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○保育所における調理業務の委託について

(平成一〇年二月一八日)

(児発第八六号)

(各都道府県知事・指定都市市長・中核市市長あて厚生省児童家庭局長通知)

保育所における調理業務については、これまで施設の職員により行われるものとされていたが、地方分権推進委員会の第二次勧告の指摘等を踏まえ、給食の安全・衛生や栄養等の質の確保が図られていることを前提としつつ、保育所本来の事業の円滑な運営を阻害しない限りにおいて、左記の事項に留意の上、調理業務の委託を認めることとし、平成一〇年四月一日から適用することとしたので、適切な実施を期するよう、貴管下市区町村及び保育所に対し周知徹底及び指導方よろしくお願いしたい。

なお、本通知に従い調理業務の委託を行う施設のうち、全ての業務を委託する施設にあっては、児童福祉施設最低基準等の一部を改正する省令(平成一〇年厚生省令第一五号)第一条により、調理員を置かないことができるものである。

一 調理業務の委託についての基本的な考え方

保育所における給食については、児童の発育段階や健康状態に応じた離乳食・幼児食やアレルギー・アトピー等への配慮など、安全・衛生面及び栄養面等での質の確保が図られるべきものであり、調理業務について保育所が責任をもって行えるよう施設の職員により行われることが原則であり、望ましいこと。しかしながら、施設の管理者が業務上必要な注意を果たし得るような体制及び契約内容により、施設職員による調理と同様な給食の質が確保される場合には、入所児童の処遇の確保につながるよう十分配慮しつつ、当該業務を第三者に委託することは差し支えないものであること。

二 調理室について

施設内の調理室を使用して調理させること。したがって、施設外で調理し搬入する方法は認められないものであること。

三 栄養面での配慮について

調理業務の委託を行う施設にあっては、保育所や保健所・市町村等の栄養士により献立等について栄養面での指導を受けられるような体制にあるなど栄養士による必要な配慮がなされていること。したがって、こうした体制がとられていない施設にあっては、調理業務の委託を行うことはできないものであること。

四 施設の行う業務について

施設は次に掲げる業務を自ら実施すること。

ア 受託事業者に対して、一の基本的な考え方の趣旨を踏まえ、保育所における給食の重要性を認識させること。

イ 入所児童の栄養基準及び献立の作成基準を受託業者に明示するとともに、献立表が当該基準どおり作成されているか事前に確認すること。

ウ 献立表に示された食事内容の調理等について、必要な事項を現場作業責任者に指示を与えること。

エ 毎回、検食を行うこと。

オ 受託業者が実施した給食業務従事者の健康診断及び検便の実施状況並びに結果を確認すること。

カ 調理業務の衛生的取扱い、購入材料その他契約の履行状況を確認すること。

キ 随時児童の嗜好調査の実施及び喫食状況の把握を行うとともに、栄養基準を満たしていることを確認すること。

ク 適正な発育や健康の保持増進の観点から、入所児童及び保護者に対する栄養指導を積極的に進めるよう努めること。

五 受託業者について

受託業者は次に掲げる事項のすべてを満たすものであること。

ア 保育所における給食の趣旨を十分認識し、適正な給食材料を使用するとともに所要の栄養量が確保される調理を行うものであること。

イ 調理業務の運営実績や組織形態からみて、当該受託業務を継続的かつ安定的に遂行できる能力を有すると認められるものであること。

ウ 受託業務に関し、専門的な立場から必要な指導を行う栄養士が確保されているものであること。

エ 調理業務に従事する者の大半は、当該業務について相当の経験を有するものであること。

オ 調理業務従事者に対して、定期的に、衛生面及び技術面の教育又は訓練を実施するものであること。

カ 調理業務従事者に対して、定期的に、健康診断及び検便を実施するものであること。

キ 不当廉売行為等健全な商習慣に違反する行為を行わないものであること。

六 業務の委託契約について

施設が調理業務を業者に委託する場合には、その契約内容、施設と受託業者との業務分担及び経費負担を明確にした契約書を取り交すこと。

なお、その契約書には、前記五のア、エ、オ及びカに係る事項並びに次に掲げる事項を明確にすること。

ア 受託業者に対して、施設側から必要な資料の提出を求めることができること。

イ 受託業者が契約書で定めた事項を誠実に履行しないと保育所が認めたとき、その他受託業者が適正な給食を確保する上で支障となる行為を行ったときは、契約期間中であっても保育所側において契約を解除できること。

ウ 受託業者の労働争議その他の事情により、受託業務の遂行が困難となった場合の業務の代行保証に関すること。

エ 受託業者の責任で法定伝染病又は食中毒等の事故が発生した場合及び契約に定める義務を履行しないため保育所に損害を与えた場合は、受託業者は保育所に対し損害賠償を行うこと。

七 その他

(一) 保育所全体の調理業務に対する保健衛生面・栄養面については、従来より保健所等による助言・指導をお願いしているところであるが、今後とも保健所や市町村の栄養士の活用等による指導が十分に行われるよう配慮すること。

(二) 都道府県知事又は指定都市若しくは中核市市長は、適宜、前記二から六までの条件の遵守等につき必要な指導を行うものとすること。