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○児童扶養手当法別表第一における障害の認定要領について

(昭和四九年八月一五日)

(児発第五一八号)

(各都道府県知事あて厚生省児童家庭局長通知)

先般、児童手当法等の一部を改正する法律(昭和四九年六月二二日法律第八九号)により、児童扶養手当法の一部が改正され、児童扶養手当法上障害の状態にあることによつて児童とされる者の範囲が本年九月一日から拡大されることになつたことに伴い、新たに児童に係る障害の認定要領を別紙のとおり定めたので、その運用について遺憾のないようにされたい。

おつて、「児童扶養手当法における障害の認定要領(昭和三六年一二月二一日児発第一、三七四号各都道府県知事あて厚生省児童局長通知の別冊)」の一部を次のように改正し、本年九月一日から適用する。〔次のよう 略〕

別紙

児童扶養手当法別表第一における障害の認定要領

1 この要領は、児童扶養手当法(昭和三六年法律第二三八号。以下「法」という。)別表第一に該当する程度の障害の認定基準を定めたものであること。

2 障害の認定については、次によること。

(1) 法第三条にいう「障害の状態」とは、精神又は身体に法別表第一に該当する程度の障害があり、障害の原因となつた傷病がなおつた状態又は症状が固定した状態をいうものであること。

なお、「傷病がなおつた」については、器質的欠損若しくは変形又は後遺症を残していても、医学的にその傷病がなおれば、そのときをもつて「なおつた」ものとし、「症状が固定した」については、症状が安定するか若しくは回復する可能性が少なくなつたとき又は傷病にかかわりなく障害の状態が固定したときをいうものであり、慢性疾患等で障害の原因となつた傷病がなおらないものについては、その病状が安静を必要とし、当面医療効果が少なくなつたときをいうものであること。

(2) 障害の程度は、法別表第一に定めるとおりであり、国民年金法(昭和三四年法律第一四一号)による障害程度の一級及び二級並びに身体障害者福祉法(昭和二四年法律第二八三号)による障害等級の一級、二級、三級及び四級の一部がこれに相当するものであること。

なお、特別児童扶養手当等の支給に関する法律別表に定める障害の程度に該当するものは、当然に法別表第一に定める障害の程度に該当するものであること。

(3) 内科的疾患に基づく身体の障害及び精神の障害の程度の判定に当たつては、現在の状態、医学的な原因及び経過、予後並びに日常生活能力等を十分勘案し総合的に認定を行うこと。

なお、日常生活能力については、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとされているが、この程度とは、家庭内で身のまわりの整理程度の行動はできるが、それ以上の行動はできないもの、又はしてはいけないもの、すなわち病院内の生活でいえば、行動範囲はおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、行動範囲はおおむね家屋内に限られるものをいうものであること。

(4) 障害の認定は、児童扶養手当障害認定診断書(児童扶養手当法施行規則様式第二号)及び特定の傷病に係るエックス線直接撮影写真(以下「診断書等」という。)によつて行うが、これらのみでは認定が困難な場合には、必要に応じ療養の経過若しくは日常生活状況等の調査又は必要な検診等を実施したうえ適正な認定を行うこと。

(5) 障害の程度について、その状態の変動することが予測されるものについては、その予測される状態を勘案して認定するものとすること。

(6) 各傷病についての障害の認定は、別添1、2、3及び4により行うこと。

3 障害の状態を審査する医師について

(1) 都道府県においては、法別表第一に定める程度の障害の状態にある者(以下「障害児童」という。)の障害の状態を審査するために必要な医師を置くこと。

4 障害の認定に係る診断書等について

(1) 障害児童が、次に掲げる場合においては本制度による診断書等を添付させることに代えて、児童扶養手当認定請求書の備考欄に必要な事項を記入させ、これによつて認定しても差し支えないこと。

なお、認定に当たつて当該障害児童の障害の程度等を確認する際は、それぞれの関係主管部(局)と連けいを密にされたいこと。

ア 障害児童が特別児童扶養手当等の支給に関する法律第三条第一項に規定する状態にあることにより、特別児童扶養手当の支給の対象となつているとき。

イ 障害児童が身体障害者福祉法の規定による身体障害者手帳(障害の程度が同法施行規則別表第五「身体障害者障害程度等級表」に定める一級、二級又は三級と記載されているものに限る。)の交付を受けているとき。

