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○指定居宅支援等に係る利用者負担の額の算定に関する基準の制定に伴う取扱いについて〔身体障害者福祉法〕

(平成15年3月25日)

(障発第0325006号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

身体障害者福祉法に基づく指定居宅支援等に係る利用者負担の額の算定に関する基準(平成15年2月21日厚生労働省告示第41号)、身体障害者福祉法に基づく指定施設支援に係る利用者負担の額の算定に関する基準(平成15年2月21日厚生労働省告示第42号)、知的障害者福祉法に基づく指定居宅支援等に係る利用者負担の額の算定に関する基準(平成15年2月21日厚生労働省告示第43号)、知的障害者福祉法に基づく指定施設支援に係る利用者負担の額の算定に関する基準(平成15年2月21日厚生労働省告示第44号)及び児童福祉法に基づく指定居宅支援等に係る利用者負担の額の算定に関する基準(平成15年2月21日厚生労働省告示第45号)について、この実施に伴う取扱いは下記のとおりであるので、留意されたい。

Ⅰ 負担能力の判定基準

1 施設訓練等支援の利用者本人分の取扱いについて

原則として利用者本人の前年の対象収入の申告に基づき、挙証資料等で確認の上階層を決定する。

・ 対象収入額について

原則として前年の(1)収入として認定するもの((2)収入として認定しないものに該当するものは除く。)から(3)必要経費を控除した額とする。

(1) 収入として認定するもの

ア 年金、恩給等の収入

① 年金、恩給その他これに類する定期的に支給されるものについては、公的給付であるか、私的給付であるかを問わず、利用者本人が受給権を有するすべてのものについて「(2)収入として認定しないもの」を除き、その実際の受給額を収入として認定する。

したがって、労働者災害補償保険(休業補償給付、障害補償年金等)、企業退職年金、私的終身年金保険、雇用保険(失業給付の基本手当)等は、これに該当する。

② 年金、恩給等の収入とすべき時期は、その年金、恩給等の支給の基礎となる法令、契約、規定等により定められた支給日の属する年の収入として認定する。

なお、さかのぼって年金、恩給等の受給権が生じ、1年分を超える年金、恩給等を受給したときは、1年分のみを収入として認定する。

③ 外貨により支払われる年金等の邦貨換算は、所得税における取扱いに準じて、原則として支給日の相場により行う。

イ 就労収入

基本給及び各種手当て等の収入総額を収入として認定する。

ウ 授産工賃収入

① 授産施設から支払われる工賃収入については、実際の支給額から就労控除額を控除した額を収入として認定する。

② 就労控除額(年額)は、工賃収入額(年額)に応じて次により算定する。

工賃収入額

就労控除額

288,000円未満288,000円以上

工賃収入額

288,000円+(工賃収入額-288,000円)×30%

エ 財産収入

土地、家屋、機械器具等を他に利用させて得られる果実である地代、小作料、家賃、間代、使用料等の収入については、課税標準として把握された所得の金額を収入として認定する。

オ 利子、配当収入

公社債の利子、預貯金の利子、法人から受ける利益の配当等の収入については、確定申告がされる場合に限り、課税標準として把握された所得の金額を収入として認定する。

カ その他の収入

不動産、動産の処分等による収入その他の収入(譲渡所得、利子所得、配当所得、不動産所得、山林所得、一時所得(生命保険契約に基づく一時金、満期返戻金等)等、施設入所前の臨時的な収入は除く。)については、課税標準として把握された所得の額を認定する。

また、相続、遺贈又は個人からの贈与による所得については、相続税又は贈与税の課税価格を収入として認定する。

キ エ~カの「課税標準として把握された所得の金額」とは所得税法第22条第1項に規定する総所得金額、山林所得金額等のうちこれらの所得に係るものをいう。

なお、分離課税される譲渡所得については、租税特別措置法第31条第1項に規定する長期譲渡所得の金額又は同法第32条第1項に規定する短期譲渡所得の金額をいう。

(2) 収入として認定しないもの

ア 臨時的な見舞金、仕送り等による収入

イ 地方公共団体又はその長が支給する福祉的給付金

ウ 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律により支給される医療特別手当及び特別手当のうち、生活保護基準の放射線障害者加算に相当する額

