添付一覧
○生活保護法による介護扶助の運営要領に関する疑義について
(平成13年3月29日)
(社援保発第22号)
介護扶助の運営要領の解釈と運用上、その取り扱いに疑義を生じている事項について、今般、別紙のとおり整理したので、了知されたい。
(別紙)
第1 被保険者である被保護者に対する市町村への連絡
問1 介護扶助運営要領第3の2の(1)のアの情報提供の対象者には、保護停止中の者も含めることとなるのか。
答 65歳以上の被保護者に係る情報提供は、当該被保護者について第1段階の保険料が適切に賦課されるために行うものである。
また、保護停止中の者は、保護の決定処分を受けた者で保護が廃止されていない者、つまり、被保護者であることから、65歳以上の被保護者に係る情報提供の対象に含めることとなる。
問2 介護扶助運営要領第3の2の(2)の情報提供の対象者には、介護保険による介護サービスを利用する被保護者であって、収入が介護費を上回るために、結果的に介護扶助の知事決定は行われないが、高額介護サービス費又は高額居宅支援サービス費を現物給付化するために全額本人支払額の介護券を便宜的に発行する必要のある者も含めることとなるのか。
答 介護扶助受給者に係る情報提供は、被保護者である要介護(支援)被保険者の高額介護サービス費又は高額居宅支援サービス費を現物給付化するため、当該者についても保険者に情報提供する必要がある。
問3 介護扶助運営要領第3の2の(2)の情報提供対象者は、本人が保険者に対して食事標準負担額の減額の申請を行わなくとも、日額300円が適用されることとなるのか。
答 高額介護サービス費又は高額居宅支援サービス費については、被保護者であることをもって、介護保険法施行令第22条の2第8項の規定により、自己負担額のうち1万5千円を越える部分について現物給付化がなされるが、食事標準負担額については、被保護者であっても、別途減額認定の申請が必要となる。
第2 要介護認定及び居宅介護支援計画作成について
問4 生活保護の開始によって、第2号被保険者の資格を喪失した被保険者以外の者については、介護扶助運営要領第4の2の(2)の規定にかかわらず、保護開始前の保険者による要介護(要支援)認定の結果及び有効期間に基づいて、介護扶助の決定を行って差し支えないか。また、この場合の有効期間の始期及び終期はそれぞれいつか。
答 前段については、お見込みのとおり取り扱って差し支えない。
また、有効期間の始期及び終期については、他市町村から転入してきた被保険者が転入先の市町村において適用される有効期間の考え方に準じて、介護扶助の開始日を始期とし、介護扶助の開始日から6ヶ月間を満了した日(月の中途に介護扶助を開始した場合には、介護扶助の開始日の属する月の翌月の初日から6ヶ月を満了した日)を終期とする。
ただし、保護開始前の保険者の認定結果の有効期間が、認定審査会の意見に基づいて3ヶ月間から5ヶ月間(月の中途の申請の場合には、3ヶ月間から5ヶ月間に申請日から申請日の属する月の末日までの期間を加えた期間)の認定を受けていた場合には、有効期間の終期は介護扶助の開始日から3ヶ月間から5ヶ月間を満了した日(月の中途に介護扶助を開始した場合には、介護扶助の開始日の属する月の翌月の初日から3ヶ月間から5ヶ月間を満了した日)とする。
問5 65歳以上の救護施設入所者が、施設から引き続き介護保険施設へ入所する場合、救護施設が介護保険の適用除外施設であることから、当該入所者に係る要介護状態等について、被保険者以外の者と同様、市町村に設置される介護認定審査会に審査判定を委託又は依頼するのか。
答 委託等は行わない。介護保険の適用除外施設に入所する者であっても、3ヶ月以内に退所する予定であれば、当該適用除外施設所在地の市町村(保険者)による要介護認定を受けることが出来ることとされている。
なお、40歳以上65歳未満の救護施設入所者については退所後、医療保険に加入することが見込まれる場合を除いては、被保険者以外の者として市町村に設置される介護認定審査会に審査判定を委託する必要がある。
