添付一覧
○在宅心身障害児(者)療育事業等の実施について
(昭和六一年四月二三日)
(児発第三五八号)
(社会福祉法人全国心身障害児福祉財団理事長あて厚生省児童家庭局長通知)
在宅心身障害児(者)の療育事業等については、今般、児童が委託されていない里親、里親を希望している者等に対して児童の委託を促進する事業を加えることとし、新たに、別紙「在宅心身障害児(者)療育事業等実施要綱」(以下「実施要綱」という。)を定め、昭和六一年四月一日から適用することとしたので、その適正かつ円滑な運営を図られたく通知する。
なお、昭和五八年六月二二日児発第四八八号本職通知「在宅心身障害児(者)療育事業等の実施について」は、廃止する。
別紙
在宅心身障害児(者)療育事業等実施要綱
第一 目的
心身障害児(者)、保護者及び施設職員等に対し、相談・療育指導、療育訓練、療育研修、指導誌の作成配布、指導放送又は通信教育を行うこと、里親等に対し、児童の委託を促進すること、母子家庭及び寡婦に対し、自立を促進するための基盤を整備すること等の事業を行うことにより、心身障害児(者)等の福祉の向上等を図ることを目的とする。
第二 実施主体
実施主体は、社会福祉法人全国心身障害児福祉財団とする。
第三 事業の種類及び内容等
1 在宅心身障害児(者)療育相談事業
(1) 事業の内容
在宅心身障害児(者)及び保護者に対する相談、療育指導を行うとともに、児童相談所、福祉事務所、精神薄弱者更生相談所、医療機関等関係機関へのあつせん及び連絡並びにその他これに附帯する事業とし、これらの事業の一部を社会福祉法人全日本精神薄弱者育成会(以下「育成会」という。)及び社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会(以下「守る会」という。)に委託できるものとする。
(2) 相談及び療育指導従事者
従事者については、医師、ケースワーカー、心理判定員、言語療法士、児童指導員等とし、厚生大臣と協議のうえ適当と認められた者とする。
2 在宅心身障害児(者)療育指導誌刊行配布事業
(1) 事業の内容
在宅心身障害児(者)の適切な保護育成のための指導誌を作成し、在宅心身障害児(者)の保護者等に無料配布する事業とし、これらの事業の一部を育成会及び守る会に委託できるものとする。
(2) 編集等
指導誌は、在宅心身障害児(者)の適切な保護育成に役立つ専門家の助言、解説、ケースワークの事例等を主たる内容とし、精神薄弱児(者)、重症心身障害児(者)及びその他の心身障害児(者)の保護者を対象とした三種類を編集するものとする。
なお、それぞれの年間刊行回数、一回当たりの刊行部数及び規格等については、厚生大臣に協議のうえ定められたものとする。
(3) 配布対象
ア 在宅心身障害児(者)の保護者等
イ 都道府県、指定都市、児童相談所、その他関係機関
3 在宅心身障害児療育研修事業
(1) 事業の内容
在宅心身障害児(者)の保護者及びボランティアを対象とし、保護者に対しては、家庭における心身障害児(者)の保護・育成に役立つ知識・技術の習得のための専門家による講義及び実技指導等の療育研修を行いボランティアに対しては心身障害児(者)の療育に関する知識・技能習得のための専門家による講義及び実技指導並びに施設における実習の療育研修を行う事業とする。
(2) 実施回数等
保護者を対象とする研修及びボランティアを対象とする研修のそれぞれの年間実施回数等については、厚生大臣に協議のうえ定められたものとする。
4 在宅重度障害児集団療育事業
(1) 事業の内容
医師、理学療法士、看護婦、指導員、保母等の療育担当者が障害児とその保護者を宿泊させ保護者に対しては、障害児の保護、育成に役立つ日常生活の指導方法、訓練技術の指導等を行い障害児に対しては、日常生活における基本的動作の指導、機能訓練等を行う事業とする。
(2) 実施回数等
集団療育の年間実施回数及び一回当たりの期間、参加人員等については、厚生大臣に協議のうえ定められたものとする。
5 精神薄弱児(者)育成指導放送事業
(1) 事業の内容
精神薄弱者の保護者及びその家族を主たる対象として在宅精神薄弱者の適切な保護育成に役立つ専門家の助言・解説、ケースワークの事例紹介等を主たる内容の指導放送を行う事業とし、この事業を育成会に委託して実施できるものとする。
