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○生活保護制度における小規模生活単位型特別養護老人ホーム等の取扱いについて(通知)
(平成15年3月31日)
(社援保発第0331002号)
(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局保護課長通知)
特別養護老人ホームについては、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(平成14年厚生労働省令第107号)により、入所者の自律的生活を保障する個室と、少人数の入所者が相互に交流しながら共同生活を営むスペースを備えた「小規模生活単位型特別養護老人ホーム」が新たに位置付けられたところである。
また、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(平成15年厚生労働省令第30号)及び指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(平成15年厚生労働省令第28号)により、平成15年4月1日から、小規模生活単位型指定介護老人福祉施設及び一部小規模生活単位型指定介護老人福祉施設並びに小規模生活単位型短期入所生活介護事業者及び一部小規模生活単位型短期入所生活介護事業者は、利用者からユニットの提供を行うことに伴い必要となる費用(以下「居住費」という。)の額の支払を受けることができることとされたところである。
ついては、下記のとおり生活保護制度における取扱いを定め、平成15年4月1日から適用することとしたので、了知の上、その取扱いに遺漏なきを期されたい。
なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定に基づく処理基準とする。
記
1 小規模生活単位型特別養護老人ホームの利用に係る基本的な取扱いについて
生活保護制度における対応としては、当面は従来型の特別養護老人ホームが施設数の大半を占めると考えられること及び小規模生活単位型特別養護老人ホームの利用については居住費の負担が求められる(低所得者の場合は一定の負担軽減が行われ、これに相当する額が介護報酬に加算される。)ことから、被保護者の利用については、当面、(1)に規定する「利用を認める場合」に該当する場合に限定することとする。
(1) 利用を認める場合
ア 居住費の利用者負担分について、保護費で対応しなくても入所が可能な場合については、入所を認めて差し支えないこと。
なお、保護費で対応しなくとも入所可能な場合とは、以下の場合が想定されるものであること。
(ア) 介護報酬による低所得者負担軽減分で居住費全額を賄うことが可能な場合
(イ) 自治体の単独事業等により居住費の利用者負担分が免除される場合
(ウ) 施設側が利用者の収入の状況等にかんがみ、利用者から居住費の徴収を行わない場合
イ 既に小規模生活単位型特別養護老人ホームに入所している者が諸般の事情により要保護状態になった場合及び被保護者が入所中の従来型の特別養護老人ホームが小規模生活単位型特別養護老人ホームに改築・改修された場合については、原則としては転所等の指導を行うこととするが、転所等が行われるまでの間については、入所を認めて差し支えないこと。
なお、この場合、介護扶助による居住費の給付については、(2)により取り扱うこと。
ウ 上記ア及びイには該当しないが、小規模生活単位型特別養護老人ホームの利用について真にやむを得ない特別な事由があると判断される場合については、厚生労働大臣に対し、特別基準の設定について情報提供すること。
(2) 介護扶助における居住費の給付額及び給付方法
ア 介護報酬による低所得者負担軽減分は、通常の施設介護サービス費と同様に、被保険者の場合はその1割負担分について、被保険者以外の者の場合は低所得者負担軽減分の全額について、国保連を通じて審査・支払を行う。
イ 居住費全額から介護報酬による低所得者負担軽減分を除いた額(その他の負担軽減措置がある場合は、更に当該軽減措置分を除いた額)については、「5万円から介護報酬による低所得者負担軽減分を除いた額(おおむね月額3万円)の範囲内の額」において特別基準の設定があったものとして福祉事務所払いの介護扶助費として給付して差し支えないこととする。
ただし、国の補助金等を受けて整備されたユニットに入所する場合には、居住費について介護報酬による低所得者負担軽減が行われないことから、上記の「5万円から介護報酬による低所得者負担軽減分を除いた額(おおむね月額3万円)の範囲内の額」を「月額3万円の範囲内の額」と読み替えて適用するものとする。
ウ 上記イの利用者負担分が、「5万円から介護報酬による低所得者負担軽減分を除いた額(おおむね月額3万円)の範囲内の額」又は「月額3万円の範囲内の額」を超える場合については、厚生労働大臣に対し、特別基準の設定について情報提供すること。
2 小規模生活単位型短期入所生活介護の利用に係る基本的対応について
個室・ユニットケアを特徴とする小規模生活単位型短期入所生活介護を利用する場合にあっても、小規模生活単位型特別養護老人ホームと同様、居住費の負担が利用者に求められることとされているところである。
