○消費生活協同組合法施行に関する件
(昭和二三年九月六日)
(発社第九九号)
(各都道府県知事あて厚生事務次官通達)
消費生活協同組合法(昭和二三年法律第二○○号)は、一○月一日から施行される見込みであるが、この法律は、協同互助の精神を基調とする国民の自主的、自発的な生活協同組織に対しその機構と運営に関する民主的な規準を与え、その健全な発達を図ることを目的とするものであり、今後国民生活の安定向上に至大の意義を有すると思われるので左記御了知の上これが運営に遺憾のないようにせられたい。右命により通牒する。
記
第一 基本方針に関する事項
一 行政庁は総合的計画を定めその責任に於いてこの法律の精神と内容とを広く国民に理解せしめるよう普及徹底を図るものとする。
二 組合の設立及び運営は、国民の自由なる意思によつてなさるべきであるが、行政庁は組合の自主性を阻害しない程度において、助長を図り、且つ、実情に応じ必要な助言をなすものとする。
三 行政庁は常に組合の実態を調査把握し、行政運営上の参考に資するものとする。
四 組合行政担当者及び組合幹部に対する教育訓練は、過渡期における今日特にその必要を痛感せられるので行政庁は常にその教育訓練に意を用いるものとする。
第二 消費生活協同組合協議会に関する事項
消費生活協同組合は、家族を中心とする生活万般に渉る総合的協同組織であり、その運営上関係するところ多方面に渉るので、行政庁は、常に関係方面の十分なる連絡をとり、なるべく各都道府県毎に官民関係者(民生、労働、物資、資金、協同組合及び各種団体等の関係者)を以つて構成する消費生活協同組合協議会を組織し、組合行政の円滑なる運営を図るものとする。
第三 他の協同組織体との関連に関する事項
一 産業組合法の廃止により、現存の産業組合及び連合会は本法施行後二か年内に夫々消費生活協同組合その他の協同組合へ移行し又は解散することとなるが、行政庁は常にその間の円滑なる運営を図る為関係部課間の密接な連絡を保持するものとす
る。
二 農村漁村における消費生活協同組合については、農業協同組合と密接な関係があるので、その間の調整を図り関係部課間に於いて緊密な連絡を保持するものとする。
三 職域による消費生活協同組合については、労働組合と密接な関係が存するので、その間の調整を図るため関係部課間において事前に協議連絡し、この法律の円滑なる運用を期するものとする。
第四 報告その他に関する事項
一 認可事項の報告
組合の設立(様式第一)組織変更、解散合併(様式第二)の認可をしたときは、そのつど当省に報告するものとする。
二 員外利用の許可の報告
法律第一二条第三項に基く員外利用の許可は、左記の場合を除き厳格にこれを制限する趣旨のものであるから、員外利用の許可の申請があつたときは概ね左の標準により許可するものとし、且つ許可したときはその都度当省に報告(様式第三)するものとする。
(一) 員外利用を行つていた産業組合が組織変更の手続により消費生活協同組合になり、ひきつづき員外利用を認めようとするとき。
(二) 附近に他に適当な施設なきため公共の福祉の立場からやむを得ずその区域内の人々に消費生活協同組合の事業を利用せしめるを適当とするとき。
(三) 其の他特に許可を必要とするとき。
なお他の法令により組合員以外のものに対してもその事業を利用せしめるべき旨が定められている場合は、許可があつたときと同様に扱うものとする。但し、報告は要しない。
第五 解散すべき産業組合及び連合会に関する事項
この法律施行の際現に存する産業組合又は連合会で法第一○七条第一項各号に該当するものは、この法律施行の日から二箇月以内に解散しなければならないので行政庁に於いては、関係部課間で緊密な連絡をとり各都道府県知事宛内閣総理大臣、商工、農林、運輸、大蔵、逓信、厚生、文部各大臣及び法務総裁連名通牒昭和二三年三月一八日付二三総第一、一○二号「統制団体除去政策についての解釈及び実施に関する件」及び昭和二三年三月二九日付二三総第一、三八五号「統制団体除去政策についての解釈及び実施に関する通牒の件」を参照の上これに該当する組合及び連合会の有無を十分調査の上法施行日より一か月以内に当省に報告するものとする。
様式第1
様式第2
様式第3