添付一覧
○企業委託型保育サービス事業の実施について
(平成三年一一月一二日)
(児発第九四六号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭局長通知)
改正 平成 七年 四月 一日/社援企第 五四号/児 発第三六五号
児童福祉行政の推進については、日頃より特段の御配慮を煩わしているところである。
さて、平成三年度からは、児童手当制度の福祉施設事業として、企業と社会福祉法人との契約により日曜・祝祭日又は深夜における保育サービスを行う「企業委託型保育サービス事業」を実施することとしているところであり、今般、「別添1」のとおり実施要領が作成され、また、事業所内保育施設の整備費等についても「別添2」のとおり実施要領が改正され、平成三年一〇月一日から適用されることとなったところである。
事業所内保育施設の整備に対する助成事業については、昭和五三年九月二〇日児発第五九四号本職通知において協力を依頼しているところであり、また、無認可保育施設については、昭和五六年七月二日児発第五六六号本職通知において、その指導監督の実施についての指針を示しているところであるが、本事業の実施に当たっては、都道府県(指定都市及び中核市を含む。)及び市(区)町村のより一層の理解と協力が不可欠であることから、貴職におかれても、児童福祉の観点から、特に左記の事項に留意の上、本事業の円滑な実施につき、特段の配慮をお願いするとともに、管下市(区)町村に対し、周知徹底を図られたい。
記
1 社会福祉事業法上の位置付けについて
本事業は、社会福祉事業法上、「公益事業」として位置付けられるものであり、次のような点に留意して、本事業を行う社会福祉法人に対して必要な助言及び指導を行われたいこと。
(1) 社会福祉法人の定款上「公益を目的とする事業」として記載すること。
(2) 本事業に係る収支を特別会計として区分経理するとともに、事業の安定的な運営に資する程度の一定の公益事業用財産を区分保有すること。
なお、公益事業用財産は、不動産でなくとも差し支えないこと。
2 児童福祉施設の活用について
企業委託型保育サービス事業は、社会福祉法人の経営する児童福祉施設の空部屋・空ベッド、空き時間等を活用して実施することができるものであるが、この場合、特に、次のような点に留意して、適切な助言及び指導を行われたいこと。
(1) 児童の心身に悪影響を及ぼさないよう最大限の配慮が必要であること。
(2) 児童福祉施設としての機能及び運営を妨げるものであってはならないこと。
なお、児童福祉施設の一部を本事業に使用する場合には、原則として、用途変更等の手続きを行うことが必要であること。
(3) 児童福祉施設としての本来の機能を妨げない範囲において、設備の共用を認めても差し支えないこと。
3 企業委託型保育サービス事業の円滑な実施について
本事業の円滑な実施について、次のような点に配慮されたいこと。
(1) 事業主及び社会福祉法人から、本事業に関する照会があり、又は助言及び指導を求められた場合においては、適切な助言及び指導を行われたいこと。
また、児童福祉施設を活用して本事業を行う場合には、社会福祉法人が企業委託型保育サービス事業の助成申込書に、児童福祉施設の活用の適否等についての都道府県の意見書を添付することとしているので、この場合においては、必要な審査を行った上、社会福祉法人に対し意見書を交付されたいこと。
(2) 財団法人日本児童手当協会及び社会福祉法人日本保育協会から、本事業の実施に関する意見を求められた場合においては、児童福祉の観点並びに前記「1」及び「2」の事項に留意の上、適切な意見を述べられたいこと。
(3) 本事業の実施に当たっては、社会福祉法人の定款の変更等の諸手続が必要となるものであるが、事業の円滑な実施を図る観点から、必要な便宜を図られたいこと。
(4) 児童福祉施設を活用する場合における用途変更の手続きの要否については、当分の間、個別に判断することとしているので、事前に本職あて相談されたい。
(参考)
本事業については、平成三年六月より、(財)日本児童手当協会に設置された「企業委託型保育サービス事業に関する調査研究会」において、事業の実施に当たって配慮すべき一般的諸条件等についての検討が行われてきたところであり、今般、「別添3」のとおりその中間報告が提出されたので参考とされたい。
別添2・3 略
別添1
企業委託型保育サービス事業助成実施要領
財団法人日本児童手当協会(以下「日本児童手当協会」という。)寄付行為第四条に規定する企業委託型保育サービス事業に対する助成事業については、この要領の定めるところによる。
第一 目的
この助成事業は、児童手当法(昭和四六年法律第七三号。以下「法」という。)第二九条の二に規定する福祉施設として、社会福祉法人が法第二〇条に規定する一般事業主から委託を受けて行う企業委託型保育サービス事業に対し助成を行うことにより、児童の健全育成及び資質の向上に寄与することを目的とする。
第二 助成の対象
助成の対象は、次の要件を満たす事業を行う社会福祉法人とする。
(1) 当該社会福祉法人が現に保育所等の児童福祉施設を経営していること。
(2) 一又は二以上の一般事業主との契約により委託を受けて保育施設の運営を行うこと。
ただし、助成を受ける年度において、当該委託に係る契約期間が、原則として、三か月以上である場合に限るものとする。
(3) 委託を受けて運営する保育施設が、次のいずれかに該当するものであること。
① 日曜及び祝祭日において、相当数の乳幼児を預かること。
② 午後一〇時を超えて相当数の乳幼児を預かり、かつ、午前〇時以降開所していること。
