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「言葉」
(1) 日常生活に必要なあいさつをする。
(2) 話しかけられたり、問いかけられたりしたら、自分なりに言葉で返事をする。
(3) 身の回りの出来事に関する話に興味を持つ。
(4) 友達との会話を楽しむ。
(5) 見たことや聞いたことを話したり、疑問に思ったことを尋ねる。
(6) 保育士の話を親しみを持って聞いたり、保育士と話したりして、様々な言葉に興味を持つ。
(7) 絵本や童話などを読み聞かせてもらい、イメージを広げる。
「表現」
(1) 様々なものの音、色、形、手ざわり、動きなどに気づき、驚いたり感動したりする。
(2) 友達と一緒に音楽を聴いたり、歌ったり、体を動かしたり、楽器を鳴らしたりして楽しむ。
(3) 感じたこと、思ったことや想像したことなどを様々な素材や用具を使って自由に描いたり、作ったりすることを楽しむ。
(4) 童話、絵本、視聴覚教材などを見たり、聞いたりしてイメージを広げ、描いたり、作ったり様々に表現して遊ぶ。
(5) 作ったものを用いて遊んだり、保育士や友達と一緒に身の回りを美しく飾って楽しむ。
(6) 身近な生活経験をごっこ遊びに取り入れて遊ぶ楽しさを味わう。
5 配慮事項
〔基礎的事項〕
(1) 一人一人の子どもの平常の健康状態を把握し、異常に気づいたら優しく問いかけをし、子どもがその状態を話すことができるように配慮するとともに、必要に応じて、速やかに適切な対処をする。
(2) 施設内の採光、換気、保温、清潔など環境保健に配慮する。
(3) 子どもの気持ちを温かく受容し、個人差を考慮して、子どもが安定して活動できるように配慮する。
「健康」
(1) 健康、安全など生活に必要な基本的な習慣は、一人一人の子どもと保育士の親密な関係に基づいて、日常生活の直接的な体験の中で身につくように配慮する。
(2) 子どもの冒険心を大切にし、新しい運動や遊びに対する不安や恐れを取り除くなどして、いきいきとした活動が展開できるように配慮する。
(3) 子どもの生活や経験と遊離した特定の運動や無理な技能の修得に偏らないように配慮する。
「人間関係」
(1) 集団の活動に参加するときは、一人一人の子どもが、それぞれの欲求を満たすことができるよう配慮する。
(2) 友達とのけんかを経験しながら、次第に相手の立場の理解が進み、時には自分の主張を抑制することによって、楽しく遊べることに気づくように配慮する。その際、保育士の優しいまなざしが向けられるようにすることが大切である。
「環境」
(1) 動植物の飼育や栽培の手伝いを通して、それらへの興味や関心を持つようにし、その成長・変化などに感動し、愛護する気持ちを育てるようにする。
(2) 家庭や地域の実態に即して、様々な経験ができるようにし、子どもの発見や驚きを大切にして、社会や自然の事象に関心を持つように配慮する。
(3) 数、量、形などについては、直接それらを取り上げるのではなく、生活や遊びの中で子ども自身の必要に応じて、具体的に体験できるようにして数量的な感覚を育てるように配慮する。
「言葉」
(1) 保育士との間や子ども同士で話す機会を多くし、その中で次第に聞くこと、話すことが楽しめるように配慮する。
(2) 日常会話や絵本、童話、詩などを通して、様々な言葉のきまりや面白さなどに気づき、言葉の感覚が豊かになるように配慮する。
「表現」
(1) 子どものイメージが湧き出るような素材、玩具、用具、生活用品などを用意して、のびのびと表現して遊ぶことができるように配慮する。
保育士の言動は、子どもが美しいものを感じたり、よいものを選んだりすることに強い影響を及ぼすので、それに留意する。
(2) 子ども同士の模倣や認め合いを大切にしながら、表現する意欲や創造性を育てるように配慮する。
(3) 表現しようとする気持ちを大切にし、生活や経験と遊離した特定の技能の修得に偏らないように配慮する。
第九章 五歳児の保育の内容
1 発達の主な特徴
子どもは、この時期、日常生活の上での基本的な習慣は、ほとんど自立し、自分自身でできるようになり、そばで見ていても危なげがなくなり、頼もしくさえ思われてくる。また、運動機能はますます伸び、運動を喜んで行い、なわとびなどもできるようになる。
内面的にも一段と成長し、今までのように大人が「いけない」というから悪いのではなくて、自分なりに考えて納得のいく理由で物事の判断ができる基礎が培われてくる。また、行動を起こす前に考えることもできるようになり、自分や他人を批判する力も芽生えてきて、「ずるい」とか「おかしい」など不当に思うことを言葉で表すようになる。手伝いなども、はっきりと目的を持って行うことが多くなり、しかもその結果についても考えが及ぶようになる。
好きでないことでも、少しは我慢して行い、他人の役に立つことがうれしく、誇らしく感じられるようにもなってくる。
この頃になると、より一層仲間の存在が重要になる。即ち、同じ一つの目的に向かって数人がまとまって活動するようになり、お互いが自分のやらなければならないことや、きまりを守ることの必要性が分かってきて、初めて集団としての機能が発揮されるようになってくる。このような集団の中で言葉による伝達や対話の必要性は増大する。これは自分の思いや考えをうまく表現し、他人の言うことを聞く力を身につける生きた学習の場になる。言葉を主体として遊んだり、さらには共通のイメージを持って遊んだりすることもできるようになる。また、自分と相手との欲求のぶつかり合いやけんかが起きても、今までのようにすぐに保育士に頼るのではなく、自分たちで解決しようとするようになってくる。つまり、お互いに相手を許したり、認めたりする社会生活に必要な基本的な能力を身につけるようになり、仲間の中の一人としての自覚や自信が持てるようになる。
2 保育士の姿勢と関わりの視点
毎日の保育所生活を通して、自主性や自律性が育つ。更に集団での活動も充実し、きまりの意味も理解できる。また、大人の生活にも目を向けることができるときである。社会性がめざましく育つことに留意しながら、子どもの生活を援助していくことが大切である。
3 ねらい
(1) 保健的で安全な環境をつくり、快適に生活できるようにする。
(2) 一人一人の子どもの欲求を十分に満たし、生命の保持と情緒の安定を図る。
(3) 食事をすることの意味が分かり、楽しんで食事や間食をとるようにする。
(4) 午睡など適切な休息をさせ、心身の疲れを癒し、集団生活による緊張を緩和する。
(5) 自分でできることの範囲を広げながら、健康、安全など生活に必要な基本的習慣や態度を身につける。
(6) 安全や危険の意味やきまりが分かり、危険を避けて行動する。
(7) 様々な遊具や用具を使い、複雑な運動や集団遊びを通して体を動かすことを楽しむ。
