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○児童福祉法による保育所への入所の措置基準について
(昭和三六年二月二〇日)
(児発第一二九号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童局長通達)
児童福祉法による保育所への入所の措置に関しては、従来から格段の御協力を煩わしているところであるが、今なお不十分な点もある現状にかんがみ、その円滑かつ適正なる実施を確保するため、今回別紙のとおりその入所の措置基準を定め、昭和三六年度から実施することとしたので、次に留意し、所期の目的を達成するよう努められたく、通達する。
なお、昭和三○年一二月一日児発第六六○号通達「保育所の措置費の適正実施について」は、廃止し、及び昭和三二年五月一七日児発第二七九号通達「児童福祉法施行事務監査の強化徹底について」の別紙(二)の第一の二(保育所への入所の措置の適否)に係る部分は、適用しないものとする。
一 市町村長が、児童福祉法第二四条本文の規定により保育所への入所の措置をとる場合においては、事前にその家庭の状況を実施につき十分調査、把握し、その家庭構成の状況とくに保育担当者である母親の労働形態、家庭環境その他の状況等を十分勘案し、入所の可否を決定すること。
なお、入所の措置は市町村長の権限であり、その責任と判断によつて行なわれるべきものであるから、保育所長等他の者の意思によつて決定されるようなことがあつてはならないこと。
二 別紙の措置基準の各号のいずれかに該当すれば入所の措置をとることができるのであるが、定員等の事情により、その全部の児童の入所措置が困難な場合においては、その保育を要する程度の高いものから低いものにつき順次入所の措置をとること。
措置基準の(七)の特例による入所の措置は、(一)から(六)までの事例との均衡等に照らして社会通念上明らかに入所の措置を要すると認める事例がある場合に限り、都道府県知事において承認して差し支えないのであるが、その運用に当たつてはその事情を十分調査のうえ、慎重に判断することとされたいこと。
なお、地域における要保育児童を措置基準によりすべて措置した後、その保育所がなお定員に余裕のある場合には、私的契約による児童を入所させても差し支えないものであること。
三 前各号によつて入所の措置をとつた場合においては、措置基準の各号におけるその適用項目の番号を保育児童台帳の相当欄に記載しておくこと。
四 入所の措置をとるに当たつては、あらかじめ六箇月の範囲内で入所の期間を定めて行なうものとし、その期限が到来した場合において、なおその措置児童の措置理由があると認められるときは、その入所措置を更新する等適切な措置権の行使に努めること。
五 別紙の措置基準は昭和三六年度から実施されるのであるから、事前に市町村その他の関係機関に十分その趣旨の周知徹底を図り、その円滑なる実施に遺憾のないように努めること。
(別紙)
児童福祉法による保育所への入所の措置基準
児童福祉法第二四条本文の規定により市町村長(特別区の区域にあつては都知事とする。)が行なう保育所への入所の措置は、その家庭が次のいずれかの事情に該当する場合に限り、行なうものとする。
(居宅外労働)
(一) 児童の母親が日中居宅外で労働することを常態としているため、その児童の保育ができず、かつ、同居の親族その他の者がその児童の保育に当たることができないと認められる場合
(居宅内労働)
(二) 児童の母親が日中居宅内で児童とはなれて日常の家事以外の労働をすることを常態としているため、その児童の保育ができず、かつ、同居の親族その他の者がその児童の保育に当たることができないと認められる場合。ただし、父親がその業に従事しており、かつ、そのための使用人がいる家庭を除く。
(母親のいない家庭)
(三) 母親の死亡、行方不明、拘禁等の理由により母親がいない家庭であつて、かつ、同居の親族その他の者がその児童の保育に当たることができないと認められる場合
(母親の出産等)
(四) 母親が出産の前後であり、又は疾病の状態にあり、若しくは心身に障害があるため、その児童の保育ができず、かつ、同居の親族その他の者がその児童の保育に当たることができないと認められる場合
(疾病の看護等)
(五) その児童の家庭に長期にわたる疾病又は心身に障害のある者があり、母親が居宅内又は居宅外で常時その看護に従事しているため、その児童の保育ができず、かつ、同居の親族その他の者がその児童の保育に当たることができないと認められる場合
(家庭の災害)
(六) 火災、風水害、地震等の災害によつてその児童の居室を失ない、又は居宅を失なわないが破損した場合において、その復旧のためその児童の保育ができない場合
(特例による場合)
(七) 前各号に掲げるもののほか、それらの場合に照らして明らかにその児童の保育に欠けると市町村長が認めた事例につき、都道府県知事が承認した場合