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○身体障害者更生援護施設の設備及び運営について
(平成一二年六月一三日)
(障第四六四号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知)
「身体障害者更生援護施設の設備及び運営に関する基準」については、平成一二年三月三月三〇日に厚生省令第五四号として公布され、平成一二年四月一日から施行されたところであり、その制定趣旨等については、平成一二年三月三一日厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知「身体障害者更生援護施設の設備及び運営に関する基準の施行について」により示したところであるが、この中で留意事項として、当該省令の制定は、一部を除き改正前の通知による取扱いを変更するものではないことを示したところである。
ついては、今後の身体障害者更生援護施設の整備及び運営に当たっては、当該省令において定める基準を遵守するとともに、本通知の別紙「身体障害者更生援護施設の設備及び運営に関する指針」を参酌の上、身体障害者更生援護施設の適正かつ円滑な運営にご配慮願いたい。
(別紙)
身体障害者更生援護施設の設備及び運営に関する指針
第一章 身体障害者更生施設
第一節 総則
1 健康管理
入所者の健康管理は、保健所等と連絡の上、次により行うものとする。
(1) 健康管理の責任者を定め、医師、保健婦又は看護婦その他適当な者がその任に当たること。
(2) 常勤の医師を置かない施設にあっては、嘱託医師を定めておくこと。
(3) 入所者の健康状態に応じて訓練、休憩等について考慮すること。
2 給食
(1) 給食は、入所者の更生に極めて重要な影響を与えるものであるから、原則として、当該施設において直接これを実施すること。
(2) 入所者の食事はできるだけ変化に富み、必要な熱量及び蛋白質を含有するものとすること。
(3) 献立は、栄養士により作成されることが望ましいこと。
3 更生訓練
入所者が自ら進んでその障害を克服し、その有する能力を活用することにより、社会経済活動に参加することができるようにするため、施設の特性に応じ必要な医学的訓練、心理的訓練又は職能的訓練を行うこと。
4 生活指導
(1) 入所者には、教養の時間を設けるとともに、自由に利用できる新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、図書等(特に視覚障害者更生施設にあっては、点字図書等)を備えて社会適応性を助成するように努めること。
(2) 入所中の情操の陶冶に注意し、雑誌、ニュースの発行及びスポーツ、映画、演劇、音楽会等を適宜実施するとともに、適当な娯楽用品を備えつけること。
5 建物の構造
施設の建物(入所者等の日常生活のために使用しない附属の建物を除く。)は、原則として平屋建てとすること。
6 設備
(1) 居室は、なるべく南に面し、冬季においても相当時間の日照が得られるように計画すること。
(2) 居室の防暑、防寒については、断熱設備及び防寒設備等有効な方法を講じること。特に寒冷地域においては、外壁、居室の天井及び居室の外回りの建具等について、防寒的構造に留意すること。
(3) 居室の扉は、原則として引戸とすること。
(4) 静養室は、特に騒音が少なく、日照及び通風の良い部屋で、医師、保健婦又は看護婦が常にいる部屋に近い場所に設けることが望ましいこと。
7 職員
(1) 職員は、入所者の処遇に支障がない場合には、他の職務を兼ねることができること。
(2) 医師等の専門職にあっては、施設種別ごとの入所対象者に係る専門分野について、相当の知識又は経験を有する者であること。
8 種別及び定義
身体障害者更生施設の種別及び定義は、次のとおりであること。
(1) 肢体不自由者更生施設は、肢体不自由者を入所させて、その更生に必要な治療及び訓練を行う施設とする。
(2) 視覚障害者更生施設は、視覚障害者を入所させて、その更生に必要な知識、技能及び訓練を与える施設とする。
(3) 聴覚・言語障害者更生施設は、聴覚・言語障害者を入所させて、その更生に必要な指導及び訓練を行う施設とする。
(4) 内部障害者更生施設は、内臓の機能に障害のある者を入所させて、医学的管理の下にその更生に必要な指導及び訓練を行う施設とする。
(5) 重度身体障害者更生援護施設は、重度の肢体不自由者を入所させて、その更生に必要な治療及び訓練を行う施設、又は、内臓の機能に重度の障害のある者(以下「重度の内部障害者」という。)を入所させて、医学的管理の下にその更生に必要な指導及び訓練を行う施設とする。
第二節 肢体不自由者更生施設
1 入所期間
肢体不自由者更生施設の入所期間は一年を原則とするが、特に必要と認めるときは、さらに六か月以内の延長を認めることができること。
2 医学的更生
肢体不自由者更生施設における医学的更生は、次に掲げる治療及び訓練を併せて行うものであること。
なお、詳細に関しては「肢体不自由者更生施設における医学的更生並びに職業的更生における実施の指針について」(昭和二九年一一月二五日社発第九二四号)に基づき実施すること。
(1) 医学的診断
医学的診断は、更生に最も効果的な医療を行うため、現症と治療による機能的効果とを評価すること。
(2) 医学的更生治療及び訓練
ア 職能整形外科的治療
整形外科的手術のほか、矯正又は固定ギブス包帯法等が行われるが、特に整形外科的手術については、その特性に鑑み手術の時期、範囲等の特別の注意を払うこと。
イ 理学療法
理学療法には、水治療法、光線療法など物理的外的刺激に用いる方法、重すい、砂のうその他の器具を用いて矯正する方法及びマッサージ、自動運動等があるが、その選択及び相互の調整について留意すること。
