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○療養病棟等に180日を超えて入院している患者の取扱いについて

(平成14年3月27日)

(社援発第0327028号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局長通知)

平成14年度の診療報酬改定において、入院医療の必要性は低いが、患者側の事情により長期にわたり入院している患者の退院促進及び医療保険と介護保険の機能分化の促進を図るため、療養病棟等に180日を超えて入院している患者(健康保険法第63条第2項の規定に基づき厚生労働大臣の定める療養(平成6年厚生省告示第236号)第12号に規定する厚生労働大臣が定める状態等にある者(以下「厚生労働大臣が定める状態等にある者」という。)を除く。)に係る入院基本料等が特定療養費化することとされたことに伴い、被保護入院患者について下記のとおり取り扱うこととしたので、了知の上、管内の実施機関及び関係機関に周知されたい。

なお、具体的な取扱いについては、別紙「療養病棟等に180日を超えて入院している患者に対する医療扶助の取扱い」によられたい。

また、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定に基づく処理基準とする。

1 基本的対応

療養病棟等に180日を超えて入院している患者であって、厚生労働大臣が定める状態等にある者に該当しない者については、入院基本料等が特定療養費化され、特定療養費として支給される額を超える部分は患者負担とされることから、医療扶助受給者については、速やかに退院後の受入先を確保し、180日を経過するまでに退院するよう指導すること。

2 例外的対応

上記1において、いかなる方法によっても退院後の受入先が確保できない者であって、真にやむを得ないと判断されるものについては、退院後の受入先が確保されるまでの間、当該被保護入院患者に係る入院基本料等相当額を医療扶助により支給して差し支えないこと。

ただし、本取扱いは、真にやむを得ない者に対する例外的なものであることから、厳正に取り扱うこと。

(別紙)

療養病棟等に180日を超えて入院している患者に対する医療扶助の取扱い

1 受入先の確保に係る事務手続

(1) 退院後の受入先の確認・把握

福祉事務所においては、療養病棟等に被保護者が入院した場合又は療養病棟等の入院患者が被保護者となった場合には、常に退院後の受入先について確認・把握しておくこと。また、入院中に受入先が消滅した場合には、入院診療計画又は医療要否意見書等により退院見込みを確認した上、被保護入院患者に対して受入先の確保について指導するとともに必要な援助を行うこと。

(2) 退院後の受入先の確保

療養病棟等の被保護入院患者について、入院期間が180日を超えた時点において厚生労働大臣が定める状態等にある者に該当しない、又は該当する見込みがないことを医療機関から確認した場合には、速やかに、別紙1の台帳を整備した上、次の①から④までにより受入先を確保するよう被保護入院患者に指導し、必要な援助を行うこと。なお、受入先が複数(<例>①と③、③について複数施設など)ある場合の選択については、被保護入院患者本人の意思を十分尊重すること。ただし、受入先が、次の①から④までのいずれか一つしかない場合について、それを拒否することは認められないものであること。

また、受入先が確保できた場合、180日を経過するまでに退院するよう被保護入院患者に対して指導するとともに必要な援助を行うこと。

① 介護保険による訪問介護等を利用することによる在宅生活の可能性の有無を確認すること。

なお、住居がない者が新たに住居を確保する場合であって、当該地域の住宅事情により、生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)別表第3の2の厚生労働大臣が定める額(以下「限度額」という。)によっては住居が確保できない場合については、生活保護法による保護の実施要領について(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会・援護局通知)第6の4の(1)のオにいう「世帯員数、世帯員の状況、当該地域の住宅事情によりやむを得ないと認められるもの」に該当するものとして限度額に1.3を乗じて得た額の範囲内において必要な家賃、間代等を認定して差し支えないこと。

② 介護保険によるサービスの対象者については、介護保険施設への入所の可能性を確認すること。また、その時点で満床の場合には、入所のための申込手続を行っておくこと。なお、少なくとも、当該福祉事務所管内に所在するすべての施設について確認すること。また、入所の可能性の確認に当たっては、在宅介護支援センター又は指定居宅介護支援事業者等を活用すること。

③ ②以外の救護施設、養護老人ホームなどの社会福祉施設等への入所の可能性を確認すること。また、その時点で満床の場合には、入所のための申込手続を行っておくこと。なお、少なくとも、当該福祉事務所管内に所在するすべての施設について確認すること。

④ 扶養義務者による引取り扶養の可能性の有無を確認すること。

なお、扶養義務者がいたとしても、過去の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養できない場合、扶養を求めることにより明らかに当該被保護入院患者の自立を阻害することになると認められる場合又は扶養義務者等が正当と認められる理由により扶養を拒否する場合については、この限りでないこと。

