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○児童福祉法と少年法の関係について

(昭和二四年六月一五日)

(厚生省発児第七二号)

(各都道府県知事あて厚生事務次官通知)

少年法(昭和二三年法律第一六八号)と児童福祉法(昭和二二年法律第一六四号)の関係については、客年一二月二八日付児発第八九七号「改正少年法と児童福祉法との関係について」において通知したのであるが、その後少年法と児童福祉法は、第五回国会において夫々その一部が改正され、六月一五日公布即日施行されることになつた。

少年法と児童福祉法の関係は、従来から両者の権限が相互に入り乱れていて、複雑難解であつたと思われるが、今回の改正により、その関係が若干整備されることになつたので、今後その取扱については左によられたい。

註 年齢は、凡て満計算によるものとし、又「都道府県知事又は児童相談所長」とある「児童相談所長」は、児童福祉法第三二条の規定により権限の委任を受けた児童相談所長に限るものであること。

第一 今回の改正に伴う主要事項

一 少年法の改正に伴う児童福祉法の対象の拡大

従来は、(イ)「罪を犯した少年及び一四歳に満たないで刑罪法令に触れる行為をした少年」と(ロ)「一四歳以上の虞犯少年」はもつぱら家庭裁判所の審判に付せられ、児童相談所では取り扱われないことになつていたのであるが、今回の改正によつて、(イ)「一四歳に満たないで刑罪法令に触れる行為をした少年」を発見した者は、今度は家庭裁判所でなく、児童相談所に通告しなければならなくなり、(ロ)「一四歳以上一八歳未満の虞犯少年」については家庭裁判所にも児童相談所にも通告することができるようになつたこと。

二 児童に対する強制力の行使

従来は、児童福祉法の諸機関が児童に対して強制力を行使することに関しては、明確な規定を欠いていたのであるが、今回の改正によつて「都道府県知事又は児童相談所長が、たまたま児童の行動の自由を制限し又はその自由を奪うような強制的措置を必要とするときは、第三三条及び第四七条の規定により認められる場合を除き、これを家庭裁判所に送致しなければならない。」(児童福祉法第二七条の二及び少年法第六条第三項)という新規定が設けられて、その関係が明確にされたこと。

なおこれに関連して、少年法第一八条第二項に「都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けた少年については、決定をもつて、期限を付して、これに対してとるべき保護の方法その他の措置を指示して、事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致することができる。」という規定が設けられ、更に、児童福祉法(第二七条第二項)に「都道府県知事が少年法第一八条第二項の規定により送致のあつた児童に対して強制力を行使するときは、家庭裁判所の決定による指示に従わなければならない」という規定が設けられたこと。

三 少年法と児童福祉法に関するその他の調整

従来は少年法第一八条の規定により、家庭裁判所から都道府県知事又は児童相談所長に送致された少年を受入れる規定が児童福祉法に欠けていたのであるが、今回の改正により、夫々児童福祉法第二六条及び第二七条にそれに関する規定が設けられたこと。

第二 児童福祉法と少年法の関係

一 通告

(一) 児童相談所(その職員を含む。)に通告される児童と家庭裁判所に通告される少年の関係は左の通りであること。(少年法第三条及び児童福祉法第二五条但書)

(1) 不良行為をなし又はなす虞のある児童--児童相談所

(2) 一四歳未満の虞犯少年--児童相談所

(3) 一四歳以上-八歳未満の虞犯少年--児童相談所又は家庭裁判所

(4) 一八歳以上の虞犯少年--家庭裁判所

(5) 一四歳未満であつて刑罰法令に触れる行為をした児童--児童相談所

(6) 一四歳以上であつて罪を犯した少年--家庭裁判所

なお、第二号から第四号までにいう「虞犯少年」とは、改正少年法第三条第一項第三号中(イ)から(ニ)迄の条件に該当する者の中で、特に性格及び環境に照して情状悪質で、将来罪を犯す虞れが極めて強い者をいい、第六号にいう「罪を犯した少年」とは、たとえば具体的にある窃盗事件が発生し、その嫌疑がかけられているようなものをいうのであつて、ある少年がその前歴等に鑑みて何時か、何か、罪を犯したに違いないと一応思われるような程度の場合は、これに含まれないものであること。