ウ 作業療法
作業療法は、障害の回復に適する作業を行い、心理的、肉体的適応性を与えるように指導すること。
なお、この場合においては、特に治療目的のために行う作業である点に鑑み、機能障害の回復に重点を置き、職業準備にとらわれることのないよう留意すること。
エ 運動療法
一般体操、遊技、競技、自転車操作等を行い、訓練に興味を持たせるようにするとともに、気分の転換、明朗化を図り、心理的更生を併せて行うようにすること。
3 心理的更生
肢体不自由者更生施設における心理的更生は、次の方法により実施すること。
なお、この場合は、特に入所者の心理的特性とその不適応の起因との的確な診断に基づき、各個人の適切な処置とその時期を誤まらないように指導すること。
(1) 心理的診断
ア 心理判定は、各種の検査の方法により実施し、更に生活歴の研究と観察を加えること。
イ アの判定結果に基づき、指導措置の方法をたてる場合においては、特に更生指導の効果の難易に関する人格的類型及び特性の予診に留意すること。
(2) 心理的更生措置
ア 集団指導として、比較的小集団の討論会、演劇、レクリエーション、各種クラブ活動等を実施すること。
イ 個別的に心理療法的相談助言を行う場合は、その心理的更生の効果を大にするため、医療処置、機能回復訓練及び機能訓練等の更生指導と関連して適切な時期に実施するように留意すること。
4 職業的更生
肢体不自由者更生施設における職業訓練の実施に当たっては、肢体不自由者の特性に鑑み、次の点に留意すること。
なお、詳細に関しては「肢体不自由者更生施設における医学的更生並びに職業的更生における実施の指針について」(昭和二九年一一月二五日社発第九二四号)に基づき実施すること。
(1) 作業用義肢、装具の装用とともに、作業に適した補助工具、手先用具等を積極的に使用させ、障害を克服するよう指導すること。
(2) 入所者の適性に応じて、整備訓練、基本訓練及び応用訓練に分けて実施すること。
(3) 訓練科目については、地方の実情に応じて事務的科目(珠算、簿記、印刷、タイプライティング等)、特殊技術的科目(衛生検査、写真)及び農園芸等に考慮を払い、各人の適性と希望に応じることができるように努めること。
5 設備
肢体不自由者更生施設の設備については、第一節の6で定めるほか、次の点に留意すること。
(1) 教養娯楽にあてるための集会室を設けることが望ましいこと。
(2) 義肢又は装具の装着訓練その他の機能回復訓練を実施する屋外運動場には、砂場、傾斜地、不整地等の屋外機能回復訓練場を設けることが望ましいこと。
(3) 出入口に段差を設けることを避け、階段の傾斜を緩やかにするなどの配慮をすること。
第三節 視覚障害者更生施設
1 入所期間
視覚障害者更生施設の入所期間は、あん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師に係る学校養成施設認定規則(昭和二六年文部、厚生省令第二号)によるあん摩マッサージ指圧師、はり師若しくはきゅう師の養成施設又はこれらの二以上の養成施設として認定されたものにあっては、二年から五年までとし、その他の施設にあっては、一年を原則とし、特に必要と認めるときは六か月以内の延長を認めることができること。
2 心理的更生
視覚障害者更生施設における心理的更生は、第二節の3に準じて行うこと。
3 職業的更生
視覚障害者更生施設における職業的更生は、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの訓練科目のほか視覚障害者に適当なその他の科目を実施するように努めるとともに、次の準備及び基本訓練を実施するように留意すること。
(1) 身体的諸動作訓練
入所者の日常生活に必要な諸知覚及び諸動作に習熟せしめること。
(2) 盲人安全つえの使用
盲人安全つえの室内及び室外における使用法を教えること。
(3) 点字教育
六か月以上点字の習得に必要な知識技能について教えること。
4 設備
視覚障害者更生施設の設備については、第一節の6で定めるほか、次の点に留意すること。
(1) 教養娯楽にあてるための集会室を設けることが望ましいこと。
(2) あん摩マッサージ指圧師等養成施設にあっては、あん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師に係る学校養成施設認定規則に規定する設備を有すること。
(3) 二階建の場合における避難設備は、滑台式のものを二か所以上に設けること。
第四節 聴覚・言語障害者更生施設
1 入所期間
聴覚・言語障害者更生施設の入所期間は一年を原則とし、特に必要と認めるときは、さらに六か月以内の延長を認めることができること。
2 医学的診断及び治療
聴覚・言語障害者更生施設における医学的診断には、臨床診断と同時に聴覚の機能的状態を把握することが必要であり、また、治療に当たっては、入所者の障害の現症を明確に把握し、治療的余地及び手段の有無を発見して治療方針をたてること。
3 聴力検査及び語音明瞭度検査
聴覚・言語障害者更生施設における聴力の検査は、主として純音聴力検査によって行うが難聴の種類、失官年齢等に応じて、他覚的聴力検査、語音明瞭度検査等も併せて実施すること。
なお、聴力検査は、聴能訓練及び読話訓練の経過においても定期的に行うこと。
4 聴覚更生訓練
聴覚・言語障害者更生施設における聴覚更生訓練は、次により行うこと。
(1) 補聴器装用訓練
補聴器装用訓練は、補聴器の機能を検査し、各人に最も適したものを選定し、残存聴力を最大限に活用することを目的として行うものであって、補聴器の一日における使用時間数を漸次増大する等の方法により実施すること。
なお、この場合における補聴器の検査及び選定は、次の方法により実施すること。
