添付一覧
○児童福祉法の一部を改正する法律〔第三次改正〕の施行について
(昭和二四年六月一五日)
(発児第七〇号)
(各都道府県知事あて厚生事務次官通達)
児童の福祉を保障し、わが国の児童福祉事業を健全な発展の軌道に導くために制定せられ、客年一月一日より施行せられている児童福祉法(以下改正前法という。)は、施行後一箇年の間に各方面の努力と協力により、次第にその所期の目的に向つて進みつつあるが、児童の福祉の増進を更に実効のあるものたらしめ、児童の心身の健やかな育成を期待する根本理念を一段と徹底するために、ここに児童福祉法の一部を改正する法律(以下改正法という。)及びこれに伴う政令(以下改正政令という。)並びに省令(以下改正省令という。)が六月一五日に公布即日施行せられることになつた。その運営に関しては、特に左記事項につき周密な注意を払い、所期の成果を挙げるよう努められたい。
記
第一 改正の主要事項
改正の主要事項は、おおむね左の通りである。
一 少年法及び児童福祉法の一部改正の結果、従来児童福祉法の対象から除外せられていた刑罰法令に触れる行為をした一四歳未満の児童及び一四歳以上一八歳未満の虞犯児童について、前者は専ら児童福祉法によつて、後者は児童福祉法と少年法の双方によつて取り扱われること。
二 児童が他人の家庭に同居している場合には、その児童の保護福祉の万全を期するために四親等内の児童以外の児童を同居させている者に対し届出の義務を課することにしたこと。
三 改正前法においては、児童福祉行政運営の重点が都道府県に集中されていたため、児童福祉行政が市町村から遊離する傾向があつたのであるが、児童福祉行政は国民がその生活を営む直接の自治団体である市町村において特に振興する必要があり、同時に児童福祉の増進に直接関係のある児童福祉司及び児童委員の活動を市町村の地区において活発ならしめるために、市町村長の地位を明確にしその機能を強化することにしたこと。
四 児童福祉の積極的展開を図るため、終戦以来とかく失われがちであつた児童の情操の健全な発達を図ることを目的として、児童文化財に関して必要な規定を加えたこと。
五 改正前法においては、児童福祉施設のみが法により指導監督せられていたのであるが、その他の児童福祉事業についてもその役割の重要であることに鑑み、これらの事業に対して届出の義務を課し、よつて広く児童の福祉を増進するよう指導監督することにしたこと。
第二 少年法との関係
(改正法第二五条、第二六条、第二七条、第二七条の二、第二八条)
少年法と児童福祉法とは、第五回国会において夫々その一部が改正せられ両者の関係に相当の変化が生ずることになつたのであるが、その手続は極めて複雑であるから別途通知する予定であること。
第三 児童の人権の擁護
(改正法第三○条、第三四条第一項第八号、第九号、第六二条第二項、附則第四項、改正省令第三四条の二、第三四条の三、第三四条の四)
一(一) 改正法第三○条第一項の届出は、四親等内の児童以外の児童を同居させている者に対して、その自覚を促すと同時に必要な指導を与えることによつて、児童の保護福祉の万全を図り、万が一にもいわゆる児童売買事件等の不詳事が発生することのないよう努めることを目的とするものであるから、右の届出を励行させ、所期の目的の達成に遺憾ないよう十分の努力を払うこと。
(二) 届出をしなければならない者の中には、好意で児童を同居させた者がその大多数を占めていることと思われるから、届出を励行させるにあたつては、その好意を踏みにじるかの如き印象を与えることを避け、その理解と協力を得るよう努めること。
(三) 届出の趣旨徹底については、当省においてもこれに努めるが、都道府県においても、新聞、ラジオ等の報道機関を利用するとか、その他適当な方法によりその周知徹底を図ること。
(四) 届出用紙は、改正省令別表第二号様式により、都道府県において作成し、予め市町村に配布しておき、できれば児童委員をしてそれを配布せしめる等届出義務者の負担を軽減するよう努めること。
(五) 届出書は、二部提出させ、一部は市町村他の一部は都道府県(事情に応じ児童相談所)に備えつけておくこと。
(六) 各都道府県においては、別表の如き届出台帳を作成して届出書の整理を行うと同時に、それに基き児童相談所、児童福祉司又は児童委員等をして、届出をした者のもとに同居している児童の実情を把握せしめ、児童の福祉に欠けることがあると認められる場合には直ちに必要な指導をさせること。