(二) 児童相談所に対する通告の義務は、前項第一号から第三号まで及び第五号の児童を発見した者の凡てに生ずるのであるから、その周知徹底に努めるとともに、特に児童福祉司及び児童委員には右の通告を励行させること。

(三) 児童相談所に対する通告の中には、警察官又は警察吏員によるものが相当数を占めることと思われるから、関係警察署と緊密な連絡をとり、児童の身柄の送致等についてもその協力をうるよう努めること。

(四) 一四歳以上一八歳未満の虞犯少年については、児童相談所又は家庭裁判所の何れにも通告され得るのであつて、この場合通告の義務が二重に発生するように思われるが、児童相談所又は家庭裁判所の何れか一方に通告すれば他方に対する通告は必要としないものであること。

(五) 家庭裁判所が事件受理後、少年が一四歳に満たない者であることを発見したときは、少年保護司をして児童相談所に通告せしめることになるから、児童福祉法第二五条の通告としてこれを受理すること。なお、少年が少年監護所等において保護されている場合は、児童相談所の現状等では少年を引き取りにゆくことは困難なことと思われるから、このような場合はその少年を連れてくるよう家庭裁判所の協力を求めること。

(六) 児童相談所が事件受理後、少年が一四歳以上であつて罪を犯した者又は一八歳以上の者であることを発見したときは、児童福祉司又は児童委員をして、これを家庭裁判所に通告せしめること。

二 児童の保護

(一) 通告のあつた児童の保護

(1) 児童相談所に通告された児童の保護については、都道府県知事又は児童相談所長が児童福祉法第二六条又は第二七条の規定により、責任をもつてその保護に当るものであること。

(2) 少年院法の改正に伴い(昭和二四年法律第一二○号、五月三○日施行)、初等少年院は一四歳未満の少年を収容しないことになり(改正少年院法第二条第二項)、又犯罪者予防更生法(昭和二四年法律第一四二号七月一日施行)に基き設置される地方少年保護委員会も一四歳未満の少年を取り扱わない(犯罪者予防更生法第二条)のであるから、今後は、一四歳未満の児童は凡て児童福祉法の諸機関で保護しなければならなくなり、そのために今後教護に特別な注意と工夫を必要とする児童が児童福祉施設に入所してくることが予想されるから、これが受入態勢の整備に力をいたすこと。

(二) 少年法第一八条第一項によつて送致された児童の保護

(1) 家庭裁判所に通告された少年を家庭裁判所が調査した結果、児童福祉法の規定による措置を適当と認めるときは、家庭裁判所の決定によつて、事件が都道府県知事又は児童相談所長に送致されてくるから、右の送致をうけた都道府県知事又は児童相談所長は、家庭裁判所の行つた調査の結果を参考にしつつ、改めて児童の調査鑑別を行い、その児童に最も適した夫々の措置をとること。

(2) 少年法第一八条の規定により事件が都道府県知事又は児童相談所長に送致されてくる場合に、現実に児童を少年観護所から児童相談所まで連れてくることは、児童相談所の現状等からして困難であろうと思われるから、このような場合には、少年保護司、警察官、警察吏員又は少年観護所の職員等がこれに当るよう家庭裁判所と協議すること。

(三) 少年法第二四条第一項第二号によつて送致された児童の保護

(1) 家庭裁判所が保護処分の一として少年法第二四条第一項第二号による教護院又は養護施設送致を決定する必要上、児童を入所させる教護院又は養護施設の収容余力等につき、都道府県知事又は児童相談所長に照会してくるから、右の照会をうけたときは管下の施設の実状等を十分考慮のうえ、家庭裁判所に通報すること。

(2) 少年法第二四条第一項第二号の保護処分が決定されても児童は児童相談所に送致されてくるのを原則とし、教護院又は養護施設に直接送致されることのないようになつていること。(少年審判規則第三七条第二項)