エ 公害に係る健康被害の補償金、損害賠償金、公害健康被害補償法の補償給付に相当するもののうち、生活保護法において公害健康被害補償法の補償給付ごとに収入として認定しないものとして定める額に相当する額

オ 児童手当法により支給される児童手当等法令により利用者本人の生活費以外の用途に充てることとされている金銭

カ 特別児童扶養手当等の支給に関する法律により支給される特別障害者手当等身体障害者更生援護施設に入所することにより支給されないこととなる金銭

キ 身体障害者福祉法により支給される更生訓練費

ク その他生活保護法において収入として認定しないこととされている収入等社会通念上収入として認定することが適当でないと判断される金銭

(3) 必要経費

ア 所得税等の租税(固定資産税を除く。)

所得税、住民税、相続税、贈与税、その他市町村長が特別の事情があると認めた税については、その実際の支払額を必要経費として認定する。

イ 社会保険料又はこれに準ずるもの

国民健康保険の保険料、国民健康保険税等所得税法第74条第2項に規定する社会保険料又はこれに準ずるもの(所得税法において小規模企業共済等掛金控除として、控除が認められる心身障害者扶養共済制度の掛金等)については、実際の支払額を必要経費として認定する。

ウ 日用品費又は日常生活費

通所者については利用者本人に係る前年度の生活保護法による基準生活費(第1類及び第2類の額(年額))の1.5倍相当額を、指定内部障害者更生施設、指定知的障害者更生施設及び指定知的障害者授産施設以外の施設の入所者については、前年度の生活保護法による入院患者日用品費相当額(年額)を必要経費として認定する。

なお、平成15年においては、指定知的障害者更生施設及び指定知的障害者授産施設の入所者については、前年度の生活保護法による入院患者日用品費相当額(年額)に0.5を乗じて得た額(円未満切り捨て)を必要経費として認定する。

エ 更生訓練のための経費等

① 通所のための経費の実支出額を必要経費として認定する。

なお、当該年の身体障害者福祉法による更生訓練費の支給を受ける者にあっては、通所のための経費の実支出額と更生訓練費において支給される通所のための経費との差額を必要経費として認定する。

② 当該年の更生訓練費の支給を受けない身体障害者にあっては、更生訓練費のうちの訓練のための経費相当額を必要経費として認定する。

③ 身体障害者福祉法による更生訓練費は、原則として前年の実績をもとに算定する。

なお、前年更生訓練費の支給を受けていない者にあっては、「身体障害者福祉法による更生訓練費の支給について」(昭和43年6月28日厚生省社会局長通知)の「更生訓練費支給要綱」に定められた「支給額」により算出した前年の支給推計額(支給要件に該当すれば支給されたであろう額)をもとに算定すること。また、通所のための経費の実支出額についても、原則として前年の実績をもとに算定する。

オ 医療費の自己負担分

① 医療費については、支払った医療費の総額から保険金等で補填される金額を控除した額を必要経費として認定する。

この場合の医療費の範囲は、所得税法において医療費控除の対象とする医療費の範囲に準ずるものとする。

したがって、通院費、あん摩、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師による施術費は医療費に含まれるが、疾病の予防又は健康の増進のために供される医薬品の購入費は医療費に該当しない。

② 医療費の額の算定に当って医療費を補填する保険金等の額が確定していない場合には、当該保険金等の見込額に基づいて行うものとする。この場合において後日、当該保険金等の見込額が当該確定額と異なることとなったときは、その判明した日の属する月の翌月初日をもって変更決定を行う。

カ 指定知的障害者通勤寮における必要経費

指定知的障害者通勤寮における必要経費は、ア~オの外、次によること。

① 飲食物費

前年度の生活保護法による基準生活費第1類の75%額(年額)

② 基礎控除、特別控除及び新規就労控除

前年度の生活保護法による基礎控除、特別控除及び新規就労控除の額(年額)

ただし、収入が授産工賃収入の場合は、必要経費として控除しない。

③ 交通費

通勤に要した交通費の実支出額(年額)

キ その他の必要経費

その他市町村長が特別な事情があると認めた経費については、次に留意の上、必要経費として認定することができる。

① 必要経費には、利用者本人の意思により任意に負担するもの、例えば、交際費、見舞金、法事、墓参りのための費用、墓の建設・管理に必要な費用、寄附金等の費用は該当しない。入所により支出する必要のなくなる費用も同様とする。