なお、届出制度の目的を達成するためには、児童委員が担当地域内の児童の実情を把握し、指導することが肝要であり、そのためには、届出書の内容を詳知しておく必要があるから、児童委員が、児童委員協議会等の機会を利用して市町村に備えつけてある届出書に基き十分の研究、協議をするよう指導すること。
なお、これについては厚生省発児第四五号(昭和二四年五月一四日)各都道府県知事宛厚生次官、法務行政長官、労働次官、文部次官連名通知を参照のこと。
(七) 改正法第三○条中「四親等内の児童」というのは、民法第七二六条の規定により親等を数えて四世数内にある児童をいうこと。したがつてたとえば、いとことか、おい、めいの子等は四親等の児童にあたるものであること。又「自己の家庭(単身の世帯を含む。)」というのは、一般に夫婦又は親子が私生活を営んでいる居所をいう外、独身者が私生活を営んでいる居所をも含むものであるが、たとえば学校又は工場の寄宿舎等一般に家庭とみなされないものは、これに含まれないものであること。
「法令の定めるところにより児童を委託された者」というのは、たとえば、児童福祉法にいう里親とか、少年法第二五条の規定により児童を委託された者をいい、「児童を単に下宿させた者」とは、児童に宿所及び食事を提供するだけで児童に対して監護責任を持つていない者をいうのであつて、学校に通わせるために知人の児童を預つている者については、相当問題であるが中学校を卒業する程度までの児童に対しては、一般に監護責任を伴うものと解されるから、かかる児童を同居させた者は、「児童を単に下宿させた者」とはいえないと解すること。
(八) 改正法第三○条第一項に規定する届出義務者が、その家庭に同居させている児童の中には、たとえば女中、子守とか農事使用人、店員等住込で雇用されている者も含まれるのであるが、これについては労働基準法の適用のあるものもあると思われるから、労働基準監督署と緊密な連絡をとるとともに、児童の日常生活に関して十分な指導と保護をすること。
右の場合はもちろん、同居させている児童を教育というような名目で仕事の見習をさせている場合、たとえば内弟子にしているようなときも、届出書にその具体的内容を記載させること。
(九) 改正法第三○条第一項に規定する者で、同条第一項による届出期間が昭和二四年八月三一日までに満了するものについては、附則第四項により八月一日から同月三一日までの間に改正法第三○条第一項の届出をしなければならないことにしたので、都道府県においては七月末日までに届出用紙の作製その他届出に関する諸準備を整えるとともに、右の届出を一般に周知徹底せしめ、届出期間内に届出が円滑に遂行されるような十分の努力を払うこと。改正法施行の日現に児童を同居させている者については、法律不遡反の原則上改正法施行の日が改正法第三○条第一項の規定する児童を同居させた日とみなされることになり、したがつて八月三一日までにその届出期間が満了するものは、法律的には、乳児を同居させている者だけとなり、乳児以外の児童を同居させている者については、その届出期間は九月一四日までとなるのであるが、届出の励行を一斉に徹底させる必要上三箇月以上同居させる意思を以つて現に児童を同居させている者は、凡て八月中に届出を行うよう指導に努めること。
(一○) 零一般にいわゆる児童売買事件とか児童虐待事件等は、経済的理由等により、児童をその下において養育しがたくなつた者が、その児童を勝手に他人に預けることから起るものであることに鑑み、経済的理由等によつて児童をその下において養育しがたくなつた者が、必ず児童相談所、児童福祉司又は児童委員に対し相談をするよう一般の啓発指導に努めること。児童相談所、児童福祉司又は児童委員は、かかる者の早期発見に努めるとともに、右の相談を受けた場合にはもちろん相談を受けない場合であつても必要があると認めるときは、生活保護法の適用、里親への委託、児童福祉施設への入所その他適当な措置がとられるよう指導あつ旋すること。
二(一) 改正法第三四条第一項第八号及び第九号は、特に児童の人権が無視せられるような行為を取り締ることを目的とする規定であつて、第八号に規定する行為は、専ら何らかの利得を目的として児童の養育をあつ旋するのであり、第九号に規定する行為は、児童にいわゆる親分子分といつた不当な従属関係を強制し、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせようとするものであり、ともに児童に及ぼす害悪は極めて大きいから都道府県においては、児童相談所児童福祉司又は児童委員等をして必要な調査指導をさせることとともに、都道府県労働基準局、警察その他関係機関等と緊密な連携をとり、かかる行為の撲滅に努めること。
