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○保育所の設置認可等について

(平成12年3月30日)

(児発第295号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生省児童家庭局長通知)

保育所の設置認可等については、「保育所の設置認可等について」(昭和38年3月19日児発第271号。以下「児発第271号通知」という。)により行ってきたところであるが、待機児童の解消等の課題に対して地域の実情に応じた取組みを容易にする観点も踏まえ、今般、保育所の設置認可の指針を左記のとおり改めたので、貴職において保育所の設置認可を行う際に適切に配意願いたい。

また、保育所の設置認可に係る申請があった際に、その内容が児童福祉法(昭和22年法律第164号)第45条第1項の基準その他の関係法令に適合するものでなければ認可してはならないことは当然であり、この点については従来の取扱いと変更がないものであるので、念のため申し添える。

第1 保育所設置認可の指針

1 認可制度の見直しについて

今回、法第35条第5項各号に保育所の設置認可に関する審査基準等が定められるとともに、当該地域で保育需要が充足されていない場合には、設置主体を問わず、審査基準に適合している者から保育所の設置に係る申請があった場合には、認可するものとするとされており、認可に当たっては、法の規定を踏まえて審査を行うこと。

2 地域の状況の把握及び保育所認可に係る基本的な需給調整の考え方

子ども・子育て支援新制度においては、教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業の提供体制の整備並びに子ども・子育て支援給付及び地域子ども・子育て支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針(平成26年7月2日内閣府告示第159号。以下「基本指針」という。)に即し、市町村においては子ども・子育て支援事業計画を、都道府県においては、子ども・子育て支援事業支援計画を定めることとされており、都道府県知事(指定都市及び中核市においては市長。以下同じ。)においては、当該計画に基づき、基本指針第三の四の2の(二)の(2)「都道府県の認可及び認定に係る需給調整の考え方」を踏まえて、保育所設置認可申請への対応を行うこと。

3 認可申請に係る審査等

保育所設置認可申請については、2で把握した地域の状況を踏まえつつ、個別の申請の内容について、以下の点を踏まえ審査等を行うこと。

(1) 定員

保育所の定員は、20人以上とすること。

(2) 社会福祉法人又は学校法人による設置認可申請

認可の申請をした者が社会福祉法人又は学校法人である場合にあっては、都道府県知事は、法第45条第1項の条例で定める基準(保育所に係るものに限る。)に適合するかどうかを審査するほか、法第35条第5項第4号に掲げられた基準によって審査すること。

(3) 社会福祉法人及び学校法人(以下「社会福祉法人等」という。)以外の者による設置認可申請

① 審査の基準

社会福祉法人等以外の者から保育所の設置認可に関する申請があった場合には、法第45条第1項の条例で定める基準(保育所に係るものに限る。)に適合するかどうかを審査するほか、法第35条第5項各号に掲げられた基準によって審査すること。その際の基準については以下のとおりであること。

ア 保育所を経営するために必要な経済的基礎があること。

「必要な経済的基礎がある」とは、以下の(ア)及び(イ)のいずれも満たすものをいうこと。また、当該認可を受ける主体が他事業を行っている場合については(ウ)も満たすこと。

(ア) 原則として、保育所の経営を行うために直接必要なすべての物件について所有権を有しているか、又は国若しくは地方公共団体から貸与若しくは使用許可を受けていること。ただし、「不動産の貸与を受けて保育所を設置する場合の要件緩和について」(平成16年5月24日雇児発第0524002号、社援発第0524008号)に定められた要件を満たしている場合には、「必要な経済的基礎がある」と取り扱って差し支えないこと。

(イ) 保育所の年間事業費の12分の1以上に相当する資金を、普通預金、当座預金等により有していること。

(ウ) 直近の会計年度において、保育所を経営する事業以外の事業を含む当該主体の全体の財務内容について、3年以上連続して損失を計上していないこと。

イ 当該保育所の経営担当役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)が社会的信望を有すること。

ウ 実務を担当する幹部職員が社会福祉事業に関する知識又は経験を有すること。

「実務を担当する幹部職員が社会福祉事業に関する知識又は経験を有すること」とは(ア)及び(イ)のいずれにも該当するか、又は(ウ)に該当すること。なお、この場合の「保育所等」とは、保育所並びに保育所以外の児童福祉施設、認定こども園、幼稚園、家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業及び事業所内保育事業をいうこと。

(ア) 実務を担当する幹部職員が、保育所等において二年以上勤務した経験を有する者であるか、若しくはこれと同等以上の能力を有すると認められる者であるか、又は、経営担当役員者に社会福祉事業について知識経験を有する者を含むこと。

