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○介護扶助と障害者施策との適用関係等について

(平成一二年三月三一日)

(社援保第一八号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生省社会・援護局保護課長通知)

生活保護法(昭和二五年法律第一四四号。以下「法」という。)による介護扶助と障害者施策(身体障害者施策及び知的障害者施策をいう。)との適用関係及び生活扶助の障害者加算他人介護料(以下「他人介護料」という。)の取扱いについて、左記のとおり整理したので、了知の上、管内実施機関に対して周知し、保護の実施に遺憾のなきを期されたい。

なお、この通知は、地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第二四五条の九第一項及び第三項の規定に基づく処理基準とする。

第一 介護扶助と障害者施策との適用関係

一 介護保険の被保険者に係る介護扶助と障害者施策との適用関係

介護保険の被保険者に係る介護扶助(法第一五条の二第一項第一号に規定する居宅介護(居宅療養管理指導及び特定施設入所者生活介護及び痴呆対応型共同生活介護を除く。)に係るものに限る。以下同じ。)と障害者施策との適用関係については、「介護保険制度と障害者施策との適用関係等について」(平成一二年三月二四日障企第一六号、障障第八号厚生省大臣官房障害保健福祉部企画課長、同障害福祉課長連名通知)において定める介護保険制度と障害者施策との適用関係と同様、介護保険及び介護扶助が障害者施策に優先するものであること。

ただし、介護保険制度における居宅介護サービスのうち訪問看護、訪問リハビリテーション及び通所リハビリテーション(医療機関により行われるものに限る。)に係るものの自己負担相当額については、身体障害者福祉法第一九条に規定する更生医療が介護扶助に優先して給付されることとなるため、更生医療の給付を受けることができる場合にはその限りにおいて介護扶助は適用されないので留意すること。

二 四〇歳以上六五歳未満の医療保険未加入者であって、介護保険法施行令(平成一〇年政令第四一二号)第二条各号の特定疾病により要介護又は要支援の状態にある被保護者(以下「被保険者以外の者」という。)に係る介護扶助と障害者施策との適用関係

(一) 基本的な考え方

被保険者以外の者に係る介護扶助と障害者施策との適用関係については、補足性の原理により、障害者施策が介護扶助に優先されるものであること。

したがって、介護扶助の給付は、要介護(支援)状態に応じた居宅介護サービス(訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護及び福祉用具貸与をいう。以下同じ。)に係る支給限度基準額(以下「支給限度額」という。)を限度として、障害者施策で賄うことができない不足分について行うものであること。

ただし、障害者施策のうち特定のサービスについて活用し得る余地がある場合であっても、サービス利用計画上、必要な水準まで利用されていれば、同内容のサービスを除いて、介護扶助が行われるものであること。

(二) 介護扶助による居宅サービスの種類と障害者施策との適用関係について

ア 介護扶助による訪問介護と身体障害者居宅介護及び知的障害者居宅介護との適用関係について

原則として、身体障害者居宅介護又は知的障害者居宅介護の活用を最大限図ったうえで、なお、不足する分について支給限度額を限度として介護扶助による訪問介護を給付することができるものであること。

ただし、身体障害者居宅介護及び知的障害者居宅介護における移動介護については、介護保険及び介護扶助による訪問介護と異なる目的と効果をもつことから、介護扶助による居宅介護サービスに相当する障害者施策として取扱わないこと。

イ 介護扶助による訪問入浴介護と障害者施策による訪問入浴サービスとの適用関係について

原則として、障害者施策による訪問入浴サービスの活用を最大限図ったうえで、なお、不足する分について支給限度額を限度として介護扶助による訪問入浴介護を給付することができるものであること。

ウ 介護扶助による短期入所生活介護と身体障害者短期入所及び知的障害者短期入所との適用関係について

原則として、身体障害者短期入所又は知的障害者短期入所の活用を最大限図ったうえで、なお、不足する分について支給限度額を限度として介護扶助による短期入所生活介護を給付することができるものであること。

エ 介護扶助による通所介護と身体障害者デイサービス及び知的障害者デイサービスとの適用関係について

原則として、身体障害者デイサービス又は知的障害者デイサービスの活用を図ったうえで、なお、不足する分について支給限度額を限度として介護扶助による通所介護を給付することができるものであること。