ウ 障害児童が療育手帳制度要綱(昭和四八年九月二七日厚生省発児第一五六号各都道府県知事、指定都市市長あて厚生事務次官通知の別紙)による療育手帳(障害の程度が「A」と記載されているものに限る。)の交付を受けているとき。

(2) 精神の障害に係る診断書は、できる限り精神衛生法に規定する精神衛生鑑定医又は精神科の診療に経験を有する医師の作成したものとするよう指導されたいこと。

別添1

身体の各部位の障害についての障害の認定基準

身体の各部位の障害についての障害の認定は、次の基準によるものとする。

1 両眼の視力の和が○・○八以下のもの

(1) 試視力表、試視力表の標準照度、屈折異常のある者及び「両眼視力の和」の取扱等については、児童扶養手当法別表第二における障害の認定要領(以下「別表第二の認定要領」という。)の別添1の1によること。

(2) 視力の測定においては、偽病に注意して慎重に行うこと。

2 両耳の聴力損失が八○デシベル以上のもの

(1) 聴力の測定法については、「別表第二の認定要領」の別添1の2によること。

(2) 「両耳の聴力損失が八○デシベル以上のもの」とは、耳もとで大声で人語が発せられた場合のみにおいて聴覚によつて解することが可能であり、かつ補聴器等による補聴手段の効果が小さい程度のものであること。

3 平衡機能に著しい障害を有するもの

(1) 平衡機能の障害とは、その原因が内耳性のもののみならず脳性のものも含まれるものであること。

(2) 「平衡機能の著しい障害を有するもの」とは、四肢体幹に器質的異常がない場合に、閉眼で起立不能又は開眼で直線を歩行中に一○メートル以内に転倒或いは著しくよろめいて歩行を中断せざるを得ない程度のものであること。

4 咀嚼の機能を欠くもの

(1) 咀嚼の機能障害とは、下顎骨の欠損、顎関節の強直又は咀嚼に関係のある筋、神経の障害によりおこるものであること。

(2) 「咀嚼の機能を欠くもの」とは、歯を用いて食物をかみくだくことが不能であることにより流動食以外は摂取出来ないもの、食餌が口からこぼれ出るため常に手、器物等でそれを防がねばならないもの、又は咀嚼機能障害若しくは嚥下困難のため一日の大半を食事についやさなければならない程度のものであること。

5 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの

(1) 音声又は言語機能の障害とは、喉頭の先天性異常、喉頭の外傷又は発声に関係のある筋、発声に関係ある神経の障害のみならず、脳性(失語症)又は耳性(ろうあ)の疾患によるものも含まれるものであること。

(2) 「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」とは、音声若しくは言語を喪失するか、又は音声若しくは言語機能障害のため、意志を伝達するために身ぶりや書字等の補助動作を必要とする程度のものをいうものであること。

6 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの

(1) 指を欠くの意義については、「別表第二の認定要領」の別添1の4によること。

(2) 「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの」とは、少くとも必ず両上肢のおや指を欠き、それに加えて、両上肢のひとさし指又は中指を欠くものであること。

7 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの

(1) 指の機能の著しい障害の意義については、「別表第二の認定要領」の別添1の5によること。

(2) 「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの」とは、少なくとも必らず両上肢のおや指の機能に著しい障害があり、それに加えて両上肢のひとさし指又は中指の機能に著しい障害があり、そのため両手とも指間に物をはさむことはできても、一指を他指に対立させて物をつまむことができない程度であること。

8 一上肢の機能に著しい障害を有するもの

(1) 上肢の機能の著しい障害の意義については、「別表第二の認定要領」の別添1の3によること。

(2) 「一上肢の機能に著しい障害を有するもの」とは、一上肢は正常であり、他側上肢は肩、肘、手関節の障害により、日常生活は正常な一上肢のみで行われる程度のものであること。

9 一上肢のすべての指を欠くもの

(1) 指を欠くの意義については、「別表第二の認定要領」の別添1の4によること。

(2) 「一上肢のすべての指を欠くもの」とは、一上肢は正常で、他側のすべての手指を欠くものであり、把握する動作は正常な一上肢のみで可能であること。

10 一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの

(1) 指の機能の著しい障害の意義については、「別表第二の認定要領」の別添1の5によること。

(2) 「一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの」とは、それにより前記9の(2)に相当する機能障害を有するものであること。