(8) 周りの人々に対する親しみを深め、集団の中で自己主張したり、また、人の立場を考えながら行動する。
(9) 異年齢の子どもたちと遊ぶ楽しさを味わう。
(10) 身近な社会や自然の環境と触れ合う中で、自分たちの生活との関係に気づき、それらを取り入れて遊ぶ。
(11) 日常生活に必要な事物を見たり、扱ったりなどして、その性質や存在に興味を持ったり、数、量、形などへの関心を深める。
(12) 様々な機会や場で活発に話したり、聞いたりして、生活の中で適切に言葉を使う。
(13) 絵本、童話、視聴覚教材などを見たり聞いたりして、その内容や面白さを楽しみ、イメージを豊かに広げる。
(14) 身近な社会や自然事象への関心が高まり、様々なものの面白さ、不思議さ、美しさなどに感動する。
(15) 感じたことや思ったこと、想像したことなどを自由に工夫して、表現する。
4 内容
〔基礎的事項〕
(1) 一人一人の子どもの平常の健康状態や発育・発達状態を把握し、異常を感じる場合は速やかに適切な対応をする。また、子どもが自分から体の異常を訴えることができるようにする。
(2) 施設内の環境保健に十分に留意し、快適に生活できるようにする。
(3) 一人一人の子どもの気持ちや考えを理解して受容し、保育士との信頼関係の中で、自分の気持ちや考えを安心して表すことができるなど、情緒の安定した生活ができるようにする。
(4) 食事、排泄、睡眠、休息など生理的欲求が適切に満たされ、快適な生活や遊びができるようにする。
「健康」
(1) 体と食物の関係に関心を持つ。
(2) 排泄の後始末を上手にする。
(3) 午睡や休息を自分から進んでする。
(4) 自分で衣服を着脱し、必要に応じて衣服を調節する。
(5) うがい、手洗いの意味が分かり、体や身の回りを清潔にする。
(6) 体の異常について、自分から保育士に訴える。
(7) 危険なものに近寄ったり、危険な場所で遊ばないなど、安全に気をつけて遊ぶ。
(8) 積極的に外で遊ぶ。
(9) 様々な運動器具に進んで取り組み、工夫して遊ぶ。
(10) 友達と一緒に様々な運動や遊びをする。
「人間関係」
(1) 保育士や友達などとの安定した関係の中で、意欲的に遊ぶ。
(2) 簡単なきまりをつくり出したりして、友達と一緒に遊びを発展させる。
(3) 自分の意見を主張するが、相手の意見も受け入れる。
(4) 友達と一緒に食事をし、食事の仕方が身に付く。
(5) 友達への親しみを広げ、深め、自分たちでつくったきまりを守る。
(6) 友達への思いやりを深め、一緒に喜んだり悲しんだりする。
(7) 人に迷惑をかけないように人の立場を考えて行動しようとする。
(8) 共同の遊具や用具を譲り合って使う。
(9) 異年齢の子どもとの関わりを深め、思いやりやいたわりの気持ちを持つ。
(10) 地域のお年寄りなど身近な人に感謝の気持ちを持つ。
(11) 外国の人など自分とは異なる文化を持った様々な人に関心を持つようになる。
「環境」
(1) 身近な動植物に関心を持ち、いたわり、世話をする。
(2) 自然事象が持つ、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気づく。
(3) 身近な公共施設や交通機関などに興味や関心を持つ。
(4) 近隣の生活に興味や関心を持ち、人々が様々な営みをしていることに気づく。
(5) 身近にいる大人が仕事をしている姿を見て、自らも進んで手伝いなどをしようとする。
(6) 自然や身近な事物・事象に関心を持ち、それを遊びに取り入れ、作ったり、工夫したりする。
(7) 身近な用具、器具などに興味を持ち、その仕組みや性質に関心を持つ。
(8) 身近な物を大切に扱い、自分の持ち物を整頓する。
(9) 生活の中で物を集めたり、分けたり、整理したりする。
(10) 簡単な数の範囲で、物を数えたり、比べたり、順番を言ったりする。
(11) 生活の中で、前後、左右、遠近などの位置の違いや時刻、時間などに興味や関心を持つ。
(12) 保育所内外の行事に喜んで参加する。
(13) 祝祭日などに関心を持ち生活に取り入れて遊ぶ。
「言葉」
(1) 親しみを持って日常のあいさつをする。
(2) 話しかけや問いかけに対し適切に応答する。
(3) 身近な事物や事象などについて話したり、名前や日常生活に必要な言葉を使う。
(4) 人の話を注意して聞き、相手にも分かるように話す。
(5) 考えたこと経験したことを保育士や友達に話して会話を楽しむ。
(6) 童話や詩などを聞いたり、自ら表現したりして、言葉の面白さや美しさに興味を持つ。
(7) 絵本、童話などに親しみ、その面白さが分かって、想像して楽しむ。
(8) 生活に必要な簡単な文字や記号などに関心を持つ。
「表現」
(1) 様々な音、形、色、手ざわり、動きなどを周りのものの中で気づいたり見つけたりして楽しむ。
(2) 音楽に親しみ、みんなと一緒に聴いたり、歌ったり、踊ったり、楽器を弾いたりして、音色の美しさやリズムの楽しさを味わう。
(3) 様々な素材や用具を利用して描いたり、作ったりすることを工夫して楽しむ。
(4) 身近な生活に使う簡単なものや様々な遊びに使うものを工夫して作る。
(5) 友達と一緒に描いたり、作ったりすることや身の回りを美しく飾ることを楽しむ。
(6) 自分の想像したものを体の動きや言葉などで表現したり、興味を持った話や出来事を演じたりして楽しむ。
5 配慮事項
〔基礎的事項〕
(1) 一人一人の子どもの平常の状態を把握し、異常に気づいたら優しく問いかけをし、子どもがその状態を話すことができるように配慮するとともに、必要に応じて速やかに適切な対処をする。
(2) 施設内の採光、換気、保温、清潔など環境保健に配慮する。
(3) 子どもの気持ちを温かく受容し、保育所生活の様々な場面で、子どもが安定し、かつ自己を十分に発揮して活動できるように配慮する。
「健康」
(1) 健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度が身につき、自分の体を大切にしようとする気持ちが育ち、自主的に行動することができるように配慮する。
(2) 友達との遊びを通して、体を使って遊ぶことを楽しめるように配慮する。
(3) 子どもの生活や経験と遊離した特定の運動や無理な技能の修得に偏らないように配慮する。
「人間関係」
(1) 一人一人の子どもが友達と関わる中で、個人や社会生活に必要な習慣や態度が身につくように配慮する。
(2) グループを作る場合は、様々な場面で自分を主張でき、相手の立場を認め、他人のよいところを見つける力を育つように配慮する。
(3) 集団生活は、一人一人が生かされ認められるよう、また、子どもが相互に必要な存在であることを実感できるように進められることが必要である。
「環境」
(1) 飼育・栽培を通して、動植物がどのようにして生きているのか、育つのか興味を持ち、生命が持つ不思議さに気づくようにする。