①及び②における「相当数」については、事業としての独立性が認められる程度のまとまった規模(保育施設の運営の実態等をも勘案するが、おおむね一〇人程度以上)であることが必要である。
(4) 委託を受けて運営する保育施設の設備及び運営については、児童福祉施設最低基準(昭和二三年厚生省令第六三号。以下「最低基準」という。)等に定める保育所の基準に準じていること。
また、宿泊を伴う保育事業の実施施設については、最低基準に定める乳児院又は養護施設の基準を踏まえたものであること。
(5) 委託を受けて保育施設の運営をする事業については、「公益を目的とする事業」として定款に記載し、その事業収支を特別会計として区分経理するとともに、事業の安定的な運営に資する程度の一定の公益事業用財産を区分保有すること。
(6) 委託を受けて保育施設の運営をする事業については、企業との契約書を締結するものとし、当該契約書には、少なくとも、保育内容、費用負担、最低基準に基づく安全確保の具体的方策及び事故等が発生した場合の対応等が明記されていること。
第三 助成額の算定方法
助成額は、次表の基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額により算出するものとする。
ただし、算出された額に一〇〇〇円未満の端数が生じた場合には、これを切り捨てるものとする。
基準額 |
対象経費 |
企業委託型保育サービス事業を実施する一社会福祉法人当たり 一七〇万円 |
企業委託型保育サービスの受託機能を強化するために必要な経費(人件費、会議費、賃金、事務諸費等) |
第四 助成の申込手続
(1) 助成の申込
この助成事業の助成を受けようとする社会福祉法人(以下「助成申込者」という。)は、企業委託型保育サービス事業助成申込書(以下「申込書」という。様式第1号)に必要な事項を記載し、次の書類を添付して、各二部を毎事業年度の前年度の三月一〇日までに日本児童手当協会に提出するものとする。
① 一般事業主との契約書の写し
② 保育施設の平面図
(保育室、その他の部屋別面積を明記したもの)
③ 社会福祉法人の定款
④ 当該年度の本部会計収支予算書抄本及び付属書類
(助成金の対象経費の支出額内訳を明記したもの)
⑤ 当該年度の企業委託型保育サービス事業会計収支予算書抄本及び附属書類
⑥ 企業委託型保育サービス事業に係る資金計画
⑦ 児童福祉施設を活用して本事業を行う場合には、児童福祉施設活用の適否等についての都道府県の意見書
(2) 地方公共団体等の意見聴取
日本児童手当協会は、受け付けた申込書について、都道府県、指定都市及び中核市(以下「都道府県」という。)等から意見を聴取するものとする。
第五 助成の決定等
(1) 助成の審査
日本児童手当協会は、第四の申込書を受け付けたときは、必要に応じて都道府県等の意見を聴取し、又は実地に調査を行うなどにより助成要件について審査を行うものとする。
(2) 助成の決定及び通知
① 日本児童手当協会は、前記(1)の審査を行ったうえ助成の可否について決定を行うものとする。
② 日本児童手当協会は、助成を行うことを決定した助成申込者(以下「助成事業者」という。)に対しては、助成決定通知書(様式第2号)により、通知するものとする。
なお、助成を行わないことを決定した助成申込者に対しては、別にその旨を通知するものとする。
③ 日本児童手当協会は、前記の助成決定の通知をしたときは、当該社会福祉法人を所轄する都道府県及び当該保育施設の所在する都道府県に対して申込書の写を添付して、その旨を通知するものとする。
第六 助成金交付の契約等
(1) 契約の締結
助成事業者は、助成金の交付金を受けることについての契約を日本児童手当協会と締結するものとし、助成決定通知書の受理後一か月以内に助成金交付契約書(様式第3号)を日本児童手当協会に提出するものとする。
(2) 助成金の交付
助成金の交付は、原則として第八に定める事業実績報告書により助成額を確定後、精算交付によるものとする。
ただし、日本児童手当協会が必要と認めた場合、概算交付することができるものとする。
(3) 助成事業者は、前記(2)の概算交付を受けようとする場合は、助成金交付契約書に概算交付申請書(様式第4号)を添え日本児童手当協会に提出するものとする。
(4) 助成金の交付は、日本児童手当協会が指定する金融機関を通じて行うものとする。
第七 助成の取消等
日本児童手当協会は、助成事業者が災害その他特別の事由がなく、契約書の約定に違反したときは、助成の取消しを行い、既に交付された助成金があるときは、その全部又は一部について返還を請求するものとする。
第八 助成金の確定等
(1) 事業実績報告書の提出
助成事業者は、当該助成事業の完了後一か月以内又は翌年度四月五日のいずれか早い日までに事業実績報告書(様式第5号)に次の書類を添付し、各二部を日本児童手当協会に提出するものとする。
① 当該年度の本部会計収支計算(見込)書抄本及び付属書類
(助成金の対象経費の支出済額内訳を明記したもの)
② 当該年度の企業委託型保育サービス事業会計収支計算書抄本及び付属書類
(2) 事業実績報告書の審査及び助成金の確定
日本児童手当協会は、前記(1)の事業実績報告書を受理したときは、必要に応じて実地に調査を行い、速やかに審査し助成金の額を確定するものとする。
第九 報告
日本児童手当協会は、助成事業者に対し、当該助成事業に関し必要と認める報告を求めることができるものとする。
第一〇 その他
日本児童手当協会は、この要領に定める審査、実地の調査及び都道府県等からの意見聴取等について、社会福祉法人日本保育協会に行わせることができるものとする。
(様式第1号)
(様式第2号)
(様式第3号)
(様式第4号)
(様式第5号)