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○障害児(者)地域療育等支援事業の実施について

(平成八年五月一〇日)

(児発第四九七号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生省児童家庭局長通知)

障害児(者)の福祉の向上については、かねてから特段のご配慮を煩わしているところであるが、今般、別紙のとおり、「障害児(者)地域療育等支援事業実施要綱」を定め、在宅障害児(者)に対する療育・相談等の体制を充実し、地域における障害児(者)の福祉の向上を図ることとし、平成八年度から実施することとしたので、その適正かつ円滑な運営を図られたく通知する。

なお、本通知の施行に伴い、昭和五三年四月一五日児発第二〇六号本職通知「在宅重度精神薄弱者訪問診査事業の実施について」及び平成二年九月一一日児発第七二五号本職通知「心身障害児(者)地域療育拠点施設事業の実施について」は廃止する。

(別紙)

障害児(者)地域療育等支援事業実施要綱

第一 目的

障害児(者)地域療育等支援事業(以下「支援事業」という。)は、在宅の重症心身障害児(者)、知的障害児(者)、身体障害児(以下「在宅障害児(者)」という。)の地域における生活を支えるため、身近な地域で療育指導、相談等が受けられる療育機能の充実を図るとともに、これらの療育機能を支援する都道府県域における療育機能との重層的な連携を図り、もって、障害児(者)の福祉の向上を図ることを目的とする。

第二 実施主体

実施主体は、都道府県、指定都市及び中核市(以下「都道府県等」という。)とする。ただし、中核市については、第三の一の療育等支援施設事業(以下「療育等支援施設事業」という。)に限るものとする。

なお、この事業を障害児(者)施設を経営する社会福祉法人等に委託することができる。

第三 事業の内容

1 療育等支援施設事業

(一) 趣旨

この事業は、在宅障害児(者)のライフステージに応じた地域での生活を支援するため、障害児(者)施設の有する機能を活用し、療育、相談体制の充実を図るとともに、各種福祉サービスの提供の援助、調整等を行い、地域の在宅障害児(者)及びその家庭の福祉の向上を図る。

(二) 事業内容等

都道府県等は、療育等支援施設事業を実施する施設をあらかじめ指定(以下「支援施設」という。)して実施するものとし、その事業の内容は次の四つの事業とする。

ア 在宅支援訪問療育等指導事業

(ア) 巡回相談

この事業は、支援施設に相談・指導を担当する職員等で編成された相談・指導班を設置し、相談・指導を希望する在宅障害児(者)の家庭に定期的もしくは随時訪問させ、又は、相談・指導を必要とする地域を巡回させる等の方法により、地域の在宅障害児(者)及びその保護者に対して各種の相談・指導を行うものとする。

(イ) 訪問による健康診査

この事業は、障害及び介護の状況等から医療機関等における健康診査を受けることが困難な在宅の重度知的障害者の家庭を訪問し、健康診査を実施するほか、必要に応じて介護等に関する指導、助言を行い、あわせて各種の相談に応じるものとする。

イ 在宅支援外来療育等指導事業

この事業は、在宅の障害児(者)及び保護者に対し、外来の方法により、各種の相談・指導を行うものとする。

ウ 地域生活支援事業

この事業は、支援施設に在宅福祉を担当する職員(以下「コーディネーター」という。)を配置し、在宅障害児(者)及び保護者等に対し、家庭を訪問する等により在宅療育に関する保護者の相談等に応ずるとともに、各種福祉サービスの提供に係る援助、調整等を行い、在宅障害児(者)の地域生活に対する日常的なボランティア活動を行う者の育成及び地域住民に対して障害者に関する啓発活動を行うものとする。

なお、コーディネーターは、地域の実情に応じ、支援施設のほか利用者が利用しやすい適切な場所を活動の拠点としても差し支えない。

エ 施設支援一般指導事業

この事業は、障害児通園(デイサービス)事業及び障害児保育を行う保育所等の職員に対し、在宅障害児(者)の療育に関する技術の指導を行うものとする。

(三) 事業の実施

支援施設においては、原則として前記(二)に掲げる事業をすべて実施するものとする。

なお、この事業を委託された社会福祉法人等は、次のような場合に限り、実施主体の承認を得て、事業の一部を他の社会福祉法人等に再委託することができる。

ア (二)の事業(ウの地域生活支援事業を除く。)のうち、一事業又は二事業を再委託する場合

イ (二)の事業(ウの地域生活支援事業を除く。)について、盲児、ろうあ児、難聴幼児等対象者を限定して事業の一部を再委託する場合

2 療育拠点施設事業

(一) 趣旨

この事業は、専門的な療育機能を有する総合的な施設が、支援施設と療育機能の連携を図り、在宅障害児(者)及びその家庭に対し専門的な支援を行う体制の充実を図る。

(二) 事業内容等

都道府県等は、この事業を実施する施設をあらかじめ指定(以下「拠点施設」という。)して実施するものとし、その事業の内容は次の二つの事業とする。

ア 施設支援専門指導事業

この事業は、拠点施設の障害児(者)の療育に関する担当職員が、支援施設の担当職員とともに、拠点施設の設備、機能を利用した医療や検査、より専門的な療育技術や知識が必要な事例等について検討及び研究を行うことにより、療育等支援施設事業の円滑な実施を支援するものである。

イ 在宅支援専門療育指導事業

この事業は、拠点施設の障害児(者)の療育に関する担当職員が、支援施設から紹介を受けた処遇困難事例に対し、より専門的な立場から各種の相談・指導を行うことにより、在宅障害児(者)に対し総合的な療育支援を行うものとする。

(三) 事業の実施

拠点施設は、原則として前記(二)に掲げる事業及び療育等支援施設事業をすべて実施するものとする。

第四 実施施設の指定について

1 療育等支援施設事業

この事業は、都道府県等が広域的見地にたって事業の推進を図る観点から、別途通知により設定した広域的な圏域(障害保健福祉圏域)に概ね二か所の障害児(者)施設を指定して実施するものとする。

2 療育拠点施設事業

この事業は、都道府県・指定都市圏域に一か所の障害児(者)施設を指定して実施するものとする。

第五 関係機関等との連携

都道府県等は、療育等支援施設事業の実施に当たり、支援施設、児童相談所、知的障害者更生相談所のほか、本事業の対象となる障害保健福祉圏域内の、市町村、福祉事務所、保健所、障害児(者)施設、医療機関、職業安定所、養護学校等及び児童・民生委員、知的障害者相談員等と連携を密にするため、連絡調整会議を開催して、本事業が円滑かつ効果的に行われるように努めること。なお、この連絡調整会議は、定期的に、又は、必要に応じて開催すること。

また、都道府県等及び療育拠点施設事業を実施する施設は、関係機関等と連携を密にし、円滑かつ効果的に事業を実施するように努めること。

第六 費用の支弁

支援事業に要する費用は都道府県等が支弁するものとする。

第七 経費の補助

国は、第六の費用の支弁に対し別に定めるところにより補助するものとする。

第八 その他

特別の事情により、本要綱によりがたい場合は、あらかじめ厚生大臣の承認を受けてその定めによるものとする。