短期入所生活介護については、基本的に居宅がある者が短期間利用するものであり、利用中に要保護状態になることや、利用中に施設の改築・改修が行われることは想定されないことから、被保護者の利用については、居住費の利用者負担分について、保護費で対応しなくても入所が可能な場合に限定する。
なお、小規模生活単位型短期入所生活介護については、小規模生活単位型特別養護老人ホームへの入所と異なり、介護報酬による低所得者の負担軽減措置は行われないので留意すること。
また、上記の外、小規模生活単位型短期入所生活介護の利用について真にやむを得ない特別な事由があると判断される場合については、厚生労働大臣に対し、特別基準の設定について情報提供すること。
3 事務手続等について
(1) 都道府県・市本庁における事務手続等
ア 関係機関等に対する周知
生活保護制度における小規模生活単位型特別養護老人ホーム及び小規模生活単位型短期入所生活介護(以下「小規模生活単位型特別養護老人ホーム等」という。)の利用に係る取扱いについて、事業者説明会等を通じ、指定居宅介護支援事業者、指定介護老人福祉施設及び指定短期入所生活介護事業者に対し、周知・徹底を図ること。
特に、指定居宅介護支援事業者に対しては、居宅介護支援計画の作成の際、被保護者の取扱いに留意する旨、指導すること。
イ 施設整備等の状況把握
施設整備等の状況について、介護保険担当部局から情報を収集するとともに、必要に応じて、福祉事務所等に情報提供を行うこと。
(2) 福祉事務所における事務手続等
被保護者から、小規模生活単位型特別養護老人ホーム等の利用について、相談等があった場合については、以下のとおり取り扱うこと。
ア 被保護者が小規模生活単位型特別養護老人ホーム等の利用を希望する場合
(ア) 被保護者に対する説明
小規模生活単位型特別養護老人ホーム等の利用については、通常、居住費の負担が必要となることから、被保護者の利用は、原則として、居住費の利用者負担について保護費で対応せずとも入所が可能な場合に限定される旨を事前に説明すること。
(イ) 指定介護施設等との連絡・調整
指定介護施設に対して、居住費の額について確認するとともに、居住費の利用者負担分について減免ができないか調整を行うこと。
また、併せて、その他の利用者負担軽減の有無について確認すること。
(ウ) 利用の承認等
上記(イ)の調整等の結果、1の(1)のアに該当する場合については、小規模生活単位型特別養護老人ホーム等の利用を認めるとともに、必要な指導・援助を行い、1の(1)のアに該当しない場合については、小規模生活単位型特別養護老人ホーム等の利用は原則として認められない旨を被保護者に連絡するとともに、居宅介護サービスやその他の介護施設サービス等の利用について、必要な指導・援助を行うこと。
イ 被保護者が入所中の従来型の特別養護老人ホームが小規模生活単位型特別養護老人ホームに改築・改修される場合
(ア) 施設整備状況の把握
被保護者が入所する特別養護老人ホームの改築・改修予定等を適宜把握しておくこと。
(イ) 居宅介護支援事業者及び指定介護施設との連絡・調整
小規模生活単位型特別養護老人ホームに改築・改修される予定の従来型の特別養護老人ホームに被保護者が入所していた場合、居宅介護支援事業者及び指定介護施設に対して、被保護者には原則、転所等の指導を行う必要がある旨を連絡するとともに、3の(2)のアの(イ)と同様、居住費の額及びその利用者負担分の減免について確認・調整を行うこと。
(ウ) 被保護者に対する指導等
被保護者の心身の状況、周辺の介護機関の状況等を把握するとともに、被保護者に対して、原則、転所等の指導を行うこと。転所等が行われるまでの間については、居住費について1の(2)のイにより必要な額を認定すること。
ただし、この場合であっても、当該施設内で比較して高額な居住費が必要となる居室を選択して利用させるなど、一般の低所得者との均衡を失するような取扱がなされないよう、施設全体の居住費額を確認し、必要に応じて施設と調整を行うこと。
ウ 小規模生活単位型特別養護老人ホームに入所中の者が要保護状態となった場合
(ア) 保護の要否の判定
小規模生活単位型特別養護老人ホームに入所中に保護の申請を行った者について要否判定を行う際、最低生活費のうち居住費所要額の算定については、1の(2)のイに掲げるものを用いること。
なお、境界層該当者に係る居住費の低所得者負担軽減については、食費の標準負担額の減額に係る境界層該当証明を用いることとされていることから、新たに居住費に係る境界層該当証明を交付する必要は生じない。
(イ) 居宅介護支援事業者及び指定介護施設との連絡・調整
3の(2)のイの(イ)と同様、居住費の額及びその利用者負担分の減免について確認・調整を行うこと。
(ウ) 被保護者に対する指導等
3の(2)のイの(ウ)と同様に取り扱うこと。
(3) 特別基準の設定に係る事務手続等
ア 特別基準の設定に当たっての検討
特別基準の設定に当たっては、次に掲げる資料等を基に、設定の必要性を判断すること。
(ア) 本人の心身の状況や家族の状況に関する資料
(イ) 周辺施設の状況など他の指定介護機関の利用の可能性に関する資料
(ウ) 居住費の額の設定根拠など金額の妥当性に関する資料
(エ) 居住費減免の可能性に関する資料
(オ) 扶養義務者等他からの援助の可能性に関する資料
イ 厚生労働大臣への情報提供
上記アによる検討の結果、特別基準の設定の必要性があると判断された場合については、その理由書とともに、上記アの検討に用いた資料を添付し、厚生労働大臣に対し、特別基準の設定について情報提供をすること。