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○平成一〇年度児童福祉行政指導監査の実施について

(平成一〇年三月三一日)

(児発第二五一号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生省児童家庭局長通知)

児童福祉施設(児童家庭局所管施設並びに里親及び保護受託者。以下同じ。)に対する指導監査については、かねてから格段のご配意を煩わしているところであるが、近年の多様化するニーズに対応した適正な行政運営を確保するためには、児童福祉施設及び市町村等実施機関に対する指導監査を一層充実する必要がある。

このため、平成一〇年度における児童福祉行政指導監査についての重点事項を定めたので、特に左記の事項に留意してその効果的な実施について遺憾のないよう配慮されたい。

1 児童福祉行政指導監査関係

(1) 社会福祉法人及び児童福祉施設の運営の適正化について

入所児童等の処遇の確保及び職員処遇の確保等適正な施設運営については、引き続き指導監査を通じて指導の徹底を図られたい。

特に、社会福祉法人の運営状況を見ると、理事会機能や監事監査等について、依然として是正又は改善を要するものが認められる。

不祥事等の事例でも、社会福祉法人の理事会等が十分機能していなかったり、会計事務に関する内部牽制体制が確立されていないこと等に起因することが多いので、事件の発生を未然に防止する見地からも法人運営、施設運営の実態を常時把握し、その責任者に対して社会福祉事業の趣旨及び厳正な経理の取扱い等について十分な理解と認識を求める必要がある。

なお、問題を有する法人及び施設に対しては、問題発生の原因や経緯を把握し、解決に向けた具体的方針等を持って、継続的に指導されたい。

(2) 保育所入所事務の適正実施について

今般、保育所入所の仕組みが、市町村や保育所の提供する情報に基づいて、保護者が希望する保育所を選択して申し込みを行うよう改正されたところであるが、特に、市町村における入所児童の選考に当たっては、児童の家庭の状況、地域の実情等を十分に踏まえて、市町村が定める客観的な選考方法等に基づき公正に行われるよう指導するとともに、情報提供の実施状況あるいは広域入所の取組み等についても先般の施行通知(平成九年九月二五日児発第五九六号児童家庭局長通知)の趣旨を十分踏まえ指導を徹底されたい。

また、都市部を中心に低年齢児の待機児童が生じている状況にあるが、一部保育所において定員に余裕のある事例も見受けられるので、地域における保育需要を的確に把握してきめ細かな施策を講ずるとともに、年度当初及び年度途中の入所定員の弾力化措置を活用するなど、待機児童の解消に向けた施策の実施についての指導を徹底されたい。

なお、平成一〇年度から短時間勤務保母の取扱いや調理業務の委託について新たな方針を示したところであるが、それぞれの施行通知の趣旨を踏まえ、その適正な実施についての指導に努められたい。

(3) 保育所運営費負担金等関係事務の適正実施について

保育所運営費及び児童入所施設措置費等関係事務の適正な執行を確保する上から、実施機関における負担金等の支弁及び徴収等経理事務に対する指導監査について遺憾のないようされたい。

特に、保育所入所に係る徴収金の世帯階層区分の認定については、保護者から必要な書類を求める等により課税状況の把握に努めるとともに、税務関係機関と連携を図って確認する等不適正な事例がないよう引き続き指導を徹底されたい。

(4) 入所児童等の適正な処遇等の確保について

児童養護施設等入所児童の処遇については、先に改正された児童福祉施設最低基準等を踏まえて、体罰等懲戒権が濫用されていないか、入所児童の意見を表明する機会が十分確保されているか等人権に配慮した適切な運営が行われるよう指導するとともに、児童の自立支援に向けた取組みが一層図られるよう適正に指導されたい。

また、母子生活支援施設においては、個々の母子の生活の状況と稼働の実態に応じた適切な支援を行って入所者の自立が促進されるよう指導を徹底されたい。

(5) 認可外保育施設の指導監督について

認可外保育施設に対する指導監督については、乳幼児の処遇、安全や衛生の確保を期するために、設備面のみならず、処遇面についても引き続き点検指導の徹底を図られたい。

2 児童扶養手当支給事務関係

本制度は、手当の支給要件が複雑多岐にわたり、かつ、事実関係等に変動要因が多いことから、支給要件に係る事実を常に的確に把握することが必要である。

特に、市町村における認定請求書の受理及び事実の審査、公的年金の受給資格の審査、現況届未提出者等に対する提出指導及び受給資格喪失届提出の励行等支給事務がより適正に行われるよう指導の徹底を図られたい。