② 生命保険料は原則として必要経費に該当しない。

しかしながら、入所前から継続しているものであって、継続しないことにより解約返戻金等について著しい不利益をうけるものについては、必要経費として認めることができる。

③ 住宅維持費(損害保険料を含む。)は、原則として必要経費に該当しない。

しかしながら、入所前に自己の居住の用に供していた住宅で居住する者がなく、また賃貸も困難な場合には、通常必要とされる住宅維持費を生活保護法による補修費等住宅維持費の基準額の範囲内で必要経費として認めることができる。

④ 通所者が世帯主である場合には、生活保護法による当該世帯の最低生活費相当額から世帯主以外の者の収入を控除した額を必要経費として認定して差し支えない。

ク 必要経費の認定は領収書に基づき適正に行うこと。

なお、領収書等のないものについては、施設長の証明によって差し支えない。

2 施設訓練等支援の扶養義務者分、居宅生活支援の利用者本人分及び扶養義務者分の取扱いについて

原則として利用者本人又は主たる扶養義務者の前年の税額の申告に基づき、挙証資料等で確認の上階層を決定する。

(1) 主たる扶養義務者は、原則として支給決定の際に、利用者本人と同一世帯、同一生計にあった配偶者及び子(利用者本人の年齢が20歳未満の場合は、配偶者、父母及び子)のうちの最多納税者とする。

なお、「世帯」とは、社会生活上現に家計を共同して消費生活を営んでいると認められるひとつの単位をいい、世帯の認定については、生活保護法の取扱いに準じて行うものとする。

また、生活保護法上の取扱いとしていわゆる世帯分離を行っている場合、そのことのみをもって別世帯であるとは認められないものである。

(2) 「主たる扶養義務者」の認定は、毎年度見直しを行うことを原則とする。

ただし、現に認定している主たる扶養義務者が死亡した場合は、その死亡した月の属する月の翌月初日をもって見直しを行うものとする。

(3) 同一の者が施設訓練等支援及び居宅生活支援の2人以上の主たる扶養義務者となる場合には、扶養義務者の利用者負担月額が一番高い者分を負担することとし、それ以外は免除する。

なお、その際の居宅生活支援については、その月の使用量により月額に差があることから、既に居宅生活支援を利用している者については利用者負担額を算定する月の、新たに支給決定を受けようとする者については最初の月の支給量を基に利用者負担月額を推計して算定すること。

(4) 主たる扶養義務者が、既に他の社会福祉施設(施設訓練等支援の対象施設を除く)の被措置者等の扶養義務者として費用徴収されている場合には、本制度による利用者負担額は次により算定した額とすること。

利用者負担額=本制度により算定した額-他の制度による費用徴収額

Ⅱ 負担能力認定の手続き

1 施設訓練等支援の利用者本人分及び扶養義務者分の利用者負担額の決定は、原則として毎年度7月に行うこととする。

なお、利用者本人の前年分の対象収入額又は主たる扶養義務者の前年分の税額が不明である時期に利用者負担額を決定する必要がある場合は、前々年分の対象収入額又は前々年分の課税状況により階層を決定することとし、翌年7月に前年分の対象収入等で見直す。

2 居宅生活支援の利用者本人分及び扶養義務者分の利用者負担額の決定は、原則として支給決定時に把握できる課税状況により決定することとし、支給決定期間中の見直しは行わない。

なお、既に居宅生活支援費の支給決定を受けている場合に他の種類の居宅サービスの支給決定を受ける場合は、負担能力の認定の手続きは行わず、既に決定されているものと同様とする。

3 年度途中で収入や必要経費に著しい変動があった場合の取扱い

(1) 施設訓練等支援の利用者本人の場合

ア 前年に比して収入が減少したり不時のやむを得ざる支出が必要になる等の事情により利用者本人の負担能力に著しい変動が生じ、費用負担が困難であると市町村長が認めたときは、その事情が生じた時点を含む年における年間収入又は必要経費を推定し、これにより認定した対象収入額に基づき階層の変更を決定することができる。

イ この階層の変更は、例外措置であるので、原則として、利用者本人からの申立てにより行うこととするが、利用者本人が生活保護法による扶助を受ける等明らかに階層の変更が必要と認められる場合には申立てによらずに変更決定を行って差し支えない。