(2) 動植物と自分たちの生活との関わりに目を向け、それらに感謝やいたわりの気持ちを育てていくようにする。
(3) 生活の様々な面を通して、自然や社会の事象に対して、好奇心や探索心を満たすことができるように配慮する。
(4) 身近にいる大人の仕事を見て、自分の生活と大切な関わりのあることに気づくように配慮する。
(5) 日常生活の中で子ども自身の具体的な活動を通して、数、量、形、位置、時間などに気づくように配慮する。
「言葉」
(1) 個人差を考慮して、見たこと、聞いたこと、感じたこと、考えたことを言葉で表現できる雰囲気をつくるように配慮する。
(2) 文字や記号については、日常生活や遊びの中で興味を持つよう、用具、遊具、視聴覚教材などの準備に配慮する。
(3) 絵本や童話などの内容を子どもが自らの経験と結びつけたり、想像をめぐらせたりしてイメージを豊かにできるよう、その選定や読み方に十分な配慮をする。
「表現」
(1) 表現しようとする意欲を高め、結果にとらわれず、一人一人の子どもの創意工夫を認め、創造的な喜びが味わえるように配慮する。
(2) 子どもの考えや子ども同士の認め合いを大切にし、みんなで一緒に表現することの喜びを味わうことができるように配慮する。
(3) 表現しようとする気持ちを大切にし、生活や経験と遊離した特定の技能の修得に偏らないように配慮する。
第一〇章 六歳児の保育の内容
1 発達の主な特徴
子どもは、この時期、細かい手や指の動きは一段と進み、他の部分との協応もうまくできるようになってくる。また、全身運動もよりなめらかになり、快活に跳び回るようになる。心身ともに力に満ちあふれ、あれもしたい、これもしたいという自分の欲求がどんどん膨らんでくる。これは、今までの自分たちの体験を通じて、自分あるいは自分たちはこんなことができるという自信と、今度はこうやればもっとおもしろいにちがいないという予想や見通しをたてる能力が育っているからである。
この頃になると、大人のいいつけに従うよりも自分や仲間の意思を大切にし、それを通そうとするようになる。仲間同士で秘密の探検ごっこなどを嬉々としてする。このような活動の中でも、皆が同じような行動をするのではなくて、それぞれの役割の分担が生じて、自分の好みや個性に応じた立場で行動していることがしばしば見られる。このように集団遊びとして組織だった共同遊びが多くなり、長く続くようになってくる。特に、ごっこ遊びなどには、手の込んだ一連の流れがあり、様々な異なる役割が分化しているものを好み、少々難しくても自分たちの満足のいくまでやろうとする。したがって、各々の発案や実際の過程の観察、様々なところからの知識を生かして、創意工夫を重ねて、遊びが発展していくこともある。
このような体験から大人っぽくなったという実感が湧き、自分でも大きな子のように振る舞おうと努力するようになる。その結果、文字を書いたり、本を読んだりすることにも大いに関心を示し、何でも知ろうとして、一層知識欲が増す。また、言葉が達者になり、口げんかが多くなる。そして、その批判力は大人にも向けられることもある。しかし、人前で泣くことは子どもっぽいこととして恥ずかしく思って、我慢をしたりするようにもなるが、時々保育士に甘えてきて、次にがんばるためのエネルギーを補給していることもある。
2 保育士の姿勢と関わりの視点
様々な遊びが大きく発展するときで、特に一人一人がアイデアを盛り込んで創意工夫をこらす。また、思考力や認識力よりも豊かに身につくときである。したがって、保育材料をはじめ様々な環境の設定に留意する必要がある。
3 ねらい
(1) 保健室で安全な環境をつくり、快適に生活できるようにする。
(2) 一人一人の子どもの欲求を十分に満たし、生命の保持と情緒の安定を図る。
(3) できるだけ多くの種類の食べ物をとり、楽しんで食事や間食をとるようにする。
(4) 午睡など適切な休息をとらせ、心身の疲れを癒し、集団生活による緊張を緩和する。
(5) 体や病気について関心を持ち、健康な生活に必要な基本的な習慣や態度を身につける。
(6) 安全に必要な基本的な習慣や態度を身につけ、そのわけを理解して行動する。
(7) 様々な遊具や用具を使い、複雑な運動や集団的な遊びを通して体を動かすことを楽しむ。
(8) 進んで身近な人と関わり、信頼感や愛情を持って生活する。
(9) 身近な人との関わりの中で、人の立場を理解して行動し、進んで集団での活動に参加する。
(10) 進んで異年齢の子どもたちと関わり、生活や遊びなどで役割を分担する楽しさを味わう。
(11) 身近な社会や自然の環境に自ら関わり、それらと自分たちの生活との関係に気づき、生活や遊びに取り入れる。
(12) 身近な事物や事象に積極的に関わり、見たり扱ったりする中で、その性質や数、量、形への関心を深める。
(13) 自分の経験したこと、考えたことなどを適切な言葉で表現し、相手と伝え合う楽しさを味わう。
(14) 人と話し合うことや、身近な文字に関心を深め、読んだりすることの楽しさを味わう。
(15) 絵本や童話、視聴覚教材などを見たり、聞いたりして様々なイメージを広げるとともに、想像することの楽しさを味わう。
(16) 身近な社会や自然事象への関心を深め、美しさ、やさしさ、尊さなどに対する感覚を豊かにする。
(17) 感じたことや思ったこと、想像したことなどを、様々な方法で工夫して自由に表現する。
4 内容
〔基礎的事項〕
(1) 一人一人の子どもの平常の健康状態や発育・発達状態を把握し、異常を感じる場合は速やかに適切な対応をする。また、子どもが自分から体の異常を保育士に訴えることができるようにする。
(2) 施設内の環境保健に十分に留意し、快適に生活できるようにする。
(3) 一人一人の子どもの気持ちや考えを理解して受容し、保育士との信頼関係の中で自分の気持ちや考えを安心して表すことができるなど、情緒の安定した生活ができるようにする。
(4) 食事、排泄、睡眠、休息など生理的欲求が適切に満たされ、快適な生活や遊びができるようにする。
「健康」
(1) 体と食物との関係について関心を持つ。
(2) 自分の排泄の後始末だけでなく、人に迷惑をかけないように便所の使い方が上手になる。
(3) 休息するわけが分かり、運動や食事の後は静かに休む。
(4) 自分で衣服を着脱し、必要に応じて調節する。
(5) 清潔にしておくことが、病気の予防と関係があることが分かり、体や衣服、持ち物などを清潔にする。
(6) 自分や友達の体の異常について、保育士に知らせる。
(7) 生活の中で、危険を招く事態が分かり、気をつけて行動する。
(8) 積極的に外で様々な運動をする。
(9) 様々な運動器具や遊具を使い、友達と一緒に工夫して、遊びを発展させる。
(10) 自分の目標に向かって努力し、積極的に様々な運動をする。
「人間関係」
