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○監獄にある引取人なき幼児等の措置について

(昭和二五年一〇月七日)

(児発第六二八号)

(各都道府県知事・矯正保護管区長・拘置所長・刑務所長・少年刑務所長あて厚生省児童・法務府矯正保護局長連名通知)

標記の件について、今後別添の取り扱要領により取り扱うこととなつたから御了知の上、監獄の長との連絡を密にし児童の福祉について遺憾のないようにお取り計らい願いたい。

別添

監獄にある引取人なき幼児等の取扱要領

第一 趣旨

この取扱要領は、監獄法第一二条及び同法施行規則第一二条の規定に基いて、従来から監獄所在地の市区町村役場に引き渡すことになつていた引取人のない児童(以下児童という)に対する児童福祉法による措置の取扱方法を規定するものであること。

第二 定義

この要領において引取人なき児童とは次の各号の一に該当する児童をいう。

(1) あらたに監獄に入監する婦女にその子の携帯を許さない場合において、相当の引取人のない児童

(2) あらたに監獄に入監する婦女にその子の携帯を許した場合においてその児童が満一歳に達した場合又は入監後在監を許すことができない事情の発生した場合において、相当の引取人のない児童

(3) 監獄において分べん・・した子であつて満一歳に達しても相当の引取人のない児童

第三 監獄の長の措置

監獄の長は、監獄法施行規則第一二条により監獄所在地の市区町村役場に引き渡さなければならない児童(即ち前項第二の各号に掲げる児童)がある時は、児童を直接市区町村役場に引き渡すことなく、次の措置をとること。

(1) 当該児童を携帯し又は分べん・・した婦女の従来の居住地が判明している場合は、予めその婦女の承諾を得てその居住地の都道府県知事又は児童相談所長(但し児童福祉法第三二条の規定により権限の委任を受けた児童相談所長に限る。以下同じ。)に、当該児童の引取に関する一件書類を添えて児童福祉法による措置を依頼すること。

(2) 当該児童を携帯し又は分べん・・した婦女の従来の居住地が不明又は不定の場合は、予めその婦女の同意を得て監獄所在地の都道府県知事又は児童相談所長に前(1)号に応じ児童福祉法の措置を依頼すること。

(3) 監獄の長は前(1)又は(2)の措置をとる場合において、各号の都道府県知事又は児童相談所長より当該児童を引き取る旨の決定の通知があるまでは、当該児童を監獄の長が適当な方法で保護しておくこと。

なお保護期間中は児童の福祉について万全の考慮を払うこと。

(4) 監獄から依頼のあつた携帯児については従来受刑者の釈放後の住所等について連絡のないもの及び釈放後子を引き取らぬ者等があるので、監獄の長は当該児童を監獄に携帯し又は分べん・・した婦女がその後当該監獄を釈放される場合は、刑期満了仮釈放、刑の執行停止等の如何を問わず釈放の日が決定した時直ちにその日時と釈放先を児童を措置した都道府県知事又は児童相談所長に通知すると共に受刑者が服役中釈放後の住所の連絡及び児童の引取等について十分指導しておくこと。

第四 都道府県知事又は児童相談所長の措置

(1) 監獄の長から前第二の各号に掲げる児童について前第三の児童福祉法による措置依頼があつた都道府県知事又は児童相談所長が、児童福祉法第二七条第一項第三号の措置を必要と認めた場合は、児童を乳児院、養護施設等の児童福祉施設に入所させ又は里親に委託する等の措置をとること。

なおこの場合は、次の三点に留意すること。

(イ) 児童を当該監獄から児童福祉施設又は里親まで送致する場合において、その送致は監獄の職員がこれに当たること。

(ロ) 児童福祉施設に入所後又は里親に委託後の措置に要する費用については当然措置をした都道府県がこれを支弁すること。

(ハ) 本人及びその扶養義務者が右の措置に要する費用負担困難なものについては児童福祉法第五六条第二項による費用の徴収の免除に関する規定が適用されること。

(2) 都道府県知事又は児童相談所長は右(1)の措置をとつた場合即ち当該児童を児童福祉施設に入所させ、又は里親に委託した場合は直ちにその旨を措置依頼があつた監獄の長に通知すること。

なお当該児童を監獄に携帯し又は分べん・・した婦女がその後当該監獄を釈放された場合における児童の引き取り等についても予め十分遺憾のないような措置を講じておくこと。

注意書

(1) 以上の場合は児童がその母親と共に監獄に伴われた場合又は監獄において分べん・・された場合の措置であるが、これと異なり例えば甲地に居住する母親が乙地の監獄に収容されており、児童だけが甲地にいる場合は、甲地の児童福祉司、児童相談所長が児童福祉法による必要な措置をとることは勿論であること。

(2) なお今後裁判所関係者等から懲役等の刑に処せられた母親の児童で適当な引取人のない者についての保護方を児童相談所に連絡して来る場合もあることと思われるが、その場合の保護の万全につき十分に留意すること。