(2) 実施回数等
放送回数 週 一回、年 五二回
放送時間 毎回一五分以上
6 精神薄弱児(者)施設職員通信教育事業
(1) 事業の内容
精神薄弱児(者)関係施設に勤務し、入所者の治療、訓練、処遇等に従事する職員に対し、テキスト及びレポートによる教科学習及びスクーリング事業の方法により当該施設入所者の治療、訓練、処遇等に関する理論及び指導技術の向上を図るための通信教育を行う事業とし、この事業を財団法人日本精神薄弱者愛護協会に委託して実施できるものとする。
(2) 実施の方法
ア 募集人員
年間 七五○人以上
イ 通信教育の期間
毎年四月一日から翌年三月三一日まで
ウ 履修科目
別表に定める基本科目及び専門科目
エ スクーリング授業
スクーリング授業は、年九回(一回三日間)以上を開催することとし、受講者は、別表の専門科目について一五時間以上受講するものとする。
7 里親促進事業
(1) 事業の内容
児童が委託されていない里親、里親を希望している者等(以下「里親等」という。)に対して、児童の委託の円滑な促進を図るため次の活動を行うものとし、この事業を財団法人全国里親会に委託して実施するものとする。
ア 児童相談所等の公的機関及び児童福祉施設と連絡を密にし、委託対象児童の状況を適確に把握する。
イ 里親等の家庭を訪問し、希望及び意見を聴取するとともに委託対象児童の状況及び委託手続等を説明し、必要な助言指導を行う。
ウ 里親等と委託対象児童とを面接させるとともに意見の調整を図る。
エ 短期里親候補者等に対して、制度の趣旨、里子養育の実際及び短期里親の登録手続等を説明し、必要な助言指導を行う。
オ 未委託里親を養護施設等の行事に参加させ児童との交流を通じ委託の促進を図る。
(2) 実施都道府県里親会等の選定
里親促進事業実施都道府県里親会及び短期里親開拓実施地区の選定に当たつては、全国里親会が厚生省と協議のうえ決定するものとする。
8 母子家庭等自立促進基盤事業
(1) 事業の内容
母子家庭の母及び寡婦を対象として、その自立促進を図るため次の活動を行うものとし、この事業を財団法人全国母子寡婦福祉団体協議会(以下「全母子協」という。)に委託して実施するものとする。
ア 助言指導者と直接意見交換するブロック別研修会を開催し、就労に必要な情報提供等を行う。
イ 就労促進情報収集事業として、次の事業を行う。
(ア) 都道府県の母子寡婦福祉団体(以下「母子寡婦団体」という。)の職員等が民間企業等に赴き経済的自立に必要な就労関係等の情報収集を行う。
(イ) 民間企業経営者や社会福祉施設関係者等の雇用者側に対し、母子家庭の理解と認識を深めてもらうための連絡会議を実施する。
(ウ) 経済的自立に必要な情報や連絡会議の内容をまとめた情報誌を発行する。
(2) 実施の方法
ア ブロック別研修会
一ブロック概ね三〇〇人程度を対象とし、その研修内容及び方法については、学識経験者等で構成する打ち合せ会で検討し実施する。
イ 就労促進情報収集事業
本事業が実施可能な母子寡婦団体を全母子協が指定し実施する。その数は全国の団体の中から、概ね三分の一程度とする。
(3) 助言指導者
公共職業安定所寡婦相談員、民間企業関係者、社会福祉施設関係者、母子相談員、学識経験者、その他。
第四 その他
特別の事情により、この実施要綱に定める基準等によることができない場合には、あらかじめ厚生大臣に協議してその指示を受けなければならない。
別表
基本科目 |
専門科目 |
1 精神薄弱者福祉概論 |
1 施設保健管理 |
2 精神薄弱者指導概論 |
2 精神薄弱者福祉方法論 |
3 治療教育学 |
3 重複障害者指導 |
4 精神薄弱医学 |
4 精神薄弱児(者)のレクリエーション |
5 精神薄弱心理学 |
5 ハウスキーピング |
6 精神薄弱生活指導 |
6 調査、統計、判定 |
7 精神薄弱学習指導 |
7 行動観察と記録 |
8 精神薄弱職業指導 |
8 精神薄弱者のリハビリテーション |
9 精神薄弱福祉行政 |
9 コミュニティケア |
10 精神薄弱施設運営 |
10 言語治療 |
|
11 機能訓練 |
12 作業療法 |
|
13 音楽療法 |