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○特別養子制度における家庭裁判所との協力について

(昭和六二年一一月一八日)

(児育第二七号)

(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省児童家庭局育成課長通知)

特別養子制度の創設等を内容とする民法等の一部を改正する法律が昭和六二年九月二六日法律第一○一号として公布され、昭和六三年一月一日より施行されることとなつた。特別養子を含む養子縁組制度における児童相談所と家庭裁判所の協力については、昭和六二年一○月三一日厚生省発児第一三八号「里親等家庭養育の運営について」の第六において基本的事項が示されたところであるが、特別養子制度における家庭裁判所との協力の具体的あり方については、左記の事項に御留意の上、貴管下児童相談所に対して周知徹底を行い、円滑な運営に努められたい。

特別養子縁組は、父母による養子となる児童の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のために特に必要があるときに成立が認められるものである。

特別養子縁組が申し立てられる場合を大きくわけると、児童相談所のあつせんによる場合、社会福祉法人等のあつせんによる場合、それらのあつせんを経ていない場合の三つの場合にわけられるが、それぞれの場合に応じて以下のとおり、児童相談所も家庭に恵まれない児童の福祉向上を図る観点より、家庭裁判所からの調査の嘱託に応じるなど必要な関与を行うことが望まれる。

第一 児童相談所のあつせんによる場合

(一) 児童相談所のあつせんを経て、養親となるべき者が特別養子縁組の申立てを行つた場合、家庭裁判所は独自に審判に必要な調査を行うこととなるが、次のアからエに掲げる事項について、家事審判規則(昭和二二年最高裁判所規則第一五号)第八条に基づき、児童福祉の専門機関としての児童相談所に対しても意見を求めることがある(以下「調査嘱託」という。)ので、この場合には適切に対応されたい。

ア 養子となるべき児童の要保護性(養子となるべき児童及びその家庭の状況)

イ 養親となるべき者の適格性(養親となるべき者及びその家庭の状況)

ウ 養親となるべき者と養子となるべき児童の適合性

エ 養子となるべき児童の特別養子縁組以外の児童福祉法上の他の措置の可能性

(二) なお、調査嘱託は特別養子縁組のあつせんを行つた児童相談所に対して行われる取扱いとなるので、養親となるべき者の転居等のために、他の児童相談所に対して指導依頼を行つている場合には、当該児童相談所と十分連携をとつて意見をまとめること。

第二 社会福祉法人等のあつせんによる場合

養子縁組のあつせんを寄附行為又は定款に定める目的又は事業に含む社会福祉法人、財団法人又は社団法人が特別養子縁組のあつせんを行つた場合、当該法人があつせん後も引き続き必要な指導を行うとともに、家庭裁判所からの調査嘱託にも応じるものであること。

なお、場合によつては家庭裁判所から、児童相談所に対して調査嘱託が行われることもありうるので、その場合は当該あつせんを行つた社会福祉法人等と十分連携をとり、第一の場合と同様に調査嘱託に対して適切に対応されたい。

第三 児童相談所、社会福祉法人等のあつせんによらない場合

児童相談所、社会福祉法人等のあつせんを経ずに特別養子縁組の申立てが行われた場合、家庭裁判所は、調査の結果、養子となるべき児童が児童福祉法上の保護を要すべき児童であると判断されるときには、養親となるべきものに対して児童相談所に相談を行うよう指導するとともに、引き続き調査を行い、必要に応じて、児童相談所に対しても調査結果を添付して調査嘱託を行うことがあること。

この場合には、児童福祉の観点から、昭和六二年一○月三一日厚生省発児第一三八号「里親等家庭養育の運営について」及び昭和六二年一○月三一日児発第九○一号「里親等家庭養育運営要綱の実施について」に従つて里親委託、児童福祉司に指導させるなど必要な措置をとるとともに、第一の場合と同様に調査嘱託に対して適切に対応されたい。

第四 その他

(一) 特別養子縁組の審判が確定したときは、家庭裁判所から家事審判規則第六四条の一○に基づき、特別養子縁組のあつせんを行つた児童相談所及び調査嘱託に応じた児童相談所に対してその結果が通知されること。

(二) 児童福祉法上の保護を要すべき児童につき、特別養子縁組の審判が却下されたときは、前記(一)以外の場合にも、家庭裁判所から児童相談所に対して児童福祉法第二五条の規定に基づき通告が行われることとなるので、適切に対応を行うこと。