11 両下肢のすべての指を欠くもの

(1) 「指を欠くもの」とは、リスフラン関節以下で足部を欠くものであること。

(2) 両下肢のすべての指を欠く場合には、補助具を使用しない状態で、日常生活において、下駄をはくことができず、スリッパ、サンダル等は使用しにくい程度のものであること。

12 一下肢の機能に著しい障害を有するもの

(1) 下肢の機能の著しい障害の意義については、「別表第二の認定要領」の別添1の6によること。

(2) 「一下肢の機能に著しい障害を有するもの」とは、一下肢は正常であり、他側下肢はその股、膝、足関節の障害により、日常生活は、正常な一下肢のみで片脚とび又は杖、松葉杖、下肢補装具等により移動ができる程度のものであること。

13 一下肢を足関節以上で欠くもの

(1) 足関節以上で欠くの意義については、「別表第二の認定要領」の別添1の7によること。

(2) 「一下肢を足関節以上で欠くもの」とは、一下肢は障害なく他側下肢はその尖足変形でそのままでは、体重加重が不能である程度のものであること。

14 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの

(1) 体幹の障害をおこす原因及びその範囲については、「別表第二の認定要領」の別添1の8によること。

(2) 「歩くことができない程度」とは、室内においては、杖、松葉杖、その他の補助用具を必要とせず、起立移動が可能であるが、野外では、これらの補助用具の助けをかりる必要がある程度のものであること。

別添2

内科的疾患に基づく身体の障害についての認定基準

内科的疾患に基づく身体の障害についての認定は、次の基準によるものとする。

1 一般的事項

(1) 内科的疾患に基づく身体の障害の程度の判定に当たつては、一般状態、臨床症状等により「結核の治療指針」(昭和三八年六月七日保発第一二号厚生省保険局長通知の別添)に掲げる安静度表(以下「安静度表」という。)の安静度を基準とする。

(2) この基準によることが困難なものについては、日常生活能力を十分勘案して適正に認定すること。

2 結核性疾患

結核性疾患による症状の程度についての判定は、排菌状態、胸部エックス線所見、一般状態、理学的所見により、安静を必要とする程度が安静度表の四度までのものを法別表第一の第一五号に該当するものとする。

3 呼吸器の機能障害

(1) 呼吸器の機能障害の程度についての判定は、%肺活量(肺活量実測値の予測値に対する割合)と一秒率(最大努力下の最初の一秒間の呼気量の肺活量実測値に対する割合)によるものとする。

(2) %肺活量が三○%以下で一秒率五六%以上のもの又は%肺活量が四五%以下で一秒率五五%以下のものを法別表第一の第一五号に該当するものとする。

4 心機能障害

心機能障害の程度の判定は、呼吸困難、心悸亢進、チアノーゼ、浮腫等の臨床症状、レントゲン、心電図等の検査成績、一般状態、治療及び症状の経過等により、次の病状を有するものを法別表第一の第一五号に該当するものとする。

(1) 身体活動を制限する必要のある心臓病患者

(2) 家庭内の極めて温和な活動では異常がないが、それ以上の活動では心不全症状又は狭心症症状がおこるもの

5 腎臓疾患

(1) 腎臓疾患による病状の程度についての判定は、臨床症状、腎機能検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により、安静を必要とする程度が三か月以上にわたり安静度表の四度までのものを法別表第一の第一五号に該当するものとする。

(2) 腎機能検査成績は、その性質上普通変動しやすいものであるため、腎臓疾患による病状の程度の判定に当たつては、診断書作成日前三か月内で一か月以上の間隔をおいた二回の検査成績に基づいて行うものとする。

