添付一覧
○保母試験の実施について
(平成元年三月二七日)
(児発第一八六号)
(各都道府県知事あて厚生省児童家庭局長通知)
保母試験については、かねて御配慮を煩わしているところであるが、児童福祉法施行規則の一部を改正する省令(昭和六三年厚生省令第三六号)により平成三年四月一日から保母試験の受験資格の引上げ等が行われることとされたことに伴い、今回新たに保母試験の実施基準を定めたので次の事項に御留意のうえ、取扱いに遺憾のないようお願いする。
なお、「保母試験について」(昭和二四年児発第八七三号)、「保母を養成する学校又は施設の指定及び保母試験について」(昭和二七年児発第九三号)、「保母試験の実施について」(昭和三八年児発第四四三号)及び「児童福祉法施行規則第四○条第三号に規定する厚生大臣の定める保母試験受験資格認定基準について」(昭和四五年児発第五九七号)については廃止する。
1 保母試験実施要領
保母試験は、別紙1「保母試験実施要領」により実施するものとすること。なお、保母試験実施要領については、一般に公開して差し支えないものであること。
2 問題作成及び採点上の留意事項
各都道府県の試験委員が具体的問題を作成し又は採点するに当たっては、保母試験実施要領によるほか、保母養成施設のカリキュラムと均衡を図るよう配慮すること。
3 規則第四○条第三号に規定する厚生大臣の定める基準については別紙2「保母試験受験資格認定基準」のとおりとする。
4 受験者講習会
都道府県の実情により保母試験を受けようとする者のための講習会を開催することも検討すること。
5 試験実施後の報告
保母試験を実施した場合においては、その合格者の発表を行った日から一○日以内に各科目の試験問題を添付のうえ、別紙3「保母試験実施状況」による報告書を提出すること。
6 規則第四三条の二の取扱いについて
(1) 保母試験に合格した者に対しては、保母資格証明書(規則第八号様式)又は資格証明書(昭和五二年厚生省発児第六六号別紙様式)を与えること。
(2) 各都道府県は、資格証明書交付台帳を備え(1)の者について男女の性別ごとにそれぞれ一連番号にて記入すること。
7 規則第四一条の二第一項及び第四三条の二第二項に規定する一部科目合格制度の取扱いについて
(1) 一部科目に合格した者に対しては、一部科目合格証明書(規則第九号様式)を与えること。
(2) 各都道府県に保母試験一部科目合格者台帳を備え、(1)の者について記入すること。
(3) すでに合格した科目のある者については、規則第四三条の受験書類の他に一部科目合格証明書の写しを添え、保母試験受験科目免除願を提出させること。
(4) 前年あるいは前前年の一部科目合格者が、全科目に合格した場合には、保母資格証明書又は資格証明書を与え、資格証明書交付台帳に男女の性別ごとにそれぞれ一連番号にて記入すること。
(5) 二つ以上の都道府県において行われた保母試験を受験し、それぞれの保母試験において合格した科目を併せて全科目に合格した者にあっては、その者の申請により、当該都道府県の一において、保母資格証明書又は資格証明書を与えること。
ただし、この場合においては、他の都道府県知事が(1)により与える一部科目合格証明書を添付して申請させること。
8 規則第四一条の二第二項に規定する一部科目免除制度の取扱いについて
(1) 厚生大臣の指定する学校又は施設において、その指定する科目を専修した者であって、当該科目の受験の免除を受けようとする者については、規則第四三条の受験書類の他に保母試験免除指定科目専修証明書(昭和二八年児発第一二二号別紙様式(3))の写しを添付して保母試験受験科目免除願を提出させること。
(2) (1)の者については一部科目合格証明書を与え、保母試験一部科目合格者台帳に記入し、備考欄にその旨を付記すること。
9 施行期日
本通知は平成三年四月一日から施行する。