(3) 右の送致は、児童相談所の現状等からして、児童相談所がこれに当ることは困難であろうと思われるから、このような場合は、少年保護司、警察官、警察吏員又は少年観護所の職員等がこれに当るよう家庭裁判所と協議すること。

(4) 家庭裁判所から児童が児童相談所に送致されて来たときは、都道府県知事又は児童相談所長は、家庭裁判所の行つた調査の結果を参考にしつつ、家庭裁判所の決定した枠内で具体的にどこの施設に児童を入所させるかを決め、児童福祉法第二七条第一項第三号の措置を家庭裁判所の決定に併せてとること。したがつて、都道府県は右の措置に要する費用を支弁しなければならないこと。

(5) 右の措置によつて、教護院又は養護施設に入所せしめた児童に対して、その措置の解除又は変更をすることは、あらかじめ裁判所の了解を得る必要はなく、都道府県知事又は児童相談所長が適当と認めるときは何時でも措置の解除又は変更をすることができるのであるが、措置の解除又は変更をしたときは、決定をした家庭裁判所に爾後報告をすること。

(6) 少年法第二四条第一項第二号により、教護院又は養護施設に児童が送致された場合、家庭裁判所によつて少年に関する報告又は意見の提出を求められる場合があり(少年法第二八条)又少年の処遇に関し勧告をされることがあるが、この場合はすべて都道府県知事又は児童相談所長の経由してなされ又はなすようにすること。

(四) 児童に対する強制力の行使

(1) 都道府県知事又は児童相談所長が、一時保護中又は教護院等に入所中の児童につき、一時保護又は親権行使として認められる場合を除き、児童の行動の自由を制限し又はその自由を奪うような強制的措置がとられることが必要であると認定したときは、事件を家庭裁判所に送致しなければならないこと。(児童福祉法第二七条の二)

なお、教護院等の長が、入所中の児童につき、前項にいう強制的措置がとられることが必要であると判断した場合は、その事由等を具し、児童相談所長を経て都道府県知事に申請するよう指導されたいこと。

(2) 「強制的措置が必要とされる場合」というのは、主として児童がほしいままに出られないような設備のある特定の場所に収容し、その行動の自由を制限し、又は奪うことが必要とされる場合、(以下行動の自由制限という。)が、考えられるのであるが、具体的な事例につき疑問を生じたときは当省に照会すること。

(3) 教護院は強制力を行使することなく児童の教護を行うことをその本質とするものであるから、右の本質に沿うよう万全の努力を払い、事件を家庭裁判所に送致することは万已むをえざる場合の例外的なケースに限定すること。

したがつて、今後は教護院等における教護技術の改善向上等につき、なお一段の研究と指導を行うこと。

(4) 家庭裁判所の決定があつた場合、その決定に従い児童に対して強制力を行使することができる教護院は、国立武蔵野学院のほか、さしあたり左に掲げる教護院に限定すること。

宮城県      修養学園

東京都      誠明学園

東京都      萩山実務学校

神奈川県     国府実習学校

愛知県      愛知学園

京都府      淇陽学校

大阪府      修徳学院

兵庫県      農工学校

広島県      広島学園

福岡県      福岡学園

右に該当しない教護院を管轄する道県の知事又は児童相談所長は、家庭裁判所から少年法第一八条第二項により事件が送致されてくれば、附近の強制力を行使することができる教護院を管轄する都府県の知事又は国立武蔵野学院長に児童の教護を依頼しなければならないことになるから、事件を家庭裁判所に送致するにあたつては、あらかじめ、その承認をうること。

