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○児童扶養手当法上の処分に関する行政不服審査について

(昭和三九年五月一一日)

(児発第四二三号)

(各都道府県知事あて厚生省児童局長通知)

行政不服審査法(昭和三七年法律第一六○号)の施行に伴う当省関係法令に基づく行政処分に係る行政上の不服審査に関する一般的な留意事項については、昭和三七年一二月二四日厚生省総発第五八号をもつて、当省事務次官から貴職あて通知されているところであるが、児童扶養手当法上の処分に係る行政上の不服申立ての取扱いについて、多少の疑問をもたれるむきもあるので、次の諸点に御留意のうえ、その処理に遺憾なきを期せられたい。

1 児童扶養手当法の不服申立てに関する規定と行政不服審査法との関係

行政不服審査法は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる(第一条第二項)ものとしているので、児童扶養手当法の関係規定によつて特別の定めがなされている事項、即ち、都道府県知事のした処分についての都道府県知事に対する異議申立ての許容(第一七条、行政不服審査法第六条参照)、都道府県知事が当該異議申立てについて決定をなすべき期間又は市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)のした処分についての審査請求について裁決をなすべき期間(第一八条第一項、第三項)及び都道府県知事が当該期間内に決定又は裁決を行なわなかつた場合の効果(第一八条第二項、第三項)に関する事項を除いては、行政不服審査法の関係規定が全面的に適用されるものであること。

2 児童扶養手当法上の処分についての行政上の不服申立ての種類

児童扶養手当法上の処分についての行政上の不服申立てとしては、次の四種のものがあること。

ア 市町村長のした処分についての都道府県知事に対する審査請求

イ 都道府県知事のした処分についての当該都道府県知事に対する異議申立て

ウ 都道府県知事のした処分についての厚生大臣に対する審査請求

エ 都道府県知事が相当の期間内に手当の認定請求又は改定請求について何らの処分もしなかつたことについての、当該都道府県知事に対する異議申立て、又は厚生大臣に対する審査請求

なお、「処分」には、人の収容又は物の留置その他その内容が継続的性質を有する行政庁の事実上の行為も含まれるものとされている(行政不服審査法第二条第一項)ので、市町村長が認定請求書又は諸届を進達しない場合、認定の処分をしたにもかかわらず証書の交付を行なわない場合、諸届に添えて提出された証書を返付しない場合等においても、それぞれアからウまでの不服申立てを行なうことができるものであること。

3 処分についての異議申立てと審査請求との関係

都道府県知事のした児童扶養手当法上の処分については、当該都道府県知事に対する異動申立てと、厚生大臣に対する審査請求とを行なうことができるものである(児童扶養手当法第一七条、行政不服審査法第五条、第六条)が、行政不服審査法第二○条の規定により、厚生大臣に対する審査請求は当該都道府県知事に対する異議申立てについてのその決定を経た後でなければすることができないものとされていること。ただし、当該都道府県知事がその不服申立ての対象となる処分につき異議申立てをすることができる旨を教示しなかつたとき(行政不服審査法第二○条第一号)異議申立てをした日の翌日から起算して六○日以内に当該都道府県知事がその異議申立てについて決定を行なわないとき(児童扶養手当法第一八条第二項、行政不服審査法第二○条第二号参照)及びその他異議申立てについての決定を経ないことにつき正当の理由があるとき(行政不服審査法第二○条第三号)には、異議申立てについての当該都道府県知事の決定を経ないでも、厚生大臣に対する審査請求を行なうことができるものとされていること(行政不服審査法第二○条)。

なお、都道府県知事が、当該手当にかかる認定請求又は改定請求について相当の期間内に何らの処分も行なわなかつた場合には、前記の場合と異なり、当該処分請求者の選択により、当該都道府県知事の不作為につき、当該都道府県知事に対する異議申立てと厚生大臣に対する審査請求とのいづれかをすることができるものであること(行政不服審査法第七条)。

4 不服申立てをすることができる期間

不服申立てをすることができる期間については、行政不服審査法の関係規定が全面的に適用されるものであること。即ち、

(1) 前記2のア及びイの不服申立てにあつては、原則として、当該処分のあつたことを知つた日の翌日から起算して六○日以内(第一四条第一項本文第四五条)又は処分のあつた日の翌日から起算して一年以内(第一四条第三項本文、第四八条の規定による第一四条第三項本文の準用)のいづれか早い日まで(なお、例外については第一四条第一項ただし書、同条第二項、同条第三項ただし書及び第四八条参照)

(2) 前記2のウの不服申立てにあつては、当該処分に係る異議申立てについての当該都道府県知事の決定があつたことを知つた日の翌日から起算して三○日(行政不服審査法第二○条第一号又は第三号の規定により異議申立てについての決定を経ないで審査請求を行なう場合には六○日)以内(第一四条第一項本文)又は決定があつた日の翌日から起算して一年以内(第一四条第三項本文)のいづれか早い日まで(なお、例外については第一四条第一項ただし書、同条第二項、同条第三項参照)とされている。なお、前記2のエの不服申立てについては、事の性質上格別の期間の制限はない。