別紙1
保母試験実施要領
第一 試験期間
毎年三月中旬又は八月中旬に概ね四日間程度行うこと。
第二 試験実施の方法
1 試験の種類
社会福祉、児童福祉、児童心理学及び精神保健、保健衛生学及び生理学、看護学及び実習、栄養学及び実習、保育原理及び教育原理については筆記試験のみを行い、保育実習については筆記試験及び実地試験により行う。
2 出題範囲
別添「保母試験出題範囲」より出題する。
3 出題方式
(1) 筆記試験は、真偽式、完成法式、択一式、組合せ式等客観的に採点可能なものと、文章による解答を求めるものを組合せるものとし、その配点上の比率は六対四とすることを原則とする。
(2) 保育実習の実地試験については、次の分野から三分野を選び、その各々について出題し、受験者に行わせる。
ア 音楽リズム関係技術
イ 絵画制作関係技術
ウ 言語関係技術
エ 一般保育技術
4 出題方針
出題に当たっては、各科目共通に次の事項に留意すること。また個々の科目の留意事項は、保母試験出題範囲に定めるとおりとする。
ア 機械的記憶に頼るような出題は避け、理解の深さを試す出題に心がける。
イ 出題範囲から平均して出題し、一分野に偏ることは避ける。
ウ 試験時間内に八割以上の受験者が問題の内容を理解し、解答を作成し得る程度の分量及び難易度とする。
エ 偏った特殊な学説に基づく解釈や理論に関する出題は避ける。
オ 常用漢字、現代かな使いを用いる。
5 出題数、試験時間及び採点方法
(1) 出題数及び試験時間
科 目 出題数 時間(分) 満点
社 会 福 祉 一○ 九○ 一○○
児 童 福 祉 一○ 九○ 一○○
(児童心理学 五 四五 五○
(精神保健 五 四五 五○
(保健衛生学 五 四五 五○
(生 理 学 五 四五 五○
看護学及び実習 一○ 九○ 一○○
栄養学及び実習 一○ 九○ 一○○
(保育原理 一○ 九○ 一○○
(教育原理 五 四五 五○
保 育 実 習
(筆記試験 五 四五 五○
(実地試験 (各都道府県で定める) 五○
(2) 採点方法
1 保育実習の実地試験の採点は、正副二人の試験委員が別個に採点し、その平均点を得点とすること。
2 一般保育技術の算定に当たっては、次の事項の各々について五段階(二○点を満点とした場合は、二○点、一五点、一○点、五点、○点)に分けて採点し、その合計点の三分の一を得点とする。
ア 場に対する適応性の有無
イ 場面判断の能力の有無
ウ 表現の適切さ
第三 合格基準
一科目の合格点は満点の六割以上とする。ただし、児童心理学及び精神保健については、児童心理学及び精神保健それぞれ満点の六割以上でなくてはならない。保健衛生学及び生理学並びに保育原理及び教育原理についても同様とする。
〔別添〕
保母試験出題範囲
社会福祉
第一 出題の基本方針
社会福祉全般に関して、その理念体系の概要を理解しているかをはかることを基本とする。
問題選択に当たつては、我が国の社会福祉制度の体系を概括的に理解しているかという点のほか、その背景となつている社会の動向、社会保障等の関連の深い制度の概要、制度の歴史的展開等の点についても留意する必要がある。
第二 出題範囲
1 社会福祉の意義
(1) 社会福祉の理念と概念
(2) 他の制度の概念と社会福祉との相互関係
ア 所得保障 イ 医療保険 ウ 公衆衛生
2 社会福祉の歴史的発展
(1) 明治以後の慈善、救済、社会事業(第二次大戦以前)
(2) 戦後復興期の社会福祉(昭和二○年代)
(3) 高度経済成長期の社会福祉(昭和三○年代・四○年代)
(4) 高齢化時代の社会福祉(昭和五○年代・現代)
3 社会福祉制度の体系
(1) 現代社会における社会福祉の意義
(2) 社会福祉の法体系
ア 社会福祉事業法 イ 生活保護法等の福祉六法 ウ その他関連法律
(3) 社会福祉の実施体制
1 機関・組織