ア 補聴器の検査に当たっては、その出力、感度、周波数特性、音量圧縮、耐久力等、器械の性能について詳細に検査すること。
イ 補聴器の選定に当たっては、聴力測定及び語音明瞭度検査等によって聴力障害の状態を適確に知るとともに、各種の補聴器の装用により聴域明瞭度及び許容快適度の検査を行い、障害者に最も適合したものを選定すること。
(2) 聴能訓練
聴能訓練は、残存聴力を訓練して一般社会との交信をできるだけ容易にすることを目的とするもので、レコード、ラジオ等を利用して、音、言語に対する弁別能力を訓練するとともに、騒音な場所(道路、集会所等)における訓練を実施すること。
(3) 読話訓練
読話は聴覚を補い、又は聴覚に代って会話の理解を容易にするためのものであるので、聴能訓練と併せて読話訓練を毎日一定時間実施すること。
(4) 運動機能訓練
平衡機能障害を有する者に対して、その障害の原因及び種類に応じた運動機能訓練を行うものとすること。
5 音声、言語機能更生訓練
聴覚・言語障害者更生施設における音声、言語機能更生訓練は、音声学、言語心理学、聴覚学等の知識に基づき、視覚的方法、触覚的方法等適当な代償的方法及び特殊な機械装置の活用によって聴能訓練又は読話訓練と関連させて実施すること。
6 心理的更生
聴覚・言語障害者更生施設における心理的更生は、第二節の3に準じて行うこと。
7 職業的更生
聴覚・言語障害者更生施設における職業訓練の実施に当たっては、次の点に留意すること。
(1) 補聴器等の活用により、作業を容易にするよう指導すること。
(2) 入所者が自立更生するための技術的素地を与えるとともに、健常者との交信方法等、社会的な更生に特別な注意を払うこと。
(3) 職業科目は、地方の実情を検討し、入所者の特性を十分考慮して広く職種を選定するように努めること。
8 設備
聴覚・言語障害者更生施設の設備については、第一節の6で定めるほか、次の点に留意すること。
(1) 教養娯楽にあてるための集会室を設けることが望ましいこと。
(2) 危険等を知らせるため、有色電球、有色標識及びたいこ等必要な設備及び器具を備えつけること。
第五節 内部障害者更生施設
1 入所者の要件
内部障害者更生施設の入所者の要件は、心臓又は呼吸器の機能に障害のあるもの及びその他の内部障害者で施設長が特に入所させることを必要と認めたものであること。
2 入所期間
内部障害者更生施設の入所期間は一年を原則とし、必要に応じて延長することができること。
3 健康管理
内部障害者更生施設における入所者の健康管理については、次の点に注意すること。
(1) 入所者の健康管理は医師の責任であり、医師は、入所者が諸種の訓練を行っている関係上、安静患者以上に正確にその健康状態を把握すること。
(2) 医療管理
ア 呼吸器機能障害等については、次のとおりとすること。
(ア) 定期的検査
次の診断及び諸検査を定期的に行うこと。
a 面接により自覚症状の聴取及び聴打診を含む総合的診断 月一回
b 喀痰培養検査(培養成績のコロニー数を記載すること。) 月一回
c 喀痰塗抹検査 月一回
d 赤沈検査 月一回
e 体重測定 月一回
f 肺活量測定 月一回
g レントゲン写真 異常がない場合四か月に一回
(イ) 異常がある場合の措置
a 菌所見、赤沈値、自覚症状、他覚症状等に異常のある場合には、必要な検査を直ちに実施すること(この場合において、充分な設備がない場合においては、高性能を有する最寄りの施設を利用すること。)。
b レントゲン写真に異常が認められたり、赤沈値が異常に増加したり、その他精密検査の結果異常があると認められた場合には、直ちに作業又は訓練を中止して原因を探求し、必要に応じ退所させ、医療機関へ送るなどすみやかに必要な措置をとること。
(ウ) 記録
医療管理の経過を記録するため、一般患者の例にならい、総括表を備え付け、諸検査諸療法の結果を記入し、全般的な健康状態の把握を行うこと。
イ 心臓機能障害者については、次のとおりとすること。
(ア) 定期的検査
次の診断及び諸検査を定期的に行うこと。
a 面接により自覚症状の聴取及び聴打診を含む総合診断 月一回
b 体重測定 月一回
c 血圧測定 月一回
d 心電図による診断 異常がない場合四か月に一回
(イ) 異常がある場合の措置
呼吸器機能障害者の場合に準じて行うこと。なお、急性症状の発現等、緊急事態に対処するため、医療機関との連携体制等に特に留意すること。
(3) 栄養管理
内部障害者に特に必要な栄養を含む合理的な献立を作り、正しい調理方法によって給食するとともに、必要な熱量、適量の蛋白質、脂肪、ビタミン及びミネラルを有するものとすること。
(4) 安静休養
医師の診断に基づき、教養、職業訓練以外の時間は個々の体力回復の程度により、安静休養の時間を設け、健康の増進に努めること。
4 職業訓練
内部障害者更生施設における職業訓練の実施に当たっては、次の点に留意すること。
(1) 職業訓練は、作業療法を終了し、一般の就労に堪えられる者であって、社会復帰において前職に復帰できない者や職場転換を要する者、又は療養中職を失った者あるいは最初より職業的経験のない者に対し、内部障害者の特性に応じた安全な職業に就かせるように訓練することを目的とし、職業に対する自信を与えることについて心理的更生の効果を有するものであること。
(2) 職業科目は、地方の実情を検討し、入所者の特性を十分考慮して広く職種を選定するよう努めること。
(3) 職業訓練は、準備訓練、基本訓練及び応用訓練の三過程に分けて実施すること。
なお、職業訓練を実施するに当たっては、判定会議を開き、医学的、心理的、職能的に判定した結果に基づいて入所者と相談をし、入所者の身体的状況、能力、意欲、興味、適性並びに家庭の状況や施設周辺の社会的条件等を勘案して、最も適した職業の種目を選ぶようにすること。