問6 郡部福祉事務所の所管区域内の町村が、地方自治法第252条の14の規定により、所管区域外の市に保険者業務である要介護認定事務の事務委託を行っている場合、介護扶助運営要領第4の2の(2)の規定に関わらず、所管区域外の市長と委託契約を締結することとなるのか。
答 介護扶助運営要領第4の2の(2)の規定は、被保険者でない被保護者であっても、当該地域における被保険者と同じ保険者により要介護認定を受けることにより、要介護状態等の判定区分、継続期間、療養上の留意事項等について、被保険者と被保険者以外の者との間で統一を図ることを目的としたものであるから、当該所管区域外の市長と委託契約を締結することが望ましい。
問7 要介護状態等の審査判定の委託先である広域連合及び一部事務組合が、要介護状態等の審査判定のうち認定調査を行っていないため、別途に認定調査について契約を結ばなければならない場合又は被保護者が所管区域外の介護保険施設に入所しているため、所管区域外において認定調査を行う必要がある場合には、直接郡部福祉事務所長が指定居宅介護支援事業者又は介護保険施設の長と認定調査に係る契約を行うことは可能か。
答 可能である。
特に、所管区域外の介護保険施設に入所している者への認定調査については、直接、介護保険施設の長と契約することが事務の効率の観点からも適当である。
問8 被保険者以外の者に係る要介護状態等の審査判定のうち認定調査について指定居宅介護支援事業者又は介護保険施設に委託する場合、委託先は生活保護の指定介護機関でなければならないのか。
答 認定調査の委託は、介護扶助による介護を委託するものではないので、必ずしも生活保護の指定介護機関である必要はない。
問9 保険者は、必要がある場合にはケアプランを作成する居宅介護支援事業者等に対し、被保険者の同意を得た上で、要介護認定等に係る調査内容、介護認定審査会による判定結果・意見及び主治医意見書を提示することとされているが、被保険者以外の者についても、同様に本人からの同意を得る必要があるか。
答 同意を得る必要はない。
問10 保険者による要介護認定の有効期間が更新認定された場合又は有効期間が経過した後に新たに認定を受ける場合、あらためて保護の変更申請書を提出する必要があるか。
答 不要である。
問11 介護扶助運営要領第4の2の(2)のウの規定に基づき、被保険者以外の者について生活保護法第28条に基づく検診命令を行う場合、検診を行わせる医療機関は生活保護法の指定医療機関でなければならないか。
答 検診命令を行う医療機関は必ずしも指定医療機関に限定されるものではないが、法の趣旨の了知等の観点から指定医療機関であることが望ましい。
第3 介護扶助実施法式
問12 介護扶助運営要領第5の1において、被保険者である被保護者が居宅介護の申請を行う場合には、居宅介護支援計画の写しを添付することが義務づけられているが、被保険者以外の者については、居宅介護支援計画の添付が義務づけられていない理由如何。
答 被保険者は、居宅介護サービス計画費が保険者から10割給付されるため、介護扶助の申請の要件として、居宅介護支援計画の写しの添付を義務付けている。
一方、被保険者以外の者は、保険者から居宅介護サービス計画費の保険給付がなされないため、仮に居宅介護支援計画の写しの添付を介護扶助の申請の要件とした場合、要保護者に対し過重の負担を与えることとなるため、居宅介護支援計画の添付を要さず、申請できることとしている。
したがって、被保険者以外の者について申請時に居宅介護支援計画の添付を要しないこととしているのは、あくまで申請要件としての添付が不要という意味であり、介護扶助の決定に際し必要としないという意味ではないので留意すること。
問13 介護扶助運営要領第5の2の(1)において、居宅介護に係る介護扶助の程度は、介護保険法に定める区分支給限度額の範囲内とされているが、市町村(保険者)が条例により厚生労働大臣が定める居宅介護サービス費区分支給限度基準額又は居宅支援サービス費区分支給限度基準額を超える額を当該市町村の居宅介護サービス費区分支給限度基準額又は居宅支援サービス費区分支給限度基準額とした場合、介護扶助はどちらの額の範囲内で行うこととなるのか。