ウ 申立てがあったときは、挙証資料等で確認の上、その妥当性を判断して決定する。

なお、収入が減少した場合に必要経費についてその年の推定を行う必要はなく、また、必要経費が増加した場合に収入をその年の推定額に置き直さなければならないものではない。

エ 階層の変更は、変更が必要と認められる月(その月分を納入済のときは、その翌月)から行うこととする。

なお、入院により多額の医療費を必要とする場合には、退院時において、階層の見直しを行う等の取扱いをして差し支えない。

(2) 居宅生活支援の利用者本人分の場合

ア 前年に比して収入が減少したり不時のやむを得ざる支出が必要になる等の事情により利用者本人の負担能力に著しい変動が生じ、費用負担が困難であると市町村長が認めたときは、当該年の課税額を推計して階層の変更行って差し支えない。

イ この階層の変更は、例外措置であるので、原則として、利用者本人からの申立てにより行うこととするが、利用者本人が生活保護法による扶助を受ける等明らかに階層の変更が必要と認められる場合には申立てによらずに変更決定を行って差し支えない。

(3) 施設訓練等支援の扶養義務者及び居宅生活支援の扶養義務者の場合

ア 前年に比して収入が減少したり不時のやむを得ざる支出が必要になる等の事情により主たる扶養義務者の負担能力に著しい変動が生じ、費用負担が困難であると市町村長が認めたときは、年度の中途においても、主たる扶養義務者の見直しを行って差し支えない。

イ 見直しの結果、主たる扶養義務者に変動がない場合は、当該年の課税額を推定して階層の変更を行って差し支えない。この場合、階層が2階層以上変動しない場合は、変更しないものとする。

ウ この「主たる扶養義務者の見直し」又は「階層の変更」は、例外措置であるので原則として、主たる扶養義務者からの申立てにより行うこととするが、主たる扶養義務者が生活保護法による扶助を受ける等明らかに階層の変更が必要と認められる場合には、申立ての有無によらずに変更決定を行って差し支えない。

エ 主たる扶養義務者の見直し又は階層の変更は、見直し又は変更が必要と認められる月(その月分を納入済のときは、その翌月)から行うこととする。

4 その他

(1) 利用者本人が死亡した場合の利用者本人又はその主たる扶養義務者からの利用者負担額は、死亡した日までの日割により計算する。

なお、利用者本人に係る利用者負担額の請求等は、その相続人に対して行う。

(2) 主たる扶養義務者が死亡した場合の利用者負担額の取扱いについては、(1)と同様に行うこととする。

(3) 利用者本人が入院した場合、入院した月については日割計算により算定を行い、その入院期間中(入院日及び退院日は除く)は利用者本人又はその主たる扶養義務者の利用者負担額は算定しない。

(4) 利用者負担額の決定に誤りがあった場合は、変更すべき月に遡及して利用者負担額の変更決定を行うこと。ただし、利用者本人又はその主たる扶養義務者については、次のように取扱うことができる。

ア 誤って決定した利用者負担額よりも正当な利用者負担額が高い場合誤認を発見した日の属する月の翌月をもって利用者負担額の変更決定を行うこと。ただし、明らかに利用者本人又はその主たる扶養義務者の責に帰すべき事由により利用者負担額を誤って決定した場合には変更すべき月に遡及して利用者負担額の変更を行う。

イ 誤って決定した利用者負担額よりも正当な利用者負担額が低い場合変更すべき月に遡及して利用者負担額の変更決定を行う。既に納付済の利用者負担金があるときは、その差額分を返還(還付又は充当)する。

Ⅲ 旧措置入所者の取扱い

1 原則として、既存の資料等に基づき、支援費における利用者負担基準により利用者負担額を決定することとし、平成15年7月及び最初の支給決定時に利用者負担額の見直しは行わない。

2 主たる扶養義務者の認定は、その施設の入所時の世帯の状況により認定する。ただし、指定知的障害者通勤寮については、出身世帯の状況により認定する。

Ⅳ 心身障害者福祉協会法に規定する福祉施設の取扱い

心身障害者福祉協会法(昭和45年法律第44号)に規定する福祉施設については、指定知的障害者更生施設と同様に取り扱うこととする。