(4) 職業訓練の初期である入所直後二週間から四週間においては、準備訓練として主として作業療法を行う。この場合、最初は軽度のものより始め、その影響を観察した後、その強度を増しあるいは時間数を増加するなど、段階的に実施するよう考慮すること。
(5) 基本訓練は一〇か月間位を適当とし、特別の知識、技能を必要とする職業を適職とする者に対して、その職業に就くことを容易にするため、それに必要な知識、技能を授けることを目的としてこれを行うこと。
(6) 応用訓練は基本訓練後原則として一か月位を適当とし、最後の仕上の意味で、心身ともに実際の職業現場に就いた時の態勢をとらせるようにし、必要に応じ、入所者を在所のまま理解ある職業現場に委託して見習実習をさせるなど所外実習を行うこと。
(7) 各訓練期ごとに毎週あるいは毎月訓練経過について検討を行い、健康状態、心理的適応状況、能率等につき吟味、検討して次の処方、計画を立てるようにすること。
(8) 職業訓練の指導にあたる者は、技術面のみならず、その医学、心理面にも考慮を払い、入所者の全般的更生に留意すること。
5 生活指導
内部障害者更生施設における生活指導は、日常生活を正しく指導することによって健康管理及び職業訓練を効果あるようにし、かつ、長期の療養後における社会生活復帰のための精神訓練と教養の補充を行うとともに、入所中の生活を適正かつ豊かに送らせることを目的として、次により実施すること。
(1) 生活指導は、生活指導員(ケースワーカー)がこれに当たり、夜間においては職員が宿直してその任に当たること。
(2) 日課表を作成し、厳格に実施すること。
(3) 日課表中に教養、学習の時間を設け、適当な学科を教授するとか、通信教授を勧奨するなど教養の充実に努めること。
(4) 入所者とその家族との連絡を密にし、施設職員、入所者及び家族の三者より成る会合を定期的に開催するなど、入所者並びにその家族の福祉の向上に努めること。
6 設備
内部障害者更生施設の設備については、第一節の6で定めるほか、次の点に留意すること。
(1) 居室にはベッドを備え付け、私物棚を設けるとともに換気に考慮すること。
(2) 面接室には、心理判定に必要な器具を備え付けることを原則とすること。
(3) 医務室には、必要な医療品及び衛生材料を備え付けるとともに必要な医療機械器具を備え付けること。
(4) 職業訓練室は、訓練の種目に応じて必要な広さを有し、かつ、施設に充分の考慮が払われているとともに、これに必要な機械器具を備えること。
(5) 職能判定室には、職能判定に必要な器具を備え付けること。
(6) 理学療法室兼作業療法室には、理学療法及び作業療法に必要な器具が備え付けられていること。
(7) 敷地は、内部障害者の特性に応じた広さを確保すること。
7 その他
(1) 他の機関との協力
内部障害者更生施設は、入退所その他の場合において連絡協調を要する場合が多いので、福祉事務所をはじめ社会福祉施設、医療機関、保健所等衛生行政機関、公共職業安定所、公共職業訓練所、雇用者団体等労働関係機関、医師会及び衛生関係団体等と常時密接な連絡を保ち、必要に応じ、これら包含する定期的会合を行うなどしてこれらの諸機関の協力を得るようにし、入所者の福祉の便を図ること。
(2) ボランティア等による援助
ア 内部障害者更生施設は、入所者の更生過程が医学、社会福祉及び職業等各分野にわたるため、その安全な運営には担当職員を必要とするところであるが、特殊な職業訓練を希望する者に対して正規の職員である指導職員が得られない場合又は教養面の教授法に困難する場合などにおいてはボランティアの援助が得られるよう努めること。
イ 娯楽面においてもボランティアとの連携を考慮すること。
ウ 民生委員との連絡についても、他の身体障害者の場合に準じてその協力が得られるようにすること。
第六節 重度身体障害者更生援護施設
1 入所者の要件
重度身体障害者更生援護施設の入所者の要件は、職業的更生は困難であるが、少なくとも、自助動作の機能が回復する可能性があると判定される重度の肢体不自由者又は重度の内部障害者であること。
2 入所期間
重度身体障害者更生援護施設の入所期間は、おおむね五年以内とし、入所者各人に対する指導計画によって適宜決定するものであること。
3 入所者の処遇
重度身体障害者更生援護施設における入所者の処遇に当たっては、重度の肢体不自由者については第二節(「4 職業的更生」の部分を除く。)に準じ、重度の内部障害者については第五節(「4 職業訓練」の部分を除く。)に準じて行うこととするが、重度の身体障害者の特性に鑑み、次の点のうちそれぞれの特性に応じた事項について留意すること。
なお、重度の肢体不自由者に対する職業的更生又は重度の内部障害者に対する職業訓練についても、入所者各人の特性及び必要性に応じ、第二節の4又は第五節の4の趣旨に沿って指導を行うことは差し支えないこと。
(1) 二次的変形をまねくことのないよう、その予防措置に努めるとともに、各人の残存機能を最大限に育成助長するための訓練を行うこと。
(2) 義肢装具の装用とともに各人の必要に応じた自助用具等を積極的に使用させ、自力による日常生活が可能になるよう指導すること。
(3) 常時就床している者に対しても効果的な各種療法を実施すること。
(4) 入所者は障害に起因する社会的、心理的不適応の傾向が著しく、また、行動範囲も極めて制限される結果、自閉的、かつ消極的になりがちであるので、更生の動機づけについては十分配慮すること。
(5) 重複障害者に対しては、その障害の種類に応じ、必要な指導を行うこと。
4 設備
重度身体障害者更生援護施設の設備は、その障害の種類に応じ、第二節の5又は第五節の6に準ずるほか、次の点に留意すること。
(1) 重度の身体障害者の特性に合致するよう工夫され、特に身の回りの用を足すために便利なものとするよう配慮すること。