ア 福祉事務所 イ 児童相談所 ウ 精神薄弱者更生相談所 エ 民生委員 オ 社会福祉法人 カ 社会福祉協議会 キ その他関連組織・機関
2 社会福祉施設
3 社会福祉従事者
ア 社会福祉従事者の資格・職務
イ 社会福祉従事者の専門性・倫理
ウ 社会福祉従事者の養成・研修
(4) 社会福祉の財政と費用負担
4 社会福祉援助技術の概要
(1) 社会福祉援助技術の意義と必要性
(2) 社会福祉援助技術の発展
(3) 社会福祉援助技術の概要
1 直接援助技術
ア 個別援助技術 イ 集団援助技術
2 間接援助技術
ア 地域援助技術 イ 社会福祉調査法 ウ 社会福祉運営管理 エ その他の技術
5 その他の制度の体系と実態
ア 所得保障 イ 医療保険 ウ 公衆衛生
第三 出題上の留意事項
1 社会福祉援助技術の内容等について理解しているかという点についても出題しその場合には、具体的事例を設定して問う等工夫が必要である。
2 細かい法律や手続き、歴史的事項についての個々の知識に関して出題する場合は、常に社会福祉の理念あるいは現在の社会福祉の全体系を理解する上に関係の深い必要なものに限ることとする。
3 児童福祉や保育原理の出題とは、十分関連をとつて出題する。
児童福祉
第一 出題の基本方針
児童の現状とこれに対応して行われている現在の児童福祉制度及びその理論を体系的に理解しているかをはかることを基本とする。
問題選択に当たつては、我が国の児童福祉の理念・制度の体系を概括的に理解しているかという点のほか、児童及びそれをとりまく環境の状況、他の機関との関係、児童福祉の今後の展開等の点についても留意する必要がある。
第二 出題範囲
1 児童福祉の意義
(1) 児童福祉の理念と概念
(2) 児童福祉の対象と主体
(3) 児童福祉の発展
2 わが国の児童の現状
(1) 児童を取り巻く環境の変化
(2) 児童と家庭
(3) 児童福祉の発展
ア 要養護児童(被虐待児童を含む) イ 非行児童 ウ 心身障害児童 エ 情緒障害児童 オ 要保育児童 カ 虚弱児童
3 児童福祉制度の体系
(1) 児童福祉法の法体系
ア 児童福祉法 イ 児童扶養手当法 ウ 母子保健法 エ 母子及び寡婦福祉法 オ その他関連法律
(2) 児童福祉サービスの概要
1 健全育成対策
ア 児童厚生施設 イ 児童手当 ウ 健康診査 エ 母親クラブ等
2 要保護児童対策
ア 施設入所 イ 里親委託 ウ 育成医療対策
3 その他のサービス
ア 児童扶養手当 イ 特別児童扶養手当 ウ 母子福祉資金の貸し付け
(3) 禁止行為
(4) 児童福祉の実施体制
1 児童福祉の機関、組織
ア 児童福祉審議会 イ 児童相談所 ウ 福祉事務所(家庭児童相談室) エ 児童委員 オ 保健所
2 児童福祉施設
ア 種類 イ 設置者 ウ 入所の措置 エ 運営 オ 費用 カ 職員
3 児童福祉従事者
ア 児童福祉従事者の資格・職務
イ 児童福祉従事者の専門性・倫理
ウ 児童福祉従事者の養成・研修
4 児童福祉に関する処遇技術
ア 個別援助技術 イ 集団援助技術 ウ 地域処遇の実際 エ 施設処遇の実際 オ その他
5 児童福祉に関する機関との連携
ア 学校 イ 警察 ウ 家庭裁判所 エ 医療機関 オ その他の機関
第三 出題上の留意事項
1 児童福祉制度の体系についての出題は、きわめて重要なものを除き具体的な数字、固有の名称(たとえば施設名等)を解答させるものを避け、全体としての関連、制度の趣旨を理解しているかを試すような出題とする。
2 児童福祉概念の歴史的展開の部分からは、歴史的にあまり古いものや現在の児童福祉制度と関連のないものは出題しない。
3 社会福祉一般、保育原理、教育原理の出題とは、十分関連をとつて出題する。
児童心理学
第一 出題の基本方針
