添付一覧
○児童相談所の巡回相談実施要領について
(昭和三八年二月四日)
(児発第九六号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童局長通知)
児童福祉法第一五条の二第二項にもとづく児童相談所による巡回相談の実施要領を左記のとおり定めたので、これが実施につき万全を期されたい。
記
児童相談所の巡回相談所実施要領
第一 巡回相談の方針
児童相談所は管下全般にわたる個々の児童の健全育成を洩れなくはかるため、地区内福祉事務所、保健所その他関係諸機関の密接な協力のもとに相談業務を実施すること。この際併せて問題児の分布発生状況及び問題の種別をとらえること。
第二 巡回相談の実施体制
1 巡回相談班の編成
巡回相談は、児童福祉司又は相談調査員、医師、臨床心理判定員及びこれらに準ずるものをもつて最低三名の相談班を編成し、チームによつて業務を遂行すること。
2 関係諸機関の協力
児童相談所長は、巡回相談を行なう場所の設定並びに実施日時、会場の周知徹底につき、更には各関係機関より職員等の援助につき、福祉事務所、保健所、児童委員、町村役場、学校、警察署などに積極的な協力を求め、巡回相談の円滑かつ効果的な実施を図るものとすること。
3 広報活動
児童福祉の向上を目標にした種々の広報、行事、その他の民間行事の機会を利用して、巡回相談の趣旨を普及し、挙つて相談をうける意欲を地区内にもりあげ、また一般住民に対し、児童の健全育成の趣旨につき徹底を図ること。
4 地域における児童福祉活動強化
市町村社会福祉協議会、関係民間団体等に対して巡回相談の機会を通じて地域における児童福祉活動の強化に資すること。
第三 巡回相談の実施
1 計画準備
巡回相談は原則として年間計画を作成し、これに基づいて行なうものとすること。
なお、計画につき、遅滞なく都道府県本庁所管部局に報告すること。
2 実施地区
巡回相談は概ね次に掲げる地区について実施すること。
イ 福祉事務所、保健所、児童委員、学校、警察署などから特に巡回相談の実施を希望された地区。
ロ 児童の居住地が遠隔又は交通不便のため児童相談所を利用し難い地区。
ハ 居住児童が比較的集団的にまとまつている地区。例えば公団住宅地区、工場労務者住宅地区など。
ニ 不良環境地区及び問題児多発地区。
3 実施場所
巡回相談の場所は、その地区内の交通上至便な位置にある公共施設などをもつてあてることが望ましい。なお、面接室、検査室、待合室などは、その効果を阻害することのないよう充分配慮すること。
4 相談実施要領
イ 実施にあたつては、その地域を管轄する福祉事務所と緊密な連絡をとり、当該福祉事務所における児童相談事業との調整をはかり、事業の効果的な実施について特に配慮すること。
ロ 実施にあたつては、単に問題児童だけの相談であるという印象を植えつけぬよう、むしろ予防、早期治療などに地域内の関心をあつめるよう配慮すること。
ハ 実際の相談に当たつては、児童相談所における業務の基準に従うこと。
ニ 特別ケースを除き、一応の処遇方針を決定するようつとめること。
5 事後処理
イ 巡回相談の実施結果については、必要な場合には遅滞なく都道府県ならびに関係者及び保護者に報告すること。
ロ 取扱つたケースによつては、児童相談所の判定会議に提出し、その判定と予後につき検討を加え、措置又は適切な処置を決定しなければならない。とくに、継続在宅指導の措置をする場合には、関係機関等に連絡を行なうものとすること。
ハ 巡回相談により把握した問題児の分布発生状況及び問題の種別ニード等は管轄福祉事務所に通報すること。