(2) 寝具は原則としてベッド式とすること。
5 職員
重度身体障害者更生援護施設の職員については、次の点に留意すること。
(1) 重度身体障害者更生援護施設には、保健婦を置くことが望ましいこと。
(2) 重度の内部障害者を入所させる場合には、内部障害者更生施設の職員の配置基準を考慮すること。
第七節 その他
1 身体障害者更生施設に障害の異なる身体障害者を入所させる場合の取扱い
更生援護の計画、健康管理、更生訓練等の処遇等が入所対象となるそれぞれの身体障害者に適したものである場合には、肢体不自由者更生施設、視覚障害者更生施設、聴覚・言語障害者更生施設及び内部障害者更生施設に、障害の異なる他の身体障害者を入所させることができるものとする。
なお、この措置を行う場合においては、当職あて協議すること。
2 通所事業
身体障害者更生施設へ通所させて必要な訓練等を行う場合(以下「通所事業」という。)の要件は、次に定めるところによる。
(1) 通所者の要件
地理的条件、障害状況等を勘案して通所によっても十分その更生効果が得られるものに限ること。
(2) 通所定員
適宜決定するものとすること。なお、定員の決定に当たっては当職あて協議すること。
(3) 通所期間
身体障害者更生施設の種類に応じた訓練等の期間の範囲内において通所者の障害の状況等を勘案して施設において適宜決定するものとすること。
(4) 設備
通所部門(通所により訓練等が行われる部門をいう。以下同じ。)については、通所による訓練等を行うのに必要な設備が完備されていること。
(5) 職員
通所部門における職員は、その訓練等に必要な職員を配置するものとすること。
(6) その他
ア 訓練等は、身体障害者更生施設における指導等にとどまらず、身体障害者の家庭及びその他環境による条件にも影響されるので、通所事業の実施に当たっては、施設長は当該身体障害者の家庭等と密接な連携を保ち、通所事業について一貫した体制を確立するよう努めるものとすること。
イ 通所部門についても必要な帳簿を整備するものとすること。
第二章 身体障害者療護施設
1 生活指導
身体障害者療護施設における生活指導は、第一章第一節の4に準じて行うとともに、入所者に対し、その身体的及び精神的条件に応じ、機能を維持し又は機能の減退を防止するための訓練に参加する機会を与えるように努めること。
2 設備
身体障害者療護施設の設備は、第一章第一節の6に準ずるほか、入所者の日常生活に充てられる場所は、必要に応じ採暖のための設備を設けること。
3 健康管理等
身体障害者療護施設における健康管理、給食、更生訓練、建物の構造及び職員については、第一章第一節の1から3及び5並びに7に準じて行うこと。
第三章 身体障害者福祉ホーム
1 定義
身体障害者福祉ホームは、身体上の障害のため家庭において日常生活を営むのに支障がある身体障害者に対し、低額な料金で日常生活に適するような居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜を供与する施設とする。
2 設置経営主体
身体障害者福祉ホームの設置主体及び経営主体は、原則として地方公共団体又は社会福祉法人とする。
3 立地条件
(1) 身体障害者福祉ホームの設置に当たっては、利用者の分布状況等社会的需要に応じた効率的活用が期待されるよう努めるものとする。
(2) 身体障害者福祉ホームの敷地は、保健衛生、交通の便等を考慮の上、利用者の生活を健全に維持できる環境の地を選定するものとする。
4 利用対象者
(1) 身体障害者福祉ホームの利用対象者は、家庭環境、住宅事情等の理由により居宅において生活することが困難な一八歳以上の身体障害者とする。ただし、常時の介護、医療を必要とする状態にある者を除くものとする。
(2) 世帯用居室の利用者は配偶者と共に利用する場合とし、両者とも身体障害者である場合に限るものとする。
5 利用の方法
身体障害者福祉ホームの利用は、利用者と経営主体との契約によるものとする。
6 利用料
(1) 身体障害者福祉ホームの利用に要する費用は、利用者の負担とする。
(2) 身体障害者福祉ホームの利用料は、地域の実態等を勘案した低額なものとする。
(3) 身体障害者福祉ホームにおける食事その他特別なサービスに要する費用は、その実費を利用者の負担とする。
(4) 身体障害者福祉ホームの利用に当たって、保証金の徴収又は利用者の不当な負担となる条件を課さないものとする。
7 建物の構造及び設備
(1) 物干場を設けることが望ましいこと。
(2) 居室について、世帯用居室とする場合の利用者一人当たりの床面積は、浴槽及び収納設備等を除き、原則として一四・八五平方メートル以上とすること。
(3) 便所については、水洗式便所として利用者に適した設備とするとともに、流水式手洗設備を設けること。
(4) 浴室については、身体障害者の入浴に適した浴槽等の入浴設備を設けるとともに、上り湯及び清浄な水を使用することができる設備を設けること。
8 処遇
(1) 利用者の自立した生活に必要な相談、助言等に努めるとともに健康管理、レクリエーション、非常災害対策等については、利用者のニーズに応じて対策が講じられるよう配慮するものとする。
(2) 利用者の食事は、原則として自炊によるものとし、その他の日常生活も原則として利用者自身で処遇するものとする。
(3) 一時的な疾病等のため日常生活に支障がある場合は、介助、給食サービス等日常生活の世話が行えるよう配慮すること。
(4) 利用者の守るべき共同生活上の規律、その他必要な事項については、極力利用者の意見を尊重して定めるものとする。
(5) 疾病、収入の途絶え等により利用者が身体障害者福祉ホームで生活することが困難となった場合には、医療機関への連絡、家族との調整等所要の措置をとるとともに、関係諸制度、諸施策の活用についても迅速かつ、適切な配慮を行うものであること。