(二) 改正法第三四条第一項第八号中「営利を目的として」というのは、あつ旋行為の対価として金銭その他の物品を受け取る目的をもつてという意味であつて、かかる意思をもつてなされた場合は、その行為が一回限りであると反覆継続せられたものであるとを問わないし、又現に金銭その他の物品を受け取つたかどうかも問わないものであること。又改正法第三四条第一項第九号中「児童の心身に有害な影響を与える行為」というのは、客観的に児童の心身に対して明らかに有害な影響を与えるものであることが認められる行為をいい、「支配下に置く」というのは、児童の意志を左右し得る環境に置く場合をいうものであること。
第四 市町村長の地位の明確化
(改正法第八条、第九条、第一一条第三項、第一三条)
一 改正法第一三条により市町村長と児童福祉司及び児童委員の関係が明確にされたのであるから、市町村長がこれらの機関と有機的な連携をとり、管内の児童福祉行政を推進するよう指導すること。
二(一) 市町村児童福祉審議会は、市町村長が管内における児童福祉行政を推進していく上に大きな役割をもつものであるから、できるだけこれを設置するよう指導すること。
(二) 市町村長が、市町村児童福祉審議会の委員を人選するにあたつては、市町村吏員、児童福祉司、児童委員、児童福祉施設従事者、学校、社会教育、PTA関係者、警察法務関係者、労働行政関係者、保健衛生関係者、婦人、青少年団体代表者、文化団体関係者等からこれを選び、これによつて官民合同の実を挙げること。
市町村長が、市町村児童福祉審議会の委員を任命したときは、委員の職、氏名、年齢等を記載した名簿を都道府県に報告させること。
(三) 市町村長が市町村児童福祉審議会をして調査審議せしめる事項は、地方の実情によつて相当異なることゝ思われるが差し当つては当該市町村における児童福祉思想の普及徹底と青少年の指導不良の防止に重点を置くよう指導すること。
(四) 市町村児童福祉審議会が審議決定した事項については、関係行政機関及び関係団体が夫々その実行を担当し相協力してその実を挙げるよう指導すること。
第五 児童文化財に関する推薦及び勧告
(改正法第八条第七項)
一 都道府県児童福祉審議会が芸能、出版物、玩具、遊献等の児童文化財に関し推薦又は勧告を行うにあたつては、都道府県児童福祉審議会の中に夫々の専門家からなる特別部会を設けて、推薦又は勧告が適正妥当に行われるよう努めること。
二 勧告は、たとえば乳児の健康に有害な玩具を製作している者に対してその製作の中止を勧告するとか、ある映画の興行について一定年齢以下の児童の観覧を制限するよう勧告する等、児童の心身の健全な育成を阻害する児童文化財に関しそれを製作し、興行し、若しくは販売する者に対して具体的な方法を示してなすこと。
なお、右の勧告は、関係者の道義的な反省と自主的な改善を促すものであつて、それは法的な強制力を伴うものでないから、関係者の理解と積極的な協力を得るよう配慮すること。
三 児童文化財に関する推薦又は勧告の手続その他必要な事項は、各都道府県児童福祉審議会において定めること。なお追つて中央児童福祉審議会において定める推薦又は勧告の手続等を送付するからそれを参考にせられたきこと。
四 児童文化財の推薦については、都道府県児童福祉審議会は、主として地方的な児童文化財についてこれを行うこと。但し、中央児童福祉審議会において推薦した児童文化財を更に都道府県児童福祉審議会が推薦することは差し支えないこと。
五 都道府県児童福祉審議会が児童文化財に関し推薦又は勧告をしたときには当省へ報告すること。
第六 児童福祉事業の届出
(改正法第三四条の二、第六二条第二項、附則第一項、第二項、第三項、改正政令第九条の二、改正省令第三六条の二、第三六条の三)
一 改正法第三四条の二の「児童福祉事業を行う施設」とは、改正政令第九条の二に掲げる事業を行う施設をいうのであつて、営利と非営利とを問わず、又児童福祉事業のために施設の全部を使用する場合は勿論、施設の一部を使用する場合も含まれるのであるから、たとえば百貨店の一部を児童の遊び場としている場合も改正法第三四条の二の届出を必要とするものであること。
二 自治体警察の行う児童相談事業は、専ら犯罪防止を目的として行われるものであるから、改正政令第九条の二第一号に該当するものでないこと。
三 届出義務のある児童福祉事業を行う施設を設置している者は、既に社会事業法第二条の規定により届け出たものであつても改正法第三四条の二による届出を必要とするものであること。
四 改正政令第九条の二に規定する児童福祉事業を行う施設を設置する者の届出義務は、改正法附則第一項により七月一四日より発生し、その日に現にかかる施設を設置している者は第二項により七月二三日までに届出をしなければならないので、その周知徹底を図ること。
