添付一覧
○「自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律(消費生活協同組合法関係)」及び「消費生活協同組合法施行規則の一部を改正する省令」の施行について
(平成八年一二月二日)
(社援地第一〇一号)
(各都道府県知事あて厚生省社会・援護局長通知)
第一三四回通常国会において、衆議院運輸委員長の提案による「自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律」(以下「自賠法改正法」という。)が平成七年一二月一三日に成立し、同法附則第九条により消費生活協同組合法(昭和二三年法律第二〇〇号)の一部改正が行われた。自賠法改正法は、平成七年一二月二〇日法律第一三七号として公布され、「自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成八年政令第二七五号)により平成八年一二月一日をもって施行された。
自賠法改正法の施行に伴い、「消費生活協同組合法施行規則の一部を改正する省令」(平成八年厚生省令第六七号)及び「消費生活協同組合共済事業財務処理規則の一部を改正する省令」(平成八年厚生省令第六八号)が、平成八年一一月二九日に公布され、平成八年一二月一日をもって施行されたところである。
ついては、今回の改正の趣旨及び要点については次のとおりであるので、御了知の上、貴管下消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会(以下「組合」という。)に対して周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、その運用に遺憾のないよう配意されたい。
なお、「消費生活協同組合共済事業財務処理規則の一部を改正する省令」の趣旨等については、別途通知することとしているので、参照されたい。
第一 改正の趣旨
自動車損害賠償保障制度は、昭和三〇年に創設され、創設当初は損害保険会社のみが自賠責事業を行い、昭和四一年からは、農業協同組合及び農業協同組合連合会(以下「農協」という。)においても本事業が扱えることとされた。
今般、自賠法改正法により、組合においても、損害保険会社及び農協と同様に自賠責事業を扱うことができるよう所要の改正が行われたところである。
これに伴い、消費生活協同組合法において、自動車損害賠償責任共済等(以下「責任共済等」という。)の事業(この事業に附帯する事業を含む。以下同じ。)の実施に必要な事項について定めるとともに、農協及び保険会社とのイコール・フッティングを図る等の観点から所要の改正が行われたものである。
第二 改正の要点
一 名称の使用制限に関する事項(法第三条第二項、自賠法改正法附則第一〇条関係)
組合は、自賠法改正法による改正後の消費生活協同組合法(以下「法」という。)第三条第一項により、その名称中に「消費生活協同組合若しくは生活協同組合又は消費生活協同組合連合会若しくは生活協同組合連合会」という文字を使用する義務が課せられ、また、同条第二項においては名称の使用制限が課せられているが、今回の法改正により、名称の使用制限の範囲が拡大された。
具体的には、組合以外の者が紛らわしい名称を使用することにより、当該者が組合であると国民に誤認されることを防止する趣旨から、消費生活協同組合又は消費生活協同組合連合会でない者は、その名称中に消費生活協同組合又は消費生活協同組合連合会であることを示す文字だけでなく、これらと紛らわしいことを示す文字を用いてはならないこととされた。
なお、自賠法改正法の施行の際、現に消費生活協同組合又は消費生活協同組合連合会であることを示す文字と紛らわしいことを示す文字を用いている者については、法第一〇一条に規定する罰則の適用があること、名称の変更を行うための一定の準備期間が必要なことに鑑み、自賠法改正法附則第一〇条において、平成八年一二月一日から六月間は、法第三条第二項の規定を適用しないこととされた。
二 員外利用に関する事項(法第一二条第三項、施行規則第二条関係)
法の定める原則にかかわらず、員外利用の禁止が適用除外される場合として、厚生省令で定める正当な理由がある場合が定められた。これは、自動車損害賠償保障法(昭和三〇年法律第九七号。以下「自賠法」という。)等他の法律の要請を優先させなければならない場合について、施行規則(「消費生活協同組合法施行規則の一部を改正する省令」による改正後の消費生活協同組合法施行規則(昭和二三年大蔵省令、法務庁令、厚生省令、農林省令第一号。)をいう。以下同じ。)において規定されたものである。