答 介護扶助の程度は介護保険の例によることとされており、介護保険法において、当該市町村の条例により区分支給限度基準額を定められることとされていることから、市町村が定める区分支給限度基準額が介護扶助の程度となる。
問14 やむを得ない理由により、要介護認定の結果を待たずに介護扶助の決定を行った場合で、要介護認定が当初見込んだ要介護度よりも低く認定された場合や要介護認定を行っている間に申請者が死亡した場合、実際の要介護度を越えた部分について法第80条の規定により返還を免除することとして差し支えないか。
答 差し支えない。
また、「やむを得ない理由」に該当するのは、おおむね次のとおりである。
① 従前は同居人からの介護を受けていたため、要介護認定の申請を行わずにいたが、介護を行う同居人に病気等の介護が行えない事由が生じ、急遽事業者による介護サービスが必要となった場合
② 要介護認定の決定が通常想定される事務処理期間(1ヶ月間)を著しく越えていて、かつその認定の結果を待っていては著しく要介護(支援)者の身体の状況が悪化すると思われる場合
③ その他すみやかに介護扶助を行う必要があると保護の実施機関が認めた場合
問15 被保険者以外の者が、月の中途に被保険者資格を取得した場合、居宅介護支援計画作成費について保険者から全額の保険給付がされることとなるが、併せて介護扶助を行う必要がある場合はないか。
答 被保険者資格取得前の居宅介護サービスに係る給付管理業務は、保護の実施機関(公費負担者)から指定居宅介護支援事業者へ委託されたものであるため、それに対する報酬は、介護扶助により保護の実施機関が支払う必要がある。
問16 月の中途に指定居宅介護支援事業者が変更された場合、変更前の指定居宅介護支援事業者に対しても介護扶助により報酬を支払う必要があるか。
答 同一月に複数の指定居宅介護支援事業者を利用した場合、介護保険の例により、変更前の居宅介護支援事業者には、居宅介護支援に係る報酬が支払われない。
問17 月の中途に要介護度が変更となった場合、別途に変更後の要介護状態区分を記載した介護券を発行することとなるのか。
答 報酬請求においては、当該サービスを提供した時点の要介護状態区分に応じた費用を算定するものとされているので、月の中途に要介護状態区分が変更された場合、保護の実施機関は、要介護状態区分変更前に発行した介護券の有効期間を変更日の前日までに修正するとともに、別途に変更後の「要介護状態区分」を記載した介護券を発行することとなる。
ただし、要介護状態区分に応じて報酬が変わらない介護サービス(訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導)の介護券については、その限りではない。
問18 月の中途に被保険者以外の者が被保険者資格を取得した場合、指定居宅サービス事業者に対し、あらためて介護券を発行することとなるのか。
答 お見込みの通り。被保険者以外の者が被保険者資格を取得した場合、事業者は被保険者資格取得前に提供した介護サービスの単位数が、資格取得後の区分支給限度額に含まれないよう、資格取得後に提供した介護サービスの単位数とは別の介護給付費明細書で国民保険団体連合会(以下「国保連」という。)に請求することとなる。
したがって、保護の実施機関は、被保険者資格取得前に発行した介護券の「有効期間」を修正し、別途に、新たな「被保険者番号」、「受給者番号」、「単独・併用別」を記載した介護券を発行する。
なお、この場合、一人について、同一月に複数の介護券を発行することとなるが、資格取得前後では別々の公費受給者とみなし、それぞれ異なる受給者番号を付すこととなる。
問19 医療券の本人支払額は、10円未満の端数があるときにはこれを切り捨てることとされているが、介護券の本人支払額も同様に10円未満の端数を切り捨てることはできないのか。