(1) 保育士や友達などとの安定した関係の中で、意欲的に生活や遊びを楽しむ。
(2) 集団遊びの楽しさが分かり、きまりを作ったり、それを守ったりして遊ぶ。
(3) 進んで自分の希望や意見、立場を主張したり、一方で相手の意見を受け入れたりする。
(4) 友達との生活や遊びの中できまりがあることの大切さに気づく。
(5) 自分で目標を決め、それに向かって友達と協力してやり遂げようとする。
(6) 友達との関わりの中でよいことや悪いことがあることが分かり、判断して行動する。
(7) 共同の遊具や用具を大切にし、譲り合って使う。
(8) 自分より年齢の低い子どもに、自ら進んで声かけをして誘い、いたわって遊ぶ。
(9) 外国の人など自分とは異なる文化をもった様々な人に関心を持ち、知ろうとするようになる。
「環境」
(1) 身近な動植物に親しみ、いたわったり、進んで世話をしたりする。
(2) 自然事象の性質や変化、大きさ、美しさ、不思議さなどに関心を深める。
(3) 身近な公共施設などの役割に興味や関心を持つ。
(4) 保育所や地域でみんなが使うものを大切にする。
(5) 大人が仕事をすることの意味が分かり、工夫して手伝いなどをするようになる。
(6) 季節により人間の生活に変化のあることに気づく。
(7) 季節により自然に変化があることが分かり、それについて理解する。
(8) 自然や身近な事物・事象に関心を持ち、それらを取り入れて遊ぶ。
(9) 日常生活に必要な用具、器具などに興味や関心を持ち、安全に扱う。
(10) 身近にある事物の働きや仕組み、性質に興味や関心を持ち、考えたり、試したり、工夫したりして使おうとする。
(11) 身近なものを整頓する。
(12) 日常生活の中で簡単な数を数えたり、順番を理解する。
(13) 日常生活の中で数や量の多少は、形に関わりがないことを理解する。
(14) 身近にある標識や文字、記号などに関心を示す。
(15) 身の回りの物には形や位置などがあることに関心を持つ。
(16) 生活や遊びの中で時刻、時間などに関心を持つ。
(17) 保育所内外の行事に進んで参加し、自分なりの役割を果たす。
(18) 祝祭日などに関心を持ち生活に取り入れて遊ぶ。
「言葉」
(1) 日常のあいさつ、伝言、質問、応答、報告が上手になる。
(2) 身近な事物や事象について話したり、日常生活に必要な言葉を適切に使う。
(3) みんなで共通の話題について話し合うことを楽しむ。
(4) 話し相手や場面の違いにより、使う言葉や話し方が違うことに気づく。
(5) 人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す。
(6) 童話や詩などの中の言葉の面白さ、美しさに気づき、自ら使って楽しむ。
(7) 絵本や物語などに親しみ、内容に興味を持ち、様々に想像して楽しむ。
(8) 身近にある文字や記号などに興味や関心を持ち、それを使おうとする。
「表現」
(1) 様々な音、形、色、手ざわり、動きなどに気づき、感動したこと、発見したことなどを創造的に表現する。
(2) 音楽に親しみ、みんなと一緒に聴いたり、歌ったり、踊ったり、楽器を弾いたりして、音色やリズムの楽しさを味わう。
(3) 様々な素材や用具を適切に使い、経験したり、想像したことを、創造的に描いたり、作ったりする。
(4) 身近な生活に使う簡単や物や、遊びに使う物を工夫して作って楽しむ。
(5) 協力し合って、友達と一緒に描いたり、作ったりすることを楽しむ。
(6) 感じたこと、想像したことを、言葉や体、音楽、造形などで自由な方法で、様々な表現を楽しむ。
(7) 自分や友達の表現したものを互いに聞かせ合ったり、見せ合ったりして楽しむ。
(8) 身近にある美しいものを見て、身の回りを美しくしようとする気持ちを持つ。
5 配慮事項
〔基礎的事項〕
(1) 一人一人の子どもの平常の状態を把握し、異常に気づいたら優しく問いかけをして、子どもがその状態を話すことができるように配慮するとともに、必要に応じて、適切な対処をする。
(2) 施設内の採光、換気、保温、清潔など環境保健に配慮する。
(3) 子どもの気持ちを温かく受容し、保育所生活を十分に楽しめるよう、子どもが安定し、かつ自己を十分に発揮して活動できるように配慮する。
「健康」
(1) 健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度を身につけることの大切さを理解し、適切な行動を選択することができるように配慮する。
(2) 様々な運動に取り組み、成就の喜びや自身を持つことができるように配慮する。
(3) 子どもの生活や経験と遊離した特定の運動や無理な技能の修得に偏らないように配慮する。
「人間関係」
(1) 様々な人の存在に気づき、人に役立つことの喜びを感じることができるように配慮する。
(2) 身近に住んでいる様々な人と交流し、共感し合う体験を通して人と関わることの楽しさや大切さを味わうことができるように配慮する。
(3) 周りにいる人たちがすべてかけがえのない存在であり、一人一人を尊重しなければならないことに気づくように配慮する。
「環境」
(1) 動植物との触れ合いや飼育・栽培などを通して、自分たちの生活との関わりに気づき、感謝の気持ちや生命を尊重する心が育つようにする。
(2) 大人の仕事の意味が分かり、手伝いなどを積極的に保育に組み入れるように配慮する。
(3) 社会や自然の事象を直接的に体験できるようにし、必要に応じて視聴覚教材などを活用して、身近な事象をより確かに理解できるように配慮する。
(4) 飼育・栽培を通して、生命を育む自然の摂理の偉大さに畏敬の念を持つように配慮する。
(5) 生活や遊びの中で、様々な事物と具体的な体験を通して、数、量、形、位置、時間などについての感覚が、無理なく養われるように配慮する。
「言葉」
(1) 生活や遊びの中で、言葉の充実を図り、言葉を使って思考することや自分の考えを伝え合う喜びを味わえるようにし、言葉に対する関心が高まるように配慮する。
(2) 本を見ることや身近な様々な文字を読む喜びを大切にし、言葉の感覚が豊かになるように配慮する。
(3) 子どもが、自分の伝えたいことがしっかり相手に伝わる喜びを味わうため、人前で話す機会や場面をできるだけ多く用意する。
「表現」
(1) 表現しようと思うもののイメージが豊かに湧くような雰囲気をつくり、様々な材料や用具を適切に使えるようにしながら、表現する喜びを味わえるように配慮する。
(2) 子ども同士が一緒に活動する場合は、お互いに相手の立場を認め合いながら、協力し合って表現することの喜びを感じることができるように配慮する。
(3) 表現しようとする気持ちを大切にし、生活や経験、能力と遊離した特定の技能の修得に偏らないように配慮する。
第一一章 保育の計画作成上の留意事項