組合の責任共済事業を利用する場合において、例えば、自動車の譲渡により譲受人たる非組合員が責任共済事業を利用することとなったときは、共済者たる組合からすれば譲受人に当該組合に加入してもらうことが望ましい。しかしながら、譲受人が当該組合に加入しないときは、法第一二条第三項本文の規定による要請と自賠法第五条の規定による要請を調整する必要がある。責任共済事業の利用については、自賠責事業が強制保険であることに鑑み、法の要請より自賠法の要請が優先されるべきであることから、正当な理由がある場合として定められたものである。
施行規則で定める正当な理由がある場合は、次のとおりである。
(一) 責任共済契約又は責任共済契約が締結されている自動車が当該組合の組合員でない者に相続された場合
(二) 責任共済契約の契約者の名義が当該組合の組合員でない者の名義に変更された場合
(三) 責任共済契約が締結されている自動車が当該組合の組合員でない者に譲渡された場合
(四) 法第一九条第一項又は第二〇条第一項の規定により組合員が脱退した場合
(五) 法第五〇条の二第一項の規定により責任共済等の事業の全部若しくは一部が譲渡された場合又は同条第二項の規定により責任共済等の共済契約の全部が包括して他の組合に移転された場合
なお、以上に掲げる正当な理由がある場合として員外利用が認められる期間については、法第一二条第三項本文の規定の趣旨から、必要最低限の期間に限られるべきであるので、施行規則において当該責任共済契約の残存期間に限られることとされた。
三 責任共済事業規約に関する事項(法第二六条の三第二項、施行規則第二条の三関係)
責任共済等の事業を行おうとする組合は、その事業に関する共済事業規約の作成に当たって、当該事業の実施方法に関する事項、共済契約に関する事項及び共済掛金の額の算出方法に関する事項について記載しなければならないこととされた。これは、自賠責事業が強制保険であることに鑑み、責任共済事業規約において記載すべき事項が定められたものである。
四 定款の変更及び共済事業規約の設定等に係る行政庁の認可に関する事項(法第四三条第五項、自賠法改正法附則第一一条第一項関係)
法第一〇条第一項第四号に定める事業(以下「共済を図る事業」という。)に係る定款の変更及び共済事業規約の設定等の認可については、法第五八条の規定を準用することとされた。共済を図る事業については、多数の組合員が参加する大数の法則に基づき行われる事業であり、その事業責任は重大である。このような見地から、共済を図る事業に係る定款の変更等の認可については、所管行政庁が慎重に審査を行う必要があるため、法第五九条第二項のみなし規定は準用されないこととされた。
なお、法の施行日前に申請された定款の変更等の認可については、なお従前の例によることとされた。
五 総会の特別議決方法に関する事項(法第四六条関係)
責任共済等の事業の全部の譲渡及び責任共済等の共済契約の全部の移転については、組合の事業運営上の重要事項であることから、法第四六条に定める特別議決事項とされた。
六 責任共済等の事業の譲渡等に関する事項(法第五〇条の二関係)
自賠責事業が強制保険であることに鑑み、組合が経営危機に陥った場合等であっても契約を保全する必要があることから、責任共済等の事業を行う組合は、責任共済等の事業の全部若しくは一部を譲渡すること又は責任共済等の共済契約の全部を包括して他の組合に移転することができることとされた。
なお、法第五〇条の二第一項に規定する「この事業に附帯する事業」とは、自賠法第七一条に定める自動車損害賠償保障事業等をいう。
七 解散及び合併に係る行政庁の認可に関する事項(法第六二条第三項、第六五条第三項、自賠法改正法附則第一一条第二項及び第三項関係)
共済を図る事業を行う組合については、組合員を保護するため、組合の解散及び合併に関して、所管行政庁が慎重に審査を行う必要があることから、法第五九条第二項のみなし規定は準用されないこととされた。
なお、法の施行日前に申請された解散及び合併の認可については、なお従前の例によることとされた。
八 監督に関する事項
共済を図る事業の責任の重大性に鑑み、事業の健全な運営の確保及び組合員保護の観点から、共済を図る事業を行う組合に対する所管行政庁の監督に係る規定について、次の改正が行われた。
(一) 報告の徴収に関する事項(法第九三条の二関係)
