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○児童館の設置運営について

(平成二年八月七日)

(発児第一二三号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生事務次官通知)

近年、都市化、核家族化の進展、婦人の就労の増加等により、児童を取り巻く環境が大きく変化し、さらに出生率の低下、遊び場の不足、交通事故の増加等家庭や地域における児童健全育成上憂慮すべき事態が進行しており、次代を担う児童が健やかに生まれ育つための環境づくりが、児童福祉の立場から緊急の課題となっている。

これらに対処するため、従来から、地域の健全育成の拠点としての児童館の計画的な整備を図ってきたところである。

このたび、豊かな自然の中で、児童が宿泊し、野外活動を行う新しい児童館の整備を図るとともに、児童館体系の見直しを図ることとし、別紙のとおり「児童館の設置運営要綱」を定めたので、その適切な実施を図られたく通知する。

なお、本通知の施行に伴い、昭和六三年一月二八日付け厚生省発児第八号本職通知「児童館の設置運営について」は廃止する。

(別紙)

児童館の設置運営要綱

第一 総則

一 目的

児童館は、児童福祉法(昭和二二年法律第一六四号)に基づく児童厚生施設であって、児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とするものであること。

二 種別

児童館の種別は次のとおりとする。

(一) 小型児童館

小地域の児童を対象とし、一定の要件を具備した児童館。

(二) 児童センター

(一)の小型児童館の機能に加えて、児童の体力増進に関する指導機能を併せ持つ児童館。

(特に、前記機能に加えて中学生、高校生等の年長児童(以下「年長児童」という。)の情操を豊かにし、健康を増進するための育成機能を有する児童センターを「大型児童センター」という。)

(三) 大型児童館

原則として、都道府県内又は広域の児童を対象とし、一定の要件を具備した児童館をいい、次のとおり区分する。

ア A型児童館

イ B型児童館

ウ C型児童館

(四) その他の児童館

(一)、(二)及び(三)以外の児童館。

三 設備及び運営

児童館の設置及び運営については、児童福祉施設最低基準(昭和二三年厚省令第六三号。以下「最低基準」という。)に定めるところによるものであること。

なお、小型児童館、児童センター及び大型児童館については最低基準によるほか、次の第二から第四までに定めるところによること。

第二 小型児童館

一 機能

小地域を対象として、児童に健全な遊びを与え、その健康を増進し、情操を豊かにするとともに、母親クラブ、子ども会等の地域組織活動の育成助長を図る等児童の健全育成に関する総合的な機能を有するものであること。

二 設置及び運営の主体

設置及び運営の主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)並びに民法(明治二九年法律第八九号)第三四条の規定により設立された法人(以下「民法法人」という。)及び社会福祉法人とすること。

三 設備及び運営

(一) 設備

ア 建物の広さは、原則として、一八五・一二平方メートル以上(都市部で児童館用地の取得が困難と認められる場合等においては、一三八・八四平方メートル以上)とし、適当な広場を有すること。

イ 建物には、集会室、遊戯室、図書室及び事務執行に必要な設備のほか、必要に応じ、静養室及び放課後児童クラブ室等を設けること。

ただし、他の社会福祉施設等を併設する場合で、施設の効率的な運営を期待することができ、かつ、利用する児童の処遇に支障がない場合には、原則として、遊戯室、図書室及び放課後児童クラブ室以外の設備について、他の社会福祉施設等の設備と共用することができる。