発達の基本原理、乳幼児期、学童期における心理的発達の特質及び各々の発達段階における心理構造の特質、それぞれの心理機能における発達の全般的傾向を特に保育の実際との関連において十分に把握できているかをはかることを基本とする。
第二 出題範囲
1 児童心理学の立場
2 発達の原理
(1) 発達の意義と概要
(2) 成熟と学習
(3) 発達段階と発達課題
(4) 発達理解の方法(観察・調査・検査)
3 乳児の心理
(1) 新生児
(2) 感覚・運動の発達
(3) 欲求と情緒の発達
(4) 知的機能(言葉を含む)の発達
(5) 社会性の発達
4 幼児の心理
(1) 運動の発達
(2) 欲求と情緒の発達
(3) 言語の発達
(4) 知的機能の発達
(5) 社会性の発達
(6) パーソナリティの発達(自我を含む)
5 児童の心理(思春期を含む)
(1) 運動の発達
(2) 興味と情緒の発達
(3) 言語の発達
(4) 知的機能の発達
(5) 社会性の発達(道徳性を含む)
(6) パーソナリティの発達(自我を含む)
6 個人差の理解(問題行動の理解)
7 発達的環境条件と保育
第三 出題上の留意事項
1 児童の発達の道筋を正しく理解し、家庭、所属集団等との関連において把握することを主眼として出題する。
2 児童の言動や問題行動についての理解等児童の保育等の実際において役立つような知識についても問わなければならない。
この場合、児童の問題行動の実態から出発して、その原因の理解方法、問題の解決方法及びその理論的背景等の理解についての出題を中心におくことが望ましい。
3 精神保健や保育原理の出題と十分関連をとって出題する。
精神保健
第一 出題の基本方針
児童心理学の中でも、特に発達段階及びその特質を基本的に理解した上で、それから外れた行動を示す児童について、正しい理解と取扱いができるかどうか、また、保育等の実際と関連して精神保健の意義及び目的を理解しているかどうかを見ることを基本とする。
第二 出題範囲
1 精神保健の概念
(1) 精神保健の意義
(2) 精神保健の歴史と研究分野
(3) 保育等と精神保健
(4) 行動の理論
2 行動障害、情緒障害
(1) 概念
(2) 診断
(3) 対策
3 精神薄弱
(1) 概念
(2) 診断
(3) 対策
4 自閉症
(1) 概念
(2) 診断
(3) 対策
5 神経症(ノイローゼ)
(1) 概念
(2) 診断
(3) 対策
6 心身症
(1) 概念
(2) 診断
(3) 対策
7 言語発達遅滞
(1) 概念
(2) 診断
(3) 対策
8 ホスピタリズム
(1) 概念
(2) 診断
(3) 対策
9 精神療法
(1) 遊戯療法
(2) カウンセリング
(3) その他の精神療法
第三 出題上の留意事項
1 保育の中で遭遇する。児童の発達の遅れや行動の異常についての理解を深めるような出題とし、理論面に過度に重点が置かれることなく保育等の実際における応用力を重視した出題とする。
2 精神薄弱児等についての出題をする場合には、障害児保育との関連を重視する。
3 児童心理学や保育原理の出題と十分関連をとって出題する。
保健衛生学
第一 出題の基本方針
公衆衛生の基本的な考え方及びそれを保育等の実際との関係において体系的に理解しているかを見ることを基本とする。
第二 出題範囲
1 健康の考え方
(1) 健康の定義
(2) 健康を保持増進するための条件
(3) 健康管理と健康教育
2 保健に関する主な統計
(1) 人口静態統計
(2) 人口動態統計
(3) 疾病統計
3 環境衛生
(1) 自然環境
(2) 室内環境
ア 室温調節 イ 換気 ウ 採光等
(3) 環境衛生対策
ア 上水道 イ 下水道 ウ 廃棄物処理
4 食品衛生
(1) 食品の衛生的な取扱い
(2) 食品の保存法
(3) 食中毒
5 伝染病・寄生虫病の予防
(1) 主な伝染病とその予防
(2) 主な寄生虫病とその予防
6 事故の防止
(1) 事故の原因
