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○し体不自由児施設における母子入園による療育について

(昭和四〇年八月二四日)

(児発第七〇〇号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭局長通知)

し体不自由児施設における低年齢の児童の療育については、主として通園児童療育部門において療育を行なつているところであるが、従来から一部し体不自由児施設において、これら低年齢のし体不自由児を母子ともに入園させて機能訓練等療育の実施において適切な療育効果をあげている実情にかんがみ、今般これらし体不自由児に対する療育事業の一環として、母子入園による療育を実施することとしたので、管下し体不自由児施設の実情等を充分勘案のうえ、これら低年齢のし体不自由児に対する療育の一層の強化がはかられるよう御配意を願いたい。

なお、母子入園による療育の実施にあたつては、特に次の事項に留意のうえ、遺憾のないようされたい。

1 目的について

この取扱いは、し体不自由児施設への入所対象である児童が、幼若である等のために、機能訓練等療育の実施にあたつて当該児童の克服意欲を助長させることが困難であることから、短期間その母親(母親等の保護者。以下同じ。)とともに入園させることにより、より適切な療育効果が得られると判定された児童に対し、必要な療育を行ない、あわせて、家庭復帰後においても一貫した適切な機能訓練等の指導方法を確保することを目的とするものであること。

2 対象児童について

対象児童は、児童福祉法(昭和二二年法律第一六四号)第二七条第一項第三号の規定に基づいて、し体不自由児施設へ入所の措置がとられた児童のうち、低年齢(おおむね二歳~六歳)であり、かつ、母親とともに短期間入園させること(以下「母子入園」という。)により療育効果が得られると認められる児童であること。

3 設備について

母子入園による児童を対象として療育を行なう部門(以下「母子入園部門」という。)の設備については、次の点につき考慮をはらわれたいこと。

(1) 母子入園部門の建物(以下「母子入園棟」という。)は、原則として一般病棟等とは別棟とし、平家建耐火構造とすること。

なお、母子入園部門における訓練室、洗面所、便所等は、原則として一般病棟とは別に設けるものとすること。

(2) 母子入園棟における病室一室の定員は、児童五人以下とし、一組の母子につき四・九五m2(一・五坪)以上とすること。

4 収容定員について

母子入園部門の児童定員は、おおむね一○人~二○人とすること。

5 入園期間について

母子入園部門における入園期間は、おおむね一か月~三か月とすること。

6 運営について

(1) 療育の内容

母子入園部門における療育の内容は、母子入園児童のし体の機能の不自由度に応じて、主として母子一体のもとで機能訓練等の療育を行なうものであるが、母子ともに入園する特殊な形態であるため、他の療育部門における療育に支障を来たすことのないよう特に留意し、効率的な運営をはかること。

(2) 家庭との連けい

施設長は、母親が施設入所中において修得した日常生活動作訓練等の指導方法について、施設退所後においても一貫した療育が適切に行なわれるよう、密接な連けいを保つに必要な措置を講ずること。

(3) その他運営にかかる留意事項

ア 施設長は、母親に対して、施設における諸規則等を遵守させ、かつ、施設内における母子の健康管理が十分に行なわれるよう必要な措置を講ずること。

イ 施設長は、母親に母子入園部門の特殊性を認識させ、療育関係職員の指導等が徹底するよう必要な指示を行なうこと。

ウ 母子入園部門における母親にかかる生活諸経費等必要な経費については、その経理を別にして、明確かつ適正に行なうこと。

エ 母子入園部門における母親の給食については、原則として施設内での炊事は認めないものであること。

オ 母子入園部門における看護職員の配置については、母親の介護のいかんにかかわらず、適正に行なうものであること。