3 重点事項及び着眼点等

平成一〇年度の都道府県、指定都市及び中核市が実施する指導監査の重点事項及び着眼点は別紙のとおりとするが、各都道府県、指定都市及び中核市においても自ら実施した指導監査の結果等を考慮して、さらに細目を定める等実効ある指導監査の実施に努められたい。

なお、今般の児童福祉法改正等を踏まえて「児童福祉施設指導監査の実施について」(昭和六二年五月六日児発第三九九号児童家庭局長通知)を改正し通知している(平成一〇年三月三一日児発第二五〇号児童家庭局長通知)ところである。

別紙

平成10年度児童福祉行政指導監査の重点事項及び着眼点

重点事項

着眼点

[市町村等実施機関における入所事務等の適正実施]

 

1 保育所入所事務等の状況

(1) 低年齢児(0~2歳)の入所状況、開所・閉所時間、保育時間、育休・産休明け保育、年度当初・途中入所等の保育需要を適切に把握し、これらに対する対応計画を立案しているか。

(2) 市町村、保育所等の情報提供の方法、内容等が適正に行われているか。

(3) 保育所入所手続き(申込窓口(保育所の代行も含めて)、申込書類、申込時期、保育の実施期間、入所承諾書の交付等)は利用者の利便に配慮しているか。

(4) 希望どおり定員まで入所させているか。(入所させていない場合はその理由)

(5) 入所の選考(選考する場合の条件・選考基準の制定・内容・公表)は適正に行われているか。

(6) 「保育に欠ける状況」の確認は適正に行われているか。

(7) 広域入所を行っているか。関係市町村との連絡調整等が行われているか。

2 徴収金に係る階層区分の認定状況

同一世帯内の扶養義務者の把握、その課税額確認(特に住宅取得控除)の方法、付加基準適用は適正に行われているか。

3 保育所運営費負担金等の経理状況

(1) 負担金等の支弁(各種加算費(特に民改費の設定、額の算定等)は適正に行われているか。

(2) 負担金等の精算(実支出額、支弁額、徴収金基準額)は適正に行われているか。

[社会福祉法人運営の適正化]

 

1 定款の整備状況

(1) 事業内容、基本財産は定款と一致しているか。

(2) 定款変更手続が適切に行われているか。

2 理事会運営・監事監査の状況

(1) 役員の選任及び構成は適切に行われているか。

(2) 理事会の開催時期及び審議内容は適切か。

(3) 監事監査は適切に行われているか。

3 会計経理・資産管理の状況

(1) 会計経理(特に契約事務)は適正に行われているか。

(2) 資産管理及び財政基盤は適正か。

ア 基本財産、運用財産の管理運用は適正に行われているか。

イ 償還財源は適切か。

ウ 借入金の償還は適切に行われているか。

[施設運営の適正化]

 

1 入所児童等の処遇状況

〔保育所〕

(1) 開所・閉所時間、保育時間、開設日数は適切か。

(2) 入所児童の年齢制限を行っていないか。

(3) 情報提供が適正に行われているか。

(4) 入所児童の発達に応じた適切な保育が行わてれいるか。

(5) 短時間勤務保母が採用されている場合、その配置・処遇は適切に行われているか。

(6) 調理業務の委託が行われている場合、契約内容等は適切に遵守されているか。

〔入所施設〕

(1) 処遇計画の設定及び実施状況は適切か。

ア 児童等の個別特性に対応した適切な処遇が行われているか。

イ 生活指導、職業指導は適切に行われているか。

ウ 児童の意見を表明する機会が十分に確保されているか。

エ 体罰等懲戒権が濫用されていないか。

(2) 自立支援への取組み状況は適切か。

〔共通事項〕

(1) 給食の状況

ア 必要な栄養量が給与されているか。

イ 検食、保存食は適正に行われているか。

ウ 給食材料及び食器の保管は衛生的に行われているか。

エ 食中毒対策は適切に行われているか。

(2) 健康管理は適切に行われているか。

ア 健康診断は定期的に行われているか。

イ 居室、食堂及び衣類等は清潔に保たれているか。

ウ 給食関係者の衛生管理(検便等)は適切に行われているか。

(3) 安全管理は適切に行われているか。

ア 事故防止対策は適切か。(設備、遊具等)