(2) 事故の防止
7 母子衛生
(1) 母性の健康
(2) 乳幼児の健康
(3) 母子保健事業
8 衛生行政
(1) 衛生行政機構
(2) 保健所
(3) 衛生行政の法体系
第三 出題上の留意事項
1 医師として必要な知識ではなく、保母が保育の実際においてしばしば出会うと思われる事項に関する知識についての理解を試す出題とする。
2 文章による解答を求める問題は、解答に長文を要するような大きな問題を避け、簡単に解答しうるような小さな問題を数多く出題することが望ましい。
3 生理学、看護学及び実習、栄養学及び実習等の出題と十分関連をとつて出題する。
生理学
第一 出題の基本方針
保育等の実際と関連して、保健衛生学、看護学、精神保健などの基礎になるような、児童の身体の構造及び機能の理解を見ることを基本とする。
第二 出題範囲
1 細胞と物質の代謝
(1) 細胞の構造
(2) 物質の代謝(糖質・脂質・たん白質代謝、エネルギー代謝など)
2 血液
(1) 血液の構成要素
(2) 血液の働き(緩衝作用、凝固、免疫等)
3 呼吸
(1) 呼吸器の構造(気管、気管支、肺)
(2) 外呼吸
(3) 内呼吸
(4) 呼吸運動とその調節
4 消化
(1) 消化器の構造と機能(口くう、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、すい臓等)
(2) 食物の消化と吸収
5 循環
(1) 心臓の構造と機能
(2) 血管系
6 泌尿器
(1) 泌尿器の構造(腎臓、尿路)
(2) 尿の生成と排出
7 支持運動器官
(1) 支持運動器官の構造(骨格、関節、筋肉)
(2) 姿勢の保持と運動
8 内分泌
(1) 内分泌器官の種類(脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、すい臓、性腺)
(2) 内分泌器官の機能
9 神経と感覚器
(1) 中枢神経の構造と機能(大脳、小脳、脳幹、脊髄)
(2) 末梢神経の構造と機能
(3) 感覚器の種類と機能(視覚、聴覚、平衡覚、味覚、嗅覚)
10 皮膚
(1) 皮膚の機能
11 生殖
(1) 男性生殖器
(2) 女性生殖器
12 発育
(1) 児童の発育
(2) 身長・体重(性・年齢別の発育、運動や栄養との関係等)
第三 出題上の留意事項
1 保育等の実際においてしばしば出会うと思われる事項に関して出題し、成人の身体的機能についての出題は、生理学の基本的理解のために必要な場合以外には避けることが望ましい。
2 生理学は解剖学と密接な関係にあるため、出題においては器官の形態、機能についても留意する。
3 精神保健、保健衛生学、看護学及び実習等の出題と十分関連をとって出題する。
看護学及び実習
第一 出題の基本方針
保育等の実際において、児童を心身共にすこやかに育成するために必要な健康に関する十分な知識・技術等を有しているかを見ることを基本とする。
問題選択に当たつては、児童の正常な発育、生理、栄養などのほか、児童の健康を保持増進させるための方策や、小児期に頻度の高い疾病・事故及びその対処法、緊急時の対応方法等についても留意する。
第二 出題範囲
1 看護の目的
2 観察のしかた
(1) 顔貌、皮膚、姿勢、行動、態度、睡眠、排泄等に関することの観察
(2) 身体各部の計測のしかた
(3) 体温、脈拍、呼吸等の測定法
3 主なる症状とその看護
発熱、発疹、咳嗽、腹痛、下痢、嘔吐、頭痛、出血、浮腫、脱水症状、チアノーゼ、けいれん等
4 基本的看護
(1) 室内環境の整備(換気、室温調節、採光等)
(2) 衣服、寝具
(3) 身体の清潔
(4) 哺乳・食事
(5) 排泄
(6) 運動
5 感染の予防
(1) 消毒と滅菌の概念
(2) 伝染病の予防
(3) 伝染病発生時の取扱い
(4) 児童に多い感染症
(5) 予防接種
6 与薬
