し、父に監護意思がある、あるいは離婚する意思がないにもかかわらず、母が性格の不一致、あるいは他に男ができた等の理由により子を連れて家出した場合は遺棄に該当しないと考えられる。

4 妻子が税法上の扶養親族の取扱いを受けているか否かは遺棄の認定に当たつて一つのポイントとなる。すなわち、父が家出し行方が判明している場合、妻子が扶養親族の取扱いを受けておれば、父の扶養意思を推定できるので一般的には遺棄と認められない。

しかし、母が子を連れて家出した場合で、その原因が父の酒乱、暴力行為、女性関係、犯罪行為、サラ金借金、ギヤンブル狂等であつて父の監護意思が客観的に認められない場合には、たとえ税法上扶養親族の取扱いを受けているとしても遺棄に該当すると考えられる。

なお、生活保護を受給しているか否かについても、受給中の場合には父から遺棄されている可能性が高いと思われるので遺棄の認定に当たつて一つの判断材料となり得る。

5 遺棄の一般的なケースを図示すると別添1のとおりとなるので、遺棄の認定に当たつて参考とされたい。ただし、遺棄のケースはこれにとどまらず種々のケースがあると考えられるので、この図を単に機械的に適用するのではなく事実関係を総合的に勘案のうえ判断されたい。

第三 事務処理

1 市町村の事務担当者は、遺棄を理由とする手当の請求があつた場合には、別添2の遺棄調書を請求者に記入させ、これを認定請求書に添付して都道府県に提出すること。

2 遺棄を事由として手当を受給中の者で第一及び第二に延べた遺棄の認定基準に明らかに該当しないと認められるものについては、職権でもつて受給資格の喪失処分を行うこと。

別添1

別添2

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