イ 消防計画の作成、避難・消火訓練は適切に行われているか。

ウ 消防設備、警報設備等の点検は適切に行われているか。

(4) 保護者、関係機関及び地域との連携が適切に行われているか。

(5) 入所児童等の預り金等の取扱いは適切に行われているか。(使途、保管方法等)

2 職員処遇の状況

(1) 職員は充足されているか。

ア 直接処遇職員(加算職員を含む。)は適正に配置されているか。

イ 施設長は職務に専念しているか。

ウ 育児休業、産休等代替職員は確保されているか。

(2) 就業規則、給与規程等は適正に整備されているか。

ア 職員の勤務時間(週40時間)、休憩時間、夜間の勤務、休暇等の取扱いは適正に行われているか。

イ 給与水準、初任給、昇給、給与改定等は適正に行われているか。

ウ 労働基準法第24条、第36条の労使協定は締結されているか。

(3) 職員の健康管理は適切に行われているか。

(4) 職員の研修への参加は適切に行われているか。

(5) 社会福祉施設職員等退職手当共済制度を活用しているか。

ア 退職手当制度への加入状況は適正か。

イ 社会福祉・医療事業団に提出されている本俸月額は適正か。

3 会計経理の状況

(1) 予算の編成、執行は適正に行われているか。

(2) 決算は適正に行われているか。

(3) 経理事務処理の状況

ア 寄付金品、利用料収入等の取扱いは適切か。

イ 契約、支払は適切に行われているか。

ウ 貸付金は年度内に補てんされているか。

エ 対象外経費の支出が行われていないか。

(4) 本部会計への繰り入れ及び引当金への繰り入れは適切か。

(5) 現金、預金の保管管理は適切に行われているか。

(6) 物品管理は適切に行われているか。

(7) 内部牽制体制が確立され適正に機能しているか。

(8) 繰越金(欠損金)の発生原因の分析及び取り崩し協議・承認は適切に行っているか。

(9) 延長保育・一時保育利用料及び私的契約児利用料の取扱いは適切に行われているか。

[認可外保育施設の指導監督強化]

施設の実態把握と指導基準等の適合状況の確認

ア 保育に従事する者は適切に確保されているか。

イ 保育施設の構造設備に非常災害及び事故防止対策が講じられているか。

ウ 保育内容、給食等は適切に行われているか。

エ 給食関係者の検便は適切に行われているか。

[児童扶養手当支給事務の適正化]

 

1 制度の広報の状況

(1) 制度の広報は十分行われているか。

(2) 受給者に対し制度(各種届を含む。)の周知が十分行われているか。

2 認定請求書の受理状況

(1) 窓口における認定請求書の作成指導は適切に行われているか。

(2) 認定請求書の受理時において添付書類が整備されているか。

3 認定請求書の審査及び進達の状況

(1) 配偶者、子、扶養義務者との身分関係及び生計維持関係等についての事実関係の確認は十分行われているか。

(2) 受給資格者、配偶者及び扶養義務者の所得等の確認は適切に行われているか。

(3) 戸籍担当部門、住民基本台帳担当部門、年金担当部門、施設入所担当部門等関係機関との連携は十分図られているか。

(4) 受理から進達までの事務処理期間は適切か。

4 現況届の処理状況

(1) 現況届の受理時における添付書類は整備されているか。

(2) 受給者及び扶養義務者の所得、年金の確認は適切に行われているか。

(3) 未提出者に対する提出指導は適切に行われているか。

5 受給資格喪失者に係る事務処理の状況

(1) 資格喪失届の提出指導は適切に行われているか。

(2) 資格喪失届の審査(資格喪失時点の確認を含む。)は適切に行われているか。

(3) 資格喪失届の進達処理は適切に行われているか。