(1) 内服薬の用い方
(2) 外用薬の用い方
(3) 薬物使用上の注意
7 救急看護
(1) 救急時の処置
(2) 包帯の巻き方
(3) 搬送法
第三 出題上の留意事項
1 医師、看護婦として必要な知識ではなく、保育の実際においてしばしば出会うと思われることがらを重視した具体的かつ実際的な問題であることが望ましい。
2 保健衛生学、生理学等の出題と十分関連をとつて出題する。
栄養学及び実習
第一 出題の基本方針
栄養学の基本的理論を体系的に理解しているか、保育等の実際においてその理論を適切にいかすことができるかをみることを基本とする。
第二 出題範囲
1 栄養と健康
(1) 栄養の意義
(2) 健康と栄養
2 栄養素の機能
(1) 栄養素等(糖類、脂類、たん白質、無機質、ビタミン、水)の作用
(2) 栄養素と体成分
3 エネルギー代謝
(1) エネルギーについて
(2) 食物のエネルギー
(3) 基礎代謝
4 日本人の栄養所要量
5 乳幼児の栄養
(1) 乳児期の栄養
ア 乳児栄養の特性 イ 母乳栄養と人工栄養 ウ 離乳
(2) 幼児期の栄養
ア 幼児栄養の特性 イ 偏食と間食
(3) 施設給食
6 食品
(1) 植物性食品
ア 穀類 イ 豆類 ウ いも類 エ 野菜類 オ 果実類 カ 種実類 キ きの子類 ク 藻類
(2) 動物性食品
ア 魚介類 イ 獣鳥肉類 ウ 乳類 エ 卵類
(3) 油類及びその製品
(4) 調味料、甘味料、香辛料、嗜好品、菓子類
(5) 強化食品、冷凍食品、インスタント食品、レトルト食品
7 献立と調理
(1) 献立の立て方
(2) 調理の目的と調理法
第三 出題上の留意事項
1 出題範囲内から平均して出題し、部分的な偏りをさけ、また日常食生活に密接な関係があり、かつ栄養上重要な基本的な問題を出題する。
2 保健衛生学等の出題と十分関連をとつて出題する。
保育原理
第一 出題の基本方針
保育原理を、保育所における保育とその他の児童福祉施設における処遇とに分け、それぞれに関して体系的に理解されているかをはかることを基本とする。問題選択にあたつては、保育所の保育に関する出題のほか、養護施設等その他の児童福祉施設の処遇に関しても配慮が必要である。
第二 出題範囲
1 保育の原理
(1) 保育の意義
(2) 保育の目標
(3) 乳幼児の発達的特質意義
(4) 保育の原理
2 保育等の場
(1) 家庭保育
(2) 施設処遇 類型と歴史
(3) 保育所の保育
(4) 入所施設の処遇
3 保育所の保育
(1) 保育の環境
ア 物的環境(施設、設備と遊具教具) イ 保育者及びその人間関係
(2) 保育の方法
ア 保育計画
イ 保育形態
ウ デイリー・プログラム
エ 保育内容
(ア) 健康 (イ) 自然 (ウ) 言語 (エ) 社会 (オ) 音楽リズム (カ) 絵画制作
オ 生活指導
(ア) 基本的習慣 (イ) 安全教育 (ウ) 社会的訓練
カ 評価
キ 家庭、小学校その他との連絡
4 入所施設の処遇
(1) 乳児院の養育
(2) 養護施設の養護
(3) 肢体不自由児施設、精神薄弱児施設等の治療教育
(4) その他の児童福祉施設の処遇
第三 出題上の留意事項
1 理論的側面の知識よりも、保育の実際との関連を重視した出題が望ましい。
2 社会福祉、児童福祉、児童心理学、精神保健、教育原理の出題と十分関連をとつて出題する。
教育原理
第一 出題の基本方針
教育に関する基礎的概念、教育活動における実践原理を体系的に理解しているかをはかることを基本とする。
第二 出題範囲
1 教育の意義
(1) 人間の成長発達と教育
(2) 文化伝達としての教育
(3) 社会同化としての教育
2 教育の歴史
(1) 教育実践家論
(2) 日本の教育の歴史
(3) 外国の教育の歴史
3 教育の目的
(1) 教育の目的的性格
(2) 教育目的の設定
