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○児童扶養手当法等の施行について

(昭和三六年一二月二一日)

(児発第一三五六号)

(各都道府県知事あて厚生省児童局長通達)

児童扶養手当法の施行については、本年一二月二一日厚生省発児第三一八号各都道府県知事あて厚生事務次官通達「児童扶養手当法等の施行について」によつてその大綱が示されたところであるが、同法の施行については、同通達によるほか次の事項に留意してその適正な施行を期せられたい。

なお、この通達においては、児童扶養手当法を「法」と児童扶養手当法施行令を「令」とそれぞれ略称する。

第一 手当の支給要件について

一 積極的支給要件

(一) 法第四条第一項は、児童扶養手当(以下「手当」という。)を支給する積極的要件についての規定であるが、母が児童と同居しないでこれを監護する場合の取扱いについては、おつて通達する予定であるのでそれによつて処理されたいこと。

(二) 児童福祉施設の長その他の職員は、法第四条第一項の養育者として取り扱わず、また、児童福祉施設(母子寮、保育所及び精神薄弱児通園施設を除く。)に児童福祉法第二十七条第一項第三号の規定によつて入所させられている児童及び少年院等に収容されている児童の母は、当該児童を監護しないものとして取り扱うこと。

(三) 児童のみの世帯等で児童を養育している者が未成年者である場合でも、児童を養育している実態があればこれを養育者として取り扱つて差し支えないものであるが、この場合における申請又は支払の手続等については、おつて通達する予定であること。

(四) 法第四条第一項各号及び令第一条各号に規定する児童については次の点に留意されたいこと。

イ 父の生死が明らかでない場合とは、次の場合をいうものとすること。

(イ) 沈没した船舶に乗つていた場合その他死亡の原因となるべき危難に遭遇し、その危難が去つた後三カ月以上生死が明らかでない場合

(ロ) (イ)以外の場合にあつては、一年以上生死が明らかでないとき。

ロ 父が児童を遺棄している場合とは、父が児童と同居しないで扶養義務及び監護義務をまつたく放棄している場合をいうものであること。

ハ 令第一条第五号は、同条第四号に該当するかどうかが明らかでない児童について規定しているが、これは、いわゆる棄児等で母が児童を懐胎した当時の事情が不明である児童をいうものであること。

二 消極的支給要件

(一) 法第四条第二項は、手当を支給しない場合の児童に関する消極的要件についての規定であるが、同項第八号の規定については、児童と母の配偶者とが同一世帯に属している場合は、その者が長期疾病等によつて児童の生計を維持していると認め難い特別の事情がある場合を除き、通例は母の配偶者に養育されているものと推定されるものであること。

(二) 法第四条第三項は、手当を支給しない場合の母又は養育者に関する消極的要件について規定したものであるが、母又は養育者がいかなる種類の公的年金給付を受けることができる場合でも手当は支給されないことに留意すること。

三 所得制限について

(一) 法第九条から第一三条までの規定は所得に関する支給の要件に関する規定であつて、第九条は手当の請求者、第一○条はその配偶者、第一一条及び第一二条はその扶養義務者の所得について、第一三条はこれらの者が災害を受けた場合の措置について、それぞれ規定しているものであり、この制限に該当する場合は、その年の五月から翌年四月までは受給資格がないこととなるものであること。

なお、ここでいう所得とは前年の所得をいうのであるが、五月から翌年四月までを一期間とする関係上一月から四月までの分の手当は前前年の所得によつて認定するものであること。

(二) この所得制限の適用にあたつては次の点に留意されたいこと。

イ 法第九条第一項において加算の対象となる児童は、法第三条第一項の要件を満たす者であれば手当の支給対象児童でなくともこの対象となり、その数及び生計維持関係は前年又は前前年の一二月三一日において認定し、その後の異動にかかわらないこと。

ロ 法第九条第二項の所得の範囲及び額の計算方法は、令第三条に規定するものであるが、その具体的内容については、所得税法に規定されているものであること。

ハ 法第一○条から第一二条までに規定する法第四条の支給要件に該当する者の配偶者、扶養義務者の有無の状況については、その所得に関しては前年又は前前年のものによることになつているが、この場合は現在時点においてその状況を認定するものであること。

ニ 法第一一条及び第一二条の政令で定める金額は、昭和三五年分の所得税額に関し児童扶養手当法に基づく児童扶養手当の支給の制限の基準となる金額を定める政令(昭和三六年政令第四○六号)に定められているものであること。

ホ 法第一一条において母と生計を同じくするものかどうかは、住民票その他の公簿の同居の関係によつて認定するが、この生計を同じくする者が二人以上ある場合においてもそれらの所得を合算せず、これらのうち、少なくとも一人がこれに該当するかどうかで認定すること。

ヘ 法第一二条において、養育者の生計を維持したものとは、直接又は間接に養育者の生計費の全部又は大部分を負担していることをいうが、このような者が二人以上ある場合は最も多額の費用を負担している者を生計を維持しているものとすること。

ト 養育者の場合においては、所得制限の関係上手当の請求者が法第四条第一項に規定する生計維持の要件を満たしているかどうかに十分留意すること。

三 認定にあたつて留意すべき事項

本制度の特殊性及び手当の支給要件の複雑性にかんがみ、受給資格の認定にあたつては、必要に応じ法第二九条の調査又は第三○条の資料の提供等を求め、また、簡明な事例を先に処理し、複雑な事例は後で十分審査する等、その適正な認定を期せられたいこと。

第二 その他の事項について

一 未支払の手当

法第一六条は、手当の受給者の死亡した場合の規定であるが、この場合には、法第七条第三項ただし書の規定により、その死亡した日の属する月までの分の手当は、その支払期月でない月であつても支払うものであり、その受給の手続等については、おつて通達するものであること。

二 不服の申立て

法第一七条から第二○条までは不服の申立てに関する規定であり、その手続については令第五条及び第六条に規定してあるが、法第一八条第一項の審査の請求は、令第六条第一項の規定により、直接厚生大臣に対して行なうこととなつているが、都道府県知事を経由して行なつても差し支えないものであること。なお、この不服の申立てに関しては、その書式については特に定めないので、令第五条第一項各号に定める事項(令第六条第一項において準用する場合を含む。)が記載されていれば足りるものであること。

三 時効

法第二二条の時効の規定は、手当の支給が受給資格者が請求した日(その請求を市町村(特別区を含む。)において受付けた日)の属する月の翌月から行なわれる関係上、手当の支払を現実に受けることができる日から起算して二年を経過した日に時効が完成するものと解されたいこと。

四 手当の支払の事務

手当の支払の事務は、法第三二条第一項の規定によつて、郵政大臣が取り扱うこととなつており、この支払の事務手続については近く郵政省令が公布される予定であること。手当の支払は、児童扶養手当支払郵便局に児童扶養手当証書を提出してこれを受けることとなり、この支払郵便局は、手当の受給者と同一の都道府県内にある郵便局のうちからあらかじめ指定されるものがこれになる予定であること。