添付一覧
○児童扶養手当法等の施行について
(昭和三六年一二月二一日)
(発児第三一八号)
(各都府県知事あて厚生事務次官通達)
児童扶養手当法は、昭和三六年一一月二九日法律第二三八号として公布され、これに伴う児童扶養手当法施行令(昭和三六年政令第四○五号)、昭和三五年分の所得税額に関し児童扶養手当法に基づく児童扶養手当の支給制限の基準となる金額を定める政令(昭和三六年政令第四○六号)及び児童扶養手当法施行規則(昭和三六年厚生省令第五一号)も同年一二月七日公布され、それぞれ昭和三七年一月一日から施行されることになつた。この法律は、これに関する法案が第三八通常国会に提案されたところ審議未了となつたが、衆議院社会労働委員会で修正可決された内容をそのままとり入れて改めて第三九回臨時国会に提案され成立したものである。
児童及び母子の福祉を図る施策としては、児童福祉法をはじめ、母子福祉資金の貸付等に関する法律その他種類の制度があるが、この児童扶養手当制度は児童及び母子の福祉を更に増進する制度としてきわめて重要なものと考えられる。
この制度に関し、次にその大綱と特に留意すべき点を示すから、これらにつき十分配慮され、これが運営に遺憾のないよう取り計らわれたく、命によつて通達する。
一 立法の趣旨
母子世帯には社会的経済的に困窮している事例が多いことは諸種の統計の示すところであり、母子世帯の母が児童を扶養する努力を経済的に援助する必要があることはいうまでもない。母子世帯の所得保障を図る制度としては、母子福祉年金をはじめ各種の公的年金制度があるが、これらの制度はいずれも夫と死別した母と子の世帯のみを対象としており、夫と離別した母と子の世帯を対象としてはいない。離婚を年金保険事故とすることは不適当であり、また、母子福祉年金は拠出制を前提とする国民年金法の体系の一環として存在するものである。従つて夫と離別した母子世帯については、年金による所得保障の途がないということになるが、それでは死別の母子世帯の均衡を欠くこととなる。また、母子世帯以外に、父母の欠けている児童を祖父母、伯叔父、兄姉その他の者が養い育てている事例も少なくない。
この法律は、以上の諸点を考慮し、経済的支柱である父と生計を同じくしていない児童の世帯に手当を支給し、もつて児童の福祉の増進を図るために立案されたものであること。
二 支給要件
この手当は、父母が婚姻を解消した後父と生計を異にする児童、父が死亡した児童、父が障害である児童、父が生死不明の児童、父が引き続き一年以上遺棄している児童、父が法令により引き続き一年以上拘禁されている児童、母が婚姻(事実婚を含む。)によらないで懐胎した児童等であつて義務教育終了前のものを母が監護している場合及び母がないか若しくは母が監護しないため母以外の者が養育している場合に支給されるが、母若しくは養育者又は児童が公的年金給付若しくは遺族補償(費)を受けることができる場合、児童が里親に委託されている場合、児童が母の配偶者に養育されている場合等には支給されないこと。
以上のように、この制度の支給要件は相当に複雑であるので、別途通達されるところに従い、その認定に遺漏なきを期せられたいこと。
三 所得による支給制限
母若しくは養育者に、前年において一三万円(前年の一二月三一日に生計を維持した児童一人につき三万円を加算する。)をこえる所得があつた場合、母若しくは養育者の配偶者の所得につき、前年において所得税額があつた場合又は母若しくは養育者の扶養義務者に前年において標準世帯にして五○万円程度以上の所得があつた場合は、その年の五月から翌年の四月までこの手当は支給されないこととされていること。このように、この制度は、低所得階層を対象とするものであるから、その運営に当たつては、この点を十分配慮し、特に所得認定関係の書類の整備及び審査事務の適正な処理について管下市町村を十分に指導されたいこと。
四 手当類、支給期間及び支払期月
(一) 児童扶養手当の額は、児童一人の場合は月八○○円、二人の場合は一、二○○円、三人以上の場合は、一、二○○円に三人以上の一人につき二○○円を加算した額であること。
(二) 支給期間は、受給資格者が認定の請求をした日の属する月の翌月から手当の支給の事由が消滅した日の属する月までであることとする。ただ災害その他やむを得ない理由により請求できなかつた場合のみ例外としてさかのぼる取扱いが認められている。この点は支給すべき事由の発生時期を起点とする各種年金保険制度と異なるところであるが、この意味においても、この制度の周知徹底については十分に配慮せられたいこと。
なお、この制度発足の際は、昭和三七年一月一日に支給要件に該当する者が同年三月三一日までに認定の請求をすれば同年一月から手当の支給が開始される等の経過措置が認められていること。
(三) 支給期月は、一月、五月及び九月であるが、昭和三七年においては、三月、五月及び九月であること。
五 事務機構等
(一) 受給資格及び手当の額の認定は都道府県知事が行ない、市町村長は、認定の請求の受理及びその請求に係る事実についての審査、手当の増額改定の認定の請求の受理及びその請求に係る事実についての審査、厚生省令で定める事項の届出等の受理及びその届出に係る事実についての審査並びに児童扶養手当に関する証書の交付に関する事務を行ない、手当の支払に関する事務は郵政大臣が取り扱うこととなつているが、市町村で行なわれるしこれらの事務については、その適正な執行がなされるよう十分に指導を行なわれるとともに、都道府県における事務機構の整備を図り、また、管下関係諸機関の相互の連携が密接に行なわれるよう配慮されたいこと。
なお、都道府県におけるこの制度に関する事務は児童福祉主管課(部)において取り扱うようにされたいこと。
(二) 児童扶養手当の事務の執行に要する費用は、おつてこれに関する政令が制定されるものであること。