答 介護報酬が1円未満の端数を切り捨てることとされているので、介護券の本人支払額には1円単位まで記載することとなる。
よって、10円未満の端数を切り捨てることは認められないものである。
問20 基準該当事業者に対する扶助費の支払いについて、介護券を発行することにより国保連へ審査支払を委託することとして差し支えないか。
答 委託することはできない。
問21 介護保険の被保険者である被保護者が非指定介護機関を利用した場合で、高額介護サービス費又は高額居宅支援サービス費(以下「高額介護サービス費等」という。)の支給に係る申請は、本人が直接保険者に対して行う必要があるのか。
答 本人が直接保険者に高額介護サービス費等を申請する必要がある。国保連は、保護の実施機関が事業者又は被保護者に対して直接支払う介護扶助費を、高額介護サービス費等として振り替えることはできないので、振り替えられない残りの高額介護サービス費等について被保護者本人から保険者へ直接申請するよう指導すること。
問22 住宅改修、福祉用具購入の給付方法については、介護扶助運営要領第5の3の(3)及び4の(3)において、「原則として」金銭給付とされているが、場合によっては現物給付化することも可能であるか。また、住宅改修及び福祉用具購入に係る保険給付について、保護の実施機関が被保護者の代理として、保険者から直接受領することは可能であるか。
答 住宅改修、福祉用具購入の給付方法については、原則、金銭給付としているが、以下のような場合については、現物給付化を行って差し支えないこと。
① 介護扶助受給者が、介護保険の被保険者以外の者である場合
② 当該介護扶助受給者が加入する保険者が、福祉用具購入及び住宅改修に係る保険給付を現物給付化している場合
③ その他金銭給付によらなくとも、適正に償還金を法第63条の規定により返還させることができる場合
また、後段については、当該介護扶助受給者が加入する保険者において対応可能であれば、当該受給者に対して保険給付の代理申請及び代理受領について十分な説明を行い、その実施について同意を得、委任状を徴収することを条件として取り扱って差し支えない。
問23 通院介助に伴うヘルパーの交通費は、訪問介護の介護報酬に含まれていないため、別途、利用者から徴収される場合があるが、当該費用について介護扶助運営要領第5の5のアの移送費として支給して差し支えないか。
答 通院介助に伴うヘルパーの交通費は、「通院に伴う移送のための交通費」であるので、医療扶助運営要領第3の9の(2)のアの(ア)により医療扶助の移送費として支給すること。
第4 介護扶助指定介護機関
問24 介護扶助運営要領第6の1の(4)の「住宅扶助により入居できる額」とは具体的にどの額をいうのか。
答 「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知)第6の4の(1)のオによる「限度額に1.3を乗じて得た額」の範囲内の額をいう。
ただし、被保護者の入所に際し「限度額に1.3を乗じて得た額」の適用が認められるものは、同通知において認められる場合と同様、「世帯員数、世帯員の状況、当該地域の住宅事情によりやむを得ないと認められるもの」に該当する場合に限られるので留意すること。
問25 介護扶助運営要領第6の3の(2)においては、介護扶助の指定介護機関の指定を行った場合、その旨を都道府県の介護保険担当部局を通じて国保連へ通知することとされているが、厚生労働大臣(地方厚生局長)が介護扶助の指定介護機関の指定を行った場合についても、都道府県が介護保険担当部局を通じて通知することとなるのか。
答 介護扶助の指定情報については、国保連のシステム上の理由から、指定権者にかかわらず、その指定介護機関を管轄する都道府県が介護保険担当部局を通じて国保連に介護保険本体の「指定事業者情報」に含めて情報提供を行う必要がある。
したがって、厚生労働大臣(地方厚生局長)が指定を行った場合についても、その指定介護機関を管轄する都道府県が介護保険担当部局を通じて国保連へ通知することとなる。