(5) 事件を家庭裁判所に送致する場合には、左に掲げる事項を記載した送致書によること。(少年審判規則第八条)。

なお、この送致書には、法第二七条の二の規定により送致するものであることを明記すること。

(イ) 少年及び保護者の氏名、年齢、性別、職業、居住地及び少年の本籍地ならびに少年が現に収容されている施設及びその所在地

(ロ) 強制的措置が必要とされる事由詳細

(ハ) その他参考となる事項

(6) 家庭裁判所の決定は、児童相談所の行つた調査鑑別の結果を参考にして行われることと思われるから、児童相談所において、その児童について調査鑑別した書類(児童の履歴、性行、健康状態、その他児童の福祉増進に関し参考となる事項等を記入したもの)は前項第五号の「その他参考となる事項」の一部として、必ず家庭裁判所に送付すること。なお、その他に証拠物その他家庭裁判所の審判の参考となる資料があるときは、併せて送付すること。

(7) 都道府県知事又は児童相談所長が、児童福祉法第二七条の二の規定により事件を家庭裁判所に送致する場合は、実情に応じて、その児童に関する送致書を送付するのみでもよく、或は児童の身柄を併せて送致しても差し支えないが、この点に関しては関係家庭裁判所と十分協議されたいこと。

児童の身柄を送致しない場合は、児童に対する家庭裁判所の審判が決定するまで、児童の逃走等がないようあらゆる努力と工夫をすること。但し、この場合はまだ家庭裁判所の決定がないのであるから、児童を監禁する等の強制的措置をとるようなことがあつてはならないこと。

(8) 審判を行うため家庭裁判所から児童の呼出を求められたときには、現に児童を監督保護している者(それぞれ児童相談所の職員又は教護院の職員等をいう。)をして、児童を、審判期日に、指定の場所に同行してゆかせること。なお、審判は時として児童が現に監督保護されている場合に出張してなされることもあること。

(9) 児童福祉法第二七条の二により家庭裁判所に送致された事件と決定は、家庭裁判所が独自の見解でなすのであるから、少年法第一八条第二項により都道府県知事又は児童相談所長に再び送致されてくるものもあり、少年法第二四条第一項第一号(地方少年保護委員会の保護観察)又は第三号(少年院送致)の保護処分に付せられるものもあること。

(10) 少年法第一八条第二項により家庭裁判所から事件の送致を受けたときは、都道府県知事又は児童相談所長は左の措置をとること。

(イ) 強制力を行使することができる教護院を管轄する都府県の場合

児童福祉法第二七条第一項第三号の措置をとり(但し、児童が現に教護院に入所している場合は不要)教護院の長に家庭裁判所の決定書の写を送付し、教護院の長が家庭裁判所の決定の範囲を越えて、強制力を行使することがないよう厳重な指導と監督を行うこと。

(ロ) 強制力を行使することができない教護院を管轄する都道府県の場合

(A) 国立武蔵野学院以外の教護院に児童を入所させる場合、あらかじめ承認を受けた都道府県の知事に家庭裁判所の決定書の写及び児童の入所させる予定年月日を記入した書類を送付して、その児童の指導監督を依頼すると同時に、現に児童を監督保護する者(それぞれ児童相談所の職員又は教護院の職員等をいう。)をして、その児童を当該教護院に連れて行かすこと。なお、都道府県の知事又は児童相談所長はその児童につき、児童福祉法第二七条第一項第三号の措置をとり、入所後に要する費用を当該教護院を管轄する都道府県に送付すること。費用の額は当該教護院についてその都道府県の知事が定める額によること。

(B) 国立武蔵野学院に児童を入所させる場合

国立武蔵野学院長に家庭裁判所の決定書の写及び児童を入所させる予定年月日を記入した書類を送付して児童の教護を依頼すると同時に、現に児童を監督保護するものをして、その児童を国立教護院に連れて行かすこと。なお、その児童につき、児童福祉法第二七条第一項第三号の措置をとらなければならないことはいうまでもないが、都道府県は入所後の費用を支払う必要はないこと。児童の教護については、もつぱら国立武蔵野学院長が責任を以つてこれにあたるものであること。

(11) 裁判所の決定は、強制的措置がとられうる最高限度を示すものである場合が多いと思われるが、その場合は必ずその最高限度までその強制力を行使しなければならないというような性質のものでなく又場合によつては全然強制力を行使しなくても差し支えないのであるから、右の趣旨を十分徹底せしめ、児童に対してみだりに強制力を行使することのないよう指導すること。但し、家庭裁判所の決定が必ず履行しなければならない決定である場合は、必ず決定のとおりに強制力を行使すること。