(二) 職員

二人以上の最低基準第三八条に規定する児童の遊びを指導する者(以下「児童厚生員」という。)を置くほか、必要に応じ、その他の職員を置くこと。

(三) 運営

ア 開館時間、開館日数等については、設置された地域の実情を勘案して設定すること。

イ 運営管理の責任者を定めるとともに、指導する児童の把握、保護者との連絡、事故防止等に関する事項を規定する運営管理規定を定めること。

ウ 運営委員会を設置し、その運営管理について意見を徴すること。

(四) その他

小型児童館が、児童福祉法第二四条第一項ただし書に基づいて使用される場合には、最低基準の保育所に関する規定の趣旨を尊重すること。

四 国の助成

国は、予算の範囲内において、小型児童館の整備及び民営の小型児童館の運営に要する費用を、別に定めるところにより補助するものであること。

第三 児童センター

一 機能

第二の一に掲げる機能に加えて、遊び(運動を主とする。)を通して体力増進を図ることを目的とした指導機能を有し、必要に応じて年長児童に対する育成機能を有するものであること。

二 設置及び運営の主体

設置及び運営の主体は、市町村並びに民法法人及び社会福祉法人とすること。

三 設備及び運営

(一) 設備

第二の三の(一)に掲げる設備(建物の広さに係る部分を除く。)に加えて、次によるものであること。

ア 建物の広さは、原則として、二九七平方メートル以上、大型児童センターにあっては、五〇〇平方メートル以上とし、野外における体力増進指導を実施するために要する適当な広場を有すること。

イ 遊戯室には、屋内における体力増進指導を実施するために必要な広さを有すること。

また、大型児童センターにあっては、年長児童の文化活動、芸術活動等に必要な広さを有すること。

ウ 器材等については、児童の体力増進に資するために必要な運動遊び用の器材、体力等の測定器材等を整備すること。

また、年長児童の諸活動に資するために必要な備品等を整備すること。

エ 大型児童センターにあっては、必要に応じてスタジオ、アトリエ、トレーニング室、小ホール、映画ライブラリー、喫茶室等年長児童を育成するための設備及び社会参加活動の拠点として活用するための設備等を設けること。

(二) 職員

第二の三の(二)に掲げるところによるものとすること。また、必要に応じ、その他の職員を置く場合にあっては、体力増進指導に関し知識技能を有する者、年長児童指導に関し専門的知識を有する者等を置くことが望ましいこと。

(三) 運営

第二の三の(三)に掲げるところによるほか、次によるものであること。

ア 体力増進指導の内容及び方法

(ア) 指導の内容

運動や遊具による遊び等、特に体力増進にとって効果的な遊びを指導内容の中心として設定するほか、必要に応じて日常生活、栄養等に関する指導を行うこと。

また、遊びによる体力増進の効果を把握するために、器材等による測定調査を併せて行う必要があること。

なお、児童の安全管理に十分留意する必要があること。

(イ) 指導の方法

体力増進指導に関し知識技能を有する者がこれを担当するものとし、児童厚生員又は有志指導者(ボランティア)の積極的な協力を得て行うものとすること。

イ 年長児童指導の内容及び方法

(ア) 指導の内容

指導にあたっては、特に年長児童に適した文化活動、芸術活動、スポーツ及び社会参加活動等に配慮すること。

また、児童の安全管理に十分留意する必要があること。

(イ) 指導の方法

年長児童指導に関し専門的知識を有する者がこれを担当するものとし、有志指導者(ボランティア)等の積極的な協力を得て行うものとすること。

ウ その他

体力増進指導及び年長児童指導が効果的に実施されるように、その実施計画について運営委員会の意見を徴するとともに、運営管理規定においてもその指導に関して定めること。

また、大型児童センターにあっては、年長児童が十分活動できるように開館時間等について特に配慮すること。

四 国の助成

国は、予算の範囲内において、児童センターの整備及び民営の児童センターの運営に要する費用を、別に定めるところにより補助するものであること。

第四 大型児童館

一 A型児童館

(一) 機能

第三の一に掲げる機能に加えて、都道府県内の小型児童館、児童センター及びその他の児童館(以下「県内児童館」という。)の指導及び連絡調整等の役割を果たす中枢的機能を有するものとすること。