(3) 慢性腎不全で人工透析療法を受けている場合は、次により判定するものとする。

ア 認定の時期

障害の程度を認定する時期は、慢性腎不全のため人工透析療法を受けている者については、はじめて当該療法を受けた日から起算して三か月を経過した日とする。

イ 障害の程度の認定

障害の程度の認定は、次によるものとする。

臨床所見又は腎機能検査成績が次表の上欄及び下欄に該当し、日常生活能力が次表の下欄に該当するものを法別表第一の第一五号に該当するものとする。

区分

臨床所見

腎機能検査成績

日常生活能力

上欄

次のアからウまでのうち、いずれかに該当すること。

ア 尿毒症性心包炎

イ 尿毒症性出血傾向

ウ 尿毒症性中枢神経症状

次のうちア又はイのうち、いずれかに該当すること。

ア 内因性クレアチニン・クリアランス値が10ml/分未満

イ 血清クレアチニン濃度が8㎎/dl以上

日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

下欄

次のアからケまでのうち、いずれか2以上に該当すること。

ア 腎不全に基づく末梢神経症

イ 腎不全に基づく消化器症状

ウ 水分電解質異常

エ 腎不全に基づく精神異常

オ X線上における骨異栄養症

カ 腎性貧血

キ 代謝性アチドージス

ク 重篤な高血圧症

ケ 腎疾患に直接関連するその他の症状

次のア又はイのうち、いずれかに該当すること。

ア 内因性クレアチニン・クリアランス値が10ml/分以上20ml/分未満

イ 血清クレアチニン濃度が5㎎/dl以上8㎎/dl未満

日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

(注) 人工透析療法を受けているものにかかる腎機能検査成績は、当該療法の実施前の成績によるものとする。

6 肝臓疾患

(1) 肝臓疾患による病状の程度についての判定は、三か月以上にわたり黄だん、肝臓の腫大等の臨床症状が持続するもの、肝機能検査で異常が認められるもの等、一般状態、治療及び病状の経過等により、安静を必要とする程度が安静度表の四度までのものを法別表第一の第一五号に該当するものとする。

(2) 肝機能検査成績は、その性質上普通変動しやすいものであるため、肝臓疾患による病状の判定に当たつては、診断書作成日前三か月内で一か月以上の間隔をおいた二回の検査成績に基づいて行うものとする。

7 血液疾患

(1) 血液疾患による病状の程度についての判定は、一般状態特に治療及び病状の経過に重点をおき、立ちくらみ、動悸、息切れ、出血傾向等の臨床症状、血液学的検査成績等により、安静を必要とする程度が安静度表の四度までのものを法別表第一の第一五号に該当するものとする。

(2) 血液学的検査成績は、その性質上普通変動しやすいものであるため、血液疾患による病状の判定に当たつては、診断書作成日前三か月内で一か月以上の間隔をおいた二回の検査成績に基づいて行うものとする。

8 その他の障害

身体の各部位の障害及び前各項に掲げるもののほか、身体の機能障害又は長期にわたる安静を必要とする病状がある場合において、その状態が法別表第一の第一号から第一四号までと同程度以上と認められるものであつて、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものであるときは、法別表第一の第一五号に該当するものとする。

別添3

精神の障害についての認定基準

精神の障害についての認定は、次の基準によるものとする。

1 精神の障害の原因となる主な傷病名及び状態像は、精神分裂病、そううつ病、非定型精神病、てんかん、中毒性精神病、器質性精神病、早期幼年自閉症及び精神薄弱であり、法別表第一の第一六号に該当すると思われる症状等には、次のようなものがある。

(1) 精神分裂病によるものにあつては、欠陥状態又は病状があるため、人格崩壊、思考障害、その他もう想、幻覚等の異常体験があるもの

(2) そううつ病によるものにあつては、感情、欲動及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又は頻繁にくりかえしたりするもの

(3) 非定型精神病によるものにあつては、欠陥状態又は病状が前記(1)、(2)に準ずるもの

(4) てんかんによるものにあつては、頻繁にくりかえす発作又は痴呆、性格変化その他精神神経症状があるもの

(5) 中毒性精神病によるものにあつては、痴呆、性格変化及びその他持続する異常体験があるもの

(6) 器質性精神病によるものにあつては、痴呆、人格崩壊、その他精神神経症状があるもの

(7) 早期幼年自閉症によるものにあつては、自閉、言語発達の遅滞、精神発達の遅滞及び異常行動のあるもの

(8) 精神薄弱によるものにあつては、精神の発達が遅滞しているもの

2 精神病質については、原則として法別表第一に定める障害の状態に該当しないものとする。

3 精神の障害の程度の判定については、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを法別表第一の第一六号に該当するものとする。

別添4

法別表第一の第一七号による障害についての認定基準

身体の機能障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合の障害についての認定は、次の基準によるものとする。

機能障害又は病状が重複する場合の障害の程度の判定については、一般状態、医学的な原因及び経過等を総合的に勘案し、その状態が日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを法別表第一の第一七号に該当するものとする。