(3) 日本の教育の目的
4 教育の内容
(1) 教育内容と文化
(2) 教育課程の類型
(3) 教育課程の編成
5 教育の方法
(1) 学習指導
(2) 生活指導
第三 出題の留意事項
1 出題範囲内から平均して出題し、部分的な偏りを避ける。また、単なる理論的側面の知識ではなく、保育等の実際との関連についての出題が望ましい。
2 児童福祉、保育原理の出題とは、関連を持つ場合があるので留意する必要がある。
保育実習
第一 出題の基本方針
筆記試験は、保育原理と比べてより具体性のある出題とし、実地試験においては、保育の理論に基づき、適切な行為が行われているかをはかることを基本とする。
第二 出題範囲
A 筆記試験
1 保育所の保育
(1) 保育計画
(2) 保育形態
(3) デイリー・プログラム
(4) 保育内容
ア 健康 イ 自然 ウ 言語 エ 社会 オ 音楽リズム カ 絵画制作
(5) 生活指導
ア 基本的習慣 イ 安全教育 ウ 社会訓練
2 入所施設の処遇
(1) 乳児院の養育
(2) 養護施設の養護
(3) 肢体不自由児施設、精神薄弱児施設等の治療教育
(4) その他の児童福祉施設の処遇
B 実地試験
1 音楽リズム関係技術
(1) 器楽
楽器 ピアノ又はオルガン
課題曲 バイエルアルバム七○~一○○番内の曲
(2) 声楽
ア コールユーブンゲン五度音程~七度音程の間の曲
イ 一二小節~一六小節の童謡
2 絵画制作関係技術
(1) 自由な題材のデッサン
(2) 特定課題に対する自由材料による制作
(3) 自由課題に対する特定材料による制作
(4) 特定課題に対する特定材料による制作
3 言語関係技術
(1) 口演童話(童話は選択させる。)
(2) 絵本、幻灯又は紙芝居等の開設
(3) 受験者相互又は試験官との言葉あそび
4 一般保育技術
保育所の日常の保育の場面における、入所児童に対する保育の技術
第三 出題上の留意事項
1 態度、知識、能力が総合的に把握されやすい内容を選定する。
2 児童の保育等の実際において具体的に必要度の高い内容を重視し、また、いたずらに高度のものを選択させない。
3 実地試験において、児童を参加させるものについては、児童に特別の刺激を与える方法はさける等児童に悪影響のないように留意する。
4 実施試験の多い場合多人数が同一条件のもとに受験できるよう配慮する。
別紙2
保母試験受験資格認定基準
都道府県知事は、次の各号の一に該当する者について、児童福祉法施行規則第四○条第四号の認定を行うものとする。
1 学校教育法(昭和二二年法律第二六号)による高等学校を卒業した者若しくは通常の課程による一二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を終了した者を含む。)又は文部大臣においてこれと同等以上の資格を有すると認定した者であつて、以下に掲げる施設において、二年以上児童等の保護又は援護に従事した者
(1) 「へき地保育所の設置について」(昭和三六年四月三一日厚生省発児第七六号)に規定するへき地保育所
(2) 一八歳未満の者が半数以上入所する次に掲げる施設
ア 身体障害者福祉法(昭和二四年法律第二八三号)に規定する身体障害者更生援護施設
イ 精神薄弱者福祉法(昭和三五年法律第三七号)に規定する精神薄弱者援護施設
ウ 「精神薄弱者通勤寮の設置及び運営について」(昭和四六年厚生省発児第一七号)に規定する精神薄弱者通勤寮
エ 「精神薄弱者福祉ホームの設置及び運営について」(昭和五四年厚生省発児第一四五号)に規定する精神薄弱者福祉ホーム
オ 「精神薄弱者福祉工場の設置及び運営について」(昭和六○年厚生省発児第一○四号)に規定する精神薄弱者福祉工場
2 1に掲げる施設において五年以上児童等の保護又は援護に従事した者
3 前各号に準ずる者であつて、都道府県知事が適当と認めた者
別紙3