第七 児童福祉施設
(改正法第三五条、第三九条、第四三条の二、第四六条第二項、第四八条第一項、第五八条第二項、第六二条の二、改正省令第三八条)
一 都道府県知事が、改正法第三五条第五項により児童福祉施設の廃止又は休止について承認を求められたときは、入所している児童の処置及び財産の処分等に関し十分な考慮を払い、必要な場合には条件を附して承認を与えること。
二 保育所は、改正法第三九条第二項により、特に必要があるときは、乳児又は幼児以外の児童をも保育することができるようになつたのであるから、保育に欠けている少年があるに拘らず、それらの少年を放置して、保育に欠けていない乳児又は幼児を保育することがないよう保育所の指導にあたられたきこと。
三 養護施設に入所している児童については、改正法第三一条の規定により満二○歳に達するまで在所させることになつたが、この在所期間の延長は、満一八歳以上二○歳未満の者を新らたに養護施設に入所せしめる措置をみとめるものでないこと。養護施設に入所せしめた児童の在所期間が、一八歳以上に及ぶ場合には、在所期間を延長することが、その児童にとつて真に必要であるか否かを児童相談所に再鑑別させる措置をとらなければならないこと。
四 改正法第五八条第二項に規定する事業の停止又は施設の閉鎖に関しては、改正法第六二条の二に罰則の規定を設けかかる処分を実効あらしめることにしたのであるが、児童福祉施設及び児童福祉事業に対しては、それが児童の福祉増進に貢献するようその指導と助長に重点を置き、指導にあたつては事業の停止又は施設の閉鎖等の強制規定をみだりに引用することのないよう十分配意し、右の強制規定はそのまゝする。放置するときは著しく児童の福祉を害して真にやむを得ないと認められる場合に限りこれを行うようにすること。
第八 保母
(改正政令第一三条第一項第三号、第二二条、附則第二項、改正省令第四一条の二、第四一条の三、第四三条の二)
一 改正政令第一三条第一項第三号に規定する厚生大臣の認定は、長年児童福祉事業に従事してきた者であつて、手腕の量ともに優れた女子に対して特になされるものであるから、その濫選を避け、都道府県知事において真に適当と認める者があれば、左の書類を具して厚生大臣に内申すること。なお、この際には都道府県児童福祉審議会の同意を得ること。
(一) 本人履歴書
(二) 都道府県知事が推薦する理由書
(三) 都道府県児童福祉審議会の同意書
二 改正政令第一三条第一項第三号の規定は、昭和二五年一二月三一日限りその効力を失うものであるから、厚生大臣に対する内申はおそくとも昭和二五年一一月三○日までにこれを完了すること。
三 厚生大臣の行う認定の基準については別途通知する予定であること。
四 改正省令第四一条の二第一項に規定する受験科目の一部免除は、翌年及び翌々年に限り認められるものであつて、保母試験が一年に何回行われるかを問わないこと。従つて甲県において一年(四月一日より翌年三月三一日までの間)に二回即ち四月と一○月に行われるとし、四月の保母試験の科目の一部に合格した者は、翌々年の一○月の保母試験まで免除の特典があること。なお、甲県で保母試験科目の一部に合格した者は、他県の保母試験においても、当該科目の免除の特典を有するものであること。
五 改正省令第四一条の二第二項に規定する受験科目の免除は、厚生大臣の指定があつた年度から、当該学校又は施設において当該科目を修了した者についてのみ適用されるものであること。
第九 費用
(改正法第四九条の二、第五○条第一号、第五一条第一号、第三号、第五三条、第五六条第一項、第二項、第三項、改正政令第一六条)
一 改正法第四九条の二及び第五六条第一項、第二項、第三項は、一時保護に要する費用を除けば、改正前法と実体的になんら変るところがなく、改正前法の諸規定を整理したにすぎないのであるが、それを詳記すれば次のとおりであること。
(一) 国の設置する児童福祉施設に入所させた児童の入所後の費用は国庫が支弁し、一方主務大臣はその費用を本人又はその扶養義務者から徴収するのであるが、市町村長が、本人及びその扶養義務者がその費用の全部又は一部を負担することができないと認めるときは、国庫がその程度に応じて、その費用の全部又は一部を代つて負担するものであること。