保育の計画作成に当たっての留意事項をあげれば、次のようになる。
1 保育計画と指導計画
保育所では、入所している子どもの生活全体を通じて、第一章に示す保育の目標が達成されるように、全体的な「保育計画」と具体的な「指導計画」とから成る「保育の計画」を作成する。
このような「保育の計画」は、すべての子どもが、入所している間、常に適切な養護と教育を受け、安定した生活を送り、充実した活動ができるように柔軟で、発展的なものとし、また、一貫性のあるものとなるように配慮することが重要である。
保育計画は、第三章から第一〇章に示すねらいと内容を基に、地域の実態、子どもの発達、家庭状況や保護者の意向、保育時間などを考慮して作成する。
また、指導計画はこの保育計画に基づき、子どもの状況を考慮して、乳幼児期にふさわしい生活の中で、一人一人の子どもに必要な体験が得られる保育が展開されるように具体的に作成する。
2 長期的指導計画と短期的指導計画の作成
(1) 各保育所では、子どもの生活や発達を見通した年、期、月など長期的な指導計画と、それと関連しながらより具体的な子どもの生活に即した、週、日などの短期的な指導計画を作成して、保育が適切に展開されるようにすること。
(2) 指導計画は、子どもの個人差に即して保育できるように作成すること。
(3) 保育の内容を指導計画に盛り込むに当たっては、長期的な見通しを持って、子どもの生活にふさわしい具体的なねらいと内容を明確に設定し、適切な環境を構成することなどにより、活動が展開できるようにすること。
ア 具体的なねらい及び内容は、保育所での生活における乳幼児の発達の過程を見通し、生活の連続性、季節の変化などを考慮して、子どもの実態に応じて設定すること。
イ 環境を構成するに当たっては、子どもの生活する姿や発想などを大切にして、具体的なねらいを達成するために適切に構成し、子どもが主体的に活動を展開していくことができるようにすること。
ウ 子どもの行う具体的な活動は、生活の流れの中で様々に変化することに留意して、子どもが望ましい方向に向かって自ら活動を展開できるように必要な援助をすること。
(4) 一日の大半を保育所で生活する子どもの行動は、個人、グループ、組全体など多様に展開されるが、いずれの場合も保育所全体の職員による協力体制の下に、一人一人の子どもの興味や欲求を十分満足させるように適切に援助する。
(5) 子どもの主体的な活動を促すためには、保育士が多様な関わりを持つことが重要であることを踏まえ、子どもの情緒の安定や発達に必要な豊かな体験が得られるように援助を行うこと。
(6) 長期的な指導計画の作成に当たっては、年齢、保育年数の違いなど組の編成の特質に即して、一人一人の子どもが順調な発達を続けていけるようにするとともに、季節や地域の行事などを考慮して、子どもの生活に変化と潤いを持たせるように配慮すること。
なお、各種の行事については、子どもが楽しく参加でき、生活経験が豊かなものになるように、日常の保育との調和のとれた計画を作成して実施すること。
(7) 短期の指導計画の作成に当たっては、長期的な指導計画の具体化を図るとともに、その時期の子どもの実態や生活に即した保育が柔軟に展開されるようにすること。その際、日課との関連では、一日の生活の流れの中に子どもの活動が調和的に組み込まれるようにすること。
3 三歳未満児の指導計画
三歳未満児については、子どもの個人差に即して保育できるように作成し、第三章から第六章に示された事項を基に一人一人の子どもの生育歴、心身の発達及び活動の実態などに即して、個別的な計画を立てるなど必要な配慮をすること。特に、一日二四時間の生活が連続性を持って送れるように、職員の協力体制の中で、家庭との連携を密にし、生活のリズムや保健、安全面に十分配慮すること。
4 三歳以上児の指導計画
三歳以上児については、第七章から第一〇章までに示す事項を基に、具体的なねらいと内容を適切に指導計画に組み込むこと。
組など集団生活での計画が中心となるが、一人一人の子どもが自己を発揮し、主体的な活動ができるように配慮すること。
5 異年齢の編成による保育
異年齢で編成される組やグループで保育を行う場合の指導計画作成に当たっては、一人一人の子どもの生活や経験などを把握し、適切な環境構成や援助などができるよう十分に配慮すること。
6 職員の協力体制
所長、主任保育士、組を担当する保育士、また調理担当職員など保育所全体の職員が協力体制を作り、適切な役割分担をして保育に取り組めるようにする。
7 家庭や地域社会との連携
保育は家庭や地域社会と連携して展開されることが望ましいので、指導計画の作成に当たっては、この点に十分に配慮をすること。その際、地域の自然、人材、行事や公共施設などを積極的に活用し、子どもが豊かな生活体験ができるように工夫すること。
8 小学校との関係
小学校との関係については、子どもの連続的な発達などを考慮して、互いに理解を深めるようにするとともに、子どもが入学に向かって期待感を持ち、自信と積極性を持って生活できるように指導計画の作成に当たってもこの点に配慮すること。
9 障害のある子どもの保育
障害のある子どもに対する保育については、一人一人の子どもの発達や障害の状態を把握し、指導計画の中に位置づけて、適切な環境の下で他の子どもとの生活を通して、両者が共に健全な発達が図られるように努めること。
この際、保育の展開に当たっては、その子どもの発達の状況や日々の状態によっては指導計画にとらわれず、柔軟に保育することや職員の連携体制の中で個別の関わりが十分とれるようにすること。また、家庭との連携を密にし、親の思いを受け止め、必要に応じて専門機関からの助言を受けるなど適切に対応すること。
10 長時間にわたる保育
長時間にわたる保育については、子どもの年齢、生活のリズムや心身の状態に十分配慮して、保育の内容や方法、職員の協力体制、家庭との連携などを指導計画に位置づけて行うようにする。
11 地域活動など特定事業
地域活動など特別事業を行う場合は、実施の趣旨を全職員が理解し、日常の保育との関連の中で、子どもの生活に負担がないように、保育計画及び指導計画の中に盛り込んでいくこと。
12 指導計画の評価・改善
指導計画は、それに基づいて行われた保育の過程を、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化などに即して反省、評価し、その改善に努めること。
第一二章 健康・安全に関する留意事項
保育所の保育においては、子どもの健康と安全は極めて重要な事項であり、一人一人の子どもに応じて健康・安全に留意するとともに、全体の子どもの健康を保持し、安全を守るように心掛けることが大切である。そのためには、一人一人の子どもの心身の状態や発育・発達状態を把握し、第一章総則及び第三章から第一〇章の各年齢別のねらい及び内容の中で関連する事項に留意するとともに、以下に示す留意事項に基づき、日々健康で安全な保育を目指すよう努めることが必要である。