ただし、身体障害者デイサービスにあっては社会適応訓練及び創作的活動、知的障害者デイサービスにあっては社会適応訓練及び文化的活動といった介護扶助と異なる固有の目的と機能を有するサービスを提供していることから、その内容を勘案し、介護扶助による通所介護に相当するものとして取り扱うことが適当ではないと認められる場合には、当該身体障害者デイサービス及び知的障害者デイサービスの活用とは別に介護扶助を行うことができること。

オ 介護扶助による福祉用具貸与と障害者施策による補装具の給付等との適用関係について

厚生大臣が定める福祉用具貸与に係る福祉用具の種目(平成一一年厚生省告示第九三号)について、身体障害者福祉法第一八条第二項又は知的障害者福祉法第一五条の三第三項の規定に基づく日常生活用具若しくは身体障害者福祉法第二〇条第一項の規定に基づく補装具の給付の活用が図られる場合には、当該給付では満たされない需要について介護扶助による福祉用具貸与を行うことができること。

ただし、当該給付が行われた場合においても、支給限度額には影響はないこと。

カ 介護扶助による住宅改修と障害者施策による住宅改修との適用関係について

障害者施策による住宅改修を行ったうえで、なお、不足する分について支給限度額を限度として介護扶助による住宅改修を給付することができるものであること。

(三) 障害者施策を受給した場合の介護扶助の上限額の算定について

障害者施策を受給した場合の居宅介護サービスに係る介護扶助については、支給限度額から以下に掲げる各号の合計額を控除した額を上限として行うことができること。

ア 身体障害者居宅介護及び知的障害者居宅介護(二の(二)のアのただし書に該当するサービスを除く。)、身体障害者短期入所及び知的障害者短期入所並びに身体障害者デイサービス及び知的障害者デイサービス(二の(二)のエのただし書に該当するサービスを除く。)を受給した場合は、居宅生活支援費額(身体障害者福祉法に基づく指定居宅支援等に要する費用の額の算定に関する基準(平成一五年厚生労働省告示第二七号)別表に規定する支援費額及び知的障害者福祉法に基づく指定居宅支援等に要する費用の額の算定に関する基準(平成一五年厚生労働省告示第二九号)別表に規定する支援費額をいう。)(ただし、全身性障害者に提供される身体障害者居宅介護(二の(二)のアのただし書に該当するサービスを除く。)については、支給限度額内でケアプランを作成する場合の訪問介護に相当する当該サービスに要する費用が支給限度額のおおむね五割を超える場合は当該額)

イ 障害者施策による訪問入浴サービスを受給した場合は、一回当たり一二、五〇〇円

第二 他人介護料の算定の考え方について、

一 基本的取扱い

他人介護料の算定は、在宅の被保護者が、第一の取扱いに沿って、介護保険、介護扶助及び障害者施策による居宅介護を利用可能限度まで活用し、それでもなお、介護需要が満たされない場合において、家族以外の者から介護を受けることを支援するために行うものであること。

そのため、次のいずれかに該当する場合には、他人加護料を算定してはならないこと。

(一) 被保険者

ア 要介護認定を受けていない場合

イ 要介護認定は受けているが、支給限度額まで活用していない場合(全身性障害者については、活用し得る障害者施策による居宅介護を活用していない場合を含む。)

(二) 被保険者以外の者

ア 要介護認定(市町村等に委託して行う要介護状態等の審査判定をいう。この項以下同じ。)を受けていない場合

イ 要介護認定は受けているが、活用し得る障害者施策による居宅介護及び介護扶助のサービス水準の合計が、支給限度額に相当する水準に至っていない場合

なお、介護保険及び介護扶助が適用となった場合においても、障害者の従前の障害者施策等による居宅介護の水準以上を確保できるよう、障害関係部局と十分調整すること。

二 夜間の取扱いについて

夜間(早朝、深夜を含む。以下同じ。)における他人介護料の取扱いについては、介護保険又は障害者施策により夜間の巡回型訪問介護サービスが提供されている地域においては、当該サービスの活用を図るものとし、当該サービスの利用により夜間の介護需要を満たすことができると認められる場合には、算定を行わないこと。