第四章 身体障害者授産施設
第一節 総則
1 健康管理等
身体障害者授産施設における健康管理、給食、更生訓練、生活指導、建物の構造、設備及び職員については、第一章第一節の1から7に準じて行うこと。
2 工賃の支払
身体障害者授産施設の入所者に支払う工賃は、原則として出来高払とし、事情により固定給を併用して差し支えないこと。
3 種別及び定義
(1) 身体障害者授産施設((2)及び(3)に掲げるものを除く。以下同じ。)は、身体障害者で雇用されることの困難なもの又は生活に困窮するもの等を入所させて、必要な訓練を行い、かつ、職業を与え、自活させる施設とする。
(2) 重度身体障害者授産施設は、重度の身体障害者で雇用されることの困難なもの等を入所させて、必要な訓練を行い、かつ、職業を与え、自活させる施設とする。
(3) 身体障害者通所授産施設は、身体障害者で雇用されることの困難なもの等を通所させて、必要な訓練を行い、かつ、職業を与え、自活させる施設とする。
第二節 身体障害者授産施設
1 入所期間
身体障害者授産施設の入所期間は、職業の種類、入所者の経歴等を勘案して身体障害者授産施設において適宜決定すること。
ただし、著しく長期にわたることにより、入所者の更生意欲を阻害することのないように留意すること。
2 心理的更生
身体障害者授産施設における心理的更生は、第一章第二節の3に準じて行うこと。
3 職業的更生
身体障害者授産施設における職業的更生の実施に当たっては、次の点に留意すること。
(1) 授産指導を合理化するために、授産種目について作業の内容及び特質並びに必要とする身体的要件等を正確に把握し、これにより残存能力の活用を容易にするとともに、作業設備、作業工具の改善に努めること。
(2) 作業科目には、主として製品の需給状況及び業界の動向を常時把握し、できるだけ多数の種目を選び、その趣味、能力に応じて職業選択の範囲を広くすること。
(3) 肢切断又は機能障害者に対し、作業動作に適合した作業用義肢、手先用具又は被助具の装用により、作業能率を高め、作業に伴う困難苦痛、疲労等を軽減するようにすること。
第三節 重度身体障害者授産施設
1 入所者の要件
重度身体障害者授産施設の入所者の要件は、重度の身体障害者であって、その障害のため、作業能力をもちながらも当該施設以外の場所においては就業することが極めて困難であると判定されたものとすること。
2 入所期間
重度身体障害者授産施設の入所期間は、入所者各人の作業能力等を勘案して当該施設において適宜決定すること。
3 健康管理
重度身体障害者授産施設における入所者の健康管理は、第一節の1に準じて行うほか、入所者の身体的状況を正確に把握し、二次的変形及び附随症状増悪の予防に努めること。
4 更生訓練及び生活指導
重度身体障害者授産施設における更生訓練及び生活指導は、第一節の1に準じて行うとともに、次により行うこと。
(1) 入所者各人の残存機能の保持、活用が図られるよう訓練すること。
(2) 義肢装具を装用させるとともに、各人の身体条件に応じた自動用具等を積極的に使用するよう指導する等、作業能力の向上を図ること。
(3) 入所者は、身体の障害に起因する社会的、心理的不適応の傾向が強く、かつ、行動範囲も極めて制限される結果、自閉的、消極的になりがちであるので、就労意欲の助長について特に配慮すること。
5 設備
重度身体障害者授産施設の設備は、第一節の1に準ずるほか、次の点に留意すること。
(1) 必要に応じ、防寒設備について配慮すること。
(2) 作業室及び作業設備の規模構造については、重度の身体障害者が作業に従事し、十分に能率の向上が期待できるよう、各人の障害の種類及び障害程度に適合するよう工夫するとともに、保安設備について特に留意すること。
第四節 身体障害者通所授産施設
1 通所者の要件
身体障害者通所授産施設の通所者の要件は、身体障害者授産施設への入所対象となる身体障害者のうち、地理的条件、障害の状況等を勘案して通所によっても十分その更生効果が得られるものとすること。
2 通所期間
身体障害者通所授産施設の通所期間は、通所者各人の作業能力等を勘案して当該施設において適宜決定すること。
3 設備
身体障害者通所授産施設の設備は、第一節の1に準ずるほか、次の点に留意すること。
(1) 作業室は、通所者が作業に専念し、十分な能率の向上が期待できるよう、各人の障害の種類及び程度に応じて工夫するとともに、保安設備を設ける等通所者が安全に作業に従事できるよう特に留意すること。
(2) 医務室には、通所者を診療するために必要な医薬品、衛生材料及び医療機械器具を備えること。
第五節 その他
1 通所事業
身体障害者授産施設又は重度身体障害者授産施設へ通所させて必要な訓練等を行う場合の要件は、第一章第七節の2に準じて取り扱うものとする。
第五章 身体障害者福祉センター
1 定義
身体障害者福祉センターは、身体障害者に関する各種の相談に応じ、身体障害者に対し、機能訓練、教養の向上、社会との交流の促進及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与する施設とする。
2 設置経営主体
身体障害者福祉センターの設置主体及び経営主体は、原則として地方公共団体とする。ただし、経営を社会福祉法人等に委託できるものとする。
3 設置要件
(1) 原則として、身体障害者福祉センターA型は都道府県及び指定都市単位に、身体障害者福祉センターB型及び在宅障害者デイサービス施設は地域の在宅の身体障害者数等を勘案し、設置するものとする。
