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○児童福祉事業を営むことを目的とする社会福祉法人又は民法法人等と学校教育の関係について

(昭和二七年二月九日)

(児発第五八号)

(各都道府県知事あて厚生省児童局長通知)

教育基本法第六条並びに学校教育法第二条の規定によれば、学校教育法に定める学校は、国、地方公共団体の外は学校法人のみがこれを設置することができることになつている。従つて私立学校法(昭和二四年一二月一五日法律第二七○号)の施行に伴つて、昭和二五年三月一五日以降は、児童福祉事業を営むことを目的とする私人が、同時に学校を設置して学校教育を行おうとするときは、児童福祉事業の主体とは別個の学校法人を設立しなければならないことになつた。この結果、従来民法第三四条に基く公益法人で私立学校を経営していた者は、昭和二六年三月一四日までにその組織を学校法人に変更しなければならないことになつたのである(同法附則第二項)。

なお、養護学校、盲学校及びろう・・学校に関しては、当分の間財団法人でもこれを営むことができることになつている(同法附則第一八項、学校教育法一○二条の改正)。

右の附則第二項の規定を受けて、昭和二五年三月一五日現在児童福祉施設の内部で学校教育を行つていた民法法人がその学校教育を有効に存続するためには学校法人に組織変更をする必要が生じたのであるが、養護施設経営のある財団法人がこの組織変更に際して、その法人の監督機関に何等事前に協議することなく、資産全部を学校法人の資産として切り換えたために、その主たる目的である養護施設の存在に非常な支障を来たしている事例が最近当省に報告されている。このように、結果的に主たる目的である児童福祉事業の運営に支障を来たすような学校法人の設立は厳に避けなければならないものであるから、貴県(都道府)におかれて、今後児童福祉施設に入所中の児童、学校教育を指導されるに際しては、特に左記に御留意のうえ、よろしく取り計らわれたい。

1 児童福祉施設に入所中の児童を義務教育には、近隣の小学校又は中学校を利用し、当該施設から通学せしめることを原則とすること。

2 児童福祉施設を営むことを主たる目的とする法人(社会福祉法人又は民法法人)又は団体等が例えば、(イ)当該施設の近隣に小学校若しくは中学校がなく、その施設から児童が、通学することが不可能であること、(ロ)虚弱児施設、体不自由児施設等にあつて、児童の健康上施設外への通学が困難であり、しかも治療が長期にわたる関係上、施設内で義務教育を行うことが必要であること等のやむを得ざる事由によつて、当該施設内に私立学校を設置して学校教育を行うために、別個の人格をもつた学校法人を設立しようとする場合には、当該法人の資産の全部をもつて学校法人を設立することなく当該法人又は施設等の資産には触れずにできるだけ別個の資産をもつて学校法人の設立に努めるか、やむなく当該法人又は施設等の資産を学校法人設立のために処分する場合にもその処分によつて本来の事業目的たる児童福祉施設の運営に支障を及ぼさないように努むべきものとすること。

3 児童福祉施設経営以外の児童福祉事業を行うことを目的とする社会福祉法人、民法法人又は団体等が事業の一環として学校法人を設立して、学校教育を行おうとする場合にも、当該学校法人の設立によつて、主たる目的である児童福祉事業の運営に支障を来たさないよう、特に留意せらるべきこと。

注 第一次改正の実施は昭和四四年四月一日以降の協議等から適用し、昭和四四年三月三一日以前の協議等については、従前どおりとする。