1 日常の保育における保健活動
(1) 子どもの健康状態の把握
ア 子どもの心身の状態に応じた保育を行うためには、子どもの状態を十分に把握しておくことが望ましい。それには、嘱託医の指導の下、保護者からの情報とともに、母子健康手帳等も活用して、適切に把握するように努める。この場合、守秘義務の徹底を図らなければならない。
イ 登所時において、子どもの健康状態を観察するとともに、保護者から子どもの状態について報告を受けるようにする。また、保育中は子どもの状態を観察し、何らかの異常が発見された場合には、保護者に連絡するとともに、嘱託医やその子どものかかりつけの医師などと相談するなど、適切な処置を講ずる。
ウ 子どもの身体を観察するときに、不自然な傷、やけど、身体や下着の汚れ具合等を併せて観察し、身体的虐待や不適切な養育の発見に努める。
(2) 発育・発達状態の把握
子どもの発育・発達状態の把握は、保育の方針の決定や子どもの健康状態を理解する上で必要であるので、体重、身長、頭囲、胸囲などの計測を定期的に行うとともに、バランスのとれた発育に配慮する。また、必要に応じて、精神や運動の機能の発達状態を把握することが望ましい。
(3) 授乳・食事
ア 乳幼児期の食事は、生涯の健康にも関係し、順調な発育・発達に欠くことができない重要なものであり、一人一人の子どもの状態に応じて摂取法や摂取量などが考慮される必要がある。
イ 調乳は、手を清潔に洗った後、消毒した哺乳瓶、乳首を用い、一人一人の子どもに応じた分量で行う。
ウ 授乳は、必ず抱いて、子どもの楽な姿勢で行う。一人一人の子どもの哺乳量を考慮して授乳し、哺乳後は必ず排気させ、吐乳を防ぐ。また、授乳後もその他の体の状態に注意する。
エ 母乳育児を希望する保護者のために、冷凍母乳による栄養法などの配慮を行う。冷凍母乳による授乳を行うときには、十分に清潔で衛生的な処置が必要である。
オ 子どもの発育・発達状態に応じて、ほぼ五か月頃より離乳を開始する。離乳の進行に当たっては、一人一人の子どもの発育・発達状態、食べ方や健康状態を配慮するとともに、次第に食品の種類や献立を豊富にし、栄養のバランスにも気をつける。その際、嘱託医などにも相談し、家庭との連絡を十分に行うことが望ましい。
カ 栄養源の大部分が乳汁以外の食品で摂取できるようになるほぼ一歳から一歳三か月を目安に、遅くとも一歳六か月までに離乳を完了させ、徐々に幼児食に移行させる。また、飲料として牛乳を与える場合には、一歳以降が望ましい。
キ 離乳食を始め、子どもの食事の調理は、清潔を保つように十分注意するとともに、子どもの発育・発達や食欲、さらに咀嚼や嚥下の機能の発達に応じて食品の種類、量、大きさ、固さを増し、将来のよい食習慣の基礎を養うように心がける。
また、保育所での食事の状況について、家庭と連絡をとることが大切である。離乳食、幼児食などを与えた際、嘔吐、下痢、発疹などの体の状態の変化を常に観察し、異常が見られたときには、安易な食事制限などは行わず、保護者や嘱託医などと相談して、食事について必要な処置を行う。さらに、食事を与えるときには、その子どもの食欲に応じて、無理強いしないように注意する。
(4) 排泄
ア 排泄・排便の回数や性状は健康状態を把握する指標となるので、その変化に留意する。その際、家庭と密接な連携をとることが望ましい。
イ 発達状態に応じて、排泄の自立のための働きかけを行うが、無理なしつけは自立を遅らせたり、精神保健上も好ましくないので、自立を急がせないように留意する。
(5) 健康習慣・休養・体力づくり
ア 虫歯の予防に努めるとともに、虫歯予防に関心を持たせる。
イ 歯ブラシ、コップ、タオル、ハンカチなどは、一人一人の子どものものを準備する。
ウ 季節や活動状況に応じて、子どもの疲労に注意して、適切な休養がとれるように配慮する。また、休養の方法は、一人一人の子どもに適したものとし、必ずしも午睡に限定することなく、心身の安静が保てるような環境の設定に配慮する。
エ 午睡の時には、一人一人の子どもの状態に応じて、寝つきや睡眠中及び起床時の状態を、適宜観察するなどの配慮をする。
オ 子どもは、一人一人の状況に応じた健康の維持増進が必要であり、保育の中で積極的に体力づくりを導入するように配慮する。体力づくりは、一人一人の子どもの状態、季節・気候に応じてその項目・程度を決めて安全に注意して実施する。
2 健康診断
(1) 子どもの健康状態の把握のため、嘱託医などにより定期的に健康診断を行う。また、子どもの日常の健康状態を適切に把握するためには、保育士の日頃の観察が必要であるとともに、保護者との密接な連携が必要である。
(2) 入所に際しては、事前に一人一人の健康状態や疾病異常などの把握ができるように留意する。
(3) 診察、計測、検査、子どもの健康状態や発育・発達状態・疾病異常の有無の把握などについては、嘱託医と話し合いながら実施し、年月齢に応じた項目を考慮する。
また、精神保健上の問題などについても把握できるようにする。
(4) 健康診断などの結果を記録し、保育に活用するように努めるとともに、家庭に連絡し、保護者が子どもの状態を理解できるようにする。さらに、必要に応じて、嘱託医などによる保護者に対する相談指導を行う。
(5) 診察、計測、検査などの結果については、母子健康手帳を有効に活用し、市町村や保健所が実施する健康診査、保健指導などの保健活動と相互に連携する上で役立てるようにする。
(6) 結果に応じて市町村や保健所、医療機関と連携をとり、必要によっては協力を求める。
3 予防接種
(1) 予防接種は、子どもの感染症予防上欠くことのできないものであり、一人一人のかかりつけの医師や嘱託医の指導の下に、できるだけ標準的な接種年齢の内に接種を受けるように保護者に勧める。
(2) 子どもが個々に予防接種を実施した場合は、保育所に連絡するように指導する。
また、接種後は、子どもの状態を観察するように努める。
4 疾病異常等に関する対応
(1) 感染症
ア 保育中に、感染症の疑いのある病気の子どもを発見したときは、嘱託医に相談して指示を受けるとともに、保護者との連絡を密にし、必要な処置をする。
イ 保育所で、感染症の発生が分かったときには、嘱託医の指導の下に、他の保護者にも連絡をとる。感染症にかかった子どもについては、嘱託医やかかりつけの医師の指示に従うように保護者の協力を求める。特に、いわゆる学校伝染病として定められている病気にかかった子どもが保育所に再び通い始める時期は、その出席停止期間を基本とし、子どもの回復状態に応じて、他の子どもへの感染の防止が図られるよう、嘱託医やかかりつけの医師などの意見を踏まえて、保護者に指導する。また、学校伝染病に定められていない感染症については、嘱託医などの指示に従う。