(2) 身体障害者福祉センターA型及び身体障害者福祉センターB型は、身体障害者の各種相談、講習、訓練、情報、文化、教養、スポーツ、レクリエーション等の便宜を供与するとともに、ボランティアの養成、住民の啓発等を総合的に行う施設であるが、その形態等についてはそれぞれの地域における身体障害者の実情等を十分に考慮して設置するものとする。
(3) 障害者更生センターは、広域的利用施設として設置するものとする。
4 立地条件
(1) 身体障害者福祉センター(障害者更生センターを除く。)は、地域における身体障害者の実情及びその利用上の便宜を十分考慮の上、効果的活用がなされる場所に設置するものとする。
(2) 障害者更生センターは、環境、交通等の地理的条件、利用の将来性等を考慮し、障害者の効果的な利用が確保できると認められる景勝地、温泉地等に設置するものとする。
5 利用料
(1) 身体障害者福祉センター(障害者更生センターを除く。)の利用料は、無料又は低額なものとする。
(2) 障害者更生センターの利用料は、事業の趣旨に則り、適正かつ利用者の負担能力を考慮した低廉なものとする。
6 その他
特別の事情により、この指針によることができない場合には、当職あて協議することとする。
7 事業
(1) 身体障害者福祉センターA型においては、おおむね次の事業を行い、又はそのために必要な便宜を提供するものとする。
ア 身体障害者に対するサービス
(ア) 更生相談
身体障害者の更生のために必要な生活、医療、訓練、職業、住宅、結婚等に関する相談に応じ、適切な指導、助言を行うこと。
(イ) 訓練等の実施
身体障害者の社会活動への参加と自立を促進するために必要な点字、カナタイプ、手話、発声、義肢装着、機能回復等の訓練及び講習会を行うこと。
(ウ) スポーツ、レクリエーションの指導
身体障害者の健康の増進を図るため、スポーツ、レクリエーションについて必要な指導を行うこと。
イ ボランティアの養成
身体障害者の社会活動に必要な援助を行うための点訳、朗読、手話、介助等の奉仕員、スポーツ指導員等ボランティアの養成を行うこと。
ウ 身体障害者関係福祉団体に対する便宜の供与等
身体障害者関係福祉団体の運営について適切な助言、指導を行うとともに、各種会合等に必要な便宜を提供すること。
エ 身体障害者相談員、身体障害者更生援護施設職員等に対する研修等
管内の身体障害者相談員及び身体障害者更生援護施設並びに身体障害者福祉センターB型等の関係職員に対する研修等を行うこと。
オ その他
身体障害者の福祉の増進を図るため、必要に応じ身体障害者又は地域住民に対する啓発及び宿泊のための施設の運営等の事業を行うこと。
(2) 身体障害者福祉センターB型においては、おおむね次の事業を行い、又はそのために必要な便宜を提供するものとする。
ア 身体障害者デイサービス事業の実施
平成二年一二月二八日社更第二五五号厚生省社会局長通知に基づく身体障害者デイサービス事業を行うこと。
イ 身体障害者関係福祉団体に対する便宜の供与等
身体障害者関係福祉団体の運営について、適切な助言、指導を行うとともに各種会合等に必要な便宜を提供すること。
ウ その他
身体障害者の福祉の増進を図るため、必要に応じボランティア養成等のための事業を行うとともに、身体障害者又は地域住民に対する啓発等の事業を行うこと。
(3) 在宅障害者デイサービス施設においては、平成二年一二月二八日社更第二五五号厚生省社会局長通知に基づく身体障害者デイサービス事業を行うものとする。
(4) 障害者更生センターにおいては、障害者とその家族が気軽に宿泊、休養し、各種の相談、レクリエーション等を通して相互の親睦を深め、もつて障害者の健康の増進と社会参加の促進を図るために必要な事業を行い、又はそのために必要な便宜を提供するものとする。
なお、障害者更生センターの利用者は、障害者及びその家族又は付添人とする。ただし、宿泊利用定員等に余裕がある場合は、その他の者の利用を妨げないものとする。
第六章 補装具製作施設
1 立地条件
補装具製作施設の設置に当たっては、安全の保持、交通の便等利用上の便宜を十分考慮し、効果的活用がなされる地を選定すること。
2 土地及び建物
補装具製作施設に係る土地及び建物については、次の要件を満たすときは、貸与を受けたものでも差し支えないこと。
(1) 継続的かつ安定的に事業が実施できる程度の期間の利用が確実であること。
(2) 賃借料が適正な額であり、その賃借料を払いうる確実な財源があること。
3 義肢装具の製作及び修理
(1) 義肢装具の製作及び修理(以下「製作等」という。)に当たっては、補装具工作の容易さ、堅牢耐久性等を考慮した資材を選定し、補装具の基準に合致するものを使用するとともに、処方、適合判定及び調整等について特に留意すること。
(2) 身体障害者の身体的条件及び職業等の状況を詳知して、最適な義肢装具を選定し、各個人の特性に応じた処方に基づいて製作等すること。
(3) 義肢装具の製作に際しては、周到な測定設計又は型採に従い仮合わせを行うこと。
(4) 義肢装具の簡単な修理であって機能的影響のほとんど認められないものは、義肢装具技術員だけの判定に基づく修理を行うことができること。
(5) 初めて義肢を適合する者には、正常歩行、回転、前屈運動、傾斜地、不整地歩行及び階段の昇降等基本となる使用訓練を行い、旧型義肢より新型義肢に変更する場合もでき得れば使用訓練を行い、かつ、義肢の構造、機能、取扱法、手入法について指導すること。
(6) 義手訓練においても作業義手の使途に応じた機能的利用法を習得せしめること。
4 価格
補装具製作施設において行う補装具の製作又は修理の価格は、昭和四八年六月一六日厚生省告示第一七一号「補装具の種目、受託報酬等に関する基準」の別表に掲げる価格の額の一〇〇分の九五に相当する額以下とすること。
第七章 視聴覚障害者情報提供施設
第一節 総則
1 立地条件