(3) 医療扶助の例外的給付

(2)の①から④までによっても、なお受入先が確保できない場合、2によること。

2 医療扶助の例外的給付の手続き

上記1の(2)の①から④までのすべてを行っても、なお退院後の受入先が確保できない場合については、次に定める方法により、当該被保護入院患者に係る入院基本料等相当額を医療扶助により支給して差し支えないこと。ただし、本取扱いは、真にやむを得ない者に対し、例外的に給付するものであることから、以下の取扱いを厳正に行う必要があること。

(1) 台帳の整備

別紙2を参考にして対象者全員について給付管理台帳を整備し、決裁に付すこと。

(2) 例外的給付の内容(対象)及び方法

① 特別基準の設定

「特定療養費の算定の対象とならない部分(入院基本料等の所定点数の15%に相当するものとして特別に徴収される料金部分。以下「特別料金分」という。)」について、次のア及びイを確認した場合において、特別基準の設定があったものとして取り扱って差し支えないこと。

ア 「厚生労働大臣が定める状態等にある者」に該当するかどうかの確認

主治医訪問を行い、当該被保護入院患者が「厚生労働大臣が定める状態等にある者」に該当するかどうかを確認すること。また、「厚生労働大臣が定める状態にある者」に該当しない場合には、医療機関に対し、当該被保護入院患者の入院基本料等相当額について「特別料金分」を診療報酬請求するよう指導するとともに、被保護入院患者にその旨を説明すること。

イ 受入先の状況の確認

1の(2)の①から④までの可能性について被保護入院患者本人又は関係機関に確認し、確認した事項を台帳に記載すること。

② 医療機関に対する連絡

福祉事務所においては、当該被保護入院患者について特別基準を設定した場合、速やかに、医療機関に対し、その旨の連絡を行うとともに、入院基本料等相当額のうち、「特定療養費(保険給付対象部分)」については社会保険診療報酬支払基金に対して診療報酬請求し、「特別料金分」については別紙3により直接福祉事務所に請求するよう指導すること。

また、当該被保護入院患者が「厚生労働大臣が定める状態等にある者」に該当するようになった場合には、速やかに福祉事務所に連絡するよう併せて指導すること。

③ 例外的給付の対象となる入院基本料等相当額

例外的給付の対象となる入院基本料等相当額の上限(以下「上限額」という。)は、当該被保護入院患者が現に入院している療養病棟等について、入院期間が180日を超えない期間において健康保険法第76条第2項の規定により算定される入院基本料等とすること。

なお、当該入院基本料等相当額については、真にやむを得ないと判断された被保護入院患者に対し、あくまで例外的に給付されるものであることから、保護開始時の要否判定には用いない(生活保護法による保護の実施要領について(昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知)第8(保護の決定)の「当該世帯につき認定した最低生活費」の対象としない)こと。

④ 例外的給付の支払い

医療機関から福祉事務所に対して別紙3により「特別料金分」が請求された場合、福祉事務所においては、例外的給付に係る診療報酬請求書の「特定療養費(保険給付対象部分)」と「特別料金分」の合計が上限額を超えていないかを確認した後、「特別料金分」を医療機関に支払うこと。なお、「特定療養費(保険給付対象部分)」が適正に請求されているかどうかについては、当該月の診療報酬明細書が福祉事務所に送付されてきた時点で確認すること。

(3) 被保護入院患者に対する連絡

被保護入院患者に対し、本来入院基本料等相当額が医療扶助の対象とならないこと及び退院後の受入先が確保できるまでの間(「厚生労働大臣が定める状態等にある者」に該当することとなった場合を除く。)、例外的に入院基本料等相当額が医療扶助により給付される旨説明するとともに、受入先が確保できた場合には、速やかに報告するよう指導すること。

3 報告

(1) 都道府県市本庁への情報提供

福祉事務所長は、毎年4月末日までに前年度における例外的給付の状況を別紙4及び別紙5に別紙2の写しを添付して都道府県(指定都市及び中核市を含む。)本庁(以下「本庁」という。)あて情報提供すること。

(2) 厚生労働省への情報提供

本庁は、上記の結果を取りまとめ、別紙6により毎年5月15日までに厚生労働省社会・援護局保護課あて情報提供すること。

4 本庁の福祉事務所に対する指導監査

本庁は、福祉事務所に対する生活保護法施行事務監査において、当該給付の状況を確認するとともに、適切な指導及び援助を行うこと。

別紙1

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別紙2

別紙3

別紙4

別紙5

別紙6