(2) 病気の子どもの保育
ア 地域内に乳幼児健康支援一時預かり事業などの実施施設があるときには、保護者にその利用についての情報提供に努める。
イ 保育中に体調が悪くなった子どもについては、嘱託医などに相談して、適切な処置が行えるように配慮しておくことが望ましい。
(3) 救急処置
不時の事態に備え、必要な救急用の薬品、材料を整備するとともに、救急処置の意義を正しく理解し、保育士としての処置を熟知するように努める。
(4) 慢性疾患
日常における投薬、処置については、その子どもの主治医又は嘱託医の指示に従うとともに、保護者や主治医との連携を密にするように努める。また、対象となる子どもに対する扱いが特別なものとならないように配慮し、他の子ども又は保護者に対しても、病気を正しく理解できるように留意する。
(5) 乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防
ア 乳幼児期、特に生後六か月未満の乳児の重大な死亡の原因として、それまで元気であった子どもが何の前ぶれもなく睡眠中に死亡する乳幼児突然死症候群があり、保育中にも十分留意する必要がある。
イ この予防には、その危険要因をできるだけ少なくすることが重要であり、特に、寝返りのできない乳児を寝かせる場合には、仰向けに寝かす。また、睡眠中の子どもの顔色、呼吸の状態をきめ細かく観察するように心がける。また、保護者に対しても、SIDSに関する情報の提供を徹底するとともに、予防に努めるよう指導することが望ましい。
ウ 保育所職員や保護者は、保育室での禁煙を厳守する。
(6) アトピー性皮膚炎対策
ア アトピー性皮膚炎が疑われるときには、その対応については、必ず嘱託医などの診断を受け、その指示に従うことを原則とするとともに、家庭との連絡を密にし、その対応に相違がないように十分に心がけるようにする。
イ 食物によると思われるときにも、原因となるアレルゲンの種類が多いので、安易な食事制限やみだりに除去食を提供せず、必ず嘱託医などの指示を受けるようにする。
ウ 皮膚を清潔にすることが大切であり、保育中も皮膚を清潔に保つように努めることが望ましく、特に、使用する洗剤等については、嘱託医などに相談して用いるようにする。
エ 戸外遊び、衣服の素材によっては、症状が増悪することもあるので、嘱託医などに相談して用いるようにする。
オ 痒さが強いときには、安易に軟膏を塗布するのではなく、嘱託医などに相談することが望ましい。
5 保育の環境保健
(1) 各部屋の温度、湿度、換気、採光等に十分注意し、保育上の安全にも十分に配慮する。子どものベッド、寝具類は、いつも清潔を保つように心がける。
(2) 園庭や砂場は清潔で安全な状態を保つように配慮する。また、動物小屋はできるだけ清潔が保てるように配慮し、動物による事故の防止に注意する。
6 事故防止・安全指導
(1) 子どもは、その発達上の特性から事故の発生が多く、それによる傷害は子どもの心身に多くの影響を及ぼす。事故防止は保育の大きな目標であることを認識する必要がある。
保育士は、子どもの事故発生についての知識を持つとともに、保護者に対しても子どもの事故について認識を深めるための協力を求める。
(2) 子どもの発達に合わせた安全指導の必要性を認識し、適宜その実施に努める。
また、交通事故の防止に配慮し、家庭、地域の諸機関との協力の下に、交通安全のための指導を実施する。
(3) 災害時に備えて職員その他の人達による組織づくりを行い、その役割分担などを認識する。
子どもに対しては、その発達に応じて避難訓練の目的、意義を理解させ、訓練に参加させる。
保育士は避難訓練の意義を理解し、それを積極的に行い、必要な機材、用具などの使用法を熟知しておく。また、地域住民にも参加を求めるなどの配慮をする。
(4) 子どもの通所は、保護者が責任を持って行うことを原則とし、責任ある人以外の人に子どもを同行させないようにする。
また、随時一人一人の子どもの確認を行うように努める。
7 虐待などへの対応
(1) 虐待の疑いのある子どもの早期発見と子どもやその家族に対する適切な対応は、子どもの生命の危険、心身の障害の発生の防止につながる重要な保育活動と言える。
ア 虐待の保育現場における早期発見は、登所時や保育活動中のあらゆる機会に可能であるので、子どもの心身の状態や家庭の態度などに十分に注意して観察や情報の収集に努める。
イ 虐待が疑われる子どもでは、次のような心身の状態が認められることがある。発育障害や栄養障害、体に不自然な傷・皮下出血・骨折・やけどなどの所見、脅えた表情・暗い表情・極端に落ち着きがない・激しい癇癪・笑いが少ない・泣きやすいなどの情緒面の問題、言語の遅れが見られるなどの発達の障害、言葉が少ない・多動・不活発・乱暴で攻撃的な行動、衣服の着脱を嫌う、食欲不振・極端な偏食・拒食・過食などの食事上の問題が認められることもある。
ウ 理由のない欠席や登所時刻が不規則なことが多い、不潔な体や下着、病気や傷の治療を受けた気配がない等の不適切な養育態度が認められることもある。
エ 家庭の態度としては、子どものことについて話したがらない、子どもの身体所見について説明が不十分であったり、子どものことに否定的な態度を示すなど、子どもを可愛がる態度が見受けられず、必要以上にしつけが厳しく、またはよく叱ることがある。
(2) 虐待が疑われる場合には、子どもの保護とともに、家族の養育態度の改善を図ることに努める。この場合、一人の保育士や保育所単独で対応することが困難なこともあり、嘱託医、地域の児童相談所、福祉事務所、児童委員、保健所や市町村の保健センターなどの関係機関との連携を図ることが必要である。
8 乳児保育についての配慮
乳児期の初期は、まだ、出生前や出生時の影響が残っていることがあったり、心身の未熟性が強いので、乳児の心身の状態に応じた保育が行えるように、きめ細かな配慮が必要である。
乳児は、疾病に対する抵抗力が弱く、また、かかった場合にも容易に重症に陥ることもある。特に、感染症にかかりやすく、さらに心身の未熟に伴う疾病異常の発生も多い。そのために、一人一人の発育・発達状態、健康状態の適切な判断に基づく保健的な対応と保育が必要である。保健婦、看護婦が配置されている場合には、十分な協力と綿密な連携の下に、嘱託医の指導によって適切な保育の計画を立て、毎日の保育を実践するとともに、乳児の日常生活や感染予防についての保護者の相談にも応ずることが望ましい。
9 家庭、地域との連携
(1) 保育所における子どもの生活、健康状態、事故の発生などについて、家庭と密接な連絡ができるように体制を整えておく。
また、保護者がこれらの情報を保育所に伝えるように協力を求める。
(2) 保育所は、日常、地域の医療・保健関係機関、福祉関係機関などと十分な連携をとるように努める。