視聴覚障害者情報提供施設の設置に当たっては、安全の保持、交通の便等利用上の便宜を十分考慮し、効果的活用がなされる地を選定すること。
2 土地及び建物
視聴覚障害者情報提供施設に係る土地及び建物については、次の要件を満たすときは、貸与を受けたものでも差し支えないこと。
(1) 継続的かつ安定的に事情が実施できる程度の期間の利用が確実であること。
(2) 賃借料が適正な額であり、その賃借料を払いうる確実な財源があること。
第二節 点字図書館
1 業務
(1) 点字図書館は、点字刊行物及び視覚障害者用の録音物(以下「図書」という。)の貸出し及び閲覧事業を主たる業務とし、併せて点訳・朗読奉仕事業等の指導育成、図書の奨励及び相談事業を行うものであること。
(2) 関係行政機関及び障害者団体等と協力し、視覚障害者の文化、レクリエーション活動等を援助するとともに、その推進に努めること。
2 管理運営
(1) 点字図書館は、図書を七千冊以上備え、教養、娯楽、学術の諸部門を網羅し、かつ、常に新刊書を整備するように努め、図書の閲覧及び貸出しに関する出納を明確にすること。
(2) 他の点字図書館等と緊密に協力し、図書の相互貸借を行い、公共図書館(図書館法(昭和二五年法律第一一八号)第二条にいう図書館)等の協力を得て視覚障害者の読書範囲の拡充を図るとともに、図書館資料の利用のための相談に応じ読書の指導及び奨励に努め図書目録の配布等により最も効率的な利用に努めること。
3 職員
(1) 司書は、図書館法第五条に定める資格を有する者を原則とするが、専門的業務に関し、相当の学識経験を有する者をもって、これに代えることができること。
(2) 点字指導員、貸出閲覧員及び校正員は、それぞれの専門的業務に関し、相当の知識又は経験を有する者であること。
4 閲覧料等
(1) 閲覧料
ア 公立の点字図書館については、無料とすること。
イ その他の点字図書館については、原則として無料とするが、やむを得ない場合は最少限度の実費を徴収することができること。
(2) 郵送料
郵便法(昭和二二年法律第一六五号)第二六条第一項第三号に規定する盲人の福祉を増進することを目的とする施設の指定を受け、利用者の負担の軽減を図ること。
なお、これによりがたい場合は、次のとおりとすること。
ア 公立の点字図書館が図書を郵送貸出する場合における発送料金は、点字図書館の負担とし、返送料金は貸出しを受ける者の負担とすること。
イ その他の点字図書館については、原則として公立の点字図書館の場合と同様とするが、やむを得ない場合は発送料金を徴収して差し支えないこと。
第三節 点字出版施設
1 業務
(1) 点字出版施設は、点字刊行物の出版を主たる業務とし、年間少なくとも三〇種以上の点字図書を製版及び印刷するよう努めること。
(2) 常に新刊図書の発刊に留意するとともに、教養、娯楽、学術の諸部門の図書の発刊を行うよう努めること。
(3) 発刊を予定している図書目録を点字図書館、盲学校、盲人福祉団体等に配布し、点字図書の普及に努めること。
(4) 点字図書館、盲学校、盲人福祉団体等と緊密な連絡をとり随時関係者による座談会、講演会等を開催して、出版計画及び出版図書等に対する意見を聴取し、これを出版事業に反映せしめるよう努めること。
2 管理運営
(1) 出版に当たっては、学識経験者等からなる出版図書選定委員会を少なくとも四半期毎に開催し、会議は、点字出版施設の施設長が議長となり、編集員又は校正員を参加させて出版の方針を決定すべきであること。
(2) 出版に当たっては、著作権、出版権等に留意し、著作権者に無断で翻訳し、発行することのないよう十分注意すること。
(3) 製作に当たっては、十分校正し、誤字、脱字等のないように努めるとともに、製本はなるべく堅牢なものとすること。
(4) 発行所及び発行責任者は、当該点字出版施設の施設長とすること。
3 職員
編集員、製版員、校正員、印刷員及び製本員は、それぞれの専門的業務に関し、相当の知識又は経験を有する者であること。
4 郵送料
郵便法(昭和二二年法律第一六五号)第二六条第一項第三号に規定する盲人の福祉を増進することを目的とする施設の指定を受け、利用者の負担の軽減を図ること。
5 価格
点字出版施設において点字図書を出版する場合の価格は、用紙代、印刷及び製本に要する実費に、製版に要する実費(亜鉛原板代を含めた額を印刷部数で除して得た額)を加えた額に、更にその一割程度を雑費として加算した額を点字図書一冊の価格とすること。
第四節 聴覚障害者情報提供施設
1 業務
(1) 聴覚障害者情報提供施設は、聴覚障害者用字幕(手話)入ビデオカセット(以下「ビデオカセット」という。)の製作及び貸出事業を主たる業務とし、併せて手話通訳者の派遣、情報機器の貸出し等コミュニケーション支援事業及び聴覚障害者に対する相談事業を行うものであること。
(2) 関係行政機関及び障害者団体等と協力し、聴覚障害者の文化、学習、レクリエーション活動等を援助するとともに、その推進に努めること。
2 管理運営
(1) 聴覚障害者情報提供施設は、教養、娯楽、学術等広く各分野にわたるビデオカセットを備え、かつ、常に新しいビデオカセットを整備するように努めること。
(2) 他の聴覚障害者情報提供施設等と緊密に協力し、ビデオカセットの相互賃借を行う等、聴覚障害者に対する利用の便宜に努めること。
(3) ビデオカセットの目録の作成配布等を行い、利用の促進を図ること。
3 職員
聴覚障害者情報提供施設の施設長は、聴覚障害者の福祉の増進に熱意があり、かつ、聴覚障害者の情報対策や文化活動等に幅広い識見を有する者とすること。
4 利用料等
(1) 利用料
利用料は、無料又は低額な料金とすること。
(2) 郵送料
郵便規則(昭和二二年逓信省令第三四号)第三九条の六の二に規定する聴覚障害者の福祉を増進することを目的とする施設の指定を受け、利用者の負担の軽減を図ること。