添付一覧
○児童福祉法の一部を改正する法律〔第九次改正〕の施行について
(昭和二八年三月一六日)
(発児第二四号)
(各都道府県知事あて厚生事務次官依命通達)
児童福祉法の運用については、多大の御配意を煩わしている次第であるが、今回、本法施行の経験にかんがみ、児童措置費及び身体に障害のある児童に対する盲人安全つえの交付又は補装具の交付若しくは修理に要する費用の負担能力に関する認定機関を調整する等、これが改正措置を進め、本日、児童福祉法の一部を改正する法律(昭和二八年三月一六日法律第一○号。以下「改正法」という。)が公布され、来る四月一日から施行されることになつた次第であるが、この改正法の運用に関しては、とくに左記事項に御留意の上、もつて所期の目的を達成するよう努力を願いたい。
右命によつて通知する。
記
第一 児童措置費及び身体に障害のある児童に対する盲人安全つえの交付又は補装具の交付若しくは修理に要する費用の負担能力に関する認定機関の調整に関する事項
(改正法第五六条第二項、第三項)
一 従来、国又は都道府県が支弁した児童措置費及び都道府県が支弁した身体に障害のある児童に対する盲人安全つえの交付又は補装具の交付若しくは修理に要する費用の負担能力に関する認定機関は、すべて市町村長と定められていたが、この制度の下では、費用の支弁主体と認定機関が異なる場合もあり、そのためにその徴収事務に煩雑を極める等実情に副わない点があり、しかも他の社会福祉立法と軌を一にしない面もあつたことにかんがみ、改正法第五六条第二項において、国庫又は都道府県が支弁した児童措置費及び都道府県が支弁した身体に障害のある児童に対する盲人安全つえの交付又は補装具の交付若しくは修理に要する費用について厚生大臣又は都道府県知事がこれを徴収するに当つては、都道府県知事においてその負担能力に関する認定に当ることに改められたものであること。
なお、市町村が支弁した児童措置費について市町村長がこれを徴収するに当つては、従前通り市町村長においてその認定に当ることとしたこと。
二 都道府県知事が、右の認定をするに当つては、改正後の児童福祉法第五六条第二項の規定により、児童福祉司又は社会福祉主事等のこれに関する調査に基いた意見を聞かなければならないのであるが、この場合の取扱は、次のようにされたいこと。
なお、市町村長が認定する場合の意見の聴取については、従来の例によられたいこと。
(一) 児童措置費の場合
(イ) 都道府県知事の行う児童福祉法(以下「法」という。)第二七条第一項第三号の措置により里親に委託され、又は児童福祉施設に入所した者についての認定は、原則としてそのケースを担当した児童福祉司の意見を求めること。
(ロ) 都道府県知事の措置により助産施設又は母子寮に入所した者についての認定は原則としてそのケースを担当した社会福祉主事の意見を求めること。
(ハ) 市及び福祉事務所を管理する町村長の措置により都道府県の設置する助産施設、母子寮又は保育所に入所した者についての認定は、原則としてそのケースを担当した社会福祉主事の意見を求めること。
(ニ) 福祉事務所を管理しない町村長の措置により都道府県の設置する保育所に入所した者についての認定は、原則としてその者の地域を担当する社会福祉主事の意見を求めること。
(二) 身体に障害のある児童に対する盲人安全つえの交付又は補装具の交付若しくは修理又はこれらに要する金銭の支給の場合
従来、法第二一条の三及び児童福祉法施行規則第一八条の二の規定による盲人安全つえの交付又は補装具の交付若しくは修理又はこれらに要する金銭の支給に関しては、同規則第一八条の二第二項の規定により「法第五六条第二項に規定する費用の負担能力に関する市町村長の認定書」を添附して、福祉事務所長又は法第二一条の二第一項の規定による療育の指導を受けている保健所長を経由して、都道府県知事にこれを申請することになつていたのであるが、今回の改正に伴い、右の字句は失効したので、これが取扱については、次のようにされたいこと。
(イ) その申請を福祉事務所長が受理した場合においては、そこの社会福祉主事の費用の負担能力に関する意見書を添附した上、都道府県知事に進達させるようにすること。
(ロ) その申請を保健所長が受理した場合においては、その申請書が都道府県知事に進達された場合に、直ちに都道府県知事においてその申請者の居住地又は現住地を管轄する福祉事務所の社会福祉主事の費用の負担能力に関する意見書を提出させるようにすること。
三 改正前の法第五六条第三項に規定する市町村の児童措置費及び身体に障害のある児童に対する盲人安全つえの交付又は補装具の交付若しくは修理に要する費用の一○分の一負担の規定は、今回の法第五六条第二項の改正に関連して廃止されたものであること。したがつて、都道府県が支弁した児童措置費及び身体に障害のある児童に対する盲人安全つえの交付又は補装具の交付若しくは修理に要する費用のうち、その徴収できない額については、国庫がその一○分の八、都道府県がその一○分の二をそれぞれ負担することに改められたこと。
なお、法第五一条第一号の規定により市町村が支弁した児童措置費については、法第五五条の規定により、従前通り都道府県が、その一○分の一を負担することはいうまでもないこと。
第二 その他の事項
(改正法第五二条、第五三条、第五六条の四、附則第二項)
一 都道府県が支弁した都道府県児童福祉審議会に要する費用(法第五○条第一号)、児童福祉司及び児童委員に要する費用(法第五○条第二号)及び児童相談所の職員に要する費用(法第五○条第三号)については、現在地方財政平衡交付金制度をもつて処理されているので、したがつてこれに関する国庫の負担規定は空文となつているから、改正法第五二条及び第五三条において整理したものであること。
二 前項により児童委員に要する費用については、その国庫の負担規定が整理されたが新たに改正法第五六条の四の規定により、国庫は、都道府県が支弁する児童委員に要する費用のうち、特定事項にかかるものについては、予算の範囲内で、その一部を補助し得ることとしたこと。但し、これが財源措置は、いまだ講ぜられていないものであること。
三 改正法附則第二項の規定により、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部が改正され、同法に基く母子福祉資金中修学資金の貸付限度額が、高等学校については「七○○円以内」と改訂されたこと。