また、保育士は、保護者に対して、子どもを対象とした地域の保健活動に積極的に参加することを指導するとともに、地域の保健福祉に関する情報の把握に努める。
第一三章 保育所における子育て支援及び職員の研修など
今日、社会、地域から求められている保育所の機能や役割は、保育所の通常業務である保育の充実に加え、さらに一層広がりつつある。通常業務である保育においては、障害児保育、延長保育、夜間保育などの充実が求められている。また地域においては、子育て家庭における保護者の子育て負担や不安・孤立感の増加など、養育機能の変化に伴う子育て支援が求められている。
地域において最も身近な児童福祉施設であり、子育ての知識、経験、技術を蓄積している保育所が、通常業務に加えて、地域における子育て支援の役割を総合的かつ積極的に担うことは、保育所の重要な役割である。
さらに、保育や子育て支援の質を常に向上させるため、保育所における職員研修や自己研鑽などについて、不断に努めることが重要である。
このため、前章までの関連事項に留意するとともに、以下に示す留意事項に基づき、保育や地域子育て支援などの充実に努めることが必要である。
1 入所児童の多様な保育ニーズへの対応
(1) 障害のある子どもの保育
障害のある子どもの保育に当たっては、一人一人の障害の種類、程度に応じた保育ができるように配慮し、家庭、主治医や専門機関との連携を密にするとともに、必要に応じて専門機関からの助言を受けるなど適切に対応する。
また、地域の障害のある子どもを受け入れる教育機関等との連携を図り、教育相談や助言を得たり、障害のある幼児・児童との交流の機会を設けるよう配慮する。なお、他の子どもや保護者に対して、障害に関する正しい認識ができるように指導する。
さらに、保育所に入所している障害のある子どものために必要とされる場合には、障害児通園施設などへの通所について考慮し、両者の適切な連携を図る。
(2) 延長保育、夜間保育など
保育時間の延長、夜間に及ぶ保育あるいは地域活動などについては、基本的には通常の保育の計画に基づき進めるものであるが、それぞれの事業内容の特性及び地域環境や保育所の実状などを十分に配慮し、柔軟な対応を図る。
延長、夜間に及ぶ保育に当たっては、子どもの年齢、健康状態、生活習慣、生活リズム及び情緒の安定を配慮した保育を行うように特に留意する。
また、保護者と密接に協力して、子どもにとって豊かで安定した家庭養育が図られるように支援する。
(3) 特別な配慮を必要とする子どもと保護者への対応
保育所に入所している子どもに、虐待などが疑われる状況が見られる場合には、保育所長及び関係職員間で十分に事例検討を行い、支援的環境の下で必要な助言を行う。
また、子どもの権利侵害に関わる重大な兆候や事実が明らかに見られる場合には、迅速に児童相談所など関係機関に連絡し、連携して援助に当たる。保護者への援助に当たっては、育児負担の軽減など保護者の子育てを支援する姿勢を維持するとともに、その心理的社会的背景の理解にも努めることが重要である。
2 地域における子育て支援
(1) 一時保育
保育所における一時保育は、子育て支援の一環として行うものであり、その意義及び必要性について保育所全体の共通理解を得て、積極的に取り組むように努める。
一時保育の実施に当たっては、市町村の保育担当部局と緊密な連携をとりつつ、地域の一時保育ニーズを把握し、それに基づいて実施すること。
一時保育における子どもの集団構成は、定型的、継続的な通常保育の集団構成と異なることから、一人一人の子どもの心身の状態、保育場面への適応状況などを考慮して保育するとともに、通常保育との必要な関連性を配慮しつつ柔軟な保育を行うように努める。
なお、保育中のけがや事故に十分配慮するとともに、事故責任への対応を明確にしておくことが必要である。
(2) 地域活動事業
保育所における地域活動事業は、保育所が地域に開かれた児童福祉施設として、日常の保育を通じて蓄積された子育ての知識、経験、技術を活用し、また保育所の場を活用して、子どもの健全育成及び子育て家庭の支援を図るものである。このため、保育所は、通常業務に支障を及ぼさないよう配慮を行いつつ、積極的に地域活動に取り組むように努める。
地域活動は、市町村の保育担当部局や他の保育所など関係施設や機関とも密接な連携をとりつつ、地域における子育てニーズを把握し、それに基づいて実施する。その内容は、多岐にわたるが、地域のニーズや重要性に応じ、並びに個々の保育所の実状や状況に応じて、適切に計画し、実施する。
(3) 乳幼児の保育に関する相談・助言
保育所における乳幼児の保育に関する相談・助言は、保育に関する専門性を有する地域に最も密着した児童福祉施設として果たすべき役割であり、通常業務に支障を及ぼさないよう配慮を行いつつ、積極的に相談に応じ、及び助言を行うことが求められる。
相談・助言は、様々な機会をとらえて行い、日頃から利用者が安心して悩みを打ち明けられるような環境、態度に心がけることが必要である。
相談・助言に当たっては、利用者の話を傾聴し、受容し、相互信頼関係の確立を基本として、一人一人のニーズに沿って利用者の自己決定を尊重するなど、相談の基本原理に基づいて行うことが求められる。また、プライバシーの保護、話された事がらの秘密保持には、特に留意しなければならない。
助言等を行うに当たっては、必要に応じ嘱託医などの意見を求めるなど、保育所における相談の限界についても熟知する。また、子どもへの虐待が疑われるような場合には、児童相談所などに連絡し、連携して援助に当たる。
また、他の専門機関との連携を密にし、必要に応じて紹介・斡旋を行う。その場合には、原則として利用者の了解を得るなど、その意向を尊重する姿勢が求められる。
相談・助言の内容については、必ず記録に残し、保育所内の関係職員間で事例検討を行い、必要に応じ専門機関の助言などが得られる体制を整えておくことが必要である。
3 職員の研修等
保育所に求められる質の高い保育や入所児童の多様な保育ニーズへの対応並びに子育て支援等のサービスは、職員の日常の自己学習や保育活動での経験及び研修を通じて深められた知識、技術並びに人間性が実践に反映されることにより確保できるものである。
そのためには、所長及びすべての職員が保育やその他の諸活動を通じて、知見と人間性を深め、保育の知識、技術及び施設運営の質を高めるよう、常に自己研鑽に努めることが必要である。
保育所では、所長はじめ職員全員が研修の意義及び必要性について共通理解を持ち、職員が研修に積極的かつ主体的に参画できるような環境づくりに心がけ、職員の資質の向上を図り、また、職員、所長及び保育所自身の自己評価を不断に行うことが求められる。
所内研修、派遣研修は、保育所の職員体制、全体的業務などに留意して、体系的、計画的に実施する。また、自己評価は職種別あるいは保育所全体で個々に主体的かつ定期的に実施する。