(二) 改正法第五○条第六号から第八号までに規定する費用は都道府県が支弁し、一方都道府県知事はその費用を本人又はその扶養義務者から徴収するのであるが、市町村長が、本人及び扶養義務者がその費用の全部又は一部を負担することができないと認めるときは、都道府県が、その程度に応じて、その費用の全部又は一部を代つて負担する。(この場合の負担額を以下甲という。)ものであること。但し、保護をうける者、同居の配偶者、直系尊属又は直系卑属が一年以上市町村に居住していたとき(以下Aという。)は、その市町村は甲の一○分の一を負担しなければならないこと。国庫は改正法第五三条の規定により都道府県に対し甲の一○分の八を負担することになるから、結局都道府県の負担はAの場合は甲の一○分の一、Aでない場合は甲の一○分の二となること。
従来は一時保護の費用及び都道府県知事において特に免除を必要と認めた費用については、Aの場合であろうとなかろうと、市町村は全然その費用を負担しなかつたのであるが、今回の改正により右の例によることゝなり、Aの場合であれば市町村が甲の一○分の一を負担しなければならなくなつたこと。
(三) 改正法第五一条第一号に規定する費用は市町村が支弁し、一方市町村長はその費用を本人又はその扶養義務者から徴収するのであるが、市町村長が、本人及びその扶養義務者がその費用の全部又は一部を負担することができないと認めるときは、市町村がその程度に応じて、その費用の全部又は一部を代つて負担する(この場合の負担額を以下乙という。)ものであること。この場合改正法第五三条及び第五五条により、国庫及び都道府県は、夫々市町村に対して、乙の一○分の一を負担することになるから、市町村の負担は乙の一○分の一となること。なお、右の関係はAの場合であろうとなかろうと変りないこと。
二 市町村児童福祉審議会に要する費用は、改正法第五一条第三号によりこれを設置した市町村が支弁し、国庫及び都道府県は、これに対し費用の負担をしないものであること。
三 従来は身体の機能の不自由な児童を治療する療育施設(盲ろうあ児施設を含む。)の設備費については、それが入所後の費用を負担することができないと認められる児童を入所させるものであつてもなくても凡て、国庫は二分の一、都道府県は三分の一を負担していたのであるが、改正政令第一六条第一号及び第二号により、入所後の費用を負担することができないと認められる児童を入所させる療育施設及び盲ろうあ児施設については、国庫は二分の一、都道府県は三分の一、右に該当しない療育施設及び盲ろうあ児施設については、国庫は三分の一、都道府県は四分の一を負担することゝしたこと。
第一○ その他
(改正法第八条、第九条、第一二条第二項、第一九条第一項、第二項、第二○条、第二一条、改正政令第一条、第二条、改正省令第一一条)
一 改正政令第一条第一項の「関係行政機関の官吏又は吏員」というのは、地方においては都道府県、支庁、地方事務所、保健所、児童相談所、都道府県労働基準局、労働基準監督署、国家地方警察管区本部、都道府県本部、警察署、自治体警察本部、警察署、市町村等の職員である官吏又は吏員であつて、その資格において児童福祉審議会の委員に任命された者を指し、その者の総数は、現に委員の総数の四分の一を超えないこと。
二 裁判官、国、都道府県又は市町村が設置する学校、病院、研究所、児童福祉施設等の職員である官吏又は吏員は右の関係行政機関の官吏又は吏員に該当しないのであるが、その者が児童の保護、保健に関する事業に従事する者又は学識経験のある者として、児童福祉審議会の委員になつているときは、この者と前項の委員の合計は、現にある委員の総数の五分の二を超えないこと。
三 児童福祉審議会の臨時委員については、前二項の制限はないこと。
四 児童福祉審議会は必要に応じ、相互に資料を提供する等常に緊密な連絡をとり、たとえば或る都道府県児童福祉審議会が或る児童文化財を推薦したときは、中央児童福祉審議会に連絡する外、必要があればその他の関係都道府県児童福祉審議会及び関係市町村児童福祉審議会にその旨を連絡するというように、児童福祉の向上の推進力となるよう指導すること。
五 児童委員の職務は、改正法第一二条第二項により明確にされたのであるから、児童委員は、児童福祉司の取り扱つた問題について協力するだけでなく、積極的に自らその担当区域における児童及び妊産婦につき、常にその生活及び環境の状態をつまびらかにし、その保護、保健その他福祉の向上を図るよう指導すること。
六 妊娠の届出及び母子手帳の交付に関しては、夫々改正法第二○条及び改正省令第一一条によつて、保健所を経由することになり、妊産婦又は乳児若しくは幼児の保健指導に関しては保健所、医師、助産婦、保健婦以外に歯科医師もこれを行うことになつたのであるが、これらに関しては別途詳細通知する予定であること。
別表略