(イ) 社会福祉事業について知識経験を有する者、保育サービスの利用者(これに準ずる者を含む。)及び実務を担当する幹部職員を含む運営委員会(保育所の運営に関し、当該保育所の設置者の相談に応じ、又は意見を述べる委員会をいう。)を設置すること。

(ウ) 経営担当役員者に、保育サービスの利用者(これに準ずる者を含む。)及び実務を担当する幹部職員を含むこと。

エ 法第35条第5項第4号に掲げられた基準に該当しないこと。

② 社会福祉法人以外の者に対する設置認可の際の条件

社会福祉法人以外の者に対して保育所の設置認可を行う場合には、設置者の類型を勘案しつつ、以下の条件を付すことが望ましいこと。

ア 法第45条第1項の基準を維持するために、設置者に対して必要な報告を求めた場合には、これに応じること。

イ 特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準(平成26年内閣府令第39号)第33条を踏まえ、収支計算書又は損益計算書において、保育所を経営する事業に係る区分を設けること。

ウ 保育所を経営する事業については、積立金・積立資産明細書を作成すること。

エ 学校法人会計基準及び企業会計の基準による会計処理を行っている者は、イに定める区分ごとに、別紙1の積立金・積立資産明細書を作成すること。

なお、企業会計の基準による会計処理を行っている者は、イに定める区分ごとに、企業会計の基準による貸借対照表(流動資産及び流動負債のみを記載)、及び別紙2の借入金明細書、及び別紙3の基本財産及びその他の固定資産(有形固定資産)の明細書を作成すること。

オ 毎会計年度終了後3か月以内に、次に掲げる書類に、保育所を経営する事業に係る現況報告書を添付して、都道府県知事に対して提出すること。

(ア) 前会計年度末における貸借対照表

(イ) 前会計年度の収支計算書又は損益計算書

(ウ) 保育所を経営する事業に係る前会計年度末における積立金・積立資産明細書

ただし、学校法人会計基準及び企業会計による会計処理を行っている者については、保育所を経営する事業に係る前会計年度末における別紙1の積立金・積立資産明細書

また、企業会計の基準による会計処理を行っている者は、保育所を経営する事業に係る前会計年度末における企業会計の基準による貸借対照表(流動資産及び流動負債のみを記載)、別紙2の借入金明細書、別紙3の基本財産及びその他の固定資産(有形固定資産)の明細書

③ 認可の取消しについて

都道府県知事は、法第58条第1項の規定を踏まえ、保育所が法若しくは法に基づいて発する命令又はこれらに基づいてなす処分に違反したときは、当該保育所に対し、期限を定めて必要な措置をとるべき旨を命じ、さらに当該保育所がその命令に従わないときは、期間を定めて事業の停止を命じることがあり、その際、当該保育所がその命令に従わず他の方法により運営の適正を期しがたいときは、認可の取消しを行うことがあること。

ただし、当該違反が、乳幼児の生命身体に著しい影響を与えるなど、社会通念上著しく悪質であり、改善の見込みがないと考えられる場合については、速やかな事業の停止や認可の取消しを検討すること。

④ 市町村との契約

社会福祉法人等以外の者と市町村との間で保育の実施に係る委託契約を締結する際には、以下の事項を当該契約の中に盛り込むことが望ましいこと。

ア 特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準(平成26年内閣府令第39号)第33条を踏まえ、収支計算書又は損益計算書において、保育所を経営する事業に係る区分を設けること。

イ 保育所を経営する事業については、積立金・積立資産明細書を作成すること。

ウ 学校法人会計基準及び企業会計の基準による会計処理を行っている者は、区分ごとに、別紙1の積立金・積立資産明細書を作成すること。

なお、企業会計の基準による会計処理を行っている者は、区分ごとに、企業会計の基準による貸借対照表(流動資産及び流動負債のみを記載)、及び別紙2の借入金明細書、及び別紙3の基本財産及びその他の固定資産(有形固定資産)の明細書を作成すること。

エ 保育所の認可に対して付された条件を遵守すること。

第2 実施期日等

この通知は子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成24年法律第67号)の施行の日から施行する。なお、「「保育所の設置認可等について」の取扱いについて」(平成12年3月30日児保第10号厚生省児童家庭局保育課長通知)はこの通知の施行に伴って廃止する。

なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4に規定する技術的な勧告に当たるものである。

別紙1

別紙2

別紙3