(12) 家庭裁判所の決定に基き、強制力行使の一態様として、児童の行動の自由制限をする場合は、主として左の諸点に考慮を払つてこれを行うこと。

(イ) 行動の自由制限は、教護の目的を達する一手段として行われるのであるから、それが行動の自由制限のための行動の自由制限に終らないよう十分注意をするとともに、行動の自由制限を行つている間は児童に対して、絶えず生活観察を行いその結果に基いて、それぞれ適切な措置をとり教護の目的が達成されるようつとめること。

(ロ) 行動の自由制限は、家庭裁判所の指示の範囲内で行うべきことはいうまでもないが、それはあくまで必要最少の期間及び程度に止めること。

(ハ) 行動の自由制限を行う場合には、精神医学者等専門家の意見を徴すること。

(ニ) 児童は外部から隔離した静で明るい生活環境に安居せしむること。

(ホ) 行動の自由制限は、児童の健康管理に十分な考慮を払いつつこれを行うこと。

(13) 家庭裁判所の決定に基き、教護院に入所せしめた児童に対して、その措置の解除又は変更等をすることは、あらかじめ家庭裁判所の承認を得る必要はなく、都道府県知事又は児童相談所長が適当と認めるときは何時でも措置の解除又は変更をすることができるのであるが、(但し、家庭裁判所の決定が必ず履行しなければならない決定であるときは、その決定に従わなければならない。)右の措置は必ず(10)の(イ)の場合は教護院の長、(ロ)の(A)の場合は、児童を入院させている教護院を管轄する都道府県の知事、(2)の(B)の場合は、児童を入院させている教護院を管轄する都道府県の知事、(ロ)の(B)の場合は、国立武蔵野学院長の意見に基いてこれをなすこと。なお、右の措置をとつたときは決定をした家庭裁判所に爾後報告をすること。

(14) 家庭裁判所の決定に基き(10)の(ロ)の(A)及び(B)により、児童を入所させた教護院は、児童に対して、強制的措置を必要とする期間及びそれに附髄して行われる教護に必要な最少の期間だけ入所させることを原則とするものであるから、右の教護院を管轄する都府県の知事又は国立武蔵野学院長から、児童に対して措置の解除又は変更をすることを求められたときは、児童の教護を依頼した都道府県の知事又は児童相談所長は責任をもつてその児童の保護にあたり、右の教護院に過大な負担をかけないよう努めること。

(五) 一時保護と親権の行使

(1) 家庭裁判所の決定によらなくても児童に対して、強制力を行使することができる場合は、児童福祉法第三三条の規定に基く一時保護と児童福祉法第四七条の規定に基き児童福祉施設の長が親権を行使する場合であるが、一時保護は終極的な保護ではなくて、終極的な保護の措置をとるまでのごく短期間のものであり、児童福祉施設の長が親権を行使する場合は親権の性格からいつて、それには自ら限界があるから、家庭裁判所の決定によらなくても児童に対して強制力を行使することができるとされたものであること。

(2) 一時保護の権限は、児童の保護のために必要なときは児童自身の意思を問うことなく強制力を以て、保護することができるものであること。

(3) 児童福祉施設の長の行う親権の範囲に関して、疑問の生じたときには当省に照会されたいが、逃走しつつある児童を連れ戻すことは、右の親権の範囲として当然行いうるものであること。

なお、親権の範囲を超えて、たとえば児童を一室に監禁するようなことは前述の如く、家庭裁判所の決定によらなければ出来ないものであること。

第三 関係諸機関の緊密な連絡

少年の保護に関しては、児童福祉法と少年法が競合しているため、その円滑な実施のためには、家庭裁判所はもちろんのこと警察その他の関係諸機関と絶えず緊密な連絡をとり、よつて所期の目的を達成するよう努めること。

なお、本通知については、最高裁判所家庭局及び国家警察本部刑事部とも打合済であることを念のため申し添える。