(二) 設置及び運営の主体

設置及び運営の主体は、都道府県とする。

ただし、経営については民法法人及び社会福祉法人に委託することができるものであること。

(三) 設備及び運営

ア 設備

第三の三の(一)に掲げる設備(建物の広さに係る部分を除く。)に加えて、次によるものであること。

(ア) 建物の広さは、原則として、二、〇〇〇平方メートル以上とし、適当な広場を有すること。

(イ) 必要に応じて研修室、展示室、多目的ホール、ギャラリー等を設けるほか、移動型児童館用車両を備えること。

イ 職員

第三の二の(二)に掲げるところによるものとし、必要に応じ、その他の職員を置くこと。

ウ 運営

第三の三の(三)に掲げるところによるほか、次によるものであること。

(ア) 県内児童館相互の連絡、連携を密にし、児童館活動の充実を図ること。

なお、県内児童館の連絡協議会等の事務局を設けること。

(イ) 県内児童館の児童厚生員等職員の研修を行うこと。

(ウ) 広報誌の発行等を行うことにより、児童館活動の啓発に努めること。

(エ) 県内児童館を拠点とする母親クラブ等の地域組織活動の連絡調整を図ること。

二 B型児童館

(一) 機能

B型児童館は、豊かな自然環境に恵まれた一定の地域(以下「こども自然王国」という。)内に設置するものとし、児童が宿泊をしながら、自然をいかした遊びを通して協調性、創造性、忍耐力等を高めることを目的とした児童館であり、第二の一に掲げる機能に加えて、自然の中で児童を宿泊させ、野外活動が行える機能を有するものであること。

(二) 設置及び運営の主体

設置及び運営の主体は、原則として、都道府県とする。

ただし、経営については民法法人及び社会福祉法人並びに市町村に委託することができるものであること。

(三) 設備及び運営

ア 設備

第二の三の(一)に掲げる設備(建物の広さに係る部分を除く。)に加えて、次によるものであること。

また、A型児童館に併設(こども自然王国内に独立して設置する場合を含む。以下同じ。)する場合には、第二の三の(一)に掲げる設備を設置しないことができる。

(ア) 定員一〇〇人以上の宿泊設備を有し、建物の広さは、原則として一、五〇〇平方メートル以上の広さ(A型児童館に併設する場合は厚生大臣が必要と認める広さ)を有すること。

なお、障害のある児童の利用にも資する設備を備えること。

(イ) 宿泊室、食堂・厨房、脱衣・浴室等を設けること。

(ウ) キャンプ等の野外活動ができる設備を設けること。

(エ) 必要に応じて、移動型児童館用車両を備えること。

イ 職員

第二の三の(二)に掲げるところによるものとすること。

ウ 運営

第二の三の(三)に掲げるところによるほか、次によるものであること。

(ア) 児童厚生施設等との連携、連絡を密にし、児童館活動の充実を図ること。

(イ) 母親クラブ、老人クラブ等の地域組織や住民の協力の下に運営活動を行うこと。

(ウ) 利用児童の野外活動に伴う事故防止等の安全管理に十分に留意すること。

三 C型児童館

C型児童館は、広域を対象として児童に健全な遊びを与え、児童の健康を増進し、又は情操を豊かにする等の機能に加えて芸術、体育、科学等の総合的な活動ができるように、劇場、ギャラリー、屋内プール、コンピュータプレイルーム、歴史・科学資料展示室、宿泊研修室、児童遊園等が適宜附設され、多様な児童のニーズに総合的に対応できる体制にある児童館である。

なお、職員については、児童厚生員を置くほか、各種の設備、機能が十分活用されるよう必要な職員の配置を行うこと。

四 国の助成

国は、予算の範囲内において、A型児童館及びB型児童館の整備に要する費用を、別に定めるところにより補助するものであること。

第五 その他の児童館

その他の児童館は、公共性及び永続性を有するものであって、設備及び運営については、第二の三に準ずることとし、それぞれ対象地域の範囲、特性及び対象児童の実態等に相応したものであること。