添付一覧
○地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律による災害救助法の一部改正等について
(平成一二年三月三一日)
(社援第八六七号)
(各都道府県知事あて厚生省社会・援護局長通知)
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成一一年法律第八七号。以下「分権一括法」という。)第一四八条の規定により、災害救助法(昭和二二年法律第一一八号。以下「法」という。)の一部が改正され、平成一二年四月一日に施行されるとともに、次のとおり、政令、省令及び厚生省告示が制定又は改正されたところである。
・ 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う厚生省関係政令の整備等に関する政令(平成一一年政令第三九三号。以下「整備政令」という。)第三条の規定による災害救助法施行令(昭和二二年政令第二二五号。以下「令」という。)の一部改正
・ 災害救助法施行令第一条第一項第三号の厚生省令で定める特別の事情及び同項第四号の厚生省令で定める基準を定める省令(平成一二年厚生省令第八六号。以下「基準省令」という。)の制定
・ 災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準(平成一二年厚生省告示第一四四号。以下「基準告示」という。)の制定
また、「災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償について等の廃止について」(平成一二年三月三一日厚生省発社援第一一三号厚生事務次官通知。以下「廃止通知」という。)により、「災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償について」(昭和四〇年五月一一日厚生省社第一六二号厚生事務次官通知。以下「第一六二号通知」という。)が廃止されたところである。
これに伴い、「災害救助法による救助の実施について」(昭和四〇年五月一一日社施第九九号社会局長通知。以下「第九九号通知」という。)を、別紙の通り改正し、平成一二年四月一日から適用することとした。
これらの改正等の概要及び施行に当たっての留意事項は、次のとおりであるので、これらの事項に留意の上、管内市町村に周知し、施行に遺憾なきを期されたい。
第一 改正等の概要
一 分権一括法による法の改正について
(一) 職権の一部の委任規定の見直し等
分権一括法による改正前の法第三〇条に規定する救助に関する都道府県知事の職権の市町村長に対する一部委任は、都道府県知事が市町村長に対して包括的に事務を機関委任できる制度を前提に、一方的に委任できる仕組みである。今般、分権一括法における機関委任事務制度の廃止により、この仕組みについては改める必要がある。
このため、同条の規定を改正して、都道府県知事は、政令の定めるところにより、救助の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととすることができることとした。
また、令に規定していた市町村長による都道府県知事の補助の事務について、同条第二項に規定することとした。
(二) 応援命令の規定の見直し
国と地方公共団体の間に対等の関係を構築するという分権一括法の趣旨を踏まえ、分権一括法による改正前の法第三一条に規定する主務大臣の都道府県知事に対する応援命令について、同条を改正して応援をなすべきことの指示に改めた。
(三) 法定受託事務の明示等
分権一括法による法定受託事務制度の創設に伴い、法第三二条の二の規定を設けて、法に規定する救助の事務が法定受託事務であることを明示する等、所要の改正を行った。
二 整備政令による令の改正について
(一) 法の適用基準の見直し
従来、都道府県知事が法を適用するに当たって、必要に応じ厚生大臣に対する協議を求めてきたところであるが、国の地方公共団体に対する関与を最小限に止めるという分権一括法の趣旨に従い、法の適用基準を改めた上で、今後は、厚生大臣に対する協議を求めないこととした。
このため、令第一条第一項第三号及び第四号を改正し、適用基準となる所要の事項を厚生省令で定めることとした。
(二) 法による救助の程度、方法及び期間(以下「程度等」という。)並びに実費弁償の基準に関する規定の見直し
国の地方公共団体に対する関与を最小限に止めるという分権一括法の趣旨に従い、令第九条の二に規定する程度等及び第一一条に規定する実費弁償に関して必要な事項を都道府県知事が定めるに当たり、厚生大臣の承認を要しないものとすることとした。
このため、第九条の二を改正し、厚生大臣が程度等についてあらかじめ基準を定め、都道府県知事は程度等をこれに従って定めることとし、同条を第九条第一項とした。ただし、同条第二項において、厚生大臣が定める基準によっては救助の適切な実施が困難な場合には、都道府県知事が厚生大臣に協議し、その同意を得た上で、救助の程度、方法及び期間を定めることができることとした。
また、第一一条を改正し、厚生大臣が実費弁償についてあらかじめ基準を定め、都道府県知事は実費弁償に関して必要な事項をこれに従って定めることとした。
(三) 救助事務の一部を市町村長が行うこととする場合の手続き等の整備
法第三〇条第一項の規定により救助事務の一部を市町村長が行うこととする場合について、令第二三条第一項の規定を設け、当該事務の内容及び当該事務を行うこととする期間を当該市町村長に通知することとした。
また、同条第二項において、物資や土地の収用等に係る法第二四条から第二七条までに規定する事務の一部を市町村長が行うこととする場合について、令第二三条第一項の通知の後直ちにその旨を公示しなければならないこととする等関係規定を整備した。
(四) その他
令に規定する法定受託事務を明示する等所要の改正を行った。
三 基準省令の制定について
令第一条第一項第三号の厚生省令で定める特別の事情について、災害にかかった者に対する食品若しくは生活必需品の給与等について特殊の補給方法を必要とし、又は災害にかかった者の救出について特殊の技術を必要とすることとした。
また、同項第四号の厚生省令で定める基準について、多数の者が生命又は身体に危害を受け又は受けるおそれが生じた場合を具体的に想定した上で、次のいずれかに該当することとした。
① 災害が発生し、又は発生するおそれのある地域に所在する多数の者が、避難して継続的に救助を必要とすること
② 災害にかかった者に対する食品若しくは生活必需品の給与等について特殊の補給方法を必要とし、又は災害にかかった者の救出について特殊の技術を必要とすること
四 基準告示の制定及び廃止通知による第一六二号通知の廃止
令第九条第一項及び第一一条の規定に基づき、法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準を告示するとともに、関係通知を廃止した。
五 本通知による第九九号通知の改正
一から四までの内容及びその趣旨を踏まえ、所要の改正を行った。
第二 留意事項
一 基準省令及び基準告示の適用について
基準省令及び基準告示に規定する内容は、基本的に従来と同様であるので、被災時には、引き続き迅速な法の適用に努められたい。また、法の適用の公表に当たっては、引き続き本職と十分に連携をとるようお願いする。
なお、基準省令及び基準告示の適用に当たっては、必要に応じ、本職に対し技術的助言を求められたい。
そして、法の適用及び救助の実施に当たり、基準告示の定めるところにより難い特段の事情がある場合には、第九九号通知の第七及び第八により、速やかに厚生大臣に対して協議し又は本職あて情報提供されたい。
二 法第三〇条第一項の規定の適用について
法第三〇条第一項の規定により救助の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととする場合には、地方自治法第二五二条の一七の二第一項に規定する条例の定め及び同条第二項の協議は要しないが、令第九条の規定により当該市町村長に対して通知することが必要となるので、これにより救助事務が遅延することのないよう留意されたいこと。
このため、「災害救助法施行細則準則」(平成一二年三月三一日社援発第八六九号本職通知)第一一条の定めるところにより、災害救助法施行細則においてあらかじめ通知様式を定めるとともに、第九九号通知第三の二に定めるところにより、引き続き市町村に対し、救助の事務の一部を行うための準備に努めるよう求めるなど、市町村長との連携に十分配慮されたいこと。
別紙 略