所管行政庁は、必要に応じ、共済を図る事業を行う組合の一般的状況に関して報告を徴することができることとされた。
(二) 子会社等に対する報告の徴収又は資料の提出に関する事項(法第九三条の三、施行規則第一一条の二関係)
組合と子会社及び関連会社(以下「子会社等」という。)との業務及び会計の緊密性に鑑み、所管行政庁は、共済を図る事業を行う組合が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款若しくは共済事業規約を守っているかどうかを知るため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該組合の子会社又は関連会社に対し、当該組合の業務又は会計の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができることとされた。
なお、「子会社」とは、当該組合が総株主又は総社員の議決権(商法(明治三二年法律第四八号)第二一一条ノ二第四項に規定する種類の株式又は持分に係る議決権を除き、同条第五項の規定により議決権を有するものとみなされる株式又は持分に係る議決権を含む。以下同じ。)の過半数を有する会社をいい、「関連会社」とは、当該組合が実質的な支配を及ぼしているものとして施行規則第一一条の二において規定された次の会社をいう。
ア 役員の総数の二分の一以上を当該組合の役員又は職員が兼ねる会社
イ 当該組合が総株主又は総社員の議決権の四分の一以上二分の一以下を有する会社のうち、当該組合がその会社に対して有する議決権の割合において株主若しくは出資者中筆頭である会社又は当該組合の役職員であった者若しくは役職員である者がその会社の役員の総数の四分の一以上を占めている会社
(三) 随時検査に関する事項(法第九四条第三項関係)
所管行政庁は、共済を図る事業を行う組合の事業の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、いつでも、当該組合の業務又は会計の状況を検査することができることとされた。
(四) 常例検査に関する事項(法第九四条第四項関係)
所管行政庁は、責任共済等の事業を行う組合の業務又は会計の状況につき、毎年一回を常例として検査をしなければならないこととされた。
(五) 子会社等の検査に関する事項(法第九四条第五項及び第六項関係)
所管行政庁は、共済を図る事業を行う組合の業務又は会計の状況を検査する場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該組合の子会社等の業務又は会計の状況を検査することができることとされた。
(六) 行政庁の監督上の命令に関する事項(法第九四条の二関係)
所管行政庁は、共済を図る事業を行う組合に対し、その事業の健全な運営を確保し、又は組合員を保護するため、組合の業務若しくは財産の状況又は事情の変更によって必要があると認めるときは、当該事業に関し、定款若しくは共済事業規約の変更、業務執行の方法の変更、業務の全部若しくは一部の停止若しくは財産の供託を命じ、又は財産の処分を禁止し、若しくは制限し、その他監督上必要な命令をすることができることとされた。
(七) 共済事業規約の認可の取消しに関する事項(法第九五条の二関係)
所管行政庁は、共済を図る事業を行う組合が共済事業規約に定めた特に重要な事項に違反した場合において、法第九五条第一項に基づく命令をしたにもかかわらず、これに従わないときは、法第四三条第四項の規定による共済事業規約の認可を取り消すことができることとされた。
九 刑罰に関する事項(法第九九条第二項関係)
従来、所管行政庁が組合に対して行う報告の徴収に関し、報告をせず、又は虚偽の報告をしたときに課されていた刑罰について、共済を図る事業を行う組合の子会社等に対して求める報告又は資料の提出についても課すこととされた。
一〇 行政罰に関する事項(法第一〇〇条関係)
行政罰に関する事項に、新たに法第五〇条の二第四項に規定する責任共済等の事業の全部又は一部の譲渡及び責任共済等の事業に係る財産の移転の場合の手続に関する規定及び同条第五項の規定に違反したとき並びに法第九四条の二の共済を図る事業を行う組合に対する所管行政庁の監督上の命令に従わなかったときを加えることとされた。
一一 事業報告書及び教育事業繰越金に関する事項
従前の消費生活協同組合法施行規則第四条(事業報告書の記載事項)及び第六条(教育事業繰越金)の規定が削除され、新たに「消費生活協同組合財務処理規則」において規定されたものである。