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○教護院における指導の充実等について

(平成六年三月三〇日)

(児発第三一八号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭局長通知)

平成六年二月一六日、中央児童福祉審議会家庭児童健全育成部会から、「児童の健全育成に関する意見」が提出され、この中で、教護院について、入所児童数が減少し、社会的ニーズに対応していない等の状況に鑑み、教護院の基本概念や名称及び学校教育の問題を含む処遇の改善について検討すべきこと、また、これらの検討に当たっては、文部省との綿密な調整に努めるべきことが指摘されたところである。

教護院は、愛情に満ちた家庭的環境の中で非行傾向を持つ児童と生活をともにし、生活指導、学科指導、職業指導を総合的に実施することにより、児童の健全な育成を図る児童福祉施設であるが、近年、児童の入所が著しく減少していること等から見て、その理念や処遇効果等について、一般に理解されていない状況にあると言わざるを得ない。

当局では、関係諸機関等からの期待に応え、教護院本来の社会的使命を全うするべく、児童福祉法の改正を含む教護院の全般的な見直しについて引き続き検討することとしているが、同時に、社会環境の高度化と入所児童の年長化等に応じた対象児童や入所期間の多様化の試み、処遇の向上、学校教育との連携推進等に関する各教護院における積極的な対応を図るため、次の項目について、管下教護院への指導及び児童相談所への周知について配意願いたい。

1 教護院の入所期間及び入所対象等について

(1) 中学卒業生の入所及び処遇の充実

これまで多くの教護院では、統一的な処遇規準が確立されていない等の理由から、中学卒業生の入所を控える傾向があった。しかし、近年「無職少年」とよばれる定職につかない年長児童等への福祉サービスの充実が求められ、厚生省としても、平成元年四月一〇日本職通知「教護院入所児童の高等学校進学の取扱いについて」(児発第二六五号の七)により、高等学校等(高等学校及び高等専門学校、専修学校、各種学校をいう。以下同じ。)への進学を進めてきたところである。

各教護院においては、高等学校・職業訓練校への通学や通信制等の活用及び院外職場実習体制の確立等の処遇の充実により、入所児童の中学卒業後の継続指導及び中学卒業生の積極的受け入れに努めること。この場合、児童相談所との連携を図るとともに、当該児童の処遇においては、他の児童との生活形態の差異に十分配慮すること。

(2) 児童・保護者等への情報提供及び児童相談所への協力

各教護院においては、ビデオやパンフレット等を活用し、児童や保護者・教員等への正確な情報提供に努めるとともに、施設見学、体験入所等を実施し、入所への偏見や不安をなくすように努めること。

また、児童相談所が、児童福祉法第二七条第四項に定める入所に関する親権者等の同意を得たり、「児童相談所運営指針」(平成二年三月五日児発第一三三号)に定める、児童を児童福祉施設等に措置する場合の「児童保護者に十分な説明」を行う際には、教護院は、退所予定期間や処遇目標等を含む処遇計画を提示する等により、これに積極的に協力すること。

(3) 短期処遇課程導入の検討

教護院は、入所期間が長期化する傾向がある一方、非行傾向等の社会的不適応を示す児童に対する福祉サービスとして、早期の家庭復帰、学校復帰を目標とした治療訓練を行う、短期処遇課程の整備が必要となってきている。

各教護院においては、アフターケアの充実等による入所期間の短期化に努めるとともに、軽微な非行傾向等の不適応行動を示す児童に対する、例えば三か月程度の短期処遇課程の導入に関し、導入の必要性、運営方法、入所に適した児童の対象要件、具体的手続き、入所中及び退所後の児童の家庭への支援体制等を、児童相談所との緊密な連携の下で検討すること。

