アクセシビリティ閲覧支援ツール

○私立児童福祉施設の財務事務の取扱について

(昭和二九年五月一〇日)

(児発第二三一号)

(各都道府県知事あて厚生省児童局長通知)

児童福祉施設の財務事務に関しては、昭和二四年二月二三日児発第一二八号各都道府県知事宛児童局長通知により処理されていることと思料されるが、昭和二五年度以降地方財政平衡交付金法の定めるところにより取り扱われてきた児童福祉法第二二条から第二四条まで及び同法第二七条第一項第三号の措置に要する費用に対する国及び都道府県の負担金が昭和二八年度より復活したのを期とし、今般前記通知による「児童福祉施設の財務事務取扱要領」(以下「取扱要領」という。)を別記の通り改訂したので、爾今これに準拠して取扱うこととしたから、左記各項御了承の上、貴管下各施設に示達し、これの取扱の徹底を期せられたい。

一 この取扱要領は、児童福祉施設最低基準(昭和二三年一二月二九日厚生省令第六三号)第一六条第一項による「財産の状況を明らかにする帳簿及び収支の状況を明らかにする帳簿を備えなければならない。」にもとづき設定されたものであること。

二 この取扱要領は、私人の設置する児童福祉施設に適用されるものであつて、地方公共団体の設置する児童福祉施設の財務処理については、地方自治法関係法令及び各地方公共団体の条例等の定めるところによることは、当然のことであること。

三 この取扱要領は、児童福祉施設の行う事業の性格に照し、その根本思想において、国及び地方公共団体の財政管理作用と同様に取り扱わるべきを適当とし、これにもとづいて設定されたものであつて、実質的な会計方式は、現金の収入支出を基準とするいわゆる現金主義を採用したものであること。

四 前項により児童福祉施設の会計方式は、現金主義を採用しているが、この場合収入支出の金額を一定の形式で表示して見積る予算経理方式に則ることとした。即ち、児童福祉施設の一会計年度における収入支出の予定額を見積つた歳入歳出予算にもとづいて現金の収入、支出をなすものであること。

五 児童福祉施設を経営する社会福祉法人についてもこの取扱要領によつて処理されることとなつているが(昭和二八年三月一八日社乙発第三二号各都道府県知事宛社会、児童両局長通知本文参照)、一法人であつて二以上の児童福祉施設を経営する場合は、各施設単位に各別個のものとして処理されるものであること。なおこの場合社会福祉事業法第四二条第二項に定める貸借対照表及び収支計算書は、当該社会福祉法人として統轄したものを作成するものであること。

六 この取扱要領の主な改正点は、国庫負担金の対象となる事務費、事業費等の内容変更に伴う予算科目等と整理と、児童福祉施設の実態に即するよう内容を是正したものであること。

七 昭和二四年二月二三日児発第一二八号各都道府県知事宛児童局長通知「児童福祉施設の財務事務の取扱について」は、これを廃止すること。

「別記」

児童福祉施設の財務事務取扱要領

第一 予算の編成等について

一 歳入とは、一会計年度におけるすべての収入をいい、歳出とは、一会計年度における一切の支出をいうものであること。なお、収入とは、施設の一切の需用を充たすための支払の財源となるべき現金(現物収納の場合は、現金に換算する。)の収納をいい、支出とは、施設の需用を充たすための現金(現物払出の場合は、現金に換算する。)の支払をいうものであること。

二 歳入歳出は、すべてこれを予算に編入しなければならないこと。

三 会計年度は、国の会計年度(毎年四月一日に始まり翌年三月三一日に終る。)によること。

四 毎会計年度の出納経理期間は、翌年五月三一日限りとすること。

五 各会計年度の予算は、概ね別紙「一」の様式例に做い、これを調製すること。

予算科目の概目は、概ね別紙「二」によること。

六 歳出予算の編成については、左によること。

(1) 事務費について

イ 俸給給料は、現に在勤中の者の俸給給料現在額に現年度(予算編成をする当該年度をいう。)に昇給額等を見込んだ額及び現年度中に新規に採用する見込の者があれば、これの見込額を計上すること。

ロ 勤務地手当、扶養手当等は、イの人員を対象としての必要な額を計上すること。

ハ 旅費は、施設の維持経営のために要する最小限度の旅費額を計上すること。

ニ 需要費は、備品、消耗品、図書及び印刷、通信運搬、光熱水料(事務費分)等現年度において真に必要とするものを計上すること。

(2) 事業費について

事業費とは、収容児童を対象としての費用を計上するものであつて、

イ 飲食物費は、収容児童の食費予定額を計上すること。

ロ 炊具食器費、光熱水料費、被服寝具費、日用品費等は、それぞれ収容児童の保護に必要な経費を計上すること。

七 歳入予算の編成については、左によること。

(イ) 委託措置費収入は、都道府県知事又は市町村長の法第二七条第一項第三号又は法第二二条から第二四条までの措置によつて委託される収容児童見込数を対象として、これの保護に要する費用額を換算して計上すること。

(ロ) 繰越金は、前年度歳入歳出決算剰余見込額を計上すること。

(ハ) 寄附金及び共同募金収入は、いずれも施設自体への寄附見込額を計上すること。

(ニ) 利用料収入は、(イ)の「法」による措置によらない者で施設を利用させる入所予定者からの収入予定額を計上すること。

(ホ) 過年度収入は、前年度以前の利用料収入の未収入額中、収入確実と認められる額を計上すること。

(ヘ) 予金利子は、歳計現金(当該年度の歳入出予算経理余剰保管現金)保管利子見込額を計上すること。

(ト) 雑入は、不用品売却等の収入見込額を計上すること。

八 歳入出予算は、毎年三月末日までに翌年度の予算を編成すること。

第二 予算の執行

一 利用料収入は、納付書を発して、これにより収入すること。

二 収入の所属年度は、左によること。

(イ) 納期を定めている収入(利用料収入等)は、その納期の末日の属する年度

(ロ) 随時の収入で納付書を発するもの(利用料収入等)は、納付書を発した日の属する年度

(ハ) 随時の収入で納付書を発しないもの(予金利子等)は、領収した日の属する年度

三 支出の所属年度は、左によること。

(イ) 俸給、給料、旅費、手当等は、その支給すべき事実の生じた日の属する年度但し、別に支払期日の定まつたものがあるときは、その支払期日の属する年度

(ロ) 需要費及び事業費中物品の購入にかかわるものは、その物品の購入契約をした日の属する年度、但し、購入契約のないものは、その支出すべき事実の生じた日の属する年度

四 年度始めにおいて、その年度に属する支払上の現金に不足ある場合においては、前年度の収支残金をもつて、支払にあてることができること。但し、右は、前年度の支払に支障のない限りにおいてこれをなすとともに、前年度の出納を閉鎖するときは必ず一応戻入れ決算手続によつて正式に決算剰余金として繰り越す措置をなすこと。

五 誤収入又は過収入は、これを収入した科目から払い戻しすること。

六 誤払、過渡し又は仮払は、これを支出した科目に戻し入れすること。

七 歳出予算は、その予算に定めた目的以外に、これを使用してはならないこと。なお、各科目の少額の流用は差し支えないが、予算科目の性格を変更するような流用は認められない。この場合は、予算の追加更正をして処理すること。

第三 会計事務

一 収支の命令者と現金出納者とは、同一人に兼務させないこと。

現金出納の事務を事務職員に行わせる場合は、収支の命令及び予金通帳、印鑑等の保管は、施設の長が、これに当ること。

二 支払余裕金は、日常の支払に必要なものを除く外、予金して置くこと。

三 会計帳簿として、歳入簿、歳出簿及び現金出納簿を設け、これの記載には月計及び通計をつけること。

四 会計事務の整理に遺漏のないようするため別紙「三」の規程例に準じ、なるべく会計事務規程を定めること。

五 証憑書類(支払領収証、収入を証する書類等)は、各種目別に整理編綴し、これを保存すること。

第四 決算の調製

一 決算は、出納閉鎖期日を経過したときは、なるべく速やかにこれを調製すること。

二 決算は、予算と同一区分によりこれを調製すること。

三 歳入剰余金は、なるべくこれを積立金として積立てること。

四 会計年度経過後において、収入をもつて、支出にあてるに不足のあるときは、翌年度の収入を繰り上げ、これを充当できること。但し、この場合においては、その充当に要する額を左によりこれを翌年度予算に計上すべきこと。

なお、このことに関する一切の措置は、出納閉鎖期日までに終了すること。

(イ) 必ず翌年度の追加予算として計上すること。

(ロ) (イ)に対する収入財源は、利用料等適当且つ確実な財源に求めること。

(ハ) (イ)の支出予算科目は「前年度支出繰上充当額」として「事業費」の次に別に科目を設けること。

別紙「一」

画像2 (29KB)別ウィンドウが開きます

別紙「二」

画像4 (21KB)別ウィンドウが開きます

画像5 (24KB)別ウィンドウが開きます

画像6 (25KB)別ウィンドウが開きます

画像7 (27KB)別ウィンドウが開きます

画像8 (26KB)別ウィンドウが開きます

画像9 (22KB)別ウィンドウが開きます

別紙「三」

第一号様式

第二号様式

第三号様式

第四号様式

第五号様式

第六号様式

第七号様式

第八号様式

第九号様式

第十号様式