2 生活指導及び職業指導の充実について

(1) 各指導分野の連携強化

教護院の伝統的な処遇体制は、夫婦の職員が配置された家族制寮において、生活指導、学科指導、職業指導を渾然一体として実施するものである。しかし現在、多くの施設においては、学科指導、職業指導等を担当する専門職員と、寮担当職員との専門分化体制に移行していることから、各教護院では、この実態を踏まえ、専門職員相互の連携協力体制を整備し、教護院本来の緊密な人間関係を生かした一体的・計画的な指導に遺漏のないように努めること。

(2) 生活指導プログラムの充実

教護院の生活指導の特徴は、職員と児童との日常生活の中での人格的ふれあいによって、児童の心身を回復させ、生活への意欲と自信を獲得させることにより、非行傾向を抑え、個性豊かな人間形成を目指すことにある。

各教護院では、学科指導体制と調整の上、少人数のグループ単位で、父母や家族への理解を進めたり、シンナー等の害毒について話し合ったり、社会奉仕活動を行うための特別学習時間の特設等を検討し、生活指導の領域の拡大、指導方法の充実を図ること。

とくに、前記の専門分化体制の教護院においては、生活指導担当職員と児童とが、一対一でカウンセリングを行ったり、遊びや日常生活をともにする人間的ふれ合いの時間を確保する等の対応を検討すること。

(3) 職業指導の充実

教護院における職業指導は、社会との接点を重視し、具体的な職業生活の中での自立を目指す教護院独特の指導分野であり、児童の職業意識や就職状況の変化に対応した指導の充実を図る必要がある。

そのため、従来から行っている比較的単純な作業や職能訓練に止まらず、職業への興味や肯定的感情を育てるよう、パソコン等を使った体験学習や多様な情報提供を推進すること。とくに中学卒業生に対しては、教護院内での職業生活への試験段階を経て職場実習に連なる総合的指導計画を整備し、円滑な社会的自立を促進すること。

3 学科指導の充実及び学校との連携の推進について

(1) 学科指導の充実

教護院での指導は、児童の潜在的な諸能力を伸ばし、社会性と情操豊かな人間形成を進めるなかで行われるべきものであり、厚生省においても、学科指導員の配置等学科指導の充実に力を入れてきたところである。

各教護院においては、入所児童の特性や学力に応じて、指導内容を精選したり指導方法を工夫する等、学科指導の充実に一層努めること。

また、中学卒業生に対しては、学業の遅れを取り戻すための指導に止まらず、知的生活を豊かにして社会的自立を促進するため、個々の児童の興味と関心に応じた指導の充実に努めること。

(2) 学校・教育委員会との連携推進

各教護院においては、定期的に個々の児童の指導状況を学校へ連絡する他、学校関係者の見学会や非行関係の指導担当者会議を開催する等により、学校との連携を密にし、措置解除後に児童が円滑に学校復帰できるように努めること。

また、児童が高等学校等への進学を希望する場合には、それに対応する指導体制の充実を図るとともに、児童の努力が適正に評価されるよう、学校側の理解を得るように努めること。

なお、地域の小学校または中学校の分校や分教室を併設している教護院においては、とくに教護職員と教員との連携を緊密にし、一体的・計画的な指導体制に遺漏のないように努めること。

(3) 分校・分教室の設置について

児童福祉法第四八条に定める、教護院長が学校教育法に準じて教育を行う権限は、教護院で学校教育が行われていない場合について規定したものであり、教護院に小学校又は中学校の分校・分教室を設置することを否定したものではない。

当局としては、福祉と教育の緊密な連携の下での学校教育の導入が望ましいと考えているので、各都道府県において学校教育の導入を検討するに当たっては、指導体制全般の充実を図るとともに、関係教育部門と話し合い、その協力を得て進めること。

なお、文部省においては、初等中等教育局長、教育助成局長通知「教護院に入院した児童生徒の取扱いについて」(昭和六〇年一二月一九日委初第一八号)により、小学校又は中学校の分校・分教室を設置する場合には、「学校の設置者が教護院及び都道府県教育委員会と十分協